貧乏サラリーマンなのに、身の丈以上のクルマ、ロータスエリーゼを手に入れてしまった僕の、休日のささやかな楽しみは、エリーゼの中で一杯やること。しかし、そのさやかな楽しみも、あるカラダの悩みに奪われ...。


■サラリーマンエリーゼオーナーのささやかな楽しみ

 今はエリーゼが壊れているので、そもそも乗れないが...。そうでなかったとしても、エリーゼに乗ってドライブに行く、と言うのはなかなかできない。カネがない、と言うのもあるが、どっちかって言うと時間がない、の方が強い。ま、貧乏暇なし、大差はない。

 そうした僕の終わりゆく休日、ささやかな楽しみは、エリーゼの中で一杯
ことだ。これは実に幸せな時間である。本当はエリーゼを眺めながらが一番いいのだが、青空駐車場の僕の場合、エリーゼを眺めながら一杯、傍からは実に優雅に見えるかも知れぬが、それをやれば一杯やる間に蚊に10か所くらい刺されるのは必至。全く優雅でなくなる。従って、車内で一杯、となる。

 クルマを眺めながら一杯やっているシーンの動画もあるが、あれは蚊のいない季節か、殺虫剤を噴霧しまくって一時的に蚊のいない状態を作ってやるかのどちらかだ。後者の方法は、殺虫剤の残り香があって、今一つ酒も不味くなる。



 で、である。

 車内だろうと車外だろうと、最後にはエリーゼにシートをかけて終わらなければならないし、眺めたいなら結局日のあるうちにソレをやるのが、色々都合がよい。夕暮れ時がゴールデンタイムだ。


■で、カラダの悩みとは?

 しかし、ここで問題がある。タイトルに思わし気に書いている「カラダの悩み」が、最近このささやかな楽しみを阻んでいるのだ。

 それは何か?

急に酒に弱くなって来た

 これである。

 エリーゼで一杯やる、これは高ストレス下にある自分をリセットする方法として非常に高い効果を上げている方法だ。

 使うコップは前にどこかで紹介したけど、650ml入る、サーモスの保温機能の付いたビッグサイズ。これに飲み屋によくあるメガハイボールを作る。

 それでエリーゼで一杯飲んで、フロに入りながらYouTube観ながら更に一杯飲んで、その後夕メシ食いながらまたまた一杯飲んで、最後にポテチとチーズをつまみながら2杯くらい飲んで終わる。これが最強のルーティーンなのだ。

 しかしながら、それができなくなってきた。歳のせいか、ここのところ、急激に酒に弱くなったのだ。

 自作メガハイボール2杯でもう、寝てしまう。つまり、前述のルーティーンをこなせなくなってしまったのだ。

 日のあるうちにエリーゼで飲む、蚊のいない季節であれば、まだかなり早い時間だ。そんな時間から1杯目を開始してしまったら、どんなに頑張っても19時半くらいにはいつの間にか寝ている、と言う状態になってしまうのだ。昔は、飲みながら寝るなんてヤツの気が知れなかったが...。この間は、地元悪友Zとオンライン飲み会をやったのだが、やはりいつのまにか寝てた。

 なので、今はエリーゼ飲みはほとんどやっていない。夏休みとかで、やや休日を無駄に使ってもいいような場合はやることもあるが...。僕は普段の睡眠時間が5時間なので、19時半に寝てしまうと、午前0時過ぎに目が覚めてしまい、時差ボケになってしまう。ラッキーとばかりにそこでまた飲んだこともあったが、翌日頭が痛くてキツかった。

 そう、粘ってルーティーンを次々こなしてもいいのだが、翌日頭痛に見舞われる。例え寝なかったとしても、もう、体が分解できるアルコールの量が減ってきてしまっているのだ。


■で、どうするか?対策はあるのか?

 対策としては、激薄のハイボールを作ってアルコール摂取量を減らすか、最初はノンアルコールビールにしておくか、だ。しかし僕はビールは好きではないし、激薄ハイボールもあまり美味くはない。なお、サワー系のノンアルもあるが、カロリーゼロとかの付加価値がついていて、僕はあの甘味料が好きではない。いつまでも口の中に甘さが残ってその日一日消えない。あれが嫌なのだ。

 エリーゼで一杯やって、その後麦茶にするとかいろいろやったが、酒を飲み始めて途中でノンアルに戻す、というのはちょっと味気ない。昔はこんなこと考えずに好きなだけ飲めたのに...。

 今はどうしているかと言うと、さっきも書いたが一つはまずいが我慢して激薄ハイボールにする。もう一つはエリーゼ飲みはやらず、風呂でもノンアルビールで我慢して、場合によっては食事も麦茶で済ませて、食後に満を持してリアルな酒にする、という方法のどちらかだ。後者は酒にありつけたときのよろこびはイイのだが、それまでのストイックな時間帯がやや辛い。それにしてもなぜこんなに悩まなければならないのか?

 もうひとつ、飲むペースを落とす、と言うのもあるのだが、なかなかできない。やろうとしてもいつの間にかガバガバ飲んでしまう。チェイサーとかもやったけど、チェイサーになかなか手が伸びず、いつの間にやらチェイサーはほったらかしで酒だけが進んでいる、と言う状況になる。

 昔は、酒飲みながらブログ書いたり、その程度の仕事もこなせたのだが...。いまはムリ。だからこのブログもノンアルビールを飲みながら書いてます。

 ということで、「寝る」というリミッターが搭載されてしまったことにより、キレイに2杯で強制終了してしまう僕。酒の量も減って健康的(?)だし、宅飲みにかかるカネももちろん減った。良いことなのだが...。

 毎日毎日、「そろそろ飲もうかな...。いや、今はまだ早すぎる。これじゃぁ、夜が使い物にならなくなる」とか言いながら、悩み、耐えてスタートを先延ばしにしているのは、ちょっと辛いんだよね...。仕方ないんだけど...。

 なんでもやりたいことがあるなら、できるだけ早く叶える方法を採った方が良い、僕は後進に声を大にしてそう伝えたい。時間とカネ、その二つが揃う時、もしそれが来たとして、その時ってもしかしたら「元気」や「体力」がなくなってしまっているかもしれないのだ。
冷却水ホースが破裂し、オイルのようなものが混入したトラブルで、動画にかなりのコメントを頂き、視聴者の方には大変感謝している。僕の考えと異なる意見も含めて整備士の方に伝え、様々な可能性からトラブルシュートして行きたいと考えている。

■ガスケット交換の前にやることがある

 頂いた意見の多くは「ガスケット抜けなので、交換するべき」と言うもので、破裂したホースの交換で様子を見る、と言う修理方針に疑問を投げかけるものである。



 その最大の根拠は、冷却水にオイルのようなものが混ざっていた、と言う事実である。

 冷却水とオイルが混ざるポイントは、ガスケット抜けしかない、オイルが混ざっていたならガスケット抜けは確実である、という診断だ。従って、冷却水ホースだけ交換して様子を見る必要はなくて、同時にガスケット交換も行うべきだ、と言うもの。

 整備士の方の言う「ホースを変えて様子を見る」という意味は、僕は「ホースを換えて、ガスケットが抜けているか確認し、ガスケット抜けでないならそのまま様子を見る」と解釈している。

 冷却水にオイルが混ざっていて、ガスケット抜けでないということがあり得るのか?

 クルマの構造によってはウォータポンプやそのガスケットの劣化などもあるようだが、このことの一番疑わしいのは、僕のエリーゼが過去にガスケット抜けを経験している可能性だ。その時に冷却水路にオイルが混ざったものが除去しきれないまま堆積していた、と言う仮説である。

 その可能性がある以上、別の方法でガスケット抜けを確認する必要がある。それが、冷却水内に排気ガスが混入しているかどうかの確認だ。リザーバータンク内に排ガスセンサーを入れてみればわかるはずである。これであれば、「今」ガスケット抜けしているかどうかが確実にわかる。

 水を入れてこの確認をまず、行うつもりなのだと、僕は考えている。

 この確認をするのはプロの整備士にとっては大して難しい作業ではないはずだ。エンジンを開ける前にまずここをつぶすべきだろう。


■ではなぜ、ホースは破裂したのか?

 これも頂いた仮説だが、冷却水に加圧しているキャップの劣化である。エリーゼの場合は1.03barに加圧されいる(マニュアルによる)が、他のクルマのキャップと異なり、エリーゼのキャップはその多くがプラスチック製だ。これが劣化して圧力を保持できなくなり、内圧に負けて壊れれば圧力が一気に抜けて冷却水が急激に沸騰し、ホースが破裂した、と言うものである。

 ホースとラジエーターキャップだけならそう高価ではなく、交換工賃もそう高くはない。なのでまずここを疑いのない状態にした上で、ガスケット抜けの確認をするべきだ、ということである。

 もし、この処置の後に冷却水を入れ、そこに排ガスの混入が確認されたのであれば、それはもう、ガスケット抜けがほぼ確実であり、そうと決まったならもう、「様子を見る」必要はない。ガスケット交換作業へと移行するのみである。

 視聴者の方からコメントを頂いているように、僕もガスケット抜けの可能性はかなり高いと思っている。だが、「冷却水にオイルが混ざっている」と言うだけではガスケット抜けが確実とは言えず、その前に行うべきことがある、と言うのが整備士の考えで、僕もそう思っている、ということだ。

 そしてもし、ラジエーターキャップの劣化でなかったとしても、交換して悪いことは何もないし、大した痛手でもない。逆に、ガスケットを交換したけど、また同じことが起こりました、そう言えばキャップの劣化を見るの忘れてましたね、では困る。少しでも軽い症状であって欲しいという希望で言っているのではなく、先に簡単な原因から確実に消していくと言う、作業の順序の話である。


■多分ここだろう、でどんどんパーツを交換して結局直らなかったエアコン

 トラブルシュートを確実に行いたいという理由は、僕のエリーゼでエアコンを修理した時の経験による。

 僕のエリーゼは買った時からエアコンの調子が悪く、購入時にはもし利かなくなれば修理する、という条件が付いていた。

 結局購入後2か月でエアコンは利かなくなった。エアコンガスの漏れと判断されたが、その個所は特定できないと言う。ただ、おそらく運転席側のパイプだろう、ということで交換した。しかしそれも2か月くらいしか効果は持続せず、またもエアコンは利かなくなった。

 再度入院させたが、やはりその箇所が分からないという。分からないが、今回は手あたり次第換えた、という感じでエバポレーター、コンデンサー、リザーバータンクを交換した。

 しかし、引き渡しの時点でエアコンはほんのり冷たい程度の風しか出していない状態で、帰り道の途中にはもう、熱風に変わっていた。


 この動画でも言っているが、多分ここだろう、で交換して直ればそれでいいのだが、直らなかったときにはどんどんお金がかかってしまう。この時はディーラーが無償で行ってくれたが、今後同じようなことが発生した場合に、確実にトラブルシュートしないまま次々部品を交換していくような対処の方法をする所では、カネがいくらあっても足りないと思い、決別を決意した。


■まとめ

 もちろん、ここまで記したことは、僕の考えであって、エリーゼを入院させたときに、整備士がどのような検査をしてトラブルシュートしていくかは知らない。だが、冒頭に記したように、僕の考えだけでなく、皆様から頂いた様々な意見や仮説は伝えてみるつもりだ。

 もちろん、ガスケットが抜けているかどうかの判断は、僕がするものではなく整備士にお願いするつもりだし、どのような検査を以てそう判断したかも確認するつもりである。(ないと思うが)納得の行かない方法での判断であればその時は上記のような方法を提案してみたいと思う。

 繰り返すが、ガスケット抜けでヘッドも歪んでいる、というシナリオは想定している。ていうか、そこが最も可能性は高いだろう。ただ、そうでない可能性ももちろんある中で、確実な方法で確認していきたい、そう言うことである。

今は全く動かせなくなってしまったエリーゼだが、入院は自走で行いたい。一番心配なのはエンジン始動。そこで初めてバッテリー充電器なるものを購入した。走行距離が少ないNOTEや180SXにも使えそうだ。難しそう?危なくない?なんて勝手に食わず嫌いしていたが、今はとにかくメチャ簡単そうなのである。



 このブログの内容

 ■電気は苦手?心配いらねぇ!ただつなぐだけ!

 ■カンタン!だけど充電には結構時間がかかります 

 ■青空Pの人はバッテリー外して下さい?せめて屋根が欲しくなりますね 


■電気は苦手?心配いらねぇ!ただつなぐだけ!

 クルマによっては次の日曜にはバッテリーが上がっている個体もあるというエリーゼである。その元凶は常に点きっ放しのセキュリティと言われているが、幸い僕のはそこまでではない。バッテリーを国産のものに入れ替えて、純正よりも理論上容量は66%になったが、それでも2週間間を開けても再始動してくれている。もちろん、かなり苦しそうではあったが。

 なお、バッテリーを国産のものに置き換える方法については下記の動画を参照されたい。僕の場合は180SXと共通化させたかったので、容量ダウンしたが、固定方法だけ確立させれば容量アップさせることも可能だ。国産ならホームセンターでも手に入り、緊急時、対応の幅が大きく広がる。


ロータスエリーゼのバッテリーを良くある国産品にスワップする

あれから後1か月半。更に安全な装着方法にアップグレード



 とにかく、そんなエリーゼを、もう1か月以上、バッテリー充電可能な走行をしないままにしているのだ。

 幸い、セキュリティのLEDランプは元気に赤く点滅しているが、エンジン再始動は不可能なレベルまでバッテリーは減っていることだろう。逆にこのような微弱な消費電力の機器でバッテリーを完全に消費しつくしてしまうのが一番最悪だ。

 バッテリーは元気な状態を維持するのが最も良いが、バッテリーの怖い所は引火・爆発する可能性があるという所である。僕は電気に関する知識が特に疎く、妙に食わず嫌いなところがある。正しく繋げるのか?発熱しないか?充電器なんて正しい商品、適切な商品を選べるのだろうか?

 電気モノにはそんな不安が付きまとい、何となく敬遠してしまっていた。クルマのトラブルでも、電気系となると途端に自分でやる気がなくなる。

 でも、いつも電気に詳しくなりたいという自分もいることは間違いない。ここはひとつ頑張って、バッテリー充電器について調べてみることにした。

 すると、そんな不安を一掃してくれそうな商品が簡単にヒットしたのである。やはり僕の様に電気に詳しくないユーザーはたくさんいるようで、安全回路が何重にも用意され、バッテリーのサイズや状態に応じてすべて自動で充電メニューをこなしてくれるという機器が、各社から発売されていた。低価格のものでも安全機能についてはしっかりしていて、後は充電に時間がかかるだけ、みたいな感じである。

 ある程度普通に使える自動車用のバッテリー充電器は6,000~7,000円くらいからあるようだ。あまりにも簡単すぎて、電気に詳しくなりたいという願いは残念ながら叶いそうにもないが、安心してバッテリー充電器と言う新天地に足を踏み入れることはできそうである。

 ということで、今回選んだのはメルテックと言うメーカーのもの。安心の日本メーカーということで選んだわけだが、他に国内メーカーではBAL等もほとんど同じものを出している。そうした中でメルテックを選んだのは、パルス充電と言う機能が付いていたからである。

 この機能とて、調べ始めてこの時知っただけの話であって、求め続けてきた機能ではない。ただ、メルテックの能書きに拠れば、劣化したバッテリーはセル内の端子に結晶が付着する「サルフェーション」と言う状態になっており、その状態になると充電しても元の性能にはならないとのこと。このパルス充電と言う機能は、1秒間に1000回の電気ショックで結晶を除去するというのだ。

 しかも、この機能の必要性の判断もすべて自動で行うことが可能という。

 要は、ただ繋ぐ、それだけでいい、というのだ。

 接続は、バッテリーを車にセットしたままでOK。外したりする必要はない。

 たとえ、+と-を逆につないでも保護回路が働いて何も起こらず、「逆接続」であることをインジケーターで教えてくれる。

 バッテリーターミナルにワニ口をつないだ時にバチっと出る怖い火花、これも発生しない。

 対応していないバッテリーや、壊れていたり、劣化しきってこの製品では充電できないバッテリーの場合は充電を停止。

 全自動で状態を診断して、前述のパルス充電含め、最適な充電メニューを選び、次々とこなして満充電にしてくれる。

 充電完了後は自動的に維持充電(トリクル充電と言っている)に移行。過充電などの心配も不要。

心配する材料が、何にもないのだ。

 +と-を逆に繋ごうとも、少なくとも事故にはならず、本機も壊れないようにできている。落ち着いてマニュアルを見て、いくらでもやり直せるのだ。しかも国内メーカー。こんな安心なことはない。即座にポチッた次第である。


■カンタン!だけど充電には結構時間がかかります

 と言うわけで、安心しきって適当にエリーゼのバッテリーにワニ口を挟んだ次第。100V の電源を先に入れるのか、それともバッテリーにつなぐのが先か...とか、あまり深く考えない。何しろ、保護回路が張り巡らされているのだから。

 ちなみに、本器は100Vの電源ケーブルも、バッテリーにつなぐワニ口も共に180cmの長さがある。ある程度の自由度はある、と言って良いだろう。ただ180cmと言えばほぼクルマの車幅でしかなく、駐車場所や向きによっては延長ケーブルも必要になるケースは多いと思われる。

 繋ぐと、まずは診断が始まる。3桁のデジタル表示がいかにも「考え中」的な表示になる。暫くして本体からカチンという小さな音がして、初めて充電が開始される。

 表示切替ボタンがあり、押すと、充電中の電流→電圧→バッテリーの充電レベルの%表示、と次々切り替わっていく。最初は1.0Aで充電が開始された。電圧は8V程度を表示。充電レベルは%ではなく、Loと表示された。相当消耗しているように思える。

 もしかしたら、前述のパルス充電を実施しているのかもしれない。パルス充電に関しても、必要と判断されれば自動で行うようになっている。

 1時間半ほどしてから見に行くと、冷却ファンが激しく回っていた。ただし本体が熱くなっているようなことはなかった。電流は6.0A、電圧は14.3V、充電レベルは60%と表示された。このペースで行くと3時間くらいで充電完了するのかな、そんな風にも思えた。

 どうやら本来であれば、バッテリーの容量が大きかったり、消費が多すぎて残りが少ない状態だと、大きな電流になってしまうようである。通常はそれに耐えうる充電器にする必要があるようだが、そう言うのは高価なようだ。ただ、そのように大きな電流で充電すると、バッテリーに対する負荷は大きくなってしまい、かえって劣化が早くなることもあると言う。

 この機械はそうではなく、電流を制御することで、自分自身にもバッテリーにも低負荷の状態で充電を継続できるようだ。その代わり、充電に時間がかかる、こういう事のようである。

 そうした中で少しでも早く充電を完了させるよう、バッテリーの状態に応じて劣化させない程度に電流を上げたり下げたりして、できるだけ早く充電できるように制御してくれているようだ。

 4時間くらいしたが、充電レベルは70%くらいで動かなくなった。このまま続けたかったが、大きな問題があった。雨が降りそうなのである。予報ももちろんこの後雨だと報じている。ウチは青空駐車場であるからして、雨が降ればこのバッテリー充電器も濡れてしまう。このままずっと見張っているわけにもいかず、一度充電を中断することにした。これだけの安全機能がある機器だ。またつなげばその状態を診断し、そこから再開してくれるはずだと確信し、安心して取り外した。

 外すときの電流は再び低下して4Aくらいになっていた。最後は徐々に電流を下げながら充電していくのだと思う。時間はかかるが、バッテリーを労わるための措置なのだろう。

 この機器としてはとにかく繋いでおけば、明日くらいには完ぺきになってるよ、バッテリーを劣化させてまで急速充電する気はないよ、という機械なのだ。


■青空Pの人はバッテリー外してください?せめて屋根が欲しくなりますね

 しかし、青空駐車場ではそれができぬ。いかに保護回路があろうとも、防水機能はなさそうだ。雨が降ればさすがに壊れるだろう。

 と、なると、青空駐車場の人はどうするか。今回のエリーゼの様に、40B19Rという、今となってはかなり小さいバッテリーであっても、ほぼスッカラカンの状態からの充電となると5~6時間を要する。その間、天気とニラメッコしながらやるしかない。雨が降り出したらすぐに仕舞えるように、自宅に待機するとか、屋根がない場合は結構制約が多くなる。

 今回使用した日はどうも雨がちで、結局下の写真の様に、充電器の上に簡易的な雨除けを設置して雨天でも強行した。この板はエリーゼのフロントアンダーパネルである。

today180_20200920_bat-cover.jpg 何とも情けない状況であるが、仕方ない。せめて屋根だけでもついているカーポートがあれば...。

 そんなことはありながらも、エリーゼを満充電にして、充電するのが楽しくなってしまった。すぐにNOTEの充電に取り掛かる。NOTEも近距離の運転が主で、時々エンジンのかかりが悪い時もあると言う。かなり劣化しているのではないか、と思ったが、繋いでみると60%くらいあった。

 充電完了までは2~3時間かかるかと思ったが、実際は1時間半でFULの表示になった。

 また、「バッテリーがもう終わりかけている」と酷評だった180SXのバッテリーは車体から外してバッテリーのみでの充電を試した。しかしながら、繋いでみるとのっけから80%でスタートし、すぐに90%→FULになってしまった。

 ある程度走れている車に追加で充電する、というレベルであれば、2時間くらいの時間を見れば満充電まで持って行ける、ということのようだ。この程度の時間であれば、青空Pの人も使えるレベルか。ま、充電器さえ濡れないような何かの措置だけしておけば大丈夫そうである。

 ただ、せめて屋根付きカーポートくらいは欲しくなる。


■まとめ

 色々試してみたが、これはなかなか楽しい道具だった。普段は見えないバッテリーの充電状態が見える、と言うのがまず楽しい。

 減っているかどうかは、数値でわかるし、必要であればそのまま充電すればいいだけ。減ってそうだから遠回りして充電しておいた、なんてことをやっていたが、本当に減っていたのか、走ったから十分に充電されたのか全てカン。こんなアバウトな作業は完全に不要だ。

 オイル交換やタイヤ交換なんかよりも、バッテリー充電器の方がずっと簡単で、こっちの方が愛車のメンテナンス入門には最適だと思う。

 そもそも、クルマに興味がないならオイルなんか車検の時に交換すれば大体大丈夫だし、パンクもほとんどしなくなった。バッテリーの負荷はどんどん高まる一方で、クルマに興味のないドライバーでもバッテリートラブルは遭遇率が高いものだと思う。

 そう考えると、この充電器は今となっては異常に高価になってしまったバッテリー本体よりも安い価格で購入でき、一つのバッテリーを長持ちさせてくれる投資効果の高い道具だ。2台持ち、3台持ちとなれば、更に活躍のシーンは増えるだろう。価格、面白さ、実用性、投資効果、どれをとっても超おすすめのメンテナンスアイテムなのであった。エリーゼを入院させるときのためとか、そんなレベルの道具じゃぁ、ない。


メルテック 全自動パルスバッテリー充電器 SCP-1200
エリーゼのトラブルの全貌は未だ分かっていない。工場に入庫さえしていない状態だ。しかし、この対処のために行った措置が次なるトラブルとして僕に襲い掛かることになる。僕の心もエリーゼ自体も、その傷が癒えぬうちに襲ったトラブルの連続攻撃にメンタル崩壊へと陥るのであった!


・トラブルは連鎖する?

 僕は、再度タンクに水をれ、破裂した場所を探すことにした。漏れている場所はすぐに判明。エンジンからラジエーターにつながるホース部分であるようだ。

 問題はここの交換がフロントカウルを外さずに作業できるか。フロントカウルの着脱は非常に面倒で2人がかりの作業となり、工賃はハネ上がる。

 僕は隣の家側に寄せていたエリーゼを、一時的にエンジンをかけて移動し、作業スペースを確保して右タイヤのインナーフェンダーを外すという作業を行う決意をした。

 トラブルから2週間ぶりのエンジン始動。エンジン音の不調など、もしかしたら、トラブル当時は冷静さを欠いて気づかなかった何かが、分かるかも知れぬ。だがそこには、「エンジンフィーリングはやはり異常なし」であったことを確認したい、という欲求もまた、あったのだ。一体どっちなのか?

 あのトラブル以来外していなかった、カバーを外す。若干のホコリが侵入しているので、それを取り除く。すると...あ?

ウォータースポットがそこかしこにできているではないか!

 最初に見つけたのは左リアフェンダー部分。僕がエリーゼで最もカッコいいと思っている造形の一か所だ。

 良く見ればそこだけではない。フロントフェンダー部分、フロントパネル部分、日陰になっていたであろう車体右半分もウォータースポットだらけである。

やっちまった...!

 でもなぜ?

 今までも突然の大雨の後、直射日光にさらされ、自然乾燥してしまったこともある。180SXやNOTEは水道水で洗った後はいつも自然乾燥。水を拭き取ったなんてことはない。

 NOTEに関しては、確かに水滴の跡が付いていたこともあったように思うが、少なくとも今は消えている。180SXは豪快に残ってしまっているが、アレはもう、汚れと雨と水道水と直射日光と...を20年以上繰り返して付いたものだ。まさかこんな一度のことではっきりと付いてしまうとは...。

 エリーゼだって、例えば洗車の後、テールランプの隙間などに入り込んだ水道水が後から出てきて跡になっていることは毎度必ず発生する。しかし、フクピカで拭き取れば落ちていた。

 なのに、今回はなぜ?

 心の中でそう叫びながら、拭き取ろうとしても今回は一切、落ちてくれない。

 車体の温度がそれほど上がっていたのか?今までと何が違ったんだ?


 上記の動画を公開したところ、水道水を自然乾燥させることがいかに最悪な事か、良く分かるコメントを頂いた。身に染みて良く分かった。とにかく今までは運が良かっただけなのか、NOTEや180SXは車体の色が気づきにくいだけだったのか。

 とにかく、水道水をかけた後、自然乾燥は絶対にしてはならない、それは紛れもない事実なのである。


・エリーゼとの刹那の再会

 ほぼメンタル崩壊状態になっていたが、エリーゼの位置を変え、フロントのインナーフェンダーを外す作業をできるのは今日しかない。動画も撮影しなければ、次の回に穴が開いてしまう。(毎週公開と公言はしていないが、結果的にそうしているのでできれば穴は開けたくない)

 結局またメンタル崩壊状態でこのクルマのエンジンをかける羽目になってしまった。

 できるだけ正気を維持しようと試みながら、撮影準備を進める。カメラは2台体制で、車体左前に三脚でデジカメを設置。もう一台はエンジンフードを開けた状態で車体にGoProを装着、エンジンそのものを写すアングルだ。

 短時間なので大丈夫だとは思うが、一応リザーバータンクに水道水を入れる。すぐさま右前輪付近から水漏れが発生する。やはり、破裂したのはここの近辺だ。

 キャップを締め、エンジン始動。

 2週間ぶりとあって、バッテリーが弱まっているせいか、始動はモタついたが、一発でかかった。クラッチをつなぎ、エリーゼを前進させる。

 低速ではあっても、クラッチミートの瞬間、確実にエリーゼの軽量な感覚、このわずかな前進であってもドライバーの意のままであると主張してくる。

 深手を負いながらも、このクルマは気丈に自分が「エリーゼ」であることを、ドライバーに懸命に伝えようとしていた。

 バックにギアを入れ、ハンドルを操作し、右前輪を外すための作業スペースを確保する位置に後退させた。車を降り、エンジンを覗き込む。やはり、明らかなる異常はない。どこかおかしい所はないか?何とか探そうとして、ちょっとプスプスと言うような音が混ざっているかな?それももしかしたら先入観があるからかも?くらいのものだった。

 しかし、内部で何が起きているかは分からない。僕はここでエンジンを停止した。

 次にエンジンをかけるのは、工場まで自走する時になるだろう。工場までは100mくらいだ。


・破裂したホースの交換作業はカウル着脱必須か

 破裂したホースを交換するのに、カウル着脱が必要か、不要か。これは大きな問題である。カウル着脱の工賃が非常に高価だからだ。

 さらに僕の場合、カウルが割れているということもあり、どうせ外すならカウル補修もしたいし、エアコンにどこか別の空気が入ってきていることは間違いないから、そう言うのも直してしまいたい。そうともなれば、色々な費用が一極集中してくる。カウルを外さずにホース交換できるかどうかは、エリーゼを維持できるかどうかにかかわってくる大きな問題なのだ。

 ということで、クルマを移動して右インナーフェンダーを外そうとしているわけだが...。

 まずは、ジャッキアップしてクスコ「スマートクロスレンチ」を使って右前輪を外す。ジャッキアップポイントは、右前輪のすぐ内側の部分だ。

 インナーフェンダーを外す作業はそれほど難しいものではなかった。タイヤを外して目に見えるネジ類を外せば、後は手で外れる。

 驚いたのは、インナーフェンダーにリベットでステーが留められ、そこに何やらコネクタのハマったボックス状のものが取り付けられていたことだ。付け方的にメーカーの装着方法ではなさそうだ。

 後でコメントを頂いたのだが、ファンの回転数を制御している回路もこのボックスにあるようだ。

 それはイイとして、インナーフェンダーを外すと、やはりホースが現れた。ホースとラジエーターのつなぎ目部分は、フロントトップパネルを外せば作業できるが、外したホースを抜きとれそうにない。それはここだ、そう踏んだのだが...。まだ先はあった。

 ホースの下側はここからは見えず、クラッシュストラクチャーの奥へと向かって行っていた。

 なんと...!

 これはやはり、カウルを外して前からアクセスしないと行けないのか?それとも、フロントアンダーパネルを外せば下から行けるか?

 作業はまだ続くのであった。



パン!プシュー...。左後方から突然聞こえた音に、僕はとっさにパンクした、そう思った。修理キットしかないから、メンドウだな、そう思っていたが、現実はそうではなかった。それよりももっと面倒な状態だったのだ!


■トラブルは突然に...

 夏休み。少年サッカーの朝練を終え、僕は、エリーゼに乗った。

 今年の夏季休業は8月11日の出社を挟んで、前半が3日間、後半が5日間。コロナウィルスの影響もあり、どこに行く予定もない僕にはだいぶ余裕のある期間が手に入ったと思う。その余裕からか前半の3日間は一切エリーゼに乗ることはないままだった。後半に乗ればいいや、と思っていた。

 後半の初日、ようやくエリーゼを引っ張り出して午後少し乗った。そして翌日、である。

 通常、時間的余裕があると、特に僕のような弱い人間は、突然いろんなことが進まなくなる傾向にある。時間に追われているくらいでないと、色んなことを本気で始めようとしなくなる。

 話が脱線するのをが恐れずに敢えて言うと、もう僕の年齢になったら時間があると思っていたら大間違いだ。それを強く認識するべきだ。体力はどんどん衰える。明日病気になるかも知れない。クルマだけじゃない。体のトラブルも突然に、だ。急な出費にも見舞われる。落とし穴はそこかしこに口を開けている。時間がある、と言う意識は捨てるべきで、時間があるならそうならないようにどんどん予定をブチ込むべきである。

 そう言う視点からも、YouTubeは非常に良い外的圧力である。クリエイトしなければならないという適度なプレッシャーがある。しかし、好きなことなのでこのプレッシャーがそれほど苦ではない。良い感じで心地よい戦闘モードに入れるというか、そんな感じである。

 この時も、少年サッカーが終わってから、撮影のためのリハーサルを行うつもりでいた。

 エリーゼを運転しながら、しゃべろうと思っていたのは前回のブログに書いた、「クルマが夢で生きてきたなら...。迷わずローンでクルマ買えよ!」このテーマであった。ブログにも書いて、動画にもアップする、そういう予定でいた。

 エリーゼを始動して、自宅とは逆の方向へ。信号が多いと撮影にならない。なるべく信号のない田園地帯へと向かう。

 同テーマの内容を2回ほど話した時であった。走っていたのは県道で中央線が黄色の片側1車線ずつの道路。運転席左後方からいきなり、パン!という破裂音。

 それに続いて、プシュ―...という激しく空気の抜ける音。とっさに僕は、パンクと判断した。

 過去に僕は、磐梯吾妻ゴールドラインを180SXで走行中に左後輪のバーストを経験している。その時と同じ音だったからだ。その時の180SXは純正サイズでハイトが高かったので、空気が抜けた後はすぐにタイヤがボコボコとなり、走行にはかなりの抵抗感が出る状況になった。

 今の180SXは扁平率も45で、これでもパンクしたが、このタイヤの場合はパンクに気づかないくらいあっさりした変化しかなかった。エリーゼも同じ45ということもあり、僕はパンクを疑わなかった。

 その時僕が思ったのは、走行感が買わないからと言って長く走ればホイールが傷だらけになる、ということ。あとは、エリーゼにはスペアタイヤがなく、修理キットだけである。しかしあの音と抜け方だと相当大きな穴である。修理キットでは直らないだろうな、ということ。

 そう思いながらも、路肩もないし、後続車も来ている。どこか路地のようなところを探して、まずは車を停めて状況を確認したい、これであった。


■パンクよりも面倒な、初体験のトラブルであることが判明

 200mほど走っただろうか、おあつらえ向きの路地を見つけ、即座に左折で入った。即座に車を左に寄せる。あわてて車から出るとここで事故る可能性があるので、落ち着いてバックミラーを確認...と?

エンジンルームから白煙が出ているではないか。

 これは、パンクではない。オーバーヒートか?とにかく体験したことのない現象。冷却水の量はMINを割っている。さっきの破裂音でどこからか漏れたか...?

 過去に、僕がオーバーヒートと思われる現象に遭遇したのはかなり前だ。しかし、その時はこう言う類の物ではなかった。クルマは買ったばかりのカローラIIで、時期はやはり夏。僕が大学に合格し、免許を取って初めての夏の家族旅行だった。僕が大学に通うのに使うこのカローラIIで2泊3日の家族旅行、それがすなわち、親の卒検、と言う位置づけだった。

 1300ccのカローラIIで家族4人と全員分の2泊3日の宿泊の荷物満載で、どこだか忘れたが、峠道を登って行ったら、突然パワーがなくなった。アクセルを踏んでも全く坂を登らず、速度はどんどん落ちていったのだ。水温計はHの赤い部分を指している。丁度次のコーナーで路肩が広くて木陰になっているポイントがあった。ここしかない。そもそもこれ以上は登り坂を走れない。

 ここで、教習所でも習った通りにボンネットを開けてエアコンを熱風最強にしてボンネットを開け、アイドリングを継続。10分くらいで水温計はHから真ん中くらいに戻った。走り出してみると、先ほどまでのパワーゼロ感は失くなっており、元に戻っていた。もう20年前の話だが、同乗していた父は「今でもオーバーヒートなんてあるんだ」と言っていた。

 僕は、この時と同じ行動をとった。エンジンフードを開け、エアコンを熱風最強に。

 しかし。

 水温計は99,100,101...とさらに上昇を続けたのだ。これまでもスポーツ走行をしていたわけではない。このペースで上がれば、2~3数分後には120度くらいまで行ってしまう。冷却水もほとんどない状況なので、これは逆に走って走行風を当てた方が良いと決断した。どうせ走るなら自宅へ。ただ気になったのは、荒川を渡る約1kmの橋があること。この途中でエンジンブロー→停止はキツイ...。

 しかし、行くなら今しかない。温度計は上がり続けている。時間はない。否、もう既に遅いかもしれないのだ。

 現場から数百メートル。荒川を渡る橋に差し掛かる。ここで僕はスマホのビデオに状況を記録した。どうなるかは分からないが、たとえここでエリーゼが死んでも、この記録が誰かの役に立つかも知れぬ。そう思った。そのシーンは上に挙げた動画に収録されているので併せてご覧頂きたい。

 エンジン自体のフィーリングに変化はない。思った以上に普通だ。

 何か異常を感じ取ろうとして五感を研ぎ澄ますと、峠を攻めた後に路肩に停めるとエンジンからキンキンという音が聞こえてくるが、時折あんな感じの音がしていた。できるだけエンジン回転数を低く抑えつつ、多くの走行風を当てたいため、高めのギアを選択していたせいも手伝っていると思うが、アクセルを踏み込んだ時に若干のノッキング現象も見られた。

 しかし、その程度である。パワー感がない、回転がおかしいと言ったような明らかなる異常はない。

 そしてそのまま自宅に到着。

 復活に時間を要し、エリーゼの車内で撮影することも増えるだろうと思い、隣の家の陰に少しでも多く入るような位置に停め、すぐさまエンジンも停止。

 冷却水がなく、エンジンも止めたとあればオイルも回らない。エンジンを冷やす手立てはもはやない。従って、車体に水をかけて冷やすことにした。これはもう、帰る時からそうしようと思っていた。エンジンに直接かけるのではなく、エンジンフードの上から放水する。エリーゼの場合これで十分エンジンに水がかかるし、エンジンフードをした状態でなら、雨天などで想定された経路にしか水は行かないはずだ。この水で濡れて壊れるということはないだろう。

 タイヤの辺りから、アンダーパネル内にあるエンジンに向けても放水した。これも、タイヤが跳ね上げた水がかかる可能性があるから想定の範囲内のはず。

 熱せられたエンジンが水を瞬時に蒸発させ、水蒸気がもうもうと上がり、熱気が顔を覆う。プラスチックの焦げたようなにおいもする。エンジンを停止しているにもかかわらず、冷却ファンは回転を続けている。エンジンの温度が上がりすぎている証左である。

 僕は30分以上、水をかけ続けた。


・リザーバータンクのキャップにはオイル状のものが付着、ラジエーターホースから水漏れ

 エンジンが冷えたことを確認すると、僕は一気に力が抜けたような状態になってしまった。いったいどこまで壊れてしまったのか。エンジンにまでダメージが行っているのか。

 ネットの情報を見たりしたが、オーバーヒートした場合、ガスケット交換、ひどい場合はエンジンブロックがゆがんでいるので、エンジンを下ろして面研、などの情報が画面に表示されていたが、正直あまり頭には入って来なかった。

 オイルのようなものが混ざっていたことはキャップを外して確認している。あれがエンジンオイルなら、どう考えてもガスケットが抜けていると考えるしかないらしい。

 レベルゲージではオイルの状態は確認したが、量、色、状態とも問題はない。水が混ざっている様子もない。水は重いのでオイルパンの下に溜まっているかもしれない。ドレンからオイルを抜いて見ても良いが、主治医に見せる前に状況を判断する材料がなくなってしまうのでそれは止めておく。

 主治医に状況を伝えると、ガスケットが抜けているなら、確実にエンジン不調があるはずだとのこと。それがないならそこまでは行っていない、とりあえず冷却水がないならその場所を特定、破裂した個所を交換し、水を入れて様子を見る、という修理方針を示された。

 その頃、圧をかけているリザーバータンクのキャップが劣化して、圧力が低下し、冷却水が一気に沸騰してホースが破裂したのでは?という仮説がもたらされた。キャップに付着したオイル状のものはパイピング内に堆積していた長年の汚れが、沸騰&破裂した勢いで剥がれて遊離した物、と言う仮説である。

 少量のオイルが冷却水に混ざることはあり得ることで、オイルはそれでは?とは主治医にも言われており、一致している。

 それなら、破裂したホース、タンクのキャップ、ついでにサーモスタットの交換だけで済むかもしれない。

 そうであればいいのだが...。



ローンでクルマを買う。このことが、悪であるかのように言われることをよく目にする。誤解の無いように冒頭に言うが、カネを貯める、それが目的ならばこれは正しい。ただ-あなたの夢がクルマならば-答えは180度変わり、ローンは夢を叶える究極の道具。堂々とローンで買え!




 このブログの内容

 ■効率的って何に対して?そこを明確にせよ!

 ■ローンはタイムマシン。カネがかかるのは当たり前! 

 ■自分を持てば、何が正しいのか判断できる。ブレずに堂々とその道を往け! 


【関連動画】
中古ロータスエリーゼ購入費用と返済計画のリアル。
頭金は?月々の返済はいくら?
  
ロータスエリーゼの維持費ってどうなの?
サラリーマンでも大丈夫?


■効率的って何に対して?そこを明確にせよ!

 実は、この話って少し前のブログにもちょっと書いてるんだが...。

 僕は、節約生活や投資もしているので、ソレ系の情報にも触れるようにしているんだが、そう言うのを見ると、そもそもクルマがカネ食い虫なので、持つこと自体ダメ、それをローンで買うなんて、バカの上塗り、一生金持ちになれない、単なる情報弱者、騙されているだけ...。

 とまぁ、ひどい言われ様だ。

 繰り返すが、カネを貯めることが目的だ、と言うならば、これは正しい。それは認める。

 そこで問いたい。その貯めたカネの行く先はどこなのか?カネと一緒に棺桶に入るためではあるまい。何かに使いたいからだろう?オレはそれがクルマなんだよ。とにかくまずここが大事。

 カネ貯める目的って色々あると思うし、あって良いと思う。そこに異論があろうか?あるはずもない。

 その目的って人それぞれで、百名山を制覇したい人もいるし、自分の子供にカネをかけたい人もいるし、世のために寄付したい人もいるだろうし、アイドルグッズで固めるために使いたい人だっている。それがオレたちはクルマってだけ。

 フェラーリやポルシェに乗りたいとか、旧車をレストアしたいとかいろいろあると思うけど、それがオレたちの夢なんだよ。その夢さえもムダって言うのか?

 この趣味が理解できない、というのは分かる。僕たちにだって、理解できない趣味はたくさんあるし、そんなものにカネを使っちゃうのか...。と思う事も有るけど、家族を不幸にしない程度にやってるんだったら、別にいいんじゃない?ってなるよな。「自分が理解出来ない生きがい=ムダ」って言いたいのか?そうじゃあるまい。もしそうだと言うならそれは自分目線であって、その人目線じゃない。アドバイスになってない。

 それもダメって言うなら、だったら何がムダじゃないんだ、とオレは問いたい。ムダじゃないものを出してみろ、と。

 そうすると、老後の豊かな生活、とか言ってきたりする。ガンになったら高度医療がどうのこうのとか、もっともらしいことを言う。子供の教育とか、否定しにくい武器を並べてくる。

 まぁ、いいよ。じゃ、豊かな生活って何なんだよ。カネそのものが豊かなんじゃないよな。カネがあれば欲しいと思ったものを躊躇なく買える、その心の余裕、それが豊かなんじゃないのか?それで躊躇なく買いたいものが、オレたちにとってはクルマなんだよ。クルマに乗って、いじって、眺めて、見せびらかして、クルマ仲間と濃い時間を過ごす。カラオケやゲートボールやりたい老人もいるだろうけど、オレたちの豊かな生活はそうじゃなくて、クルマなんだよ。

 子供の教育?良いだろう、良い高校、いい大学、良い会社...。なぜ?子供には豊かな生活を手に入れて欲しいからじゃないのか?じゃぁ、子供にとっての豊かな生活は?クルマじゃないかもしれないけど、別な何かあるはず。

 それ以上突き詰めるって言うのなら、究極の領域まで突入するしかない。人間が生命体である以上、究極の目的は種の保存でしかない。種の保存以外はすべてムダ?そうではないだろう。

 しかし、人間には他の生命体にはない大きな脳を与えられ、子孫を残した後にもまだ生きることを許された。そこではもっと別な喜びを求めることを許されたのだ。

 何度でも言う。それがオレたちにとってはクルマなんだ、と。幸せや喜びを求める権利は誰にでもあって、その種類がクルマっていうだけのこと。

 それでもその趣味自体がムダって言うのなら、ムダじゃないのは何?

 例えばマイナー競技のオリンピック選手とか、彼らはどう見るのかな。メジャー競技なら、成果を残せば引退後に生活の支えになるだろうけど、マイナー競技はそれも望み薄。スポンサーもない、環境もない、それでもその競技人口を増やそうと、私財をなげうって続けている人っていっぱいいる。その浪費たるや、クルマの比ではない。でも、最初は趣味から始めてそこまで行きついた結果だよね。これは?ムダ?

 そう言えば、僕は少年サッカーの指導者やってて、たくさんの子供たちを輩出して、地域貢献していると思っている。プロサッカー選手も育てた。莫大な時間を浪費して、リアルに1円ももらってない。実費さえもらってない。これもムダ?情報弱者?サッカーもオレの趣味であって、クルマと同じなんだけど。


■ローンはタイムマシン。カネがかかるのは当たり前

 で、だ。

 自分の夢がクルマ、もしくは別に夢があってその実現のためにまずクルマが必要、とか、そうだとする。

 そして、そのチャンスが「今」だけど、手持ちの現金がないのなら、そこで夢を諦めますか?

 ハッキリ前置きしておくけど、返せる計画が立っていることが前提。それがあるのなら、オレはローンを使ってでも、夢を叶えるべきだと思う。

 例えば、「フェラーリなどの趣味性の高いクルマは家庭を持ったらムリ、ならば今しかない!」そう思っても1,000万、2,000万ためるまで待てって、それじゃぁ絶対に機を逃す。次のチャンスは来ないかもしれない。

 子供の教育でもいいですよ。例えば、ピアノでもサッカーでも塾でもいいけど、それなりの教育を受ければ可能性あるよ、と言うチャンスが目の前にあって、その為には送り迎えが必要、だからクルマがないといけない。それはローンで買うしかないじゃないですか。ま、送り迎えだけなら、5万円の軽自動車でも良いですけどね。

 それは、現金で買えるなら、それに越したことはない。しかし、それまで待てない、待っていたらチャンスを逃す。

 -で、あるならば-

 本来数年後になってしまう買えるタイミングを、今にできるタイムマシン、それがローンなのだ。もちろん、利息は払わなければならない。夢を実現するためにそうした便利な道具を使う。そこに、カネが要るのは当然じゃないか?

 人気のYouTuberだって、カメラに投資し、時にはYouTubeに広告を出したりして、カネを使って今の地位を手に入れている人はたくさんいる。それだって、YouTuberとして稼げるようになるか分からないけど、そう信じて私財を投じたわけじゃないか。自らの目的達成のためにカネを投じる、ローンだって同じことだ。

 要は理解してローンを使っているか、何も考えずにローンを使っているか、そこが大事なのであって、クルマは全てダメ、ローンはもっと全面的にダメ、であるはずがない。

 僕はエリーゼを5年ローンで買って、2年で繰り上げ返済した。少々妻には文句を言われたが、子供の教育にも一切妥協はしていない。自分のサッカーも少年サッカーの指導者も何も犠牲にしていない。そして、エリーゼと言う一つの夢もまた、手にしたのだ。


■自分を持てば、何が正しいか判断できる。ブレずに堂々とその道を往け!

 ブログでもYouTubeでも、少々炎上気味の方が読者も集まるから、敢えてその様な書き方をしている部分もあろう。

 また、クルマは環境負荷も高いし、一昔前は暴走族みたいなのもいたし、今でもとんでもないスピードを出して他人を事故に巻き込んだり、ブレーキとアクセルの踏み間違いなどの痛ましい事故も報じられていて、実に悪者に仕立てやすい。もちろん、事実としてカネは浪費する。

 仮想敵がいた方が、理論としては納得させやすい。人を納得させるのに、そういう安易な材料を使いたくなることもあろう。

 繰り返すが、確かにクルマはカネのかかる趣味だ。ローンも決して安くはない利息を支払うことになる。彼らの言うことは事実としては絶対に正しい。

 だが、僕たちはそこに生きる楽しみを見出した。そして、僕たちがそれを追い求めることに、何ら問題はないはずだ。夢のためにその難関に挑む、ただそれだけじゃないか。夢に難関はつきものだ。何か問題が?

 クルマはムダ、ローンはもっとムダ、そうだと言うならそれでも良いが、その事実を理解した上で、ローンを使う場合はその仕組みと返済計画を立て、同時に投資をしたり、家庭も運営できる状態を維持しつつ、自身の幸せのためにそのムダに挑む分にはそれはバカであるはずがない。彼らは我々の趣味が理解できないだけなのだ。聞くべきところは聞き、そこに自らの考えを加味して、自分自身の自信の持てる計画を立てて邁進すればよい。

 もし、僕たちと同じ世界に棲み、僕たちクルマ好きが羨む様なゴールを手にした人が、「ローンでクルマ買うなんてバカだよ」と言うのであれば、その話を聞く価値は非常に高いだろう。

 いずれにしても、どうせ目指すなら、そのクルマはとんでもないヤツが良いと思う。手に入れたときのインパクトが強く投資価値が高い。クルマと同時にその後得られる人脈やエピソードが次のカネを生むかもしれない。

 そして逆にもし、その夢に敗れたとしても、そこまで計画しての失敗であれば、必ず次につながる。

チャレンジとは、実にお得な行為なのだ。
成功すればその夢を手にし、失敗しても成長を手にする。



■まとめ

 僕たちの夢を理解しない人のアドバイスを鵜呑みにして、胸にしたチャレンジを投げ出さないで欲しいと僕は思う。情報を集め、きちんと計画を立てて戦えば、クルマをローンで買ったって、一生貧乏、なんてことはない。

 
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「あ、警告灯ついた」

 花園ICを下り、目的地まであと10kmを切ったという所で、燃料不足を表すオレンジ色の警告灯が、ぼんやりとついた。

「ついちゃったかぁ~」
かなり残念なのだが、言葉は気持ちがこめられていないかのような棒読み状態である。それほどまでにドクターうるふの体を疲れが蝕んでいるのだ。時刻は21時。走行開始から15時間。ゴールは目の前である。

 走っているうちに、警告灯の光はゆっくりと、消えた。

 「47、8(リットル)は入っちゃうかな」

 そういいつつも、的確に信号のない道を選択し、巡航速度を維持している。走り慣れた道。効率的なラインは全てインプットされている。

 目的のガソリンスタンドまでは踏み切りを越えなければならない。かかるとちょっと厄介な踏み切りだ。
曲がり角。左折するとその踏み切りが見える。まだ遠くにあるが、闇に浮かぶ赤い光でその存在を確認できる。ちょうど踏み切りが上がった瞬間だった。

 「ラッキー。」

 今踏み切りが上がれば、まずそのまま通過できるだろう。
 そして。無事通過。

 「さっきから、信号にもかからないし、この踏切にもかからなかった。運が良いかも。埼玉入ってから。」

 淡々と語るドクターうるふの目に、ガソリンスタンドの明かりが飛び込んでくる。
 スタンドに静かに入る。窓は全て閉めているが、それを通して店員の元気な誘導の声が聞こえてくる。

 エンジン停止。走行距離は598.1kmだった。

 「ハイオク......満タンだ」

 どこぞのマンガで見たセリフをそのまま言っている。この極限状態において、これはギャグなのだろうか、それとも素なのだろうか。皆目見当もつかぬが、とりあえずそれは置いておくことにしよう。

 「ゴミ、吸殻などありますか」
 「こちら中ぶきになりまーす」
 「窓、お拭きしてよろしいですか」

 と、手厚いサービスを受けるが、全くの生返事である。鋭い眼光は物凄い勢いで増加する給油量に向けられていた。

 「45ぐらいで止まってくんねぇかな......。45なら......13行くんかな?......行くんだな......」

 と、つぶやきつつ、祈りつつ。しかし、給油の勢いは衰える様子もなく、45リットルを過ぎた。そのまま、46、47、48......。

 がちゃん。

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48.95リットルで止まった。

 「48.9。48.9だとどうなる......?」

 慌てて計算するドクターうるふ。しかし、焦りと疲れで計算できない。

 「ちょっと待てよ。49だとして......?」

 と、その時であった。

 なんと窓を拭き終えた店員が、

ノズルを手で少し持ち上げて、
更に給油しておるではないかッ!

 「もう、いいんだよ!」

 心の中では言っているのだが、声にならない。

 49.7で再び停止。しかし、がちゃ、がちゃ、と、更に断続的に操作して微量づつ給油を続行している。どうやらこの店員、キリの良い所で止めたいらしい。

 給油量は、ちょうど50リットルで停止した。0.01リットルの狂いも無く、だ。
 キリの良い所で停止させる職人技を披露でき、店員は大変ご満悦の様子である。

 50リットル消費で600km走行すればリッター12km。今回は600kmをわずかに割っているので、11.9km/lくらいだと、すぐに分かってしまった。キリの良い所で止めてくれた彼のお陰で計算しやすくなったというわけだ。

 闘いは終了した。出発した時は、給油後、全てを忘れて全開くれてやるなどと思っていたのだが、そのような体力はもはや残ってはいなかった。15時間通しつづけた燃費走行は既に体の隅々まで浸透しており、ドクターうるふはゲリラボ本部まで、燃費走行で帰還したのである。

 翌日。ゲリラボ本部で結果報告が行われた。ドクターうるふも体力を回復したようである。

 「やっぱ、いろは坂の渋滞が一番きつかったと思うよ」
 と言うのはゆみごん社長である。
 約20分の待ち時間中、アイドリングストップできたのは2回。停止時間は合計しても5分に満たなかった。それが最大の原因だと彼女は推察する。

 「あとはやっぱ、山道が多すぎたんじゃない?ロマンチック街道って言うコース設定にも問題があったんじゃないかな」

 「ああ。確かに上り坂では燃料の消費が多かった。でも、渋滞よりは実験的に面白いんじゃないかと思ってね。」

結局、報告会での結論は、180SXで燃費11.962km/lはかなり頑張った方、と言うことに落ち着いた。しかし、ドクターうるふはこう言う。

 「みんなはああ言ってるけど、これだけの軽量化をして臨んだわけだから、99年7月19日に出した12.021km/lは絶対に超えたかった。少なくともオレは、超えるつもりでいたね。13km/lは出ると思ってたよ。その点ではプリウスには負けたのはもちろん、自分の目標にも届かなかったってこと。完敗だな。

 でもまあ、過去の燃費を見ていても10km/lが一つの壁だったからね。それを超えられたって言うのは一つの成果かな。

 結局さ、今なんかエコがどうのこうのとか言ってるけど、そういう車ってラインナップのうちのごく一部なんだよね。環境面にも取り組んでますって言ってプリウス出してんじゃダメなんだよ。プリウスってのはそれがウリの車なんだからさ。その裏では余裕の走りが何たらとか言って、ちっとも環境に優しくない車バンバン作ってんじゃん。

 グランビアからスープラまで、全車エコロジーにしたんなら良いけどさ。

 ま、あれだけ過酷な思いしてもやっと普段より1~2km/l伸びただけだから。プリウス買ったらそれでいきなり25km/lでしょ。すごいよね。それはやっぱり認めるよ。

 でもさ、プリウス買った人=地球環境のこと考えてる人みたいなのはどうかな。燃費なんてさ、その人の走り方でずいぶん変わるもんだって言うことが分かってもらえたと思う。どんな車でも、燃費走行を心掛けている人はたくさんいると思うよ。逆にプリウスでひでェ走りしてるヤツもたくさん見たしね。」

 姿を消す直前、ドクターうるふはこう付け加えた。

 「もう少し涼しい時期にまたやりたいな。今回できなかったことがたくさんあるんだ。って言っても、パンツははくけどな!」

 

実験は無事終了し、その結果だけを残して、研究員たちはいずこかへ去って行った。
新たな検証が、彼らを待っている。

リッター11.962km。
底まで踏めば他を圧倒する加速、優しく踏めばエコロジー。
180SXなら、それができる。



2020年6月、さらに軽量のロータスエリーゼで再実験した様子を動画で公開!
ゲリラ実験室MISSION11


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 上田市内に入ってわずか数分。目的地の上田城まであと8kmと迫ったところでドクターうるふの目前に現れたのは......

「渋滞だよ~」

 これである。宇都宮と上田では街乗り走行となるため、ある程度の渋滞は予想していたが、ここのはちょっとばかり程度が重そうである。渋滞の長さは相当のもので原因がなんだかは不明。肉眼で確認することはできない。

 しかも最悪なことにここでもノロノロ運転が続き、アイドリングストップができなかったのである。

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「頼むよ~、何やってんだよ~」

 と、苛立ちを隠さない。それはそうだろう。あと一目盛り残ってはいるものの、437kmを走行しているのだ。普段の生活なら、とっくに給油している距離である。そして残された燃料で埼玉まで、150km以上の距離を高速道路を利用して帰還しなければならないのだ。上信越道は起伏が激しいので、東北道よりも激しい燃料消費が予想された。

 しばらくして、対向車が次々とやってきた。どうやら交互通行らしい。
 「工事か......?」

 ノロノロ走行も一時止まっているので、ここでアイドリングストップを敢行する。20秒以上の停止では、アイドリングをストップさせた方が効果が高く、これまでも忠実に実施してきた。

 停止すると全くと言って良いほど車内に風が入らず、室温も急激に上昇する。もう6時をまわったとは言え、西日が車内に照りつける。

 「あちぃ~、やってらんね~。何分停まってんだよォ~」

 何度、エアコンをつけたいという欲望 -否、生命維持のための「本能」と言っても良い- と闘ったことだろう。そしてその欲求は、今までの中で最高に強くドクターうるふを誘惑している。

 「少しくらい、良いんじゃないか?」

 と、思ったその時である。

「おっ、動いた!」

 エンジン始動。ほとんど同時に走り出す180SX。車内に風が吹き込んでくる。決して涼風とは言いがたいが、このときのドクターうるふを感動させるには十分であった。

「おおー、いいねぇー」

 通り過ぎてみると、やはり工事だった。交差点のど真ん中を掘り返しており、三方向からの車を交互通行させていたのだ。

 このあともそれなりに渋滞したが、ここほどひどいものはなかった。時刻は18:20。上田城の駐車場に入れるか不安だったが、ちゃんと開いていた。

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 駐車場に停まって感動の撮影をし、一杯になったザウルスのデータをC1に転送する。時刻は18:35、現在の走行距離は443.5km。燃料計はちょうど最後の1目盛りだった。

 「あと150kmくらいか......。多分走れると思うけどね。でもリッター13km目指すならギリギリじゃあダメ。少し(ガソリンが)残ってなくちゃぁ。600km走って、50リットル給油でリッター12kmだからね。家まではちょうど600kmくらいだろうけど、50以上入っちゃったらリッター11kmになっちゃう。」

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 上田城から上田菅平ICまでは約15分を要した。ちょうど19:00に上田菅平ICに入った。

 予想通り、高速道路は上り下りが激しかった。て言うか、登りばっかりだった気がする。更に良くなかったのは対面通行で車線が1つしかないことだ。僕は80kmを維持して走行したいのだが、後続車がそれを許してくれない。
 僕の勝手な理由で後続車に迷惑をかけるわけには行かないので、4速4,000回転で常識的と思われる時速100km程度に速度を上げる。

 しかし、後続のトラックはそれでも許してくれない。ピッタリ後ろをつけて蛇行運転を始めた。電光掲示式の制限速度は70kmの表示。

「おいおい、制限速度は70km/hだっつってるよ~」

 などと言ってみるのだが、当然聞こえるはずもない。ノロノロ走ってるのなら分かるが、制限速度を30km/hも超えて走っているのである。何をあおられる理由があるのだろうか。

 "追い越し車線あと2km"の標識が出ると、道幅が広くなってきた。すると。

 まだ2車線になりきらぬ走行禁止の白い斜線部分に侵入して、そこから僕の180SXを抜かしてゆくではないか。しかも追い越し開始から終了までの間、ご丁寧にもクラクションを鳴らしつづけ、幅寄せまでされた。

 "テメェのせいで遅くなったんだよ"と言うのを最大限に伝えようというのであろう。繰り替えすが、制限速度30km/hオーバーでの走行なのに、である。

「あああああああ!もう、全開くれてェ~、
あんなバカ、一瞬で追い越してやりてェ!!」

 絶叫......である。ムリもない。既に14時間、ほとんどぶっ通しで車を運転しているのだから。しかも、足の裏のわずか数mmの力の入れ加減で効率的に、前後の状況を加味しつつ、最高の状態を選びながらここまで来たのである。人間の限界を超えた挑戦になっているのだ。

 この車が遅いのならいい。本来の性能を行使せずにここまで来た、その気になればこんなカス野郎は一瞬でミラーの奥に消し去れるはず。しかし、ここまでの積み重ねが無駄になるからそれはできぬ。

 持てる力を解き放てず、ドンガメ車扱いをされたことが、苛立ちを更に助長させる。

「まだ軽井沢かよ~、速く走りてぇ......。全開くれてェ......」

 こうなるとまるで亡者である。そういいつつも登坂車線があるとすかさず入って80km/hに落とす。信越道をこれほど長く感じたことがあろうか。速度が遅いこともあるが、上田で気分的にゴールのような気になってしまったのが、長さを一層強く感じさせている。

「疲れたァ......、足痛ェ......、腰痛ェ......、」

 と、内装のない180SXの車内ではロードノイズのかき消され、ほとんど聞き取れないほどの消え入るような声で言ったかと思うと、

「全開で走りたーい!!」

 と、絶叫する。完全に極限状態だ。

 しかし、挙動は狂人じみていながらも、その走行は着実に燃費走行を続けるドクターうるふ。松井田妙義ICで入ってきたトラックがちょうど時速80kmくらいで走行していたのに目をつけ、その後ろにつく。少しでも空気抵抗を軽減させようという作戦だ。

「ずっと探してたんだよ、いい速度で編隊組んでくれるヤツをさ......」

 ドクターうるふに拠ればトラックの後ろにつくと、足の裏の感覚でわずかではあるが、アクセルを緩められるという。既に辺りは暗くなり、さすがにリトラクタブルライトも上げ、前照灯を点灯している。この方法の恩恵は大きい。で少しでも燃費が稼げれば...。まさにできることは何でもすると言ったところか。

 20:11、埼玉県に入る。

「埼玉県、入りましたぁ!
来た、来た、来た!来ちゃったよォ!」

 怒りとストレスと疲れと。それらが混然一体となった精神にまとわりつくヘドロを、喜びに変換して口から吐き出した絶叫。

 燃料の残りはラスト1目盛りの半分しかない。前を走るトラックが上里SAに入ったので、ドクターうるふも入ることにする。

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 ここが最後の休憩になるだろう。入念にストレッチをこなすドクターうるふ。

 本部で待機しているゆみごん社長とピパ子氏に連絡を入れる。予想よりはるかに早く到着しそうなので驚いていた様子だった。

 「途中給油にはならずに済みそうだ。問題は燃費だけ。」

 そう言い残し、上里SAを出発。このあと花園ICから降りてゲリラボ本部へと向かう。

 さあ、果たして燃費はいくつだったのか?感動の給油、そして驚くべき結果が明らかになる!


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【長野県へ】

 取り立てて大きなトラブルは発生しなかったものの、六合村までの行程は距離が長く、気温の上昇もピークであった。疲労は一気に増し、体は汗だらけであった。道の駅「六合」に併設された観光物産センターのトイレで手と顔を洗わせてもらう。時刻は既に15:30。

 「つっかれたよなぁ......、実験じゃない、バトルだよ、これはもう。」

 と、つぶやくドクターうるふ。

 「もう、右足のかかとが痛くてしょうがない。足の重さをずっと支えてるでしょ。こういうのって、一度気になっちゃうともうどうしようもないんだよね」

 更にその後、道の駅「草津運動茶屋公園」でも、同様に......否、今度は足までも洗っている。サンダルなればこそなせるワザであるが、その様は怪しさを通り越えて危険を感じるほどである。

 「見てよ、あのキレイなネェちゃん。せめて見える範囲くらい洗っとかないと、恥ずかしくって話もできないよ。」

 と言いながら受付の女性に近づくドクターうるふ。おもむろにステッカーを購入している。彼なりに身だしなみを整えたつもりらしいが、足まで洗ってしまったので、濡れたサンダルからはブジュブジュと不快な音をさせている。

 「あのネェちゃん、オレのワイルドさにうっとりしてたゼ。ま、オレも実験の成功を目前にして、態度に余裕があったっていうのもあるけどね。そういうところから、安心感っていうのかな、そういうのを感じ取ってもらえたんじゃないの?」

 どこをどう間違っても、「安心感」だけは無いはずだと強く思うのである。ドクターうるふは自分がいかに怪しい風体であるかを全く理解していない様子である。

 草津を出発した頃は既に16:00を回っていたが、Navin'youの18時間と言う予想よりはるかに速いペースのはずだ。

 この快挙に、ドクターうるふの頭には一つの考えが浮かんでいた。

 「日があるうちに、高速に乗りたい......」

 このことであった。今朝の東北自動車道で、高速走行がどれほど燃費走行を阻害するものかを痛感したドクターうるふは、空気抵抗の増すリトラクタライトを開けたくなかったのだ。当初諦めていたのだが、「このペースならいける......」と思ったのだろう。

 「リトラクタ開けたら、空気抵抗が増すじゃない。通常走行ならまだしも、速度が上がれば空気抵抗はどんどん大きくなるからね。普段は気付かなかったけど、こういう運転をすると、高速走行時の空気抵抗の大きさが良く分かるよ」

 長野原町の浅間酒造観光センター、嬬恋村の浅間ハイランドパーク前を駆け抜け、ドクターうるふは軽井沢町へと入った。7時間ほど滞在した群馬県ともここでお別れである。
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 エンジンブレーキと足ブレーキを上手に使い分け、速度を維持しつつ峠を駆け下りるドクターうるふ。

 「たぶん、600km走れちゃうと思うんだけどさ、こう言うのはむしろ、日頃ガソリンまいて走るような走り方してるヤツらじゃなくちゃ出せない数字だと思うよ。やりたいことはその逆だから。」

 走りも軽けりゃ、舌もご機嫌なようである。

 既に5時を過ぎた。チェックポイントは全て営業時間を終了したと思われので、ドクターうるふは「日のあるうちに高速に乗りたい」という作戦を実行に移すため、国道18号には出ず、浅間サンラインをたどることにした。

 146号から国道18号を経由しないで浅間サンラインに出るためには、別荘地を通過しなければならないが、このあたりの地理にはめっぽう詳しいドクターうるふである。

 「ゆみごん社長もピパ子氏も、軽井沢が好きでね。でも夏場はどうしても混むでしょ。だからこう言う所を通るわけ。覚えちゃうんだよね、何度も通ってると。でさ、慣れてくるとこっちの方が良くなっちゃうの。カンカン照りで信号がいっぱいの18号より、木漏れ日の中の静かな別荘地を通った方が楽だし。」

 と、スマートキャプチャのシャッターを切る......。すると。

「あれ......?」

 おびただしい数のユーザーズポイント。しかし、同じ写真が複数のポイントに登録されるトラブルのため、全く意味がなくなってしまった。 突然の、頼りない声。
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「この写真、今の場所じゃないぞ?」

 なるほど、これはまぎれもなく、高速道路上の写真である。シャッターを切ること既に50ヶ所を超えている。当然、それだけユーザーズポイントとして登録されるのだが、ポイントの位置情報は合っているものの、写真の種類は10種類くらいしかなく、違うポイントでも同じ写真が表示されたりして、全く使い物にならない。

「なんで?!」

ドクターうるふの怒りはおさまらない。これでは地点情報、時間と同期した写真が得られないではないか。運転しながらザウルスで写真をとることは不可能だ。パソコンが占有しているので、電源もない。

「何なんだよォ、おめェはよォ!」

 ところが。泣きっ面にハチとはこのことか。事態の改善を図り、エクスプローラーを立ち上げた瞬間、

システムリソースが極端に減少しています。次のアプリケーションを終了しますか?

アドレスキャッチャー

[はい]         [いいえ]
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 などという、白いウィンドウが現れた。アドレスキャッチャーなどの不要なアプリケーションをここで終了させたが、動作は不安定のまま、やがて全てのキー操作を受け付けなくなってしまった。C1の電源を強制的に落とし、とりあえず停車できる場所を探す。これにより、ここまでの走行パスは全て消去された。

 あと1目盛りを残し、走行距離は415km。通常なら、給油している走行距離だ。 別荘地を抜け、浅間サンラインに突入した。路肩に180SXを停める。原因はおそらく走行パスの記録量が多すぎてリソースを食ってしまったのだろうが、C1の冷却、Windowsの再起動など、今まで効果のあったことを全て実施し、再起動後は不要なアプリケーションを終了させる。
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 この時点で走行距離は415kmに達していたが、燃料計はあと1目盛り以上の残りを示している。浅間山を背景に写真を撮影(上)し、このまま上田まで浅間サンラインを通って行くことにする。時刻は5:27、何とか日のあるうちに上田に到着できそうである。

 浅間サンラインは予想通り、順調に流れていた。国道18号であったら、こうは行くまい。御代田から佐久まで一気に下る道は魅力的だが、小諸から再び登りになるし、南の佐久を経由する分、そっちの方が遠回りになる。

 そして。

「上田、入りましたよォ!」

 ロマンチック街道27個目の市町村、上田市に入ったのは17:50であった。この実験も終盤に差し掛かる。最終チェックポイントは当然、上田城。そこまでは、距離にして約8kmであった。

 しかし、このあと、衝撃の事件が待ち受けていたのだった!!

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 いろは坂手前で渋滞にかかったドクターうるふ。
 この渋滞が最悪だったのは、ロクにアイドリングストップができなかった点にある。

 どうやら、土砂崩れによって第二いろは坂が完全にふさがれてしまったらしく、下り専用の第一いろは坂を交互通行にしているようだ。しかも交互通行は部分的ではなく、第一いろは全行程を交互通行にしているらしい。従って、上で待っている車が完全に降り切ってからこっちが登れるのだ。

 待ち時間の長さにシビレを切らせて脱落する車は後を絶たない。車は断続的に前進し、アイドリングストップができない。

 しかし、幸いなことにドクターうるふが登る番は思ったよりも早くやってきた。まだ、20分程度しか待っていないはずである。
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 看板はみんな裏側を見せている。本来下り専用のはずの第一いろはを登っている貴重な瞬間だ。

 先頭にトラックがいるようだ。異様に遅い。勾配もカーブもきつい第一いろは坂は4t以下のトラックと言えどもかなり難儀するようだ。

 平均速度はほとんど時速20km程度であったろう。途中、停止することもしばしば。このルートを上下線で利用していた頃は、さぞ渋滞もひどかったに違いない。

 さて、この急勾配を遅い速度で登ると言うのは、予想以上に燃料を消費する作業であった。ストップアンドゴーを何度も重ねつつ、いろは坂を登り切った。華厳の滝駐車場に差し掛かったときには、既にいろは坂を下ろうと言う車の行列が中禅寺湖の遊覧船乗り場付近にまで達していた。

 再び車は順調に走行する。渋滞の問題も去ったので、ここで再度ナビの復旧作業にかかることにする。中禅寺湖畔、菖蒲ヶ浜付近の無料駐車場に車を入れた。

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 「通信できないんじゃ、衛星の情報が来るわけないよな。」

 ドアを開けると涼しい風が車内に入ってくる。燃費走行のため、エアコンを使用しないのは当然で、空気抵抗も考え、窓すら開けずにここまでやってきたのだ。まるでサウナから出た時のようであった。

 Windowsを再起動し、今度は同時にGPSアンテナも初期化する。

 画面は先程と変わらぬ「衛星探索中」という表示が右下に出たままである。ここから10分走行して再び様子を確認する。外気の冷たさを知ってしまったドクターうるふはもう、窓を閉めて走行することはできない体になっていた。助手席側の窓を全開にして運転再開。

 竜頭の滝を過ぎ、戦場ヶ原に入った。視界が開け、アンテナを遮るものは何一つない。すると?!

 衛星を2個だけ、補足したのである。これでは現在位置の測位は出来ないが、アンテナが動作していることは確認できた。

「もしかして、熱かぁ?!」

 確かに、C1の画面の裏側は素手では触れないほどに熱くなっている。閉め切った温室のような中での使用、更にC1のある位置は直射日光にさらされる場所である。助手席側の窓を開けたことで、少し緩和されたのかもしれない。

 外気送風をフロントガラスに当てる方向にする。これでC1の画面裏側に風が当たるようになった。

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 湯ノ湖を過ぎたあたりで再び車を停め、VAIO-C1を外に出す。C1本体を冷却すると共に、アンテナを室外に出し、一気に受信してしまおうと言う考えだ。一旦受信してしまえば、その後は比較的安定する。ドクターうるふは、この作戦に、賭けた。

 すると......待つこと5分、ついに3つの衛星を捉えたではないか。

「来たァ!
来た、来た、来たァ!」

 エンジン始動。今度は送風の出口をC1の画面裏に強烈に当てて対策する。もうすぐ金精峠、これを抜ければ群馬県だ。......と思ったその時。

ピピッ......。

 と言う音と共に、青い画面に変わり、C1が現在の状態をハードディスクに記録し始めた。この現象は、電池の充電が著しく低下した時に、発生する。

「インバーターの電源、入れるの忘れてた!」

 いまさら気付いてももう遅い。C1の電源は切れ、同時にGPSアンテナの電源も切れた。これで、ふりだしに戻る、である。

「せっかく受信し始めたのに......!」

 このトラブルの発端、先程の大谷資料館と同じ、いや、それよりひどい状態になった。絶望と共に180SXは金精峠トンネルに突入する。

 トンネル内でインバーターの電源をONにし、C1に電源が供給される状態にして再び起動。C1は先程記録した情報を再びメモリに読み込み始める。

 「頼むよォ~......」情けない声のドクターうるふである。

 そして。

 GPSのアンテナもピピッと鳴って、受信を開始したではないか。

 その瞬間、トンネルを抜け、群馬県に入った。2個、3個......。アンテナはすぐに衛星を補足した。トンネルから出てわずか1分で4つの衛星を補足し、Navin'youは3D測位を始めた。

 そしてここからは快挙の連続であった。

 まず、前走車がいない。道は全て下り。ドクターうるふはギアをニュートラルにし、惰性走行で坂を下る。減速が必要な場合は、エンジンブレーキを優先させる。

 「基本はエンジンブレーキ。充電もできるし。インバーターからパソコンの電源取ってんだから。」

「たのしー!」

 車内を駆け巡る涼風も心地よい。菅沼付近まで快調に下りきり、丸沼までのわずかな登りでアクセルを踏んだものの、丸沼からは再び下りセクション。途中、観光バスの後ろにつくまで、ほとんどアクセルなしで白根温泉付近まで来てしまった。

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 ここのあたりからはドクターうるふも良く知った道である。片品、利根、白沢、沼田とチェックポイントを通過し、同時にロマンチック街道ステッカーラリーのステッカーも購入する。

 このあたりは道に迷うどころか、Navin'youが指定しないようなマイナー道路を利用してショートカットなどのワザも披露する。

 そして、その後到着した道の駅「川場田園プラザ」では......

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「きっ、貴様は、プリウス!!」

 この勝負は「プリウスに勝てるか?!」を掲げている。その宿敵とこの実験中に対面してしまうとは。最近新しくなってまた1km燃費が良くなったと聞くが、180SXとて、負けては居られぬ。

 決意も新たに川場田園プラザを出発したのは既に11時半。出発してから、5時間半が経過していた。

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 この後は昭和町の総合福祉センターがチェックポイントとなっている。このあたりはチェックポイントが密集しており、やけにエンジン停止の回数が増えてしまったことを後悔する。別にステッカーなど買う必要はないのでは......?ドクターうるふの頭に迷いが生まれる。

 そのため、次の月夜野町のチェックポイント、月夜野びーどろパークは水上までの通過点でもあるため、寄らずに前を通過するのみとした。

 12時を過ぎたので、コンビニで停車して、少量の昼食を取る。もちろん重量の増加を嫌ってのことだ。食事はコンビニの駐車場で即座に完了させ、ゴミはその場でゴミ箱に入れさせていただくことにする。これも、少しでも重量を稼ぐための手段である。

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 このあたりで新たな問題が発生した。室内温度の上昇に絶えられなったのである。パソコンではない。ドクターうるふ自身がである。

 これまでは比較的標高の高いところを走行していたこともあって、助手席側の窓だけ開いていれば耐えられたのだが......。C1のこともあるし、運転席側のドアも空け、室内温度を下げることにする。

 道の駅「水上水紀行館」に到着したのは12:40であった。ステッカーを購入しようとしたが、昼休み中だったのか、インフォメーションが居なかったので写真のみ撮影して出発する。

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 途中何度か道を間違えるも、途中、新治村・「たくみの里」、高山村「高山温泉・ふれあいプラザ」(休業中だった)、東村「あづま桔梗館」を通過。伊香保の温泉街が見えた頃、燃料計はちょうど半分に達する。走行距離は312km。この倍走るとすれば600km、かなりの好成績だ。

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「もらったでしょう、この勝負は」

 ドクターうるふ、行程半ばにして早くも勝利宣言である。伊香保からの下りは榛名山2コーナーから右に折れる道を選択する。

 「こっちの方が車が少ないしね。惰性走行で90km/hは出せるよ。」

 このあたりは地理に明るい。道幅も広く走りやすい上に、歩行者もいない。

 吾妻側を再び北西へ走り、180SXはチェックポイントである吾妻町・JAあがつま、中之条町・薬王園を経由して六合村へ向かう。

「あちぃ~......」

 沢渡温泉を過ぎ、暮坂峠までの道はカーブも急で、効率的な運転ができず、必要以上に神経を使う。しかも気温の上昇はドクターうるふの体力を容赦なく奪い、VAIO-C1を誤動作させ、運転のミスを誘う。

 さらにこの後、ドクターうるふに追い討ちをかけるようなとんでもない事件がふりかかるのである!


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「ハイオク満タン入りました、
ありがとうございまーす!」

 全てはこの瞬間から始まる。明日はスタンドが開店するよりも早く出発するため、前日のうちにガソリンを満タンにしておいたのだ。スタンドを出てから、燃費走行でゲリラボ本部まで帰る。

【コース・使用車解説】

「このコースで、行こうと思う」

ドクターうるふが示したのは上のようなものだった。昨年、合計6日間をかけて走破したロマンチック街道であった。

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「ちょっと、これ、長過ぎない?!」

 ゆみごん社長も動揺を隠せない。しかし、ドクターうるふは

 「このくらいじゃなきゃ、ダメだ」

 と、意に介さない。

 彼が示したコースは、ゲリラボ本部を出発し、日本ロマンチック街道の全市町村を全て通過して帰還すると言うもので、Navin'youによれば、その距離584km、時間にして18時間51分を要する。コースは各市町村に経由地を設定して探索し、経由地は毎年行われる「日本ロマンチック街道ステッカーラリー」のチェックポイントを参考にした。

 当然、今回はステッカーを買ったりはしない。ただ、街乗り、山道、高速道路と、一通り組み入れたという理由だ。
 ただ、燃費走行が目的のため、道に迷った場合は、このルートは変更しても構わない。

 帰還後、再び満タンにして走行距離に対し、どれだけガソリンが入ったかで燃費を割り出す。今回のコースであれば、50リットルの消費でリッター12km/lを出せば600km走行できるので、無給油で帰還できる計算になる。当然、これほどの距離を無給油で走行したことはない。
 なお、コース途中でガス欠になりそうな場合は途中で給油し、その時点の燃費を実験結果とする。が、完走できないと言うことは燃費も悪いはずなので、記録的な燃費はその時点で望めない、と言うことになる。

使用する180SXのスペックは以下の通り。
・日産180SX(平成5年式)
・エンジン形式:SR20DET(2000㏄ターボ、205馬力)
・車体重量:1410kg(車検証による)
・TRUSTエアインクス、ブリッツのマフラー、カヤバクライムギア+TEIN S・TECH
・タイヤ:ダンロップ・FORMULA FM901 205/50R15(ノーマルからのサイズ変更なし)

取材道具も紹介しておく。
・カメラ:SHARPパワーザウルスMI-506、
・ナビゲーション:SONY製ノートパソコンVAIO-C1+ナビゲーションソフトNavin'you4.5



【栃木エリア】

 翌朝。レースカーのような車内はたった一人で600kmを走行するには寂し過ぎるものだった。持ち物は最低限の金銭と、非常用の携帯電話、取材道具のみ。テンパータイヤ、ジャッキ、車載工具も全て降ろしての実験。例えパンクであっても自走帰宅は出来ない。

 緊急時に車中泊する可能性もあるため夏用の寝袋(約900g)を積み込む。これは、内装を全て取り払った180SXはリアウィンドウに激しく映り込みしてしまうが、トランク部分に敷くことで映り込みを防ぐ為にも使用する。

 なお、服装はTシャツにハーフパンツとかかとまでホールドしてくれるサンダルで靴下も履いていない。パンツも履かなくていいかと思ったが、そこまでは止めておいた。

 6:00。ゲリラボ本部を出発。SONY製ナビゲーションソフト「Navin'you」をVAIO C1のカメラを利用したスマートキャプチャと接続させる。これで、ある地点でシャッターボタンを押せば、位置情報と共に写真が地図上に配置される。

 およそ16kmを走行し、6:30、羽生ICから高速道路に入る。
 急激な軽量化のためにクラッチミートの位置が若干変わっていたが、この頃には完全にアジャストしていた。

 6:33、群馬県に入り、38分には栃木県入りした。
 この日の高速道路は車はあったものの、順調に流れていた。4速3,000回転で時速約80km。この状態をキープすると、吸気圧は400~500mm/Hgで済む。5速に入れてしまうとその吸気圧は維持できない。ところが、負荷の低い下りはギア比の関係で5速に入れた方が低い吸気圧で走行できる。僕は上りと下りの微妙な勾配を判断してギアを選択していった。

 鹿沼ICに到着したのは7:06であった。最初のチェックポイント、大谷資料館へと向かう。しかし......。

「何だよ、この道はよ~」

 大谷資料館入り口の駐車場にて。ここでナビの受信を一旦停止した後、トラブルは発生した。
 とんでもない細い道&曲がり角の連発。Navin'youは時たま、こうした道を指定してくれる。道が細いのはまだ許すが、曲がり角が多いとそれだけ燃費走行にはマイナスとなる加速・減速・発進を繰り返さなければならない。
 格闘すること約20分、間違いを繰り返しつつも何とか大谷資料館前に到達した。

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 大谷資料館では日本ロマンチック街道宇都宮市のチェックポイントとなっており、ステッカーも売っているが、残念ながらまだ営業時間前である。写真撮影だけで出発する。

 エンジンを始動し、スタンバイにしたC1を再び起動する。同時にGPSアンテナもピーッと鳴って起動。

 ......ところが。である。走行を始めたはいいが、USB接続のアンテナが現在位置を示さない。初めて買った時は自分の位置を探し出すのに10分以上かかった。今回もそのくらいかかってしまうのか......?しかし、待てど暮らせど、現在位置を指し示すことはなかった。仕方なく手動で地図をスクロールさせる、という作業に追われる。そうしたゴタゴタの中で僕は鹿沼市のチェックポイントへの道を見逃してしまう。ICから降りた時点で既に鹿沼市は通っているが、せめてチェックポイントの前くらい通過したかった。

 やがて、今市市の市緑ひろば前。8:00くらいだったはずだが、ナビが衛星を補足していないため記録がない。こちらも営業時間前なので通過する。

 今市市の中心部を過ぎると杉並木の道である。この並木道はNavin'you3.5の車外装着GPSアンテナの頃から衛星を補足できなかった場所だ。車内設置のアンテナでは更に困難であろう。

 とうとう、国道119号の終点、日光市の神橋まで達するが状況は全く打開されない。これは単に衛星を補足できないのではなさそうだ。左折してロマンチック街道のメインストリート、国道120号に入る。

 するとそこは渋滞。東照宮が近いせいか?

 「月曜から観光か~?」

 分かっていてもショックは隠せない。アイドリングで待つにせよ、アイドリングストップしたにせよ、余計な燃料を消費することには変わりない。しかも今日は信号3回ほど待たされそうである。

 と、その時!前を走っていたトラックが国道120号を逸れ、大谷川沿いの脇道を左に入っていったのだ。

「あれは知ってるヤツの入り方だぜィ!」

 そう、このトラックの迷いのない突入。裏道を知る者と見込んで、後をつけようというのである。
 果たして。やはり彼は道を知っていた。あっけなく信号を回避した。
 ところがドクターうるふは途中で車を路肩に停め、エンジンを切ってしまった。何をしようというのか。

 「ナビが動かないんじゃ、どうしようもないでしょう。これ使わないんだったら、軽量化のために持ってこなけりゃ良かったってことになる。この成果を、いかに正確に伝えられなきゃ意味がないから、車載工具は捨てたけど取材道具は積んで来たんだよ。動いてくんなきゃ困るわけ。」

 と言いつつ、Windowsを再起動している。再度Navin'youを立ち上げ、GPSの受信を開始。ピーッという音は今度もちゃんとした。

 「これで動いてくれよ。いろは(いろは坂)はナビ付きで上がりたいんだよ......」
 エンジン始動とほとんど同時に発進。いろは坂に向かう。

 ドクターうるふがこれほどまでにナビにこだわるのは、彼が道を知らないからではない。正確な時刻と位置をログとして記録したいからだ。
 更に、VAIO C1のシャッターを押せば、位置情報と共に画像データも記録される。これらが正常に作動して、ドクターうるふは実験+取材を一人でこなすことができるのだ。
 時間と現在位置と写真を手動で紐づけることは、ハッキリ言って不可能。実験は成功しても、そ信憑性の低い報告になってしまう。

 しかし......である。またしてもナビは衛星を捉えてくれなかった。いろは坂はすぐそこまで迫っている。

 ナビの問題が解決しないまま再び車が渋滞し始めた。先程の神橋前のような甘い渋滞ではなさそうだ。こんな所には脇道もない。
 しかし、ドクターうるふはこれをチャンスとばかりにGPS受信を一時停止し、アンテナの初期化を行うことにする。以前、ナビが正確な位置を示さなかった時にはこの方法で復活させた経験がある。

 ナビを初期化している最中、赤い棒を持った人が車を停めている様子が遥か先に看て取れた。

「検問か?!」

 既に2回検挙され、警察に対し計89,000円という多額の寄付をしているドクターうるふは、回転灯や赤い棒に異常に過敏に反応する体になっていた。

 「ベルト、よーし。速度、よーし。免許、よーし、メガネ、よーし」

 検問がある場合、この4点を指差し・声がけ確認する。4点の中で最も危険なのが速度であるが、今回は既に渋滞しているので問題ない。

「酒。もちろん飲んでないからよーし...。
あ?!」

 ふと、気がついたのである。乗車定員4名の車に乗車装置が、ない。

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「この車内は、ヤベェわなぁ......!」

 このことであった。

 「ゲリラ実験室つっても、知らねぇだろうしなぁ......」

 しかし、すぐにそれが警察官でないことに気付く。警官よりも服の色が若干明るいようだ。それと共に、左側に看板が現れた。

「いろは坂土砂崩れにつき、
大型車は通行できません」

 程なくして、Uターンをする車が発生しだした。それほどまでに深刻なのか?
 すると、その交通整理の人がやってきて「窓を開けてください」と要求してくる。窓は開かないのでドアを開ける。怪訝そうな顔をしながらも、こう言うではないか。

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 「現在いろは坂は土砂崩れで通行が困難になっています。通過には1時間かかるとお考え下さい。現場では作業員の指示に従ってください。」

 と、続ける。それにしても1時間とは......。

 このことを聞いて、更にUターンを敢行する車が増えた。

 どうするか?1時間の渋滞では、記録的な燃費は絶望的だ。迂回して赤城山の南を回り、沼田からコースに復帰するか......?
 しかし報告では「日本ロマンチック街道を600kmを走破」と言った方が分かりやすい。そう言いたければ、利根沼田エリアをパスするわけには行かない......。

「上等じゃねぇか。
突っ込んでやるよ、
1時間の渋滞によォ」

 と、完全に闘志を燃やしてしまっている。本当に大丈夫なのか?!


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2020年6月、さらに軽量のロータスエリーゼで再実験した様子を動画で公開!
ゲリラ実験室MISSION11







「ムリだぜ、今回のは。」

 いつになく自信のないドクターうるふである。

 「プリウス相手に燃費対決なんて。それはさすがに...敵うワケがねぇ。」

 ゲリラボ実験内容の検討会議での発言。どんな不利な勝負でも常に自信のある姿を見せ続けたうるふであったが、さすがに今回は乗り気ではない。

 「いいじゃん。それなりの結果が出れば。こっちはスポーツカー、向こうは燃費だけの車じゃん。その辺は加味して結果を受け止めてもらえるよ」

 と、冷静なゆみごん社長。この人物、他人事にはいやにクールな分析を見せる。

 「オレはその"それなりの結果"って言うのが嫌なんだよ!」ドクターうるふは席を立ってしまった。

 長期実験中の項目に差し替えも考えたが、まだ、完全な結果を得られておらず、発表の段階ではない。今回はとにかく燃費対決で行くしかないのである。

 「ちょっとぉ。結果がどうでも実験はするって 「ゲリラボとは」 にも書いたでしょ!」

 今回は、ドクターうるふの説得から開始せねばならないようだ。



 ドクターうるふは考えていた。

 スポーツカーは根本的に燃費が悪いものだ。パワーを出すために、シリンダー内にどれだけ多くの燃料と空気を入れられるかが勝負の車である。それでも180SXの燃費は通常走行で9。パワーと燃費を両立した、すばらしいラインであると思う。ただ、最近出てきた20km/lを超えるような車と張り合うというのは畑違いもいいところだ。技術の差がもろに出てしまう部分で、最新の車との勝負など、成立するのか......。

 今までの燃費の最高が12.021km/l。金沢から深夜のノンストップ走行で叩き出した、たった1度の値だ。たとえば奇跡的にもう一度これが出たとして、

 180SXで燃費12km/l。

 なんて結果でいいのか。こんな結果を公開して燃費20km/lを超えるプリウスと戦ったことになるのか。なるわけがない。だいたい35km/lも走るインサイトなんてのも出てきやがった。今時、リッター12kmなんて誰も驚きはしまい。「今更何言ってんだ、コイツ」となるのがオチである。

 それがドクターうるふには耐えられなかった。

 翌日。一人になって考え、気分も落ち着いたのか、ドクターうるふも話し合いの席に再びついた。

 「見てよ。あの後ちょっと調べてみたんだけど......。」

 ゆみごん社長が提示したのはプリウスが北米大陸を横断したときのものである。この車は1999年の東京モーターショーにも展示されていた。トータルの燃費は16.8km/l。20km/l台ではない。

 「更にさ......。」

 まだ、あるようである。

 「プリウスオーナーのページを見つけたんだけど......。」

 ゆみごん社長の愛機、VAIO737の画面にはオフラインでWebページが表示された。既に旧型のVAIOだが、買い換えるつもりはないと言い張っている。

 「12km/lくらいの報告もあるんだよね。14,15レベルはザラ。そのページによると初期不良も出てるらしいし、やっぱり、20km/l以上って言うのはプリウスと言えどもある程度気を使わないと出ない数字みたいだよ。」

 ドクターうるふの沈黙は続く。じっと見守るゆみごん社長。少しして、ドクターうるふは立ち上がった。

 「180SXのオイルを替えるぞ。要らないものは徹底的に下ろして最軽量状態にするんだ。」

 「やるのね?」

 「絶対に勝てない相手に挑むってのも、悪いもんじゃない。できれば、少しはプリウスをヒヤリとさせてやりてぇもんだな...!」


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パワー志向のスポーツカー180SXで、
エコロジー燃費走行は可能なのか?!
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180SXの究極の燃費
と言うフロンティアを
オレは見たいんだ。

エコロジーの代名詞、プリウスを相手に無謀な挑戦、一人旅。


埼玉県ゲリラボ本部を出発、
日本ロマンチック街道・全市町村を通過し、
無事帰還できるのか?!

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「このコースで、行こうと思う」
「ちょっとこれ、長過ぎない?!」

全行程約600km。走破予想時間は19時間。
これをドクターうるふたった一人で実験!


究極の燃費走行とそれを阻む数々のトラブル!
予想を越えた過酷な闘い。
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「通過には1時間かかる
とお考え下さい」
「ああああああ!
全開で走りたーい!」


完熟走行で培った技術もことごとく打ち砕かれるドクターうるふ。
エアコンなしの炎天下。極限の精神状態に!


出るのか?!究極の燃費?!

ゲリラ実験室、MISSION5。




2020年6月、さらに軽量のロータスエリーゼで再実験した様子を動画で公開!
ゲリラ実験室MISSION11

 いつもご覧頂き、読者の皆様には感謝申し上げます。

 さて、である。

 この度、うるふの怪しいホームページはついにスマホ対応になった。

 実は、このサイトもドメイン取得してバタバタでMTで構築しはしたものの、MTの使い方も良く分からないまま、更新のしかただけとりあえず分かってて運営している、という体になり下がっていた。

 更新回数も2~3か月に1回と言う体たらくの時期を経て、2018年にYouTubeを始めると、やっぱりYouTube、Twitter、ブログの3本柱でやって行かないと、と思い直し、再開させて、書き方も改善した。

 Googleアドセンスも入れて、視聴者分析もできるようにして...。

 そこで初めて知った。誰も見てないのかと思ってたら、意外と見てもらっていること。

 そして、スマホユーザーが多いこと。

 しかし、スマホでこのサイトを見ると、もう、ありえないくらい字が小っちゃくて、拡大しないと読みづらい。

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「これじゃぁなぁ...」

 しかし、多くのユーザーはこれで見て下さっているのだ。

 なんとかせねば...。

 しかし、やり方は分からない。

 そこに来て、ゆみごん社長からの連絡である。ゲリラ実験室の撮影中に 「YouTube見た。音声ピンマイク使った方が良い」 とLINEでコメントが。マイクレビューのYouTube動画のリンクもついていた。

 そんなこんなでゆみごん社長との連絡が増え、今度はこのサイトの事について、 「スマホ対応した方が良いねー。」 とのこと。

 気にはなっていたがやり方が分からないと返すと、「スマホ対応は私に任せなさい!」という予想外の返事が。

 そして今日、1行のHTMLコードとCSSのファイルが届いた。これを既存のファイルと置き換え、ウェブサイトとブログのそれぞれの「HTMLヘッダー」の2行目にメール本文にベタ打ちされていた1行のHTMLコードを貼り付ける。

 これでOK。マジかよ?
 オレは大手術をしなければならないのかとばかり思っていたが、やっぱり知識があるってのは凄いのである。

 で、肝心のスマホ画面はどうなったかと言うと...。

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「おぉ!」

 これは実に見やすい。これならスマホでもストレスなく閲覧が可能だ。

 作業のやり方の指示と進行はLINEのトークで全て済ませた。スクリーンショットを画像で送ったりして、いやいや、なかなかスリリングな時間であった。

 ただ、ウェブサイトの作り方はある程度スマホ画面に変換されることも意識して作ると尚良さそうである。今後はスマホ画面も意識しながらブログを書いていきたい。

 新しくスマホ対応になった当サイトでお楽しみいただければありがたい。

ゆみごん社長に感謝。
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 とはいえ、今の自分の判断に自信を持てずにいることもまた、事実である。どんよりとした雲になだらかに上る薄くらい道。本当にこの180SXは国道18号へ向かっているのか。少しずつ、貴重な時間が経過して行く。

 と。ドクターうるふの前に、ひとつの橋が見えた。


「よっしゃ、18号だ。」
「出た?」

 頭上を越える大きな橋は、紛れもなく妙義山を見晴るかす国道18号であった。橋をくぐるとすぐに右折し、180SXは国道18号線に合流した。おぎのやまでは、そう遠くない。が。15時26分。

 「真子ちゃ~ん!」

 坂を駆け下りる180SX。上信越自動車道が見えてきた。信越本線の上を越え、上信越自動車道の下の「五料」交差点を通過する。

 「あー、オレの天使を地上から連れ去らないでくれ!」

 

 ............







 ............


 「つまり‥‥、そういうこと? あたしに‥女として魅力がないってこと?」

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 ............

 

 車が増えてきた。時速は60km。決して遅くはない。しかし、今のドクターうるふ、否、池谷先輩にとっては遅すぎる速度。

「 ゴメン‥‥   
  真子ちゃん 」

ぜつぼうだああ

 おぎのやの前の信号にかかり、真子ちゃんとの待ち合わせの駐車場に到着したのは出発から1時間3分後であった。

 真子ちゃんは、碓氷峠方面に去っている。ドクターうるふ駆る180SXと、すれ違うことすら、ない。

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「1時間は切れない......のか?」

 やはり、高速道路の方が速かった。わずか6分ではあるが、高速道路の方が速かったのである。ドクターうるふの予測は、またしても崩れ去った。


 「ダメぇ?ダメなの、これ?勝ってないの?」
 「ダメだ。やはり高速道路の方が速かった。残念だが......、それが今回の実験の全てだ。」

 ドクターうるふはきっぱりと言い切った。

 「高速の方が、あんなに遠回りなのに......。遅い車の後ろに着いたじゃん。池谷先輩は夜だからそんなに車、居ないでしょ。」
 「それ読者が判断する事だ。これは神様がくれたワンモアチャンスなんだ。もう一回はない。」

 と、ドクターうるふはゆみごん社長を制した。

 とはいえ、池谷先輩は渋滞に遭い、そこでタイムロスをしている。今回の実験の結果を踏まえて考えれば、渋滞に遭った池谷先輩よりは、確実に一般道の方が速かったことは明白である。

 結果から言えば、あの日あの時、池谷先輩は下から行けば真子ちゃんに会えた可能性は、きわめて高い。池谷先輩が到着する1分前まで、真子ちゃんはおぎのやで池谷先輩を待っていたのだ。この日池谷先輩がどれだけの時間をかけてここに到着したかは不明であるが、1時間3分で到着したのなら、池谷先輩は間違いなく真子ちゃんに会えていたはずである。無論、この道での渋滞など、ありえない。

 しかし、ゆみごん社長とドクターうるふがこれほどまでに通常の高速での所要時間を切る事にこだわったのは、池谷先輩の判断の正否を問いたかったのだ。

 店長に追い出されるようにして店を出た池谷先輩が、渋滞している事を知るすべはない。と、するならば、池谷先輩は通常の高速道路の所要時間と、一般道の所要時間でどちらの道を行くか、選ぶはずである。

 今回の実験で、わずか6分ではあるが高速道路の方が速くおぎのやに到達できる事が判明した。すなわち、店を出発した時点での池谷先輩の判断は、結論から照らし合わせるなら「正しかった」と言える。渋滞が発生したのは、運命の悪戯に過ぎない。

 「ただ -」

 180SXのキーを放り投げては取る、と言う動作を繰り返しながら、ドクターうるふはこう付け加える。

 「出発時の池谷先輩の判断が正しかったと言うのは実は正確ではない。なぜなら池谷先輩は「どんなにとばしても」1時間以上かかると言っている。しかし実はちょっと飛ばせば1時間を切れるんだ。池谷先輩がその事実を知った上で高速を選んだのであれば、それは判断としては正しいが、彼の中の判断材料は高速でも1時間以上かかる距離だったんだ、横川は。」

 ドクターうるふは立ちあがり、180SXの方へと歩き出した。

 「おそらく池谷先輩の中では「判断」と呼べるものはなかっただろう。行き方として知っていたのは高速だけだったんだ。それが彼の運命ってことさ。そして我々は、多くの読者が抱いたであろう、疑問にひとつの答えを出した。それだけのことだ。」
 「そんなぁ......。」

 「なに、きっと池谷先輩は別な形でチャンスが来るよ。オレ達がチャンスを与えようなんて、おこがましいってことさ。」

 ドクターうるふは再び180SXに乗り込んだ。また渋川に戻って、撮影し損ねた渋川の景色を撮るという。おぎのやの駐車場に、心地よいサウンドを残して、180SXは去って行った。

運命をかけた選択に、他人の考えを容れてはいけない。
池谷先輩は高速を行き、ドクターうるふは一般道を選んだ。
結果はどうあれ、信じる道を歩んだ結果なら、納得できる。







【ゲリラ実験室MISSION9】

CAST
   池谷先輩 : ドクターうるふ
真子ちゃん : ピパ子氏

写真に追記したセリフ、擬音はWindowsに付属の「ペイント」で根性で手書きしたものです。
原作からのコピーなどは一切行っておりません。


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【一般道】

「とりあえずハイオク満タン 入れてもらおうかな‥」
(14巻P18。‥の数まで合わせて言ったぜ......)

 「また言ってんのかよ。」
 「さっきとは変えたはずだぜ。」
 「啓介が涼介に変わっただけで、頭文字Dであることには変わりないじゃん。さっきも入れに来たし、絶対変だと思われてるよ。」

 ドクターうるふはそれには答えず、給油後、即座にエンジンをスタートさせた。
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 「行くぜ、一般道。スタートは15:30。
 ゆみごん社長も乗り出すようにして写真を撮る。正面には頭文字Dで何度となく登場しているジャスコが見えている。

 ドクターうるふは赤信号の虚を突いて、ガソリンスタンドから出てすぐに右、すなわち伊香保方面に向かった。

 「あれ、こっちなの?」

 「ああ。このまま少し登って、明保野と言う交差点を左に曲がるんだ。いくら池谷先輩が一般道を知らないからって、渋川と伊香保周辺くらいは知ってるだろ。このまま少し下りて(渋川駅方面へ行って)、すかいらーくの交差点から南下しても良いが、あそこは信号も多いし混むことを、池谷先輩は日ごろの行動で知っているんだ。」

 「あのすかいらーくも良く使ってるみたいだしね。」
 「そういうことだな。」
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 なお、一般道に関しては池谷先輩は道を知らないという想定で走るため、Navin'youは封印して走行する。上の写真のように画面を倒してドライバーからは見えないようにした。画面左上にGPSアンテナをクリップで挟んで装着していたのだが、こうするとその技が使えないので、ビニールテープで固定する。
 VAIO-C1側の赤いビニールテープは画面が閉まったときのロック部分である。走行時の振動で画面が閉まってしまうと、ロック部にあるボタンが押され、C1は電源を落としてしまう。それを防ぐための措置だ。

 Navin'youはドライバーに現在位置などの情報を伝えることなく、静かに走行パスだけを記録している。

 さて、そのドクターうるふであるが、明保野交差点への道もこの時間既に混雑しており、信号もタイミング悪く次々と180SXの足を止める。さらに悪いことには、軽自動車の後ろについてしまったことである。伊香保への道の急勾配を、軽自動車ではスムーズに登ることは出来ない。速度は遅々として上がらない。

 「大丈夫なの?この道。」
 「大丈夫だ。これ以外の道はない。」
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 そうは言いながらも動揺するドクターうるふ。ご丁寧に明保野交差点の信号にも先頭で掛かり、出発してから既に9分を要してしまった。高速所要時間の6分の1をここで使ってしまったのである。

 「だが、こっからは良い道だ。」

 確かに、道は良かった。が、一分一秒でも早く真子ちゃんの元に馳せ参じたいとアクセルを踏む仮想池谷先輩(ドクターうるふ)駆るシルビア(180SX)はすぐに先行車に追いついてしまう。

 遅くはない。いやむしろ彼らの走りも普通であれば速い方であろう。確実に制限速度をオーバーしている。が、このときの池谷先輩の置かれた状況ではこれでも

 「遅い......」

 はずである。榛名山(秋名山)の裾野の林の中を車は列になって走っていった。

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「何とかなんねェかな、この列は。」
「消えてくれることを祈るしかないね。」

 なお、この実験において、追越は一切していない。これは走る前からドクターうるふが決めていたことである。追い越しは危険な行為であることをドクターうるふは良く知っている。万一事故などが発生すれば、外部に漏れてはならない当集団の存在や実験内容の詳細が漏洩することになる。

 また、そんなことをしなくても一般道の方が早いのだと言う、ドクターうるふの自信もある。

 -池谷先輩、あなたが一般道を選んでいたなら、「安全運転で流れを乱さない」、真子ちゃんを横に乗せていたあのときの走りで真子ちゃんに会えたんですよ-

 ドクターうるふのメッセージだ。

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 途中、2台ほど前を走っていた白のマークIIが途中の路肩に入った。前走車が減ってほしいという願いが、まず一つ、届いた。

 しかし、その後信号にかかると、180SXの前に難題化のクルマが入ってきて、逆に前を走る車は増えてしまった。

 「やっぱ、一般道は、これがつらいな。」
 信号と他車。いくら急いでいても、これは如何ともし難い。

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 「今どこ、ここ?」
 「榛東ふるさとナントカって書いてあったよ。」
 「シントウ......?わかんないな。でも、方向的には合ってるはずだと思うが。」

 いずれにしても前走車がいる限り、あせっても仕方ない。それに、結構良いペースで流れている。行ける、このペースなら行ける、ドクターうるふはそう確信した。時間はまだあと43分もある。それだけあれば絶対におぎのやまで到達できる。

 自衛隊の演習場と思しき施設の脇を通過し、ドクターうるふ駆る180SXはペースを上げる事も落とすこともなく、車の列の最後尾を走っていった。

「くそっ、また赤か!」
「まだ黄色!行けるでしょ、突破でしょ。」
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「そうか?よし、真子ちゃ~ん!」

 少なくとも傍から聞いたら意味不明の叫びをあげながら、怪しいタイミングで信号を突破する180SX。

 180SXはここで榛東村を出、箕郷町に入った。そのとたん、道が右か左かのどっちかに分かれる。

 「どっちだ......?どっちなんだ、真子ちゃんの呼んでいる方向は?」
 「方向的に行きたいのはどっち?」
 「真っ直ぐ......。でも行けないからどっちかって言ったら近いのは右かな?」
 「ヨッシャァ、それが真子ちゃんの呼んでる方だぁ!」
 「そうかぁ、ヨシ、右だァ!」

 180SXの車内が徐々にいようなテンションに包まれてきたことを、このとき2人は実感した。このテンションが、さらに180SXを真子ちゃんの元へ強く引き寄せてくれるような気がしていた。

 右折後、再び左折し、良い方向へと向かい始めていた。前には2トントラックが走っているが、ペースは遅くない。ものの、今の池谷先輩の走りに比べればまだ不満足である。
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 「いつまでお付き合いだ?」
 「大して遠くまで行かないでしょ、これは。」
 「だろうな。」

 ドクターうるふもゆみごん社長も、そう考えた。確かにこうした車で遠くまで行くということは考えにくい。たいてい近所の農家の人が自分の田んぼや畑までトラクターか何かを降ろしに行ったその帰りとか、そんなものであろう、そう言う考えである。が、峠を越え、次の曲がり角も180SXと同じ方向へ行った。

 そして、その次も。

 「イヤな予感がするな。」
 「まさか。最後までって事はないでしょ。」

 そうかもしれない。池谷先輩ドライブとはいえ、峠で速いのがシルビアの強みである。前のトラックは地元車のようで、この道も通りなれているのだろう、確かに速い。しかし、急カーブを伴う峠の上り坂で、マシン特性は如何ともしがたい。トラックの立ち上がりはものすごく遅いのだ。

 「くそっ、何とかしてくれ!」

 黒煙を浴びながらトラックの後に続く。

 「なんか、あのトラック、ペース上げたんじゃない?」
 「アオったと思われたかな。だが、必要以上に接近して走ったわけでもない。ま、ペースが上がったのは望ましいことだが。」
 「ヤバくない?」
 「平気さ。ゲリラボに対して何かしようって言う人間じゃなさそうだ。」
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 峠を越え、下りではトラックとは思えないスピードで駆け下りている。無論、これに遅れをとるようなドクターうるふではない。つかず離れずの一定の距離を保ちながら、トラックの後ろを走行する。下りセクションが終わり、交差点に出る。

 「どっち?」
 「行きたいのは真っ直ぐだが......。看板に拠れば右に行った後すぐまた左に曲がれば直進と同じ結果が得られそうだ。」
 「トラックはどっち行くかな?」
 「左高崎ってあるけど......左行ってくれねェかな。」

 果たしてトラックは。

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「右かいな!」
「離れらんねェのかよ?!」

 その後、このトラックもすぐに左折し、ドクターうるふの180SXの前をいつまでも走りつづける。道は再び峠道。両脇に梅林が広がっている。その間のわずかな直線を、明らかにムキになって飛ばしてゆくトラック。再び黒煙を浴びる180SX。と!

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 「あっ!」
 ゆみごん社長が声と同時にカメラを向ける。

 「見た?!」
 「見た。」

 前のトラックが、窓から空き缶をポイ捨てしたのであった。無論、そのような一瞬の出来事を、撮影速度の遅いデジタルカメラで撮影できるはずはない。茂みに向かって、勢い良く缶を放り投げたのである。対向車線を超え、空き缶は葛の茂みに落下した。

 「ムカつくな。」
 「ああ言うのってさ、拾って行って『落としましたよ』って返してやりたいよね。」

 やり場のない怒りが、180SXの車内を包む。なぜ、あのようなことが出来るのであろうか。ナンバーをつけて走っていると言うことは、名札をつけて走っているのと同じ事である。その車から、ダメと分かっているポイ捨てをするというのはまったくもって信じられない。あの窓から空き缶を捨てるのと、少しの間車の中に缶を置いておいて、どこかきちんとしたゴミ箱に捨てることと、どれほどの差があるだろう。

 「アオっちゃえば?!ム化つくよ、あのバ(ピー)トラック。」
 「それとこれとは関係ないだろ。」
 「でも、あんな悪いやつなんだから、アオっちゃったっておあいこだよ。」
 「オレはそのつもりは無いけど、向こうはもうアオられてる気になってんじゃないのか?現状に変わりは無いさ。」

 そんなことをしなくても、十分に間に合う。これがドクターうるふの答えだった。確かにドクターうるふも今のヤツの行動には許しがたい念を抱いた。しかし、だからと言って直接の被害を被った訳でもない後続の180SXが彼に対してどうのこうのするわけには行かぬ。複雑な思いの中、トラックと180SXの間隔をそれまでの半分ほどに詰めた。

 「ずいぶん詰めて走るじゃん。

 満足そうなゆみごん社長である。

 「まだ、ぜんぜん安全圏だ。大体、180SXでトラックアオるなんてナンセンスだぜ。」

 下りセクションに入る。ここぞとばかりにトラックはペースを上げるが、ドクターうるふもその隙間を全く開かせない。コーナーにあってはドクターうるふにとってはお遊びであった。雨上がりの路面が、程好い低ミュー路を生み出している。

 「ドリフトしたいっ!!でも池谷先輩はドリフトできない!」
 「そ。少なくともこのときはね。5巻212ページに『本当はまだケツが流れるとパニックになっちゃうんだよな』ってある。だからグリップで走らなきゃダメ。」

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 榛名町内で2度の峠を越えると、180SXは橋に出た。例のトラックもまだ、180SXの前を走ったまま、道を違えようとはしない。

 「この車、もしかしたら国道18号まで行くんじゃないのか?」
 「しかも結構走り慣れてるみたい。」

 つまり、この車の後を着いて行けば、最短コースで国道18号に出させてくれるかもしれない、と言うことだ。

 だが、それは憶測でしかない。たとえ国道18号に出たとしても、18号を通って軽井沢方面に行きたいのか、高崎に行きたいのかで18号に出る位置もだいぶ変わってくるはずだ。我々としても最終的に国道18号に出るが、それがおぎのやへの最適な場所でなければならない。しかも、そのためには18号に出るまで、コイツの後ろをずっと走らなければならないのだ。

 「かも......な。だが、それだけでこの車についてゆくわけには行かない。」
 「そうだよなぁ......。」
 「妙義さえ見えりゃぁなぁ。見当もつくんだが。」

直進、安中市の表示がある。このまま行けば安中に出ることができることは間違いなさそうだ。

 「安中って言うと高崎に近い感じもするが、オレの方向感覚では直進で問題ないはずだ。」

 180SXは再び峠道を登り始める。前を走るのは件のトラックである。相変わらずトラックにしては相当速いが、180SXと比べるのは論外である。しかも彼はスポーツカーに引けを取らない(と勘違いしている)走りに陶酔しているらしく、その陶酔感を長時間持続したいがために、ドクターうるふがコーナーで抜かすことができないように、わざとブロックラインを走行している。右カーブでは完全に対向車線にはみ出している。

 「そんなことしなくったって、別にぬかしゃぁしねぇよ。」

 前のトラックの熱さとは裏腹に、ドクターうるふはきわめてクールであった。もう、諦めたのか。

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 「安中市だって。」

 ゆみごん社長が言う。道は峠を越え、視界が開けた。18号か。しかし、降りて行くドクターうるふの前には依然として、田園風景が広がっていた。まだである。時刻は既に15時13分。あと17分である。あと17分でこの迷宮を脱し、国道18号に出て、おぎのやまで到達しなければならない。前のトラックを除いては、道には誰もいない。件のトラックは、直線では一般道とは思えない速度で疾走していた。

 無論、ドクターうるふも彼のこうした走行は歓迎である。彼は今、池谷先輩なのである。真子ちゃんと逢えるか逢えないかの、人生の勝負なのである。2台の車はまるでそこが高速道路であるかのように、-いや、高速道路でも検挙されかねない速度で- 田園地帯を疾走した。

 「ちょっと不安定なんじゃない?」
 「オレか?」
 「前の車。」
 「確かに。まだ路面も濡れているしな。」

 そう言えば、今のくだりが記憶にないわけではない。そう、真子ちゃんと池谷先輩が軽井沢でデートした帰りの碓氷峠である。真子ちゃんの秘密が池谷に明かされる、悪夢の瞬間のほんの少し前の出来事だ。健二先輩の180SXに同乗していた拓海が健二先輩に「ちょっと離れたほうがいい」とアドバイスするのである。池谷先輩は真子ちゃんに「ドリフトができる」とウソをついてしまったため、ここで少し攻め込んでいたのだ。ここで拓海の言うとおり、池谷先輩駆るシルビアはケツが出たことでパニックになり、スピンしてしまうのだ。

 「池谷先輩、こんなスピード出せないかな。」
 「カーブでは出せないかも。1度スピンしてるわけでしょ。碓氷で。」
 「事故ったら元も子もないって、判断できる状態か、それとも夢中で突っ走ってるか......?」

 わかりはしない。が、基本的にグリップということで、タイヤの鳴らない速度での走行に徹した。トラックもまた、松井田方面へと向かっていった。依然としてドクターうるふと道を違える様子はない。

 「あ。」
 「どうした?」
 「安中榛名駅だって。」

 ドクターうるふは答えなかった。トラックは誰もいないが確実に赤の信号を無視して突破しそのまま消えた。ドクターうるふが先頭にたった交差点には、秋間梅林直進の表示が立っていた。

 「現在位置がわかっちまったぜ。」
 「どこ?何時につける?」

 ドクターうるふは左手に見える尾根を指差して言った。

 「あれを越えれば18号だ。時間内に着けるかどうかは......。」

 信号が青に変わる。ドクターうるふがクラッチをつなぐと、180SXははじき出されたように飛び出した。

 「時間内に着けるかどうかは?!」
 「......ギリギリのところだ。」

 時刻は15時18分。後10分あれば、状況によっては何とかなるかもしれないと思った。
 この峠の向こうに、国道18号がある- そう言う想いで峠を越えた。しかし。続いていたのはまだ田園風景だった。

 「もう一山あったか......。」
 「まだなの?18号。」
 「まだだった。もう一山あるらしい。」

 ドクターうるふは「松井田」と書かれた方へ進んだ。看板が出るとどうしてもそれに負けてしまう。現在位置を見失い、本能で目的地に向かうとき、あるときは本能に従い、またあるときは看板に従うというパターンが最も良くない。たとえば今回のように、良く知らない土地ではこの看板がさしている松井田とは、ドクターうるふの行きたい松井田であるとは限らない。松井田町がいったいどのような形をしていて、この表示が松井田に入ることを目的としているのか、松井田の市街地を指しているのか。また、この表示は基本的に松井田町内に入ると出なくなってしまう。漠然と看板に従っていただけでは松井田町に入ってから迷うという可能性もあるのだ。

 が、ドクターうるふはそのミスを犯した。今まで信じ、冴え渡っていた自らのカンを捨て、道路標識に従ったのだ。押し迫る時間のなか、ドクターうるふの心の中にも不安が広がっていたのである。恐らく道を知らない池谷先輩がこっちのルートを通ったとしても、そう言う不安と戦ったに違いない。少なくとも表示にウソはない。そのわずかな安心感のために、自らの信念を曲げた。

 本当にこれで合っているのか?ドクターうるふは自問自答した。今オレは、国道18号と平行して、いや、わずかに18号から離れるようにして走っているような気がする。このまま行けば、18号からどんどん遠ざかって行く......。しかし、相変わらず標識には松井田直進とある。行くか、曲がるか......?

 迷いながら、ドクターうるふは次の交差点も表示に従い、直進した。

 松井田って、どのあたりが中心地なんだろう。18号の北側か、南側か......。北側だとしたら、そしてこの表示の指す場所がそこだとしたら、この道は18号に出ることなく終わることになる......。

 オレは左だと思う。左に見えるあの尾根を越えれば、今度こそ18号がある。

 交差点が近づく。ずいぶん青が続いている。そろそろ黄色に変わるだろう。直進か、左折か。真子ちゃん、教えてくれ!-

「よし、左だ!」

 看板ではなく自分の信じる道を行く。恋愛とはそうしたものだ。「行かなきゃクビだ!」と言った店長の精神が、今うるふには本当にわかったのだ。言葉では理解していたが、本当にわかったのは今このときであった。既にこれは1時間で行けるかの勝負ではなくなっていた。

 恋愛と言う勝負に勝つ者。一人の女性に認められるのはたった一人の男。その判断基準は完全なる女性の独断であり、常識も理論も理屈もない。意中の女性の、完全なる個人基準のみで合否が確定のみ。で、あるならば-

 自分の信じる道ぶつかって行くのが良い。着飾ることもせず、格好つけることもしない。素の自分を見てもらうのだ。

 自分の信念を捨て、他人が設置した標識に従って敗北したら、後悔してもしきれるものではない。逆に選ばれたとして、それは「お前」か?

 15時25分。その判断の結果は、2分後に判明する。


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【基本タイム】

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「ハイオク......満タンだ......」

 「マンガと同じこと言うなよ。アホかと思われてるぜ。」
 「やっぱ、このセリフで行かなきゃダメだろ。」

 実際はこのような会話でやり取りされている。ゆみごん社長は女性ではあるが、このくらい言葉遣いが汚い。事実のみを読者に知らせるのが本研究所の責務であると認識するものであるが、女性であるゆみごん社長がこのような言葉遣いでは読者がドクターうるふの発した言葉と間違える恐れがあるため、女性らしいセリフに改ざんしてお届けしている。予めご了承願いたい。

 「この高速の時間を基本タイムとしよう。池谷先輩が渋滞に要した時間はこのタイムを参考に割り出そう。マンガのセリフから想定した約1時間が正しいのかどうか?」

 そう言うとドクターうるふは11時8分、出光を出発した。

 出光を出て渋川駅方面へ向かう。

 車は先ほどよりも多い。渋川駅前を右折するとすぐに、渋滞に遭遇した。国道17号に出る信号から続いているようである。

 「結構あるぞ。池谷先輩はこの渋滞には遭ってないだろうな。」
 「青、短ぇなー。ほとんど行けてねェじゃねーかよ。」

 確かに。何台通過できているのか、列の中から確認することはできないが、青の時間からしてそれほど多くはなさそうである。信号を見ることができるこの位置からでも、さらに後3回ほどは掛かりそうな勢いである。

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「真子ちゅわ~ん!!」

 180SXはすぐにあの歩道橋の下を通過した。道路は比較的空いている。池谷先輩の出発した午後8時30分ごろと言うのもおそらくこの程度の車の量であったと推測される。

 駅前交差点を右折。上越線の下をくぐり、国道17号へ。道が2車線になる。
 「インター入り口までのわずかなだが、ブチ抜くぜ。」
 ドクターうるふはフルブーストで加速する。

 「ちょ、ちょ、ちょっとまって。」
 「なんだよ?!もう一台抜けるのに。」
 「池谷先輩のシルビアって、ターボ?」
 「......じゃぁないだろうなぁ......。」減速するドクターうるふ。
 「じゃぁ、ダメじゃん」
 「そ、そうだな。健二先輩じゃないもんな。いっくら急いでも過吸はしないようにしよう。」

 180SXは、渋川伊香保ICの料金所へと入っていった。パワーウィンドウの効かない180SXで器用に自動発券機からチケットを受け取るドクターうるふ。

 「ドア開けてチケット取るのって、結構難しーンだぜ。」

 「でさー、どうなん?下から行った方が早いわけ?時間的には?」

 「ふっ‥。」
 ドクターうるふは右ウィンカーを出して、追い越し車線に入る。流れについて行けない車をあっさりとパスしながら言った。
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 「一般道がもたらす最大の恩恵は安さなんかじゃなく‥目的地まで理想的な直線コースが描けることこそ生命線。高速を使う車をブチ抜くことが一般道のカタルシスなら‥、オレは一般道を行く者に脈々と流れ続けている孤高のスピリッツが好きなんだ‥。」(出典:5巻78ページ)

 「は?」

 先程までの雨は止み、路面は既にドライへと変化し始めていた。高橋兄弟ばりの高速クルーズで180SXは関越自動車道を南下する。

 「こういう時って、何kmくらい出すかな。池谷先輩なら。」

 「わからないな。でも、オレならリミッターまで出すね。そうでないとダメだったとき、後悔することになる。だけど、常にリミッターじゃぁ、走れないだろうからな、物理的に。平均で言ったら、このくらいじゃないのかな。」

 そう言うドクターうるふのスピードメーターは1○0km/hを指していた。

 高崎JCTを過ぎたのは11時31分。23分が経過している。この先が藤岡JCTとなる。
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「真子ちゅわ~ん!!」

 「何、なりきってんの」
 「やっぱ、なりきらないと。そのときの池谷先輩の気持ち作んないとさ。オレはそのときの走りはできないと思う。」

 「結構早くない?高速。」
 「それを言われるとつらいぜ。実はオレもそう思っていたところなんだ。だが、ここからは結構かかると思うんだがな。」

 上信越自動車道は藤岡ICを経由するため、目的地の松井田妙義へ行くまでにかなり南まで行ってしまう上に、下仁田をも経由する。どう見ても効率のよいルートとは言えないのだ。ドクターうるふは、そこに賭けている。
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 だが、確かに予想以上に早く着きそうなことは否めなかった。Navin'youでのルート検索結果は出発地をあの出光に設定して再検索すると1時間1分。実際はもう少しかかるかと思っていたのだが。

 「このまま行くと1時間は、切るな。」

 再び降り出した雨の中、ドクターうるふはなおも池谷先輩になりきって、高速走行を維持している。180SXが跳ね上げた水しぶきは高々と舞い上がり、空を覆う雨雲と同化して行った。

 車は甘楽PAに差し掛かった。ドクターうるふは減速する。

 「何?着く時間を遅くしようってワケ?」
 「そうじゃぁない。甘楽PAの入り口と出口の間にオービスがあるんだよ(1999年当時。現在は撤去されているようだ)。この速度で行ったらさすがにヤバイからな。」

 サンバイザーも下げ、万一の場合には顔が写らないようにするドクターうるふ。念には念を入れている。

 「自動速度取締機設置路線の青い看板があっただろ。最初1枚出て、1kmくらい走るともう一枚出て来るんだよ。そうするとそこから1kmくらいのところにオービスがあるわけ。東名高速など、一部そうでないところもあるけど、たいていこのルールで設置されてるようだ。基本パターンとして覚えておけば、初めての場所でもオービスに引っかかる確率はぐんと下がるぞ。」

 甘楽PAを過ぎたのは11時44分だった。渋川を出てから36分が経過している。

 ドクターうるふは、アクセルを抜きたいというもう一人の自分を必死で押し殺していた。このコースにかかった時間が基本タイムとなり、次に走る一般道はそれを超える速さで走らなければ、池谷先輩が真子ちゃんに会えることはない。この実験を成功させたいのなら、今、遅く走れば良いのだ。先程ゆみごん社長が「着く時間を遅くしようってワケ?」と聞いたのは、そう言う意味がある。

 が、もちろんそれはできない。ゲリラ実験室の精神がドクターうるふのアクセルを踏む足を弱めさせなかった。たとえ実験に失敗しようとも、すべてを事実として公表する- これがゲリラ実験室の基本理念である。自らの推測を立証させるために、真実を曲げることは許されないのだ。

 雨は止み、路面も徐々にドライへと変わっていった。時間によって降ったり止んだりを繰り返しているのか、それとも場所によってなのか。いずれにしても日本列島に近づきつつある台風11号の影響であることは間違いない。ドライ路面とウェット路面を速いテンポで繰り返すドライブとなった。

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「妙義、どれかな。」

 妙義山にかなり近づいてはいるはずだが、どの山も雲に覆われてその姿を見ることができない。神々しい奇岩ひしめく妙義山は松井田妙義ICが近づいたことを実感させてくれるのだが、今日は事務的な標識だけを頼りにその感覚を味わうしかないようだ。

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「松井田妙義だ。下りるぞ。」

 最後の最後まで追い越し車線を走行し、ギリギリで左車線に入るドクターうるふ。そのままの流れで走行車線を突っ切り、減速車線へと入ってゆく。ほとんど誰も走っていないから良いようなものの、他車がいたら決して安全とは言えない走行である。

 「真子ちゃんが待ってるんなら、このくらいやるだろ。」

 無論、減速車線で40km/hに落とすことなどない。料金所ギリギリまで高速走行を維持する。

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 領収書を受け取るのと同じにダッシュ。が、下りてすぐの信号にかかる。急いでいるときの信号ほどもどかしいものはない。池谷先輩もこの気持ちを何度となく味わいながら、この道を走って来たに違いない。

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 青になるや否や、スタートする。右に曲がって、右手に上信越自動車道を見ながら、坂を下りてゆく。真子ちゃんの待つおぎのや駐車場までは信号にかからなければあと5~6分と言ったところだろう。

 180SXは国道18号に出る信号(交差点名:五料)にかかり、その後は車の列の最後尾を遅いペースで走った。先程までの高速走行のペースが体に染み付いており、時速60kmで走っていても遅く、じれったく、まどろっこしく感じる。

 「真子ちゃ~ん!」

 叫んでみるが、状況に変化は見られない。おぎのや直前の信号にもしっかり引っかかり、到着したのは12時5分。所要時間は57分であった。

 「とはいえ、思ったより早かったな。池谷先輩の言う『1時間以上』ってのはちょっと多めに言ったのか。夏とはいえ、夜の9時近い時間で、上信越道を長野方面に行く車ってあまり多くないだろうから、ま、事故渋滞つっても15分か20分だろうな。」

 「っていうと1時間15分程度が池谷先輩のかかった時間って想定できるワケね。」
 「予想では、な。」

 ドクターうるふは、即座にエンジンを再スタートさせた。
 「よし、戻るぞ。今度は一般道だ。」




【なぜ、高速?】

 ドクターうるふとゆみごん社長は渋川まで戻る間、そもそも池谷先輩はなぜ、迷いもせずに高速道路を使ったのかと言うことに関して議論していた。

 「やっぱ、間違いないからだろう。池谷先輩は始めっから真子ちゃんとの待ち合わせ場所に行く気がなかったから、一般道で行く下調べなんてまったくしていなかったんだろうな。そこへ店長にいきなり言われて予定外に行くことになったわけだ。池谷先輩の頭にも『一般道で行った方が......』という考えは浮かんだとしても、一般道は結構難しい。だからその賭けには出られなかったんだろうな。確実に着ける高速を選んだんだろう。」

 「渋滞の危険性はあるけれど、迷っちゃったらサイアクだもんねェ......。」

 が、ドクターうるふはストーリー性を逸脱した、現実的な面も指摘する。つまり、読者へのインパクトである。

 渋川からおぎのやまでの道すがら、池谷先輩は真子ちゃんへの思いをより一層強めて行くシーンがある。店長に指摘されたアドバイスを元に今までの真子ちゃんの池谷に対する態度を洗いなおし、自分の至らなさを悔やむシーンだ。

 この背景として書くのであれば、やはり高速道路の方が親しみやすい。出てくる地名は有名で、位置関係がわかる読者も多かろう。

 「天使を地上からつれ去らないでくれ‥」
 とか言っている背景に「榛東」や「箕郷」の地名があっても、ほとんどの読者はその位置関係を正確に知る事ができず、臨場感に浸ることができないだろう。しげの秀一にはそう言う不安があったのではないか。

 現に、中里と啓介のバトルをギャラリーしに行く際、拓海とイツキは一般道を通って妙義まで行っているが、その際のシーンはほとんど景色が紹介されずに終わってしまっている。この辺りの景色を描いても、共感を持てる読者は少ないと判断したのだろう。

 また、レッドサンズの連中が遠征するにもほとんど高速が使用されている。前橋から妙義など、確かに高速の方が早いだろうが、普通なら一般道で行く距離である。とくに『タイヤが減らない雨の日は朝まで走っている』というケンタなどは絶対に一般道から行くべきなのだ。
 にもかかわらず、高速道路を使うと言うのはやはりしげの秀一のこうした意図がこめられていることは否めない。

 「言えてるかも知れないなぁ。」
 「だからさ。池谷先輩が高速を使ったのは、純粋にストーリー上の問題だけではないかもしれないってことさ。」


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 「ねぇ、これ、おかしいと思わない?」

 ゲリラボ本部に来ていたゆみごん社長である。書架においてあった頭文字Dをごっそりもって来て読みあさっている。彼女はこうして時々ゲリラボ本部に現れては不可解な行動をとって帰ってゆく。本当に社長なのだろうか。

 「お、頭文字Dか......。最近オレ、読んでないな。で、おかしいってのは?」
 ドクターうるふはキャスター付きの椅子をスライドさせて、ゆみごん社長に近づく。頭文字Dの6巻を手にしている。

 「何で池谷先輩はさぁ、高速道路使って真子ちゃんに会いに行ったんだろう......ってね。」
 「確かに......。渋川から横川なら、オレは下から行く、な。」

 「MISSION2でやった、高速対一般道では熊谷(埼玉県)から勝沼(山梨県)だったじゃない?さすがにあれの場合は私も高速の方が速いと思ったけどぉ。これは私も下道だと思うんだよね。」

 パソコン上の地図で確認するドクターうるふ。

 「改めて地図で確認してみても、これなら絶対下の方が速いね。見なよこれ。関越を藤岡JCTから上信越で松井田妙義まで......こんなに遠回りだぜ?」

 「やります......か?」
 「やろう、上対下の検証。しかも今回は、頭文字Dのストーリー付きだな」




【所要時間】

 ドクターうるふたちがこの実験をするにあたって最も難儀したのはスタート点をはじめとするのルールの設定であった。今回はさまざまな条件が重なり、MISSION2のような同時スタートを切って競争することができない。

 車をもう1台、用意できなかったのである。

 「すると1台の180SXで両方のコースを走って、タイムアタック的に実験するしかないな。」
 「ま、そうするしかないね」

 ドクターうるふは頭文字Dの6巻を手に取り、ゆみごん社長に見せる。

 「183ページを見てくれ。ここに興味深い情報が載せられている。」
 「池谷先輩のセリフ、『ここから碓氷峠まで、1時間以上かかるし......』よね?」

 時間的な情報は多くない。真子ちゃんと池谷先輩との待ち合わせはおぎのやの峠の釜めしの駐車場。道を挟んだ横川駅川にある駐車場。待ち合わせ時間の8時には既に眞子ちゃんが到着している。

 池谷先輩が店長に言われてスタンドを出るのが8時30分。池谷先輩の計算だと9時30分過ぎに到着する予定である。が、神に見放されたのか、藤岡JCTを過ぎたあと、松井田妙義まで間のどこかで渋滞に遭い、予定外の遅れを喫することになる。

 池谷先輩が到着する1分前まで真子ちゃんは居た、と明記されているものの、実際に池谷先輩が何時におぎのやに到着したのかは不明である。

 渋滞の原因も明記されていない。池谷先輩が『事故かぁ?』とは言っているものの、それは渋滞の最後尾を見た池谷が「事故か?」と予想しているだけで、本当に事故渋滞なのかは記されていない。

 従って、登場人物のセリフなどから推察する頼りない時間をもとに実験を進めてゆくしかなくなってくる。

 ここで注目したいのは池谷先輩のセリフ、『1時間以上』である。2時間でも3時間でも「1時間以上」の条件には適合するが、「1時間を越え、1時間30分前後の時間を看ている」と予測するのが妥当だろう。

 マンガからも分かるように池谷先輩は決してうまいドライバーではない。しかし、池谷先輩は「2度とない」チャンスをものにしようと必死に走っている。遅くする要因と、速くする要因がひとつずつある。これがもし高橋涼介や中里毅などであったら、車種のこともあるし、b時間を書けたに違いない。

 「1時間以上」と言うのは現実味を出しながらも詳細はうまくぼかす作者のテクニックであると考える。

 で、試みに渋川駅前の交差点からNavin'youを使用してルート検索をしてみると、70km59分と出た。

 「......なーるほどねぇ......。そうすると池谷先輩はだいたいどのくらいで到着したのかしら。」
 「あくまでも予想の域を出ないが......。普通なら1時間、渋滞の影響で1時間半前後で到着したんだろう。池谷先輩は30分遅れで出発しているから、真子ちゃんは最大で2時間前後、待っていたと思われる。」
 「ヒールで2時間立って待ってりゃぁ、足も痛くなるわな。」

 「後は出発地の設定だ。それによって若干時間も前後するだろうからな。」





【スタート地点】

 頭文字Dには実際に存在する景色が数多く登場し、一見リアルに見えるマンガである。が、そのリアルさゆえに、今回はかなり翻弄された。

 池谷先輩が働いているESSOは渋川市内には実在しないと言うのが一般的な見方である。池谷先輩が働いている中央石油が他の都市に存在することが、熱心な頭文字Dファンの間ですでに判明しているからである。

 となると、この実験ではマンガの中のやり取りから渋川市内の架空のガソリンスタンドからスタートしなければならない。

 「頭文字Dでは『渋川のスタンド』とあるから渋川市内っていう条件は絶対だな。」
 「マンガでは場面が変わるとき、いきなり変えずにその近辺の景色を何コマか入れてから場面を変えるけど、頭文字Dでも池谷先輩が勤めるスタンドに場面が変わる前、この手法を多く利用しているよね。」

 「そう。それがここだ。」

※1999年撮影
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 「木の曲がり具合まで、徹底的に同じね。」
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 「そう。当研究所の調査によれば、頭文字Dの第1部では、他の場面から池谷先輩の勤務するESSOに場面が移るのは全部で100回ある。そのうち、この渋川市役所前からが4回ある。」

 「でもこれ、どのコマも完全に同じじゃない?標語も、走っている車も、ワイパーの角度もまったく一緒。」

 「だから、コピーして使ってんだろ。」
 「普通、車だけは描かないでおいて、後から書き足さない?」

 「ま、そうだよな。でもさ、意識的にESSOの前にこのシーンを持ってきてるとも言える。この景色の近くにスタート地点があるってことなんだよ。」

 「この道は渋川の駅前通り。このまま直進すれば、秋名山、つまり榛名山の峠に行けるわけね。1巻の176ページには『それっぽい車が上がっていく』姿をESSOのスタンドから店長が見て、『今夜は峠でひともんちゃくあるな』って言ってる。このときの「それっぽい車」と言うのは他の峠から来た車。地元以外の人が榛名山に向かう道と言ったらこの駅前通りしかないと思う。このあたりから判断してもスタンドはこの道沿いのどこかね。」

 「このほかにもメガネ屋前やJUSCOのシーンからESSOに移っている。」

JUSCO前(1999年撮影)
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 「信号とか道路の白線が完全一致。」
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 このほか、渋川市役所にほど近いNTT前が8回、渋川駅前が4回、出光が1回。

 「今言ったのはどういう共通性があるわけ?」
 「どこも渋川駅の駅前通り。100回のコマ移動のうち、きちんとコマが埋められているのは39回。それ以外はただコマがスクリーントーンなどで塗りつぶされているだけだ。」

 「つまり、39回のうち、市役所前が4回、メガネ屋前が1回、JUSCOが5回、NTT前が8回、渋川駅が4回、出光が1回......渋川駅前通りがらみが23回を占めているってわけね。」

 「そう。実に56%が渋川駅前通りなんだ。しかも、イツキがハチゴーを買ってしまったとき、池谷先輩と健二先輩がイツキをしてしまい、耐えられずにイツキが走り出すシーンがある。これを拓海が追いかけて行って、イツキに追いついたのがJUSCO前なんだ。」

 「走って追いつくんだから、そうバカみたいに遠くまでは行かんわな。JUSCOのすぐ近くにESSOがあることになる......。」


「で、これらの位置から無理なく予測できるのは......」
「この出光ってわけね。」

 「そう。ジャスコから伊香保方面に20~30mと言ったところだ。」
 「でも、ESSOが描いてあるシーンには向かいに必ず高いビルが入ってる......。この出光の場合は向かいはローソンになってるけど。」

 「ところがさ。しげの秀一の場合、木の曲がり具合や看板、広告の文字まで全て正確に再現されているのを見ると、おそらく写真か何かに撮ってきたものをそのまんま、アシスタントに描かせているんだろうな。でさ、このESSOは渋川市以外のどこかの都市に実在するらしい。」

 「つまり、ESSOといっしょに描いてある背景はそっちの背景ってこと......?」
 「そう考えるのが自然だよな。つまり、背景は実際と同じ物を描いているけれど、それは写真に撮ってきたものをそのまま描いているからであって、必ずしも位置関係とリンクしているわけじゃぁない。むろん、あまりそっくりに書いてしまうとマズイ部分もあるからだとは思うが。
 ESSOと同じコマに描いてある背景ではなく、その前のコマを参考にした方が良いって言うのは、そう言う理由からだ。」

 「そうねぇ。そうするとやっぱりこの出光が最も妥当な位置かもしれない。回数から言ってもそうでしょ。ここがスタートで良いんじゃない?」



1999年、秋。
ドクターうるふはとある組織を発足した。

目的は見過ごされている、
180SXの持つ「速さ」以外のポテンシャルの追求。
-その組織の名は-

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「ねぇ、これ、おかしいと思わない?」
「何で池谷先輩はさぁ、高速道路使って
真子ちゃんに会いに行ったんだろう?」

ゆみごん社長
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ドクターうるふ
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何も高速料金払っていくところじゃない。
もちろん、オレは下から行く。
人気マンガ、頭文字D
誰もが抱いたその疑問に、いよいよゲリラ実験室のメスが入る!



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「木の曲がり具合まで、徹底的に同じね。」

とことんまでストーリーにこだわり、忠実な再現映像でお送りする!


「真子ちゅわ~ん!」

ドクターうるふ扮する池谷先輩が、
一般道で真子ちゃんのもとへ!

「つまり‥‥、そういうこと?
あたしに‥女として
魅力がないってこと?」
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これは一体、マンガか?!写真か?!
かつてないスタイルでお届けする、驚愕の実験報告!!



ゲリラ実験室、MISSION9。
20年前のWeb記事を忠実に再現!

下から行けば間に合った?
神様が与えたワンモッチャーンス!

頭文字Dの1~6巻を熟読して待て!


ロータスエリーゼ車載工具のレギュラーメンバーに大きな動きがあった。2週間前にアップしたこのシリーズのブログで十字レンチを紹介した際、本当は「クスコスマートクロスレンチ」が欲しかったと書いた瞬間、20年前の物欲不発弾が爆発。確か最初に見たのはOPTION誌の新商品紹介のコーナーだったと記憶するが。そうなると、20年近く前になる。

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 ■このブログの内容

 ・何度でも言う。車載工具でタイヤ交換はできない! 

 ・十字レンチ。要るのは分かったが、スペース取りすぎだろ! 

 ・機能美と軽量と収納性を考えれば安すぎる!
 



■何度でも言う。車載工具でタイヤ交換はできない!

 十字レンチ。

 クルマ好きなら、絶対に外せない工具である。何故ならタイヤ交換は車いじりの基本だし、いかにテクノロジーが進んだ今と言えども、結局車体と路面をつなぐのはタイヤであり、ここがトラブルに遭えば、 -例えばパンク- クルマは走ることができない。

 「公道は戦場だ」とは、こちら葛飾区亀有公園前派出所に登場する白バイ隊員、本田の言葉であるが、僕はこれは真理だと常々思う。だから、何が起きるか分からない、何が起きてもおかしくないのである。

 タイヤのトラブルと言えばパンク、そこから脱する方法と言えばタイヤ交換である。"普通の"車にはそういう時のためにスペアタイヤが用意されている。なぜ、用意されているのか?交換するためだ。

ユーザーが交換していいと、メーカーが言っているのだ。

 しかし悲しいかな、燃費のための軽量化の波、コストダウンの波、そして実際にオーナー自身が実際にタイヤ交換できるのか?という現実的な問題を加味した結果、車載工具はどんどん簡略化され、今となってはほぼ「戦場である公道」では使えない武器に成り下がっている。

 事実僕がそうだった。もう、このブログでも何度も書いているが、改めて言う。初めてのパンクで教習所で教わった通りに車載工具でタイヤを外そうとしたが、外れない。教習所で毎回付け外しされているナットと違い、外したことなどないタイヤのナットは固着していて回らないのである。

 僕は力自慢の方ではないが、それでも世の公道を走る女性ドライバーの平均よりは力があると思っている。その僕が大学当時、外せなかったのである。となれば、女性を中心とした多くのドライバーは、車載工具ではタイヤ交換ができない、と看ていいだろう。

 この経験から、僕は十字レンチと延長パイプは絶対に車載すべきと主張するのである。これを積むだけで必ず自力でスペアタイヤに交換できるようになる。

パンクしたらJAF呼べばいいじゃ~ん!

 それも良いが、一つ聞く。実際トラブルに遭ってJAFを呼んだことはあるか。180SXだけでも31万km乗っている僕は、自力で脱したトラブルも数知れないが、逆にJAFのお世話になったこともかなり、ある。

 JAFはすぐ来てくれるとは限らない。まぁ、平均1時間だろう。何時に来ると決まっているならいい。しかし、実際はもっと早いかもしれないし遅いかもしれない。だから結局クルマで待たなければならないのだ。作業に更に30分。終わったら書類書いて...。早くて2時間である。

 経験のない方は、技術の進歩でパンクも起きなくなっているなどと思っている人もいるかもしれないが、その様なことは一切ありません。土曜日にパンクして、翌日の日曜日にまたパンク、という悲劇もあり得る。僕がそうだ。起きるときは起きるのである。

 それが、自分でタイヤ1本交換するなら、事前に練習していれば、10分だろう。(トラブルに際してその時初めてということであれば、それはいくらでも時間はかかりますがね...)

 そのために必要なのが、十字レンチと延長パイプなのである。


■十字レンチ。要るのは分かったが、スペース取りすぎだろ!

 で、十字レンチである。これがあれば、タイヤ交換は可能だ。90cmの延長パイプがあれば、非力な女性でも絶対に外せる。

 但し。である。

 十字レンチとはなぜこのような形状なのであろうか。ジャマだろ!と、言いたい。土曜日パンクして、直した翌日またパンクということがある、さっきそう言った。しかし、起きない時はもちろん起きない。10年起きない人もいる。しかし、いつ起きるか分からない以上、十字レンチは積むべきだが、何の工夫もない十字レンチは、これも何度でも言うが、ジャマだ。

 いつ起きるか分からないパンク。その為に十字レンチは必要。しかし、積めばジャマ。どうすりゃいいんだ?!

答え。クスコスマートレンチを買えばいい。これである。

■機能美と軽量性と収納性を考えれば安すぎる!

 20年も買わずにいた僕が言うのも何だが、総合的に考えて、この機能性とそこから来る美しさ、軽量さ、収納性を考えれば、これ以外に選択肢はないと思う。TONEやKTCのブランド性を以てしても、これだけの利便性を突きつけられれば、クスコスマートクロスレンチに軍配が上がると、僕は思う。だからここまでロングランであり続ける商品なのだと僕は思っている。

 まず、凄いのはその軽量性。僅か900g。エリーゼを買いたいと思う人はその時点で軽量マニアであると思うが、そのお眼鏡に適う、数値で表されるスペックであろう。十字レンチと比べてみてもその軽さは十分に感じることができるだろう。

 そして、特筆すべきはその収納性だ。10年パンクがなければ、10年間使わずに積むだけになるかも知れない。それでも常備せねばならないのが十字レンチなのだ。ならば、収納性が高いに越したことはない。

 クスコスマートレンチが驚異的なのは、1本の棒になるところである。この驚異の収納性を誇る十字レンチを僕は他に知らない。これなら車のどこにでもしまえるであろう。狭いエリーゼにあって、収納場所を選べるほどのコンパクトさなのである。

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 その上で有難いのが、収納時のコンパクトさと軽量性を持ちながら、長さは一般の十字レンチ以上を誇る点だ。気づかなかったが、十字レンチももしかしたら自身が嵩張ることには肩身の狭さを感じていて、実は控えめな大きさになっていたのかも知れぬ。しかし、それが仇となる。短ければ、いざと言う時回らない、という事態になりかねないのだ。(延長パイプがある場合は別)

 クスコクロスレンチは、今僕が使っている折り畳み式十字レンチよりも長い。現場では、力点1cmの距離を稼ぐことが、回る・回らないを分けることもある。商品としてこの長さになれたことは、他の追従を許さぬ収納性という自信から決断できたものだろう。

 しかしそれだけではないところが、この商品の恐ろしい所だ。

 なんと、もともと長いこのレンチを、状況に応じてつなぎ方を変えることで、より大きな力をかけられるようになっているのである。
 今回買って初めて知ったのだが、青い棒には穴が2か所あって、遠くに挿せるようになっている。銀の棒の方にも中心の他に先の方にも固定できる機構が備わっており、長い位置でセットすることが可能。

 十字となる2本の棒を分けたままにすることによって、1本の棒になるという高い収納性だけでなく、状況に応じて力点を伸ばせるという、機能性まで持たせることに成功している。ナットが固着して回らないことがあるという現場を知っているからこそ、この機能を実装できたのであろう。

 これは、トラブルの現場で大いに役立つ機能だと思う。これにより、力点を延長するための鉄パイプを持たない選択肢も見えてくる。僕は、他のシーンで使う可能性はまだ残っているので載せておくが。

■まとめ

 なぜ今までこの商品を買わずにいたのか。それは、もう、機能性は低いとはいえ、普通の十字レンチ1本、メルテックの折り畳み十字レンチ1本を持っていたからである。使えないわけではない。カネは他に回そう、そう考えてきたまま買わずに来た。しかし、先日タイヤ交換に必要な道具のブログを書いて物欲不発弾が爆発してしまい、アマゾンで検索すると、「こんなに安かったっけ?」と拍子抜けした。金銭感覚もだいぶ変わったのかもしれない。

 ということで、すぐにポチって買ったわけだが、この価格なら、絶対に最初の1本からこれにするべきである。高いと言っても普及品の4~5倍くらいで絶対的な価格も4,500円程度。これで得られる幸福は大きい。


 ■この工具をエリーゼに積む理由

 ・機能性、軽量性、収納性、全てにおいてパーフェクト。 

 以上!他に何か理由が必要だろうか? 


クスコスマートクロスレンチ
17mm,19mm,21mm(amazon)

ロータスエリーゼを買った!納車まで約2週間程度は一日千秋の想いだろう。ただ待つだけでは苦しすぎる。エリーゼがあなたの自宅に来るまでの間に用意しておきたいもの4選のうち、いよいよ2位と1位を紹介する。これを買って待てば少しは気が紛れるはずだ。もちろん、エリーゼ以外の車種であっても参考になると思う。


 ■このブログでわかること

 ・エリーゼ納車当日までに準備しておくもの 

 ・第2位~第1位発表 
 

このブログは動画にもなっています。

■第2位~1位発表

 【第2位】拭き取りクロス「プラスセーヌ」

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 拭き取りクロスは、車体に付いた水を拭き取るためのものである。これが必要な理由は、最低限の、クルマをキレイにできる環境を作るためである。

 車は濡れたままの状態で自然乾燥させると、水滴の跡がついてしまう。雨水には空気中の不純物が含まれているし、水道水も純水ではない。雨水でも水道水でも、水滴は時間がたてば空気中の埃や塵を吸着し、車体表面に付着したホコリなども溶け込む。

 これらが自然乾燥すると、不純物が水玉の形状となって残るのだ。

 これは次に同じ場所に水滴を作る要因になり、同じ場所に水滴が付けばレンズ効果、塗装面への紫外線の当たり方の差異、不純物の塗装への攻撃などが、全て同じ場所になる。これがやがてウォータースポットとなっていく。だから、水滴は自然乾燥させず、すぐに拭き取るべきなのだ。

 洗車を怠って固着させなければ、汚れは水で浮き上がらせて、手でも落とせる。ついて直ぐの汚れであれば、水の勢いを高めればだいぶ流れてくれて、こする前にかなり量を減らせる。

 シロウトである僕が、車体を傷つけないためには、車体表面のホコリを減らし、こする回数を減らすのが一番だ。だから僕は、シャンプーやワックスはあまり使わない。車体をこする回数が増えるからだ。水で極力汚れを飛ばし、そうでないものは浮かせ、手で落とす。次にこの拭き取りクロスで水を拭き取って終わり。車体に触るのはこの2行程のみ。

 この拭き取りクロスは、高い吸水性を持ち、少ない拭き取り回数で車体の水をなくしてくれる。これを普通のタオルでやれば、3倍くらいの回数拭かなければダメだろう。その分傷つく。

 前置きが長くなった。(いつもだが)

 何が言いたいかと言うと、納車当日が雨かも知れない。水たまりに入るかも知れない。砂利道を通ればほこりを巻き上げ、ストップランプや後ろのロータスのエンブレムの辺りはホコリまみれになっている。鳥のフンをかけられるかもしれないし、田んぼから上がった耕運機が道路に粘土質の土をばらまいている場所を走るかも知れぬ。(また長い)

 納車日も、車体は容赦なく汚れる。

 あまり神経質になる必要もないが、帰ってから洗いたくなる事態が起きる可能性は十分にある。

来週は、起きてすぐに乗りたいだろう?
だったら、今週のうちに綺麗にしておくことだ。

 拭き取りクロスさえあれば、ディーラーからクルマを受領後、自宅ですぐに水洗いできる。エリーゼは小さいクルマだから、15分くらいあれば水洗いしてこの拭き取りクロスで乾燥状態まで持って行ける。実に簡単だ。簡単だからやるべきなのだ。それを納車初日からできる状態にしておきたい。そう言うことだ。

 後回しにすれば汚れはどんどん固着していき、洗車はどんどん面倒になり、その分、塗装面への攻撃性も増す。だからなるべく早くキレイにしておくのだ。

 僕が利用しているのは、アイオンというメーカーの「プラスセーヌ」と言う商品で、サイズは430×325mmの大きさだ。他にも似た商品はあった気がする。別に機能が同じならどこのでも良い。

【参考動画】ロータスエリーゼ 雨上がり 車体のためにすぐやるべきこと



 【第1位】カーカバー

 当たり前すぎて恐縮だが、カーカバーである。ガレージのある人はたぶん要らないと思う。ガレージも下に隙間があったりすると結構ほこりが来るみたいなので、ガレージがあっても、併用、というケースもあるのかもしれないが。

 エリーゼは構造上、エンジンルームに雨水が容赦なく入ってしまう。もちろん、きちんと防水されているから壊れることはないが、長期でみたときはやはり雨が入って乾いて...を繰り返さない方が良いに決まっている。ほこりをかぶった後雨が降れば、雨水の流れる場所にその跡が付いてしまう。エリーゼでは、両サイドのエアインテークの下はそうなりやすい。ていうかどの車もこの辺りは屋根から落ちてきた雨が集中するのか、共通してそうだと思う。僕は結構気を遣っている方だと思うが、それでも雨水の流れた跡が付いてきている。

 カーカバーは雨風はもちろんとして、それ以外にも、鳥のフン、枯葉や鳥の羽など、結構いろいろなものが空気中を舞っているものだと知らされる。僕のエリーゼのエンジンフードやラジエーターのエアアウトレットはフィン形状で穴がデカい。シリーズ3とかになってくると網目状になっているようだが、カバーをかけずにいるとここに枯葉などが入り込む。特にフロント側は取り除くのに一苦労する。撮ろうとするとどんどん奥に行ってしまい、無理をするとフィンの根元を割ることになるので入ったら手では取らずに最初からピンセットのようなものを使おう。前回紹介した、レザーマンウェーブのペンチでも初期症状なら事足りることもある。

 しかしながらカーカバーは弊害もある。車体と直接触れ合っているため、車体を傷つけるのだ。詳しくは下の動画を観て頂きたいが、カーカバーは風などで簡単に舞い上がったりするような軽いものではダメだ。舞い上がるということは空気が入るということであって、空気と一緒にホコリも入る。それが車体に乗り、今度はカーカバーとこすれる。ホコリは拡大すれば微細な石であり、カーカバーの動きによって、車体に石をこすりつけているのと同じことが起きてしまう。

【参考動画】カーカバー間違えるとキズになる!

 その結果も動画にあるが、リアスポイラーの先端が剥げてしまった。バックミラーの先端も同様。バックミラーをしまえないエリーゼの仕様が仇となった。

 つまり、カーカバーは内側の素材ができるだけ車の塗装面にやさしいものが使われ、風などでは簡単にヒラヒラしないような重さが必要ということだ。

 僕は、この対策で購入した、「カバーライト」というカーカバーは、その期待に応えてくれるものである。内側の素材も起毛のような感じで車体にやさしそう。何より素材が厚くて重いので、風で動きにくい。

 実際、こちらにしてから、カバーを外した時に車体に載っているホコリの量が激減した(ゼロではない)。侵入するホコリが少なければ塗装面への攻撃性も減少するし、カバーの動きがなければなおさらだ。

 これにより、カバーを付けることの弊害は大きく減少し、メリットの方が大きくなる。総合してカバーを付けた方が良い、という領域に入れる。

 逆に言うと、下手なカバーなら、付けない方がマシ、という結果にもなるのでカバーは慎重に選びたい。


■まとめ

 2位と1位、いかがだっただろうか。

 両方とも車体のケア用品となってしまったが、塗装面の劣化は一度させてしまうと取り戻すことは難しい。それだけに、最初からの地道な積み重ねが、劣化度のグラフの傾きを限りなく緩やかにしてくれるわけだ。

 では、僕はメチャクチャ車体に気を遣っているかと言うとそうではない。ただ、180SXでは完全無頓着で塗装をボロボロにしてしまった。30年、30万kmだから仕方ないが、実際にそうしてきた結末を身をもって感じたので、そこまで神経質になることはないと思うが、それでもこれだけやっておけば相当違うだろう、そう思っている。

 ハッキリ言って僕は日常生活でもかなりエリーゼを使っているので、ある程度は仕方ない。ただ、日常生活でもできるレベルでは気を遣っていきたい。できないことは続かないのだ。

 その結論が、この拭き取りクロスであり、カーカバーなのである。
拭き取りクロス「プラスセーヌ」(amazon)
   
ロータスエリーゼを買った!納車まで約2週間程度は一日千秋の想いだろう。ただ待つだけでは苦しすぎる。エリーゼがあなたの自宅に来るまでの間に用意しておきたいもの4選のうち、4位と3位を紹介する。実際必要だし、少しは気が紛れるはずだ。もちろん、エリーゼ以外の車種であっても参考になると思う。


 ■このブログの内容

 ・選定の趣旨 

 ・第4位~第3位発表 
 

■選定の趣旨

 エリーゼを購入して3年。ようやくエリーゼについて少し引いて見れるようになれたと思うし、エリーゼのために買った道具などについてもかなり要・不要の評価が定まって来たと思う。

 そこで今回は、エリーゼ購入間近、もしくは購入を決めて納車を待っているという方のために、納車して、お店から乗って帰るときや最初の晩から使いたいものを紹介する。

 最初にドライブやツーリングに行く、と言うテーマではない。それはまた別のブログで検討しているので、それはまた別で楽しみにして欲しい。

 あくまで僕の個人の経験からお伝えするのであって、読者の環境によっては不要の物もあるかも知れないが、そこは自身の環境と照らしてお読み頂ければ幸いである。


■第4位~3位発表

 【第4位】ジャンプスターター

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 これは何位にするか非常に悩んだが、僕の場合は現時点で一度もお世話になったことはなく、実際に使ったのは妻であるピパ子氏のNOTEのバッテリー上がりが唯一である。

 しかしながら、エリーゼは非常にバッテリーが上がりやすいクルマだというオーナー諸氏の報告もある。その最たる原因はセキュリティであると言われている。常にLEDライトが点滅し、確かに電力を消費している感がする。先週までは普通に乗っていて、翌週にはエンジンがかからない、ということもあるようだ。

 ちなみに僕はローバーエンジンのSr.2だが、エンジンをかけない土日を2回挟んだことがあり、その次の3度目の土曜日にエンジン始動したが、ややダルさはあったものの、一発始動さいた。

 セキュリティだけではない。Sr.3やトヨタエンジンのSr.2などは分からないが、僕のについては、エンジンを止めても、キーを抜かない限り、ACC電源は生きている。さらには、キーを抜いても、シガーソケットの電源は生きているのである。つまり、シガーソケットからソケットを引っこ抜かないと、機器は動作し続けててしまうのである。

 まだある。僕のエリーゼの場合、室内灯が運転席背後の壁の部分にあり、ライトそのものがスイッチ代わりになっているという非常にユニークなものだ。

 僕はここをモノ入れに改造しているせいもあり、出し入れ時に良く手が当たる様で、いつの間にかスイッチがONになっていた、ということが何度かあった。全て偶然だが、何の気なしにエリーゼに戻ったら点灯に気づいて、結局事なきを得ているが、ヒヤリハットは結構頻繁に起きている。

【動画】シート後ろの謎のスペースをモノ入れに改造

 最近のエリーゼはここがモノ入れになっているのか(上記YouTubeに頂いたコメントによれば、ネットが付いていたり、車検証入れになっていたりするようだ)、この室内灯がどのような形状なのかわからないが、このようにバッテリー上がりにつながりそうな要因はそこかしこにあるのである。

 納車当日となれば、機器の操作もまだ慣れておらず、冷静さも失っているだろうから、納車の翌週、いきなりバッテリー上がり、と言うことも考えられる。死ぬ思いで待った納車翌日、いきなりバッテリー上がりとあっては、オーナーは下手するとショック死してしまうかもしれない。

 そこで必要なのがこの、ジャンプスターターである。すでにご存じの方も多いと思うが、僕はエリーゼ購入当時知らなかった。納車時にディーラーの方にバッテリー上がりには注意する旨と(ディーラー自身が言うのだから、やはりバッテリー上がりの事例はかなり多いのだろう)、回避策としてこのジャンプスターターの存在を知らされた。

 前述の通り、結局エリーゼでお世話になったことは一度もないが、NOTEで一度だけ使用したことがある(下写真)。モノとしては、スマホのモバイルバッテリーの親分みたいなものがあり、これに充電した電力で、ジャンプ始動するわけだ。マニュアルにある通り、このバッテリーから付属の専用コードを使い、バッテリーのプラスとマイナスに接続する。

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 後はエンジンをかけるだけだ。今回、ACC-ONにしたままだったというトラブルで、バッテリーはほぼ完全に上がり切っていたと思われるが、ウソのように一発始動した。救援車と接続する方法などとは比べ物にならないくらいシンプルだ。何より、他人の助けが不要で自己完結できるのが良い。

 もちろん、これはあらかじめバッテリーに充電されていなければならないが、充電用のシガーソケットがあるので、常に車載して充電しておけばよい。ただ、エリーゼに関しては、先ほども言った通り、シガーソケットは常時通電状態だ。エンジン停止時にこれを抜き忘れると、ジャンプスターターの充電を抜き忘れたためにバッテリー上がり、という込み入った事態にもなりかねないので注意が必要だ。AC100Vでも充電できるので、ツーリングの前日などにあらかじめ充電して、そういう時だけ持って行く、と言うのもアリだと思う。


 【第3位】シートを保護するもの

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 本当に事故はいつ起きるか分からない。納車して、一発目の乗車でシートの革をジーパンのリベットで破ってしまうかもしれないのだ。

 僕の場合は布シートだったが、購入時既に63,000km走行ということで、試乗時から現状の説明で言われていたが、シートは既に使用感がだいぶ出ていた。こうなればもう先は見えている。僕の180SXのバケットシートがそうだ。乗降時によく当たる場所から擦り切れて破れていく。(下写真)

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 面倒なもんだから、「破れたらシートを換えればいい」などと対策を怠る自分がいるが、実際180SXで破れてシート交換をしたのかと言うとしていない。それも面倒だし、安いものでもない。古いシートを捨てるのにも難儀する。結局、やらないのだ。(さすがにエリーゼなら換えるかも知れないが)

 であれば、破れる前に対策するのが一番だ。

 もちろん、これは汚れの対策でもある。エリーゼの場合、個体によるが、エアコンの効きが悪く、汗だくで乗らなければならない場合もある。その時にこうしたシートを保護するものがあれば、シートの汚れをかなり軽減できる。

 モノは何でも良いのだが、座面に落ちたゴミやホコリ、髪の毛などを受け止めてくれて、時々このシートごと外してサッと払えて、洗えるものなら何でもいいと思う。

 ちなみに僕が今使っているものはホームセンターで1,000円くらいで買える、家具などの運搬時に室内の壁などを傷つけないように養生するための保護マットだ。商品の売り文句としては、レジャーシートなどに使っても良いとある。長さも色々あるので、好きなものを選べばいいが、エリーゼの場合は、サイドシルが高いので、シートサイドがこすれてダメージを受けることはあまりなさそう。もしかすると、ショルダーサポート当たりの方がより摩耗しやすいかもしれない。となれば、上記写真の物は未だ短くて、もっとヘッドレスト部分まで覆えるようなものの方がより良いかもしれない。

 そうすると結構なサイズになるので、納車時からそれを持って行くとさすがにディーラーのセールスも引くかもしれないが、当日は金属や突起物のあるウェアは避け、以後はこの様なものでシートを保護すると良いだろう。

 もしかすると、専用品もあるのかもしれないが、それについては固定方法にも注意。ベルトのような固定具で点で力が加わるような固定方法だと、そこが摩耗する可能性がある。なので僕は、都度位置を直す必要はあるが、シート面に無理な力が加わらない、単に置くだけのものにしている。


■まとめ

 4位と3位であったが、いかがだっただろうか。

 ジャンプスターターは、とにかく便利で、エンジン始動だけでなく、USB給電ポートもついているので、普通のモバイルバッテリーとしても利用可能だ。これは買って損はないだろう。

 シート保護の素材は、僕は使っていて良かったと思っている。専用品にしなかったのは、電動ジャッキのケーブルをシガーソケットから取るときにケーブルが直接車体に触れるのを保護したり、ちょっと車体に当てたくないような金属むき出しの工具などをトランクに出し入れしたりするときに、車体を保護するために使用したり(それこそこれ本来の使い方である)と、汎用性もあるからだ。

 今回は、自分の使っているものが出て来ないので、アマゾンのリンクを貼るのは控えることにする。特に、ジャンプスターターは電気機器なので、自分が使った経験のないものは紹介できない。

 いずれも、「ジャンプスターター」「養生クッション」でアマゾンで検索できるので、自身で良いものを探して頂ければ幸いである。僕が使っているジャンプスターターは15,000mA、養生クッションのサイズは60㎝×100㎝だ。

 養生クッションは滑り止め付きのものもあるが、これは床面に置いたときなどを想定しているもので、シートに使う場合はどんな影響があるか分からないから、ない方がよさそうに思う。
ロータスエリーゼを買って3年。レギュラーメンバーとして今でも車載している工具を一つずつ紹介する。6回目の今回は、「レザーマン ウェーブ」。ナイフを含むので正直車載はしていないが、自宅でエリーゼをいじるときは良く使うので紹介したい。


 ■このブログの内容

 ・「切る」以上に多い「掴む」作業 

 ・しっかりしたものを「切る」時はこのくらいのナイフが必要 

 ・ペンチとナイフでいいのでは?まぁ...。確かにそうかも、です... 
 

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■「切る」以上に多い「掴む」作業

 僕は小学校の頃、ビクトリノックスを見た強烈な印象が刷り込まれているので、ビクトリノックス至上主義で来たが、クルマをいじるようになってレザーマンのペンチを主体としたツールに共感するようになり、ミニツールもスイスチャンプからレザーマンのスクオートに移行するなど、実戦で使えるのはレザーマンである、と認識が変わってきている。

 ビクトリノックスも最近はペンチを主体としたツールを出して来ている所を見ると、それが実態だという証左であろう。

 ビクトリノックスのツールにもペンチはあるが、釣りで魚に飲まれた針を外すくらいは良いと思うが(それもレザーマンの方がよほど使える)、ハッキリ言って車いじりで使えるものではない。理由は簡単で、例えばビクトリノックスのスイスチャンプなどについているペンチは指先で操作するものであり、手全体でグリップを掴めるものではないからだ。

 レザーマンのペンチは、マルチツールだからと言った妥協は一切ない。単体のペンチとしても全く遜色ないレベルの精度と安心感がある。先の細さがエンジンルームなどの狭い所でも重宝するし、針金や電線を切るのも全く不安はない。

 タイラップをガチガチに留めたいとき、奥にあるボルトなどを掴みたいときなど、先の細いペンチの形状が実によい。点で力を入れたい場合、指の力では不足な場合などに重宝する。クルマいじりではエンジンルームやシートの下など、自由が利かないスペースでの細かな作業や力のいる作業もある。そんな時にこのツールが役に立つ。


■しっかりしたものを「切る」時はこのくらいのナイフが必要


 このナイフは指先でつまんで使うようなサイズ感であり、広い場所で使えるなら良いが、エンジンルームの奥のような場所や、ある程度しっかりした物を切るようなケースではお勧めできない。その時も書いたが、指先で掴むサイズのマルチツールは、滑ったり、エンジンルームから手を抜くときにどこかに当たったりなど、不意の事態で落下させる可能性がある。

 奥の方で良い態勢が取れないような場合は、手全体でガッチリと握って切らないと、細いタイラップでさえ切れない。

 そういう時にビクトリノックスで言えばミニチャンプ等、レザーマンで言えばスクオートなどのサイズではダメで、レザーマンウェーブくらいのサイズが欲しい。ロック機構もあるので、その点も安心。ちなみにウェーブは全てのツールにロック機構がある。

 特にタイラップを切るときなどはこのナイフは最高である。下の動画では、エリーゼの純正エアクリーナーボックスに通じるホースを停めているタイラップをレザーマンウェーブで切っている



■ペンチとナイフで良いのでは?まぁ...。確かにそうかも、です...

 実際、レザーマンの何を使うかと言うと、ペンチとナイフが殆どである。時々やすりも使うが...。ハサミやドライバーなどはちゃんとしたものを車載しているのでこちらを使うことはまずない。

 従って、レザーマンでもウェーブなどのヘビーなものではなく、もっと数が少ないもので良いと思う。

 もっと言えば、ペンチとナイフをそれぞれ別で持てば良いのでは?と言われると、単に道具としてだけであれば、その案を否定する材料はない。キャンプや釣りや登山もする、と言う人はレザーマンの他のツールも使うシーンがあるが、車いじりだけのためであれば...。確かにそうですね。

 ただ、レザーマンのペンチはペンチ単品としてもかなり秀逸だ。掴む機能、針金などを切る機能をとっても、ある程度まともなペンチでないとその代わりは務まらないだろう。その場合、ウェーブのペンチは先が尖っているのが結構使い勝手が良いので、そういう形状のペンチが良い。あと、単機能のナイフで僕がお勧めするとしたら定番だが、BUCKのフォールディングハンターとかでも良いと思う。このナイフも、メインフィールドは山、釣り、キャンプですね。


■まとめ

 書いていて初めて自分で気が付いたが、この道具は実際車いじりで良く使うものの、ただそれは、アウトドア目的で買って、使い慣れているから使うのであって、これから車いじりだけのために買うなら、これである必要はないかもしれない。

 ただ、レザーマンの出自はやはりクルマを修理する、ということをメインに据えたためにペンチが主体のツールとなったわけであって、クルマいじりメインで選ぶことに何ら問題はない(自己弁護モード)。

 更に、クルマで行った先でキャンプや釣りや登山をしたりする、と言うように行った先でのアクティビティにまでオーバーラップした使用も視野に入れるなら、このツールは生きてくる。枝を数本ノコギリで切って先を削ってペグを作るとか、火にかけた鍋ややかんを掴んだりすると言った作業も一つのツールで行える。

 僕の中では車いじりでも、ちゃんとしたナイフとなればレザーマンウェーブを手に取っている。それは間違いないのだが、今回はいささか思い入れが先走った部分はあったかもしれない。


 ■この工具を使う理由

 ・掴むことには一切妥協がない。針金や電線を切るのも同様。 

 ・ナイフとしてもハンドルを手全体で保持できるサイズ感で安心感がある。 

 ・クルマで行った先でのアクティビティと共用するならこのツールはおススメ。 


 
レザーマン ウェーブ(amazon)
ロータスエリーゼを買って3年。レギュラーメンバーとして今でも車載している工具を一つずつ紹介する。5回目の今回は、車載どころかどこへ行くにも常時携帯の、ビクトリノックス「スイスカードライト」。過去に使ったミニツールとも比較して、これは絶対に、間違いないです。


 ■このブログの内容

 ・「切る」という行為はいつでもどこでも 

 ・常備することに意味がある。カードで実現 

 ・各機能と利用頻度
 

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■「切る」と言う行為はいつでもどこでも

 ようやく来たのである。このシリーズにおいて大本命。スイスカードライトである。大本命過ぎて車いじりの範疇を超えて日常生活まで話が及ぶが、ご了承いただきたい。

 「切る」と言うのは、日常の中で、かなり発生する行為だと言って良い。衣類や工具を買えば、細いがかなり丈夫なビニル製のひもでタグが付いており、素手で切ろうとすれば、ケガをするかもしれない。

 しかし、小さなハサミがあれば数秒の話だ。

 他にも、封筒を開けたり、アマゾンの段ボールを開けたり。

 キッチンでも、ラーメンだったり納豆だったり、簡単なものほど、調味料などが個包装されている。「こちら側からどこでも手で開けられます。マジックカット」とか言って、全然あかないやつもある。

 商標である「マジックカット」が一般化しすぎて、旭化成パックスのマジックカットじゃないのに、手で開けられるようにした(もしくはした「つもり」)状態を一般名称的に「マジックカット」と言っているだけの偽マジックカットがあるんじゃないか?とさえと思う。悪気はないと思うのだが...。

 で、だ。そういう時にちょっと切り込みを入れたりすると即座にオープンできる。

 車いじりでも、そういうシーンはいくらでもある。買ってきた商品の袋を開けたり、パッケージや商品がタイラップで留まっていることもある。

 他に「切る」が多いのは、やはり「現場合わせ」のシーンだろう。カップホルダーから、カーナビまで、多くは自分の車種専用には造られていない。専用品だとしても、自分のクルマの方が逆にカスタムされていて、純正とは違う環境になっていることもある。そうした場合に、今の状況に合わせて両面テープや防振ゴムをカットしたりすることは、車いじりでは頻繁に起こりうる。

 そんなときの「切る」道具、これに何を使うべきか。

 ホームセンターの工具売り場に行っても、「切る」という道具となると、ペンチの根元かノコギリとかで、こう、細かなものをちょっと切る、と言うのはもう文房具売り場だったりする。

 ちょっと「切る」ものだから、その辺にあるもので、時にはカッター、時には爪切り、時にはブロックの角でゴリゴリ...の様に、常にその場しのぎで対応している方もいると思うが、「切る」ものは何かに固定すると本当に手に馴染んでくる。

 では、その常備するものとして、何が良いか。これである。


■常備することに意味がある。カードで実現

 ここからは好みの問題もあるが、僕のケースを話す。

 僕はもう小学校の頃に父親にビクトリノックスのナイフを教えてもらい、そのコンパクトなボディにたくさんの機能があることに完全に魅了されてしまった。当時見たのは「ハントマン」だったと思う。

 紆余曲折は簡略化するが、ツールは多いほど良いと考え、殆ど全部入りの「スイスチャンプ」も買ったりしたが、実際は重いだけで使わないツールばかりで話のタネにしかならなかった。

 その後、サイズ的に「ミニチャンプ」を携帯していた。この時もまだ、ツールは多い方が良いと言う想いがあり、「チャンプ」の名の付くものにしていた。

 ただ、サイズは小さければ良いかと言うとそうではない。適当にポケットに入れたり鞄に入れたりしていたが、前日の服のポケットに入れたまま忘れたりすることが多く、必要なシーンに手元にない、ということも多かった。クルマを所有してからは、クルマや家のカギの束につけたことで忘れることはなくなったが、使う時はクルマのカギがジャマになった。

 クルマをいじるようになって、ナイフよりペンチの利用頻度が高いことを知り、ほぼ同じサイズのレザーマンsquirt(スクオート)P4を鍵の束につけていたが、エンジンルーム内でナイフを使っていたら、そのまま落下させてしまい、夜の峠でクルマのカギも家のカギも一緒に取れなくなるという事態が発生、ツールとカギを一緒にするというのは道具としてよろしくない、と言う問題を露呈した。
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 レザーマンスクオートはペンチがとにかく秀逸。但しナイフがダメ。それでもかなり第一線で働いてくれたことは間違いない。総合的にはミニチャンプよりレザーマンジュースの方が使える。一応僕のミニツールの一時代を飾ったので写真は載せておく。赤いヒモは、前述のエンジンルーム内落下事件の教訓で、使用時に手に括って落下防止するための対策だ。写真は「P4」となっているが、現行品は「レザーマン スクオートPS4」(下写真)となり、一部ツールが廃された代わりにハサミが追加されているようだ。

レザーマン スクオート(squirt)PS4(amazon)


 そこで、レザーマンスクオートを紛失したのを機に(うるふの怪しいホームページ「ニッポンの出てくるチカラ(その2)」参照)、「スイスカード」に切り替えたのだ。そしてこれをどこに入れているかと言うと、財布である。

 僕の場合、財布と言っても携帯ケースを財布代わりにしているので、財布、携帯、スイカ、免許証、家のカギなど全てが一体化している。その中にスイスカードも入っているのだ。

 スイスカードは厚さ3mm程のカード状のケースにそれぞれの単機能のツールがそれぞれセットされている。可動部分があるのはハサミだけであり、非常に壊れにくいのも特徴だ。ハサミとナイフを交互に使いたいときにも、両方出して小まめに使い分けられて良い。

 財布・携帯という極めて常備性の高いものとセットに持つことにより、「切る」という機能が体の一部になった感じだ。前述の様に車いじりだけでなく、日常のシーンでも「切る」という行為は非常に多く、こうした何気ない障害が消えて作業が爆速になる。


■各機能と利用頻度

 スイスカードライトに付いているのは、ナイフ、ハサミ、虫ピン、ピンセット、ボールペン、虫眼鏡、プラス・マイナスドライバー各2サイズ、LEDライトである。

 この中で使うのはほとんどハサミとナイフである。特に車いじりではこの2つが突出している。

 強いて次を上げるなら、実はボールペンだったりする。切りたい場所をマーキングしたり、加工するもののサイズをメモしたり計算したり、現場で思いついた買いたいものをメモしておいたり...。日常生活に使うクルマなら人によってはボールペン1本くらいクルマにもあるかも知れないが、エリーゼと言う性格のクルマとなればボールペンなど車内には置いてないだろう。

 ピンセットや虫ピンは日常生活の方では結構使う。逆にLEDライトなどは良さそうに感じるが一度も使ったことはない。携帯の画面がライト代わりになってしまうからだ。日常背活で言えばスイスカードライトは楊枝がないのはちょっと残念。そう考えると、スイスカードライトではなく、素の「スイスカード」(下写真)の方が安いし、良いかもしれない。

ビクトリノックススイスカード(amazon)

 画像を見て頂くと分かるが、素のスイスカードには虫眼鏡がない。この虫眼鏡は老眼用ではない。そのように使おうとしても、画角が狭すぎてほとんど使い物にならない。これは、火を起こすためについているのである。今、公式サイトにはもうその様な記述はないが、かつてスイスチャンプについている虫眼鏡の使用用途はそのように明記されていた。モノはほぼ同じなので、同じだろうという僕の解釈だが、多分合っている。


■まとめ

 この小さなツールこそ、何を捨てて何を持つかの極致だと思う。エリーゼもそうだが、ミニミマリスト的考え方である。そうした中、このスイスカードが僕の中での今の最適解だ。厚さ3mmとなるとカードとしてはちょっと厚いが、その負を補って余りある活躍をすることは間違いない。


 ■この工具を日常携帯する理由

 ・車載どころか、日常携帯すべきツール 

 ・カード型であるから、日常携帯可能。ちょとした作業が爆速に 

 ・人によっては素のスイスカードの方が良いかも 


 
ビクトリノックス
スイスカードライト(amazon)

ロータスエリーゼを買って3年。レギュラーメンバーとして今でも車載している工具を一つずつ紹介する。4回目の今回は、本締めには絶対必要なメガネレンチ3本である。ド定番過ぎて奇をてらうものは何もないが、この3本サイズでまずOKと言えるだろう。



 ■このブログの内容

 ・本締めには絶対必要 

 ・180SX時代までは2本でOK、エリーゼで1本追加 

 ・コスパと機能でKTCのスタンダード
 

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■本締めには絶対必要

 前回のブログで紹介した「イグザクトレンチ」が切り込み隊長なら、こちらは最後にきっちりとシメる大将と言って良いだろう。

 メガネレンチのその最大の機能は、ボルト・ナットの6点全てに力が加わることによって、破損の可能性を最大限に抑えているという点だろう。だからこそ、本締めはこれで行うべきなのだ。

 スパナやモンキレンチのように2点しか力の加わらない工具で本締めをすると、ボルト・ナットの頭を破損する可能性がある。取り換えれば済むボルト・ナットなら良いが、オイルのドレンボルトや足回りなどのボルト・ナットとなると、壊すと非常に面倒だったり、高くついたり、修理に時間を要したりする。

 ラチェットハンドル+ソケットなら6点に力が加わるが、工具側の機構が複雑で内部のパーツによっては強大な力に耐えられず、工具本体を壊してしまう可能性がある。
 (基本はそうであって、実際ラチェットもそんなヤワには作られていない。壊す覚悟でラチェットを固着したナットを緩めるのにパイプで延長して使ったりしているが、全然壊れない。メーカーによっては、メガネレンチ以外の工具でも本締め可としている商品はあるので、個別の商品の特徴についてはそれぞれ確認されたし)

 メガネレンチの価値は安心・安全。だから、工具も高くても確かなものを選ぶべきなのだ。


■180SX時代までは2本でOK、エリーゼで1本追加

 話は分かるが、そうは言っても高価なメガネレンチをどこまで揃えれば良いのか?セットを買えば間違いないだろうが、無駄な買い物はしたくないだろうし、本数が絞れるなら、ワンランク上の物にも手を出せる、そういう考え方もあるだろう。

 結局僕レベルの作業であれば、180SXの頃までは、10-12mm、14-17mmの2本でOKだった、と言うのが結論だ。

 8mmも実際良く遭遇するサイズなのだが、このサイズはビッグトルクで本締めしないといけないようなものは少ない。ソケットレンチか前回のイグザクトレンチで問題なし(注:うるふの経験による私見)。

 10-12mmは内装やエンジンルーム内のあまり力を要しないパーツ類の付け外しによく使う。14-17mmは180SXのエンジンオイルのドレンボルトや、座席の取り付け、足回りなどで使用。

 ほぼこれでOKだった。

 エリーゼもこれでほぼ問題なかったが、エンジンオイルのドレンボルトが15mmで、13-15mmを買い足した。エリーゼでエンジンオイルを交換しないのであればひとまず10-12mm、14-17mmの2本でOKではないかと思う。

 もしかすると、トヨタエンジンになったらドレンボルトのサイズも14か17に変わっているかもしれない...。そうすれば工具1本軽量化、予算も軽量化できるのだが...。情報求ム。


■コスパと機能の点でKTCのスタンダード

 メーカーサイトでも特に名称がなかったのだが、同社には「ネプロス」という、高価格帯ブランドがあるが、僕が持っているのはもちろんそれではない方。

 冒頭の写真の下2本は古いのでデザインが異なるようだが、現行品は上の13-15mmのデザインになるようだ。

 スタンダードな位置づけだが、頭もかなり小さく、肉厚も薄く、使える範囲が広い。価格と機能のバランスではこれで良い気がする。ホームセンターでも置いてある(KTCを扱っていないチェーンもある)。

 もちろん、TONEとかでも全く問題ないと思う。自分で使っていないので、言ってないだけだ。デザインやメーカーに対するあこがれなどで選ぶのも良いだろう。所詮は趣味なのだから、思い入れのあるメーカーを選べば良いと思う。

 僕は、12角でストレートではなくオフセットされたものを使っている。12角は面ではなくて点で力が加わるので、ボルト・ナットの破損を防ぐ意味では6角の方が有利だが、12角の方が狭い場所で使える可能性が高まる。どちらの方が求めるケースが多いかと言うと12角だと思う。相当ハードな使い方をしていて、そのいい例が下に示す動画のエリーゼのドレンボルトを外すシーンだろう。これも12角だが、こうした使い方をしてもボルト・ナットを痛めたことはない。




■まとめ

 自分が作業する範囲で、このように信頼感が欲しいボルト・ナットのサイズはそう多くはないと思う。まずは、10-12mm、14-17mmの2本からスタートし、自分のクルマと作業するうえで必要であれば、買い足していけばいいと思う。

 買う時は、オフセットしていた方が良いのか、長さはどのくらい必要か、頭は入りそうか、などは前回の切り込み隊長「イグザクトレンチ」を入れてみると見えてきたりする。工具も安くはないので、ボルトのサイズだけでなく、その他の情報も見極めてから買いに行けば間違いがない。



 ■この工具をエリーゼに積む理由

 ・足回り、ブレーキ、ドレンボルトなど、安全にかかわる場所の本締めに必須。 

 ・まずは12角の10-12mm、14-17mmの2本からがオススメ。 

 ・後は、自分の作業内容で買い足していく。



 
KTCメガネレンチ
10mm-12mm(amazon)

      KTCメガネレンチ
14mm-17mm(amazon)

      KTCメガネレンチ
13mm-15mm(amazon)

ロータスエリーゼを買って3年。レギュラーメンバーとして今でも車載している工具を一つずつ紹介する。3回目の今回は、ガタつかないモンキーレンチ、TOP工業の「イグザクトレンチ」を紹介する。全てのレンチを揃えるのは物量的に難しいのでモンキーとなるが、買うなら絶対これだ。


 ■このブログの内容

 ・全サイズを持てない以上、モンキレンチは必要 

 ・ガタつかない「イグザクト」、頭が小さく薄いのも良い 

 ・未知の場所への切り込み隊長
 

※現在「ストレート」は、正常進化した「薄型ストレートモンキ」という商品に引き継がれている。ここで紹介する機能は全て備えているので、購入の際は「薄型ストレートモンキ」で探して欲しい。なお、角度のついた「ベント」は「イグザクトレンチ」のまま継続している。
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■全サイズを持てない以上、モンキレンチは必要

 安全確実にボルト・ナットを回したいなら、メガネレンチが最高である。しかしながら、クルマには色々なサイズのボルトが使われており、全てをメガネで揃えようとすれば、結構な本数になってしまう。

 また、代表的なのはブレーキホースだが、メガネレンチが使用できないような状況もある。

 重量もスペースも(予算も...)限られたエリーゼに車載するとすれば、全て完璧はムリだ。何かを捨てねばならない。

 エリーゼに積む工具は野戦病院だ。工具としてのお作法はあるだろうが、できることとできないことを自己責任で取捨選択する。その最たるものが、モンキレンチだと思う。

 「モンキレンチ」。JIS規格では伸ばさず、こう表記するとのことなのでそれに倣う。緩めたいボルトの大きさによってフレキシブルにその幅を変えられるという1本で多機能のレンチだ。しかし、何でもそうだがあちらを立てればこちらは立たずで、モンキレンチの場合、ボルト6面のうち、2か所しか力がかからないため、大きな力をかけるとナットが壊れる。

 しかも。

 モンキレンチがボルトを掴む開口部の幅をスムーズに動かすために、可動部分にある程度の隙間を必要とする。そのため、いざ、力を加えると開口部がやや幅が広がるという「ガタ」が生じる。

 また、頭が大きく、分厚いので、どこでも使えるというわけではない。そういうアバウトな感じのある工具という印象で、僕はあまり使いたくないという認識だった。

 しかし、180SXに乗っている頃から、これは金銭的な理由で、全てのレンチを揃えるのは難しかったため、不満はありながらも1本だけ、家にあったモンキレンチを工具入れに入れていた時期はあった。


■ガタつかない「イクザクト」、頭が小さく薄いのも良い

 ところがある日、ホームセンターを散策していたところ、とある商品に目が留まった。正確な売り文句は忘れたが、とにかく「ガタつかないモンキレンチ」という意味の事が書いてあった。それが、この「イグザクトレンチ」との出会いである。

 手に取って見ると、確かにガタつきがない。開口部の幅を変えてみると動きも非常に精密な印象だ。しかも、頭も小さく何より、薄い。これを見てから普通のモンキレンチを手に取るとおもちゃレベルに感じる。多分3,000円くらいしたような気がするが、この精密さに惚れてその場で買ってしまった。

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 この時買ったのは先に角度のついた「ベント」と言うタイプだった。(写真上)

 これが使ってみると最高に良い。モンキレンチは2か所しか力が加わらないと言うが、これはガタつきがないために2点と言うより「2面」で力が入る。そのために結局これだけで本締めと同レベルの締め具合が実現できてしまう箇所もある。後からメガネレンチをかけて確認はするが、イグザクトレンチでOKだった、となるケースだ。

 持っていないサイズ、工具の入りにくい場所など、エリーゼではまだそう言うことはないが、180SXの時は、このレンチで助けられたケースは多い。


■未知の場所への切り込み隊長

 この工具の本領発揮はやはり未知の場所への切り込み隊長的な使い方だと思う。

 初めてやる作業では、どんな状況、どんなサイズのボルトがあるか分からない。

 大トルクが不要な場所であれば、自在にサイズを変えながら、この1本でどんどん切り込んでいける。
 大きなトルクが必要な個所や、絶対に壊したくないボルトなどに遭遇した場合は、このレンチをノギス代わりに使用して必要な工具を知ることもできる。

 例えばエリーゼのオイル交換がそうだった。ドレンボルトのサイズが分からず、アンダーカバーを開けたのちに、イグザクトレンチをかけてみて、そのサイズが15mmという持っていないサイズであることを知った。ミッションオイルの注ぎ口のボルトなどもそうだが、非常に手が入りにくい場所のボルトのサイズを測るのにもこのレンチは活躍する。

 イグザクトレンチは開口部の幅を測るためのゲージが切ってあり、ノギスの様にも使用できる。ガタつきがないから、計測値の信頼度も高い。

 後は、ボルトナットになっていて、レンチが2本必要なシーンもある。同じサイズのレンチを2本持っているというのはなかなかない。エリーゼに車載することなどあり得ない。しかし、これがあれば、2本目の役割を果たしてくれる。ボルトナットの場合、裏側は工具が入りにくいケースもあるが、薄さもまた大きな武器になる。


■まとめ

 結局僕はこの工具があまりにも良すぎて、「ベント」に加え、先に角度がない「ストレート」をもう一本買った(現行品は「薄型ストレートモンキ」)。こうなるともう自在である。全然工具が入らないスペースにあるヘキサゴンなどを、ビットを手で挿し込んでこの工具で少しずつ回したりできる。


 ■この工具をエリーゼに積む理由

 ・限られた工具の中で、これだけ安心感のある構造のモンキレンチは秀逸。 

 ・頭も小さく、薄いから使用できるシーンが更に多い。 

 ・ノギスとしても利用可能。新たな作業をするときの頼もしい切り込み隊長。 


 工夫次第でかなりいろいろな使い方ができるこの工具はとにかくお勧め。本締め用にメガネレンチは必要だが、スパナのセットを買う理由は僕の中ではなくなってしまった。
 
イグザクトレンチの後継品
薄型ストレートモンキ(amazon)

      イグザクトレンチ
200mm ベント(amazon)

エリーゼを買って3年。車載レギュラー工具を一つずつ紹介する。2回目の今回は、180SX時代から受け継がれているタイヤを外すための十字レンチ、ジャッキ、延長用鉄パイプの3点セットだ。このセットがあれば誰でもタイヤを外せる。


 ■このブログの内容

 ・エリーゼはスペアタイヤなし。タイヤ外す必要ある?

 ・人生初のパンク。車載工具ではタイヤが外せなかった 

 ・数々の経験でバージョンアップしてきた安定の道具。 
 

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■エリーゼはスペアタイヤなし。タイヤ外す必要ある?

 エリーゼにはスペアタイヤがない。代わりにパンク修理キットが搭載されている。つまり、パンクしたとしても、タイヤ交換をする場面にならない。サイドウォールを傷つけたり、パンク修理剤では直せない大きな穴の場合などは修理不可能。自走での帰宅は諦めるしかない、という潔い仕様だ。

 では、工具も潔く、タイヤを外すものは要らないのでは?となる。十字レンチやジャッキを持たなければ、かなりの軽量化になる。が、やっぱりそれはできない、と言うのが信条だ。クルマ乗りである以上、タイヤを外せるくらいの工具は持ち合わせていないと...。これは、あるべき論に陥っているのだろうか?

 確かに今の所、外でエリーゼのタイヤを外さなければならない事態に陥ったことはない。

 しかし、パンクでないにせよ、車体に原因不明の異常が発生した時など、タイヤを外せれば、確認できる個所は圧倒的に広がる。特に後輪に関してはタイヤを外さなければエンジンやミッションのトラブルでは上から覗き込むしかない。これではできることは相当限られてしまう。

 もちろん、ブレーキやアーム関係のトラブルが疑われる場合も同様。やはり、タイヤを外すのはパンクの時だけではない。スペアタイヤがないエリーゼでも、タイヤを外せる工具は積載しておくべきだと、僕は思う。


■人生初のパンク。車載工具でタイヤが外せなかった

 ちなみに過去にも書いたが、僕は初めてのパンクで、自分でタイヤを外せなかったという苦い経験がある。

 大学がクルマ通学だったのだが、橋の上でパンクした。一瞬で空気が抜ける、分かりやすいパンク。橋の上で路肩がないので、パンクしたまま渡り切り、土手の上に退避した。そこで教習所で習った通りに車載工具でタイヤを外そうとしたのだが、車載工具では良くあるL字型のレンチが全く回らない。教習所では上手く行ったのに、なぜ...?

 仕方なく友達を電話で呼ぶ。持って来てくれたのは持ち手が伸びるタイプのもので伸ばすと50cmくらいになったと思う。これで外れた。

「車載工具じゃダメなんだ...。こんなことくらいで友達なんか呼んで情けねぇ!」

 大学4年間ずっと車通勤するわけだからトラブルは必ずまた起きる。次は一人で脱してやる、と、強く誓った。


■数々の経験でバージョンアップしてきた安定の道具

 それからクルマはS13 シルビア、180SXと変化した。タイヤ交換は当たり前の作業になった今、タイヤを外すために車載している工具がこれらである。


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 まずジャッキ。自宅では電動のものを使っている。これもシガーソケットから電源を取れるので、車載できなくはないが、エリーゼに常備するには大きすぎる。と言うことで積んでいるのは日産純正の車載工具。ただ、車載ジャッキは最悪だ。あの、頼りない輪っかみたいな部分をひっかけて連結させてクルクル回すのが、ハッキリ言ってスムーズに行った試しがない。

 ということで、長いボルトにジグソーで切り込みを入れ、車載工具のジャッキの回転部分に噛ませることにより、ラチェットで回せるように改造した。ラチェットは当然車載しているので、それを兼用。これでジャッキを回すことにしか使えない棒2本ともオサラバできる。


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 十字レンチは嵩張るところが良くない。180SXの頃からそれは思っていて、折り畳み式を購入。エリーゼになっても使い続けている。ただ難点もあって、この折り畳み機構が働かないようにするロックが思うようにハマってくれない時がある。緩すぎるとガタつくし、自然に外れても行けないので、ギリギリの所にしているのだと思うが、ここがちょっと難ありか。
 本当はクスコの「スマートクロスレンチ」が欲しかったのだが、アレは軽くて更にコンパクトになって、最高(手に取って見たわけじゃないから想像)なのだが、カネがなくて買えないまま今に至っている。今なら別に買えるが、折り畳み式が壊れたわけじゃないし...。イカン。書いてたら物欲が復活しそうなのでここで止めとく。(しかし、これ書いたらやっぱり欲しくなってポチりました。詳しくはこちらの約半月後のブログで...)


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 そして鉄パイプ。正確にはステンレスコーティングされた鉄パイプのようだ。これは、ナットが固着していた場合に十字レンチだけだと回らないことがあるため。180SXではより長い90㎝の鉄パイプを使用していたが、長すぎて逆にバックミラーに当てたりする問題もあって、エリーゼには傷つけたくないので短いものにした。

 また、クルマの下回りなどは長い鉄パイプでは入らない。このサイズで延長し、足で押す方法で大体何とかなる。エリーゼの限られた車内スペースも考えると、30cmで十分だ。

 ちなみに、多くの工具はパイプで延長して使用することを禁止している。そりゃそうだ。ユーザーがどんな長さ・太さのパイプを使用するかも分からないのに、強度の保証などできっこない。なので当然自己責任。
 ただ僕は力がないので、普通の人なら延長しなくても掛けられる力を、このパイプを使って楽をする、というのが殆どだ。

 確かに固着しているボルトにはかなりの力が加わっていると思う。だからと言って、回らなければ作業は進まない。自宅ならまだしも、出先の山道で一人ボルトが回せない状況だったら、メーカー保証外なのでやめときます、は良いがその先どうするのか?僕は自己責任に於いて延長して作業を進める方を選ぶ。

 ちなみに長年使用している90cmのパイプは、テーピングで巻いてある。これは作業時にコンクリートの地面に置いたときガラガラ音がして近所迷惑だからだ。30㎝のものは工具袋にポンと入れてしまう。

 ちなみに、タイヤのナットを外すときはパイプを使うが、締めるときに使ってはいけない。規定トルクを大きく超えてしまうからだ。締めるときは十字レンチのみで手締めでいい。

■まとめ

 前述の通り、僕の場合タイヤを外す道具がエリーゼから外されることはない。ただ、その座に就くのはどういった工具なのか、これは取って代わられる可能性がある。その中で、今の工具は一定のバランスがあるからその地位を得ていると言えよう。

 タイヤを外すのは車いじり、メンテナンスの基本でもある。もし、まだやったことのない方は、外出自粛の今、チャレンジされては如何かと思う。外してまた着けるだけで良い。

 その際、一度、車載工具でチャレンジしてみるのも経験として良いと思う。車載ジャッキの何かダメかも分かり、自分に何が必要かもわかる。ここに書いたのはあくまで僕のケースであって、人それぞれ判断基準や必要なものは異なる。

 いづれにせよ、トラブルの時に初めてタイヤを外す、と言うのではそのトラブルから脱するのは覚束ないだろう。


折りたためる十字レンチ


ロータスエリーゼを買って3年。レギュラーメンバーとして今でも車載している工具を一つずつ紹介する。1回目の今回は、エリーゼを買って、すぐに買いに走った超スタメン工具。インパネの見慣れないネジ。更に、ハードトップの付け外しもこのネジだった!使用頻度ナンバー1の超オススメ工具!


 ■このブログの内容

 ・これ何?乗ってすぐ気になった「持ってない」ネジ

 ・エリーゼ乗りには必携のマルチドライバー&ソケットセット 
 


この記事は動画にも投稿されています。


■これ何?乗ってすぐ気になった「持ってない」ネジ

 エリーゼを購入して、いや、試乗した時からもう気になっていた。何しろインパネのネジが全てこれ。初対面のエリーゼと格闘しつつ、気にはなっていた。

 納車の日は小雨。エリーゼとのファーストコンタクトに四苦八苦し「今はそれどころじゃない」と心の隅に押しやってはいたが、このネジがやたらと目についたのを記憶している。
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 欧州スタンダードか...?
 こんなネジのビットは持っていないので「いつかは買わないとな」くらいには思った。インパネを外すことがあるかは分からないが、ここの他にもいろいろ使われているかもしれない。

 何回か見たことはあるものの、これまで必要性がなかったため、調べもしなかったが、この星形のネジは「トルクス」ネジと言って、アルファベットでは「TORX」と表記するようだ。ただこれは登録商標なので、一般名称は「ヘックスローブ」と言うらしい。

 そして気づいた。ハードトップの装着にヘックスローブが使用されていたのだ。L字型の純正工具はあったが、一部、ピラーが干渉してぐるぐる回すことができず、1回転させる度に挿し直さなければならなかったのだ。これでは気軽にハードトップとソフトトップを付け替えることはできない。

 すぐ買わねば。欲しい仕様も決まった。

 ヘックスローブのビットを含む、ラチェット機構のレンチのついた、コンパクトなセット。これである。


■エリーゼ乗りは必携のマルチドライバー&ソケットセット

 エリーゼに積むのだから、大げさでなく、コンパクトにまとまったヤツが良い。そんな都合の良いのあるかな?と思ってジョイフル本田に行ったら即あった。ヤバい。これはイイ。非常コンパクトなケースにまとまっていて、期せずしてエリーゼと似た緑のケースに収まっている。そして、銘柄はBOSCH。悪くない。いや、良い。価格も2,500円くらいだったと思う。なかなかここまで思い通りの商品に出会えるということはほとんどない。もう即買いした。

 その実物がこの写真。エリーゼとほぼ同じ使用歴になるから3年くらい使っていることになる。
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 で、である。

 これはもういきなり効果を発揮した。エリーゼに乗るなら必需品である。とにかくハードトップの脱着が楽になった。純正のL字工具、アレはいけない。純正にするなら、車体に干渉しないようにして欲しい。しかし、ラチェット機構があれば、ジコジコやれば即脱着可能。

 ちなみにケース右側にあるのアダプタは、ハードトップのネジを早回ししたいときに使っている。ここにあるビットをセットして、ネジが緩い時などは、このアダプタの黒い部分を持って回せば、非常に速く回せる。最後の締め付け時のみ、レンチをセットすれば良い。

 通常のプラス・マイナスドライバーのビットもこれ以上ないくらい豊富だし、ヘキサゴンレンチもある。差込角6.35mmの6角レンチも6㎜~13mmまでの物なら入っている。

 しかも、レンチが薄くて頭も小さく、ビットを付けても厚み最小限で済む構造になっている。手が入りにくいエンジンルームのパイピングのバンドを緩める際などにも大活躍する。

 このレンチのもう一つ良い所は、締める方向と緩める方向を切り替えるレバー。本当に小さなレバーなのだが、操作感がカッチリしていて気持ちいい。小さいのに頼りになる感じがある。

 アンダーパネルを外すときにもこのセットが重宝した。8mmのボルトとヘキサゴンでついているのだが、この工具ですべて外せる。下回りではあるが、強大なトルクでついているわけではなく、この短いレンチで十分に回せた。


 室内はもちろん、アンダーパネルやエンジンルームまで使えて、狭いエリーゼの車内でも全く場所を取らないこの工具はエリーゼにピッタリだ。そう高いものでもないので、エリーゼを買ったらまず購入して間違いない、安心して勧められる工具である。

 もちろん、今でも使用頻度は最も高い。




【この工具を使っている動画】
【詳解】ロータスエリーゼSr.2 幌・ハードトップの付け方・外し方
純正工具が車体に干渉するシーンとこの工具の紹介もあります。

クルマ好きならまずは「乗りたい」それが第一だが、今は日本のために力を合わせ「やっぱ、日本人はやってのけるよね」と世界から言われたい。そんな今、僕はエリーゼを動かさずにどうやって楽しむか。それはこのクルマを眺めながら庭で一杯飲む、これに尽きる。

 ガレージのない僕にとって、外飲みがしやすい気候になってきたことが、せめてもの幸運である。これが、極寒の時期だったら、青空駐車の僕は完全に引き籠るしかない。
 カネなし、ヒマなし、時間なし。当サイトをご覧の方なら僕がそうであることはもう十分ご存じかと思うが、そんな僕でも楽しめる、ブリティッシュグリーンに合うスパークリングワインを今日は紹介したい。

■やっぱり気分が上がるのはスパークリングワイン

 僕はとにかく炭酸が好き。なのでワインもスパークリングを好む。エリーゼを眺めながら飲むとなれば、ワインのみか、あってもちょっとしたつまみ程度になるなので、ややワインの主張が強い甘めのものがいい。甘いワインと言うのはなかなか見つけにくいが、そんな時僕は「ランブルスコ」を選んでいる。
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 炭酸ワイン、つまりシャンパーニュやスパークリングと言えば「白」。自分にはそういう固定観念があった。しかし、ランブルスコは赤の微炭酸(白やロゼもあるけど)。これが何となく希少性を感じられていい。で、それが安い。なのに、ウマい。

 ランブルスコと言うのはブドウ品種の名前なので、メーカー、価格、味も色々選べるが、高くてうまいワインは他にもあるので、店頭でランブルスコと言えば安いワインとしての扱いが主流に感じる。しかし、安心して欲しい。安いのを選んでもあまり外れがない。そして僕好みの甘い物も取り揃えられていることが多い。ラベルを見て「ドルチェ(DOLCE)」と書いてあるものがそれだ。

 ワインは店でこのラベルを見ながら選ぶのも楽しい。オレってワイン通?なんて、自己陶酔しながら、もう、買う時点から酔っているわけである。それでいい。同じ買うなら、選ぶ時からなりきって、少しで幸福度をアップさせよう。

 ちなみにランブルスコの産地はイタリア半島の付け根に位置するエミリア・ロマーニャ州で作られている。

 これ以上は僕が語ってもアレなので書かないが、知りたい方は「ランブルスコ」で検索してみれば、このワインの魅力について更に知ることができるだろう。ワインについても知識をつけるのは、より楽しく飲むことができるし、教養としても良いことだと思う。

 で、ランブルスコだが、昔はなかなか見なかったが、最近は置いてある店も結構増えて来た。もちろん、アマゾンで「ランブルスコ」で検索すればちゃんと出てくる。今は店でゆっくり買うのも難しい時期なので、ネット購入がお勧めである。

 ランブルスコは安くても質は決して悪くない。ワインとしてももちろん秀逸なので、たとえ炭酸が抜けてしまっても、結構フレッシュな感じで飲めてしまう。しかし、僕はやっぱり炭酸好きなので2日くらいで飲み切るようにしている。一度抜いたコルクはもう入れられないので、専用の栓があると良い。


スパークリングワイン用の栓(amazon)

■エリーゼとランブルスコの競演をゆっくりと

 やっぱり炭酸は華やかさがある。僕は一人飲みは完璧にネガティブ思考だ。そこから、なにクソ、見てろよ、と自分を奮い立たせるようなステップで月曜を迎えるというパターンが多い。だが、時にはハッピーな気持ちで飲みたいときもある。むしろ、そういう流れに持って行きたいときに無意識的にスパークリングを選んでいるんだと思う。

 エリーゼのブリティッシュグリーンと、ランブルスコの上品な赤ワインの色が何ともよく合う。赤と緑の逆の色ながら、どちらもトーンを落としている。なのになぜか内に秘めた光を感じる。エリーゼはその奥に控えめにメタリックを含んでいるし、ランブルスコはきめ細かな泡を幾筋も生み出している。

 ああ...。ため息が出る。何度もこの不思議なワインと、エリーゼのこのコントラストを見比べては、またため息を漏らしている。飲む前から既に幸せなのだ。

 さて。酒は飲むものであって、眺めるものではない。にもかかわらず、眺めている時点でこれだけ幸せになれているのは、エリーゼという幸福増幅装置が働いているからか。
 では頂くとしよう。ようやく酒本来の用をなすべく、この美しい液体を体内に流し込めば、幸福感が洪水のように押し寄せる。

ヤバイ...。

 先ほどまではいつまでも眺めていたいと思っていた自分はどこへやら、この幸福感を途切れさせてはならないと、今は口に運ぶ手が止まらなくなっている。

 しかし、ランブルスコはアルコール度数が普通のワインの半分程度しかない。最近、めっきり酒に弱くなって来た僕も、長時間この酒を味わうことができるのは実に嬉しい。僕は幸福感を享受したい、それだけだ。アルコール度数が低くても得られる満足感が大きいならそれは大歓迎である。
良いか、お前たち...。
サラリーマンにだけは、絶対に...なる...なよ。
ぐふっ。

何を隠そう、僕は酒好きである。最近は歳のせいか、めっきり飲めなくなってしまったことが、何より悲しい。それでも、酒好きなのである。好きな酒だからこそ、毎日、長時間、たっぷりと、飲みたい。

■恒例の長い前置き

 ただ、僕は、酒そのものと言うよりか、酒を飲むという「時間」を楽しんでいる。これは間違いない。つまり僕は、「いい時間」を過ごしたいわけだ。「いい時間」を彩る道具として、酒が欠かせない、そう考えている。

 ちなみに、僕の中で「いい時間」を演出するのに、酒の他にあると嬉しい道具は、クルマ、焚火、限度のない時間、そしていい景色、辺りであろう。こう書くと、これらのことについてもここで書きたくなってしまうが、それは僕の悪い癖だ。ここはぐっと我慢して別の回に譲り、今回は酒の事だけにフォーカスする。

 ただ、「限度のない時間」と「いい景色」について、近いことは過去に書いている。→「今日は完全なる独り言」

 で、である。酒である。

 僕の場合、ただ酒だけ飲めれば良いというのではなく、良い環境で飲みたい。だから、エリーゼを眺めながら飲んだり、今の時期は家の前の桜並木まで行って飲んでみたりする。繰り返すが、豊かな時間を過ごす、その演出として酒が必須なのだ。
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 演出装置であるがゆえに、この酒選びは重要である。ストレスフルな日常。「ストレス」と言う名の困難な異物を強制的かつ効率的に浄化するのに使う薬品は、良質でなければならない。そのうえ、ストレスは毎日大量に発生する。従って、それを浄化するための酒も毎日必要だ。だからこれは安価である必要がある。

-安くて良質-

 いつ、どの世界でも求められるバランスだ。カネがあるなら頭も使わず、良いと言われるものをカネに任せてガバガバ買えばいい。だが僕は、このブログでもYouTubeでも再三言っているようにカネがない。

 価格以上のストレス浄化効果が望める酒を、慎重に選ばなければならない。

 安い酒はある。しかし、やっぱりうまくないものが多い。ウマくなければストレスを浄化しきれない。しかも、酒は自らの身体に対しては「毒」でもある。翌日、粗悪品は頭痛がするなどの弊害をもたらす。これはいけない。翌日処理するストレスが更に増加されるだけだ。

 出せるコストと、それを少し上回る浄化性能。この絶妙のバランスを実現した僕の夜の友を、今回は紹介する。(前置き長ぇ)


■日々はやっぱりウィスキー

 ウィスキーはワインと異なり、価格と味の関係が非常シビアで、特に低価格となると「安いのにウマい」という掘り出し物がない。そのくせ、高いのにマズいはあるから始末に困る。税抜き1,200円~1,400円くらいの価格帯になると価格の割に頑張っている、と言う物もあるが、僕の場合はその価格帯であっても毎日飲むには手が出ない。欲を言うなら600円台でいいのがあれば良いが、この価格帯だと凛などだが、やはりアルコール感がどうしても消毒液のような感じがして、今一歩だ。

 先ごろ僕が見つけてハマっているのが「ティーチャーズ ハイランドクリーム」というもので、700mlで800円~980円くらいで手に入る。800円(税抜)で買えるのはどこか、と言うと僕の家の周りだとベルク(埼玉県に本社があるスーパーです)である。何故かこの商品に限ってはここが安い。僕はこれだけを買いにベルクに行っている。他は880円とか、900円とかの値札を下げている。

 いいウィスキーは、注いだ時にふわっといい香りが上がってくる。安い物は、それがないか、香っても薬品的な感じがする。

 ハイボールを作る際、氷を入れてウィスキーを注いで最初にステアするときに香りがふわっと上がってくる。上記の「ティーチャーズ」はこれがちゃんとある。強くはないが、ちゃんとスモーキーだ。これはラベルにもそう書いてあって、店頭ではまずそれに惹かれ、次に価格に惹かれ、それではお手並み拝見、とばかりに注いでみたら「オッ、ちゃんと来るゾ」ということで一発でレギュラー入りした。最安の「凛」も用意はしてあるが、「ティーチャーズ」を知ってしまうと、「凛」にはなかなか手が伸びない。今、僕の中でこの価格帯の「掘り出し物」である。

 他にもお気に入りの安酒はあるが、別の回に譲りたいと思う。

サーモス 真空断熱タンブラー 600ml(amazon)


■エリーゼを眺めつつ飲む

 日曜の夕暮れ時。もうすぐ休日も終わる。エリーゼを自宅駐車場の奥側に停め、前にNOTEを入れ、エリーゼを封印する。明日からはまた、会社と言う名の戦場に行かねばならない。

 入るまいと思っていたラットレースに、今はどっぷりと浸かってしまった。この深い淵の抜け出せなさ加減は想像以上だ。死なぬ程度の定額収入を約束する代わりにオートでこの国に税金を納めさせるこのシステムは考えれば考える程良く出来ている。

 目の前にあるエリーゼは、この淵から抜け出さんとして打ち込んだ、渾身のハーケンだ。
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 しかし、このハーケンを頼りに半身ほど身を引きずり上げ、手を伸ばして先をまさぐってみても、出口の気配さえ感じられないことを知る。

 また、一週間、命と言う有限の時間をすり減らしてストレスと戦う。その間は戦いで手一杯だ。ここから抜け出すための積み上げ回せる分は知れている。

 そんな、絶望感に満ちた気持ちももう慣れたものだ。この感覚が妙に一人酒飲む刹那の時間を楽しむのに合っていると感じるから不思議だ。

 ここから脱するための渾身のハーケンだとのたまうエリーゼも、一歩引いて冷静に見れば積み上げたカネを食いつぶす存在でもあるという皮肉。それもまたコントラストと思えば一興である。

だがまだ夢は捨ててはいない。

 エリーゼはゴールではない。むしろ、ここから抜け出す戦いに名乗りを上げた一筋の狼煙。時間と空間の制約から自由になる。そのゴールにたどり着くか、もしくは命果てるまで、僕はもがき、さまよいながらラットレースと言う深い淵の出口を探すだろう。

 そんなことを想いながらグラスを傾ける。明日をも知れぬ戦場を前に酒を飲めば、語り口はどうしても饒舌になるようだ。

 酒は安くとも、エリーゼを前にすれば、流れる時間は最高の物になる。


■エリーゼと楽しむ一杯をYouTubeでもご覧ください。

今月から、180SXの駐車場が新しい場所に変わった。これまでの場所が駐車場としての事業を継続しないとの事で新しい場所を探さなければならなくなっていた。今度の場所は家からは若干近くなったが砂利で価格は据え置きの3,500円。

 ども。うるふです。

 これまで180SXの駐車場として使っていた、下の写真の場所が、2020年3月末を以て使えなくなるという通知を昨年10月時点で受け取っていた。このことについては、2月にブログにも書いていて、今回の内容は一部それと重なるが、ご容赦願いたい。→「駐車場、なくなる。」今日のエリーゼと180SX
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 そして、今月から、新しい場所に180SXを移動した。

 残念ながら、今度は砂利。これまでの場所のように、一時的なら隣も使っていい、などと言うようなユルユルの制度はない。1台分と言ったら1台分なのである。なので、上記写真のように、ウチのクルマを3台とも一時的に置いたりとかそう言うことはできない。

 実際、これができると結構便利なのである。僕の自宅駐車場は2台の駐車スペースがあるものの、奥に入れた車は前の車を出さないと出れないという形状になっている。
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↑ま、こういう状態。

 土日は僕はエリーゼ、ピパ子氏はNOTEをランダムに乗るので、どちらを前に置いても、タイミングによっては移動してもらって出る、ということが必要になってしまう。なので、土日はエリーゼを借りている駐車場の180SXの脇に置いたりできた。

 しかし、これからはそういう使い方はできなくなる。これは不便。今までの場所はアスファルトだったし、色々作業もできてメリットは大きかった。

 難点は、木の下だったので、葉っぱやら鳥のフンやら、木の実やらがどんどん落ちてきたこと。クルマはすぐに汚くなってしまう。

 今度の場所はそう言うことはないが、前述の通り、1台は1台であって、それしか置けない。砂利だし。
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 一番良くないのは出るときの見通しが悪いうえに車の通りが多いこと。上の写真は駐車状態の180SXの運転席から撮ったパノラマ写真。出るのが面倒だし、右も左も見えないので、カンで鼻先だけ出して、車が来ていれば、「すみません」って感じで入れてもらって出るしかない。ちょっと危ないね。フロントバンパーに覗き見カメラみたいのを付けたい。なんて言うのか知らないが、路地から出るときなどに使う、車体先端についてる広角で見えるカメラ。

 ただまぁ、毎朝の出勤時に180SXの目の前を通って行くので毎朝、180SXを見て会社に行ける。砂利だけど、木の下とかじゃないので、こっちの方が実は車はキレイに保てるかも。

今日の180SX走行距離:311,028km
先日、こんなTweetを投稿した。「エリーゼがあれば自宅もまた楽し」
エリーゼがあれば、外出自粛も自宅待機も、ストレスのたまる無駄な時間から、非日常の満たされた時間に変わる。クルマは乗るもの、走るものであるが、走るために洗練された機能を形にしたその姿は、見ているだけでも楽しいのだ。

 新型コロナウィルスの拡大を防ぐために、世の中は今、自粛ムードである。

 色々政治的な話はここでは首を突っ込まないことにするが、今は国民が一丸となって一つの目的に向かって行動するべきだと思う。

 そのためにできることは、とにかく移動をしないこと。人と会うことを避ける。新しい場所には行かない。

 僕は、結構外に出なくても大丈夫なタイプなのかもしれない。家で本を読んだり、ブログを書いたり、動画を編集したりしていれば土日はすぐに過ぎてしまう。土日にやることが多いから、つまらないとか、やることがないとか思わないのだろう。

 クルマは密閉空間ではあるが、一人で出かける分にはこのような時でも比較的安全な移動手段だと思う。密閉空間であるがゆえに、不必要に他の人と接触せずに移動が可能だ。

 だからと言って、クルマであちこち構わず行こうとは思わない。我慢している人もいるのだから、クルマであってもなるべく外には出ない方が良い。この土日も最低限の買い物だけに絞った。

 そんな最低限の近所への外出であっても、エリーゼは素晴らしくエキサイティングな空間を提供してくれる。わずかな時間の外出でも十分な心の満足を与えてくれる。

 折りしも今は桜の時期。もう散ってしまうかと思われた桜も今週までは何とかもってくれた。特に花見とかもしていないが、買い物の帰りに自宅近くの桜並木で1枚写真だけ撮らせてもらった。
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 家に帰ればいろいろやることもあるが、ちょっとばかりそれらもお休みして、自宅駐車場でエリーゼを眺めることにした。冬の期間は寒かったのでゆっくりエリーゼを眺める、ということはしていなかったが、こんな時だから久しぶりにエリーゼを眺めながらの一杯。良い時間だ。

 自宅の敷地からも綺麗な桜並木を遠巻きに眺めることができる。今年はこれで十分だ。桜は来年も咲くだろう。

今この時期をどう捉えるか。

 確かにどん底かも知れないが、底のタイミングで投資した者が後で勝つことは言うまでもない。しかし、多くの人はそこに達する前に投資するカネを失っている。

自分投資も同様だ。
底になったタイミングで自分に投資しようとする気持ちを
折れさせてはいけない。

 サッカー関連が完全に停止した今、自分のことに充てられる時間が大きく増えた。このブログも、この期間にかなり改善できたし、自分のスキルも向上していると思う。もちろん、まだまだ先は長い(つまり伸びしろがある)とも思うが。

 今、どれだけ自分自身に投資できるか。4月、5月は支出も非常に多い時期だが、こんな時だからこそ自分にも投資するようにしたい。

 エリーゼを眺めながら飲む一杯は、そんな気持ちを作ってくれた。
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予想外の障害

「路駐がいるよ!」

 助手席側の窓に顔を押し付けるようにしてゆみごん社長が報告する。

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 「ここで路駐かよ?」

 こちら側車線なので、対向車線が優先である。次々と来る対向車が180SXの右側をかすめて伊香保温泉街の方へ向かって登って行く。

 180SXの前にいた何台かは対向車の微妙な切れ目をついてやり過ごしてゆく。そして、いよいよ180SXが先頭になった。後ろには長い車列ができていた。

 「待てよ、待てよ~......」

 ドクターうるふも慎重である。対向車の切れ目を予測してブレーキを離さなければこの駐車車両をパスできない。しかし道が微妙に右に曲がっており、あまり先も見通せない。

 「アクセルっていいよなぁ。考えたやつ天才だよ。」

 エンジンで加速できるなら行けるタイミングはあったが、惰性走行ではムリ。躊躇してなかなか進めない。後続車は初心者だと思っているだろう。

「これ以上はムリだ。ここで行くぞ。」

 ブレーキを離す。180SXはゆっくり加速し、対向車線に車体半分ほど飛び出す形となった。対向車が迫る。

「早くしてくれ~、速く行ってくれ~。」

 体の自由が利かないバケットシートの中で、必死にもがくドクターうるふ。シートがギシギシきしむ。どうやら漕いでいるつもりらしい。

 対向車も速度を落とさない。このまま突破して来る気だ。

 「車の下見てくれ。人、居ないか?!」

 駐車車両の下に人の足が見えれば飛び出してくる可能性がある。

 「居ない。大丈夫。」

 運転席にも人影は見えないのでこの車から降りてくる心配もない。180SXを駐車車両ギリギリまで寄せる。

 駐車車両を追い越している最中、対向車とすれ違った。

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 上の写真は180SXの右側をかすめる対向車を撮ろうとしたようだが、フレームアウトしてしまった。しかし写されたインパネからそのときの状況がうかがえる。速度は時速15km程。回転数は当然アイドリングの回転数だ。

 駐車車両はうまく追い抜いたが、そのあと速度が上がるまでの時間は数十秒なるも、絶えがたいものであった。

 「予想外の場所でてこずったね。」

 ゆみごん社長がため息混じりにもらす。


新ルート

 「こっから......だな。」

 左ウィンカーを出し、路地に入ってゆく。ここからが新しいルートだ。正面には渋川工業高校のグラウンド。緑色のネットが高くそびえている。
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「なんだ? 車庫入れか?!」

 狭い路地を完全に塞いで車庫入れをしている。生活道路でしかも狭いから無理もないが、2回ほどやり直している。ほとんど停止した状態まで速度が低下したが、後続車もなく、車庫入れ完了を待って再スタート。

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「せめぇ~!当たる~!!」
(ゆみごん社長)

 渋川高校を過ぎて、更に狭い路地に入ってゆく。石の壁が左右に迫る。バックミラーと壁がわずかの隙間しかない。車体から出ていないエアロミラーだから通れる道だ。

 真正面は工事中の道。タイミングさえ良ければ停止せずに大通りに出られる。

 通りに出たら左折したい。ドクターうるふから見て右方向へ行く車が溜まっている状態であれば問題なく左折できる。

 「どうだ?行けるか?」

 誰に問うともなく叫ぶドクターうるふ。なんと、運良くドクターうるふから見て左方向へ行く車が切れた瞬間。この後につけば難なく行ける。

 「警備員、誘導してくれねェかな?」

 調査段階でこれに似た状況になったとき、路地から出ようとする180SXを先に行かせてくれたケースがあった。ここでそれをやってくれればこの後のわずかな登り区間をパスできるかもしれない。

 「行かせてくれー、行かせてくれー。まずオレを、行かせてくれぇ!」

 警備員にもの欲しそうな目線を投げかける。路地から出るまで後5m。警備員と目があった。

「いい?行っていい?」

 聞こえるわけないのに車内で叫ぶドクターうるふ。目線でそれを補おうと先程より熱い視線をおくる。

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が、その想いは棄却された。

 警備員は無情にも目をそらし、ドクターうるふから見て右方向へ行く車の通行を、彼は許可したのだ。

「ここで止まるわけには行かん!」

 左から右方向への通行が始まった。今なら右から左へ行く車はない。左折できる。

 と!

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ガガガッ!!
「クソッ、乗り上げた!」
「止まる、止まるーっ!!」

別な角度からの映像。 左に寄せすぎ、ボディの左側、前輪と後輪の間が歩道に乗り上げたようだ。一気に減速する180SX。後輪がせり上がり、激しい衝撃とともに着地。ボコン!という、マフラーをこする音がそれに続く。

 目の前にある「金井南町」交差点は青。今なら行ける。しかし、速度はほとんどない。それもそのはず、ここはわずかに上り坂。速度は上がるどころか、みるみる減速する。後ろ向きの重力には逆らえず、180SXは交差点の右折レーンで停止した。

 「仕方ない、クラッチつなぐぞ!この20mは同乗していた仲間に手伝ってもらって押したと言う設定にしよう。」

 ここまで来て、終わらせたくない。そんな気持ちで一杯だった。ここを過ぎれば再び下り。この先はまた、惰性で行ける。

 クラッチを静かにつなぐ。すると180SXは前進を始め、坂を登ってゆく。加速を封じられてきたうるふにとって、自力で進むということが魔法のように感じる。

 しかし、それも時間にしてわずか10秒程度。信号右折後、再び惰性走行に入る。ここからはまた下りだ。180SXの走行は再び地球の引力に委ねられた。

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 再び心地よい下り区間が約1km。この先の信号は全て青で通過する。下り具合もなかなかいい。もし信号に掛かっても再スタートは可能だろう。

 前走車につきすぎないよう注意しながら国道17号へ向かう。

「見えたぞ、日産ブルーステージ。」
「おおー、本当だァ!」

 並木の向うに青い看板が見え隠れしている。まぎれもない、日産ブルーステージである。しかし、日産に入るためには国道17号を20m程走行しなければならない。ここもまた完全なる平坦な道だ。

 国道17号への信号で痛恨の2度目の停止。トヨタのディーラーが左手に見える。

 「トヨタディーラーだったら本当に惰性で入れちゃうね。」

 「ここまで来りゃぁ、後は日産の人に何とかしてもらえるだろう。」

 ディーラーは目と鼻の先である。

 信号が青になる。エンジンの力で走行し、日産ディーラーへ。

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「やっと、着いたな......」

 11時17分、戦いは、終了した。

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 2度の停止があったために、到着してもそれほど大きな達成感はなかった。惰性のみでの走行で15.8km、25分間というのは賞賛に値するが、目的を完全に達成することは出来なかった。やはりそれは心残りである。



 「残念だったけど仕方ない。最初に停止したあの登りは、惰性で降りることを決めた時点で、仲間を集めて後追いさせて、あそこは押してもらうんだな。

 しかし、エンジンさえ生きていれば、結構おりれちゃうんだよね。それが分かればこの方法でかなり工場まで近づける。いかに速度を殺さずにコーナーを曲がるかって言うのは峠を走るのにも必要とされる技。うまいドライバーほど先へ進めるだろうね。

 後半の路地の連発は本当、180SXだからこそ行けたって思ってる。リトラクタをオープンにすることで、ものすごく良く車両感覚を掴めるんだ。軽自動車しか行けないような道ばかりだったけど、臆せず突っ込んで行けたのはこの恩恵があったからと言ってもいいんじゃないかな。」

と、続ける。

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 ボディ左下にできた傷が痛々しい。 180SXにキズがついてしまったが。との言葉には、
「また、180SXには痛い想いさせたと思ってる。でも、コイツとまた、大きな記録を生み出せた。勲章だよ、これも1つの。」

 せっかく伊香保に来たんだから、と町営駐車場に180SXを置いて、ドクターうるふは石段街に消えていった。

 この結果がどのように使われるのか、彼は知らない。早く通り過ぎたいと思っていた伊香保が、今度は彼の疲れを癒してくれることだろう。

実験は無事終了し、その結果だけを残して研究員たちはいずこかへ去って行った。
新たな検証が、彼らを待っている。


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 もう、何度目かわからなくなっている榛名山山頂である。ここから新しい日産ディーラーに向けて出発する。

 やることはこれまでと何一つ変わらない。Navin'youの受信を開始し、衛星の補足を確認したところでスタートする。外付けアンテナは20秒程度で4つの衛星を補足。準備は整った。

 「悪いけど、今日は行かせてもらうぜ。」

 ドクターうるふは自分に言い聞かせるように、言った。

 出発時刻は10時47分。前後には前回同様、車は見えない。榛名山エリアは、前にも後ろにも車がいないことが理想的な条件となる。
 たいていの場合、前に車がいると追いついてしまう。動力を使って降りていく車より、惰性で下る180SXの方が速い。遥か遠くの雪を頂いた穂高連邦や赤城山を見ながら下る観光客とは運転の仕方も目的も完全に異なっているのだ。

 前がつっかえると、次は後ろにつかれる事になる。その際180SXはコーナーの立ち上がりで加速できないため迷惑になる。

 しかし、11時になろうと言う榛名山である。そう簡単には行かなかった。スケートリンク入口のストレートで前を走る車を発見、速度を落としつつ峠を下りるが、17番コーナーで追いついてしまった。

 これまでの中でもこの車はとりわけ遅かった。いくら減速してもすぐに追いついてしまう。このままでは後続車に追いつかれる。

 「どうするか...?」

 ドクターうるふの頭には、「やり直し」と言う選択肢が浮かび上がった。今なら傷は浅い。

 ところが、前を走っていた異様に遅い車は17番コーナー後のストレートにある路肩に車を寄せた。惰性走行の我々をパスさせようと言うのである。
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 しかし、問題はまだ解決していなかった。5連ヘアピンで再び前走車に追いついたのである。今度は5~6台の車の列だ。先頭車両を見ることは出来なかったが、助手席に乗っていたゆみごん社長の言に拠れば観光バスだったという。

 いずれにしても、これだけの台数を全部どかすことは不可能だ。しかもこちらは惰性走行。とりわけ5連ヘアピンのような急カーブの連続では速度も出ない。しかもここはそれほど勾配もきつくないエリアだ。

 「かと言って前との距離が離れて行くわけでもない。徐々にだがそれでも近づいてしまっている...。このままで行けば1コーナー立ち上がりの登りでリタイアすることは必至だ。」
 と、ドクターうるふは足ブレーキを踏んだ。ほとんど停止しそうなまでに減速をする。

 「ちょ、ちょっと遅すぎない?後続車が来ちゃうよ。」
 「さっきの車か?まだ来やしないさ。もし来ても、あれだけゆっくり走ってるんだ。ミラーに姿が映ってから対処しても遅くはあるまい。」

 10,9,8,7、その後のストレートと、ドクターうるふはまるで停止しそうなほどの超低速で走行し、前走車との車間を極端に空けてゆく。これだけのことが出来るのも、1年間に渡る走行経験の積み重ねから来る自信によるものなのだろう。

 前を走る車の集団とはかなり距離が離れたはずだ。6コーナーに進入しようというとき、さっきの遅い車が7コーナーから出てくるところをバックミラーで捉えた。

 「これだけ離しゃぁ、行けるだろ。」

 うるふはブレーキをリリース。ゆっくりとした、静かな加速感が180SXに蘇る。2コーナーまでの距離を利用し、速度を回復させる。
 1番コーナーの進入速度は55km。先程より遅かったものの、立ち上がりは先ほどと変わりない速度。最初は悩まされた1番コーナー立ち上がりだが、今はミスすることはなくなった。続く横断歩道もうまく歩行者の切れ目をついた。橋を渡り、伊香保町役場前(編注:現在は「伊香保総合支所前」)の信号は突破できた。

 しかし、それを抜けると次の「伊香保」交差点が見えた。信号は......
「今、赤になったところだぞ」
 これは赤の待ち時間をフルに喰らうことを意味する。交差点から遠い部分は勾配が急なのでここで溜めを作る。

 「待つ」と言うのは非常にじれったいものである。10秒、20秒が1時間、2時間分ものストレスを生み出す。三叉路の変則信号は青になるタイミングを読ませず、ブレーキリリースの瞬間を鈍らせる。すると。

「ア、抜かされた」

 溜めを作ることに夢中で気づかなかったが、いつのまにか現れた後続車が180SXの怪しい走行に痺れを切らし、追い越していったのだった。まずいと思ったドクターうるふはブレーキをリリース。180SXは勾配を下り始めた。信号に近づくにつれ、傾斜は緩む。速度が落ちてゆく。

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「青ンなれ~、青ンなってくれぇ~」

 祈りが通じたか、近づきつつある「伊香保」交差点の信号は青に。

「なんていい色なんだァ......」

 ため息混じりに漏らすドクターうるふ。世の中広しと言えども、青信号の色にしみじみ感じ入っている人間もそう多くはあるまい。
 先ほど180SXを抜かして行った車に続いて180SXも発進、何とか、突破した。

 竹久夢二記念館を左手に見つつ、観光協会前(編注:現在は「ビジターセンター前」)の信号も通過。グリーン牧場前を疾走し、次の「明保野」交差点もパス。正面に赤城山がくっきり見え、渋川の中心地を眼下に見下ろす。
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 と。信号も何もないのに、前の車が次々とブレーキをかけている。

「オイ、何だよ、このブレーキは?!」
「路駐がいるよ!」

 180SXは、前走車に続いてその場で完全に停止した。

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 「うわ、赤ンなっちゃった!」無情にも信号が赤になった。場所は観光協会前(編注:現在は「ビジターセンター前」)である。
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「突破、突破。行ける、行ける。」

 と、強気のゆみごん社長。この人物、自分でハンドルを握らないと妙に強気である。

 「ダメダメ。ムリだよ、これはァ。」あえなく停止する180SX。先頭で引っかかった。

 「またダメじゃん。」

 口を尖らせるゆみごん社長。しかし、ドクターうるふは怪しく口元を緩ませる。

 「そうとは限らないぜ......。」

 反対の信号が黄色になったとき、見切り発進気味にブレーキをリリースする。180SXは重力によって、渋川方面へと滑り出した。信号は青。既に横断歩道中腹まできており、速度はどんどん上がっている。

 「行けそうじゃねェか?」

 低速の期間が少々長かった気もするが、それでも思ったよりはやく180SXは法定速度に達することができた。グリーン牧場前では公には表記できない速度に達する勢いである。

 「いいねェ!」

 疾走......であった。まさにそんな言葉がぴったり来る走り。180SXは音もなく、まるで電気自動車のように榛名の裾野を渋川へ向けて駆け下りた。

 その後、何度か信号にも掛かったが、坂が急なため、全て重力による発進で切り抜けた。

 渋川駅へ向かう三叉路(信号名「入沢」)。道なりに右へ行けばJR渋川駅だ。信号は赤だったが、目的の方向の直線的に進む道(法的には左折)は左折信号がついており、このまま行けた。

 「ヨシ、ここの突破率は高そうだな。」

 渋川工業高校を左手に見つつ、またもいいペースで坂を下りる180SX。しかし、その先のT字路で信号に掛かった。信号名は「建設省前」。

 先頭あたりでかかると平面だが、ドクターうるふ駆る180SXは7,8番目で坂は比較的急な方だ(写真左)。これなら今までと同じ方法で重力発進できる。

 青。いいタイミングでブレーキを離し、ドクターうるふが交差点に指しかかろうとした瞬間。信号は黄色から赤へ。
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「短けェ~!!マジかよォ!?」

 もはや、ダメである。先頭で停止した180SXは完全なる平坦な場所にいた。

 この後、2,3回の挑戦で、わずかな青信号の瞬間に運よく突破できたこともあったが、その先の道はずっと平地が続いており、このルートでの成功は相当困難と判断した。



目的のディーラーを変更する

 「...という結果になった。ハッキリ言って、ゴールが見えない。」

 再び、2000年12月のゲリラボ本部である。

 「コース変えるしかないんじゃない?あの道じゃ、絶対にムリだよね。」

 この実験の日以外にも道の混雑していない時間帯や曜日などを模索し、運よくこの信号を突破した事も有ったが、次の平地で停止するだけであった。

 数回に渡る遠征実験で得られた結果は、この道では絶対にディーラーまで辿り着けない、という絶望的なもの。一方で、熟達するに従って、この「建設省前」交差点まではかなりの高確率で到達できるようになっていたのである。

 「ここまで来れたって言うことをミッションを成果として報告するのではダメ?もう、この地点で既に16kmに達していて、全行程の約88%を既に惰性走行だけで果たしてるんだよ。あと2kmちょっとだったらJAF呼んでもそれほどの距離ではないし、レッカー代はかなり楽になるはず。この結果で十分驚異的な成果だと思うけど。」
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 しかし、ドクターうるふは首を縦には振らなかった。

 「もう、ダメなのか?これ以上努力できるスキはどこにもないのか?たった数回の実験で出た結果じゃないか。渋川に住んでいる人ならもしかしたらもっといい道を知っているかもしれない。彼らには「あの道通れば出来るかもしれないのにな」って、思われるんだぞ。

 それだけじゃぁない。渋川のこれだけの通りの中でJAFが来るまで路駐して待てるのか?だったらこんなアホなことしてまでここまで来なくても、山の待避所で待ってた方がどれだけいいか知らん。かといって、2kmの行程を押して行くのも非現実的だ。」

 「......やっぱりね。負けたよ、うるふには。分かった、トコトンまでつきあうよ。」

これ以上言っても引き下がらないことを、ゆみごん社長はよく心得ていた。

 「ねぇ......」と、これまで黙ってドクターうるふとゆみごん社長のやり取りを聞いていたピパ子氏が口を開いた。
 「日産のディーラーって、こっちにもあるよね?」ピパ子氏は、地図の上の方を指差す。確かにもう1つ、日産ディーラーが存在する。

 「確かに......な。オレ達の調査でも既に2つの日産があることは分かっていた。しかし、道がない。」

 「走ってみたわけ?」ピパ子氏の質問に、ドクターうるふの動きが止まる。
 「いや......。走ってみたわけではない......。Navin'youの地図で確認しただけだ。なるほど、途中から左にそれて渋川工業高校の北側を抜け......ここから抜ける道さえ発見すれば、北側のディーラーに行けるかも......な。」


新しい目的地

 その後、すぐに榛名山まで赴き、新しい日産ディーラーへの道を探した。

 初回から数えて、現地調査は10回以上に達していた。ドクターうるふの惰性走行技術も向上し、渋川市内まではほぼ確実に到達できるまでに確率を上げた。この調査にはピパ子氏が同行し、彼女のサポートと奇抜な着眼点により、ルートは決まった。
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 その結果、図の青色で示された、かなり早い時期から当初のルートを外れ、渋川工業高校の北側を通り、当初とは別の日産ディーラーを目指す道が最も可能性が高いと分かった。最大の難所は一時停止の後の上り坂で約20m。その先は再び下り坂が続き、運がよければその勢いでディーラーに突入することも可能だ。万一、この難所で停止した場合、ディーラーまでの距離は約1kmとなる。

 そして2000年も暮れに近づいたある日、朝5時。ドクターうるふとゆみごん社長を乗せた180SXはゲリラボ本部を出発した。背後から徐々に空が白み始め、右手に赤城山、左手に榛名山がその姿をあらわす。赤城の頂上はうっすらと雪を頂いていた。

 午前7時、渋川市内に到着。ピパ子氏の助言で発見した新ルートをゆみごん社長と確認する。

 「何としても、今日、結果を出したい。これでムリなら、このミッションは失敗として報告する。」
 「結局厳しいね。はっきり言ってムリ。...でも、やるんでしょ?」

 ドクターうるふはそう言い放つと、180SXに乗り込んだ。

 「行くぞ。ホテルに泊まってる客が動き出す前に伊香保を過ぎるんだ。」

 いよいよ、勝負のときは来た!!

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1999年11月

 指令を受けたドクターうるふとゆみごん社長は、群馬県は榛名山へ向かった。

 榛名山頂でミッションが壊れ、動力伝達が0%の状態を想定する。 通常走行だけでなく、エンジンブレーキも使用不能。 この状態で榛名山を重力だけを頼りに駆け下り、ディーラーまで到達するというもの。最も近い日産ディーラーは渋川市内の国道17号線沿い。 山頂からは約18kmの距離 である。

 今までの中で最も困難な実験になることは明らかであった。

・このミッションの課題は大きく分けて2つ

 1.榛名山~伊香保温泉街:伊香保温泉街の渋滞と信号をタイミング良く抜ける 
 2.渋川市内での、日産ディーラーまでの下り坂をつないだ道探し


 まずは、榛名山を無事に下り、伊香保温泉街を抜けられるかを検証する。



榛名山山頂~伊香保温泉街(1回目)

 本来の山頂はロープウェイで登り、更に徒歩で行かねばならない場所だが、今回のミッションでは群馬県榛名町と伊香保町の境、標高1170m地点、いわゆる峠ダウンヒルのスタート地点を山頂と定義する。
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 この道を榛名湖を背にし、伊香保温泉街を目指し、ギアをニュートラルのまま渋川市内を目指す。ギアを入れてクラッチをつないだ瞬間に実験は失敗とする。

 最初のコーナー番号は30。ここから1番のコーナーまで下る。予想に反し、コーナー次々とクリアする180SX。スピードに乗り、難なく5連ヘアピンを駆け抜けた。

 「結構な急坂なんだなぁ、榛名は。ミスって減速しすぎても、すぐに速度が回復してくれる。 結構行けるかも知れないぞ。」

 しかし、 そう思うのは早すぎた と言うことをすぐに知らされる。そう、まだ全行程の5分の1も走行していないのだ。

 「あー、追いついちゃったよ。」

 「かなり遅いね。」

 と、助手席のゆみごん社長。今回は写真撮影を担当している。
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 180SXの前に黒のバンが現れた。さらにその前を走行する1BOXはどこかのホテルの送迎らしい。榛名山まで宿泊客を連れて行ったのか、それともホテルまで連れ帰る途中なのか。最後の1番コーナーの登りを惰性で登るには、あまりにも遅すぎる。

 「マズイな......。今はまだいいが、徳富蘆花記念館前の1番コーナーの進入で時速60km以上は欲しい。何とかならないものか......。」

 そう言いながら無策のまま1コーナーまで来てしまったドクターうるふ。速度はわずか時速30km。50mほど車間距離を開けていたが、既に後ろから来た車には追いつかれている。50mの車間距離も不自然な印象だ。

 送迎1BOXと黒のバンが1コーナーに近づく。ブレーキランプ点灯とともに、減速。50mの車間距離は数秒で削られ、180SXはコーナー途中で追いついてしまった。立ち上がり後の上り坂だがブレーキを踏むしかない。速度は時速20kmに低下。1BOXと黒のバンは速度を上げて登りをパス。180SXとの間は開く。

 しかし、180SXはエンジンの力を利用できないため、今度はその差がぐんぐん開いていく。後ろを走る車からすれば、180SXの挙動は謎でしかないだろう。

 「ダメだ、コレじゃぁ」

 ドクターうるふはギアを2速に入れ、アクセルを踏んだ。実験は失敗である。ドクターうるふはUターンし、再び山頂へ。


榛名山山頂~伊香保温泉街(2回目)

 「全然ダメだな。昼間じゃムリなのか...?」

 「平日だってのにこの人じゃあね。」

 おりしも榛名山は紅葉のシーズン。 もう、終わりに近い頃だが、それでもこれだけの観光客が足を運んできているとは。

 「とにかく、もう一度走ってみよう。もし、失敗したとしても、次はその場からすぐに実験を再開し、とにかく下まで行ってみよう。」

 部分的に切り取って実験し、各パートごとに成功できるか検証しようという作戦だ。

 山頂から5連ヘアピン、7コーナーまでは先ほど同様問題なく来れたが、やはりここで前走車に追いつき、背後にも車がついてしまった。加速も減速もできない状況再び、である。

 「まただよォ」

 悪態を漏らすドクターうるふ。

 「さっきのことも考えると車間距離は100m以上は欲しいね。」

 「この渋滞で、100mの車間は取れないな......。」

 また、ダメなのか。と、そのとき、ドクターうるふは思いもよらない行動に出たのである!

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「待避所に入って、後続車をやり過ごそう」

 7コーナーから6コーナーへのストレート。左側(谷側)に2箇所の待避所がある。そこに入って、後続の車を全てやり過ごし、後続がいなくなったところで再び本線に戻ろうという作戦。しかし、そんなことが可能なのか。

 2箇所のうちの長いほうの待避所を選んで入ったドクターうるふ。とは言えそれほど長いものではない。スケートリンク入口から後ろについていた車列はここに来るまでの間に10台以上にまで膨れ上がっていた。

 数台の車が180SXを次々と抜き去る。バックミラーで切れ目を確認しつつ、停止しないように注意する。

 人が歩くくらいの速度を保ちつつ、全ての車が過ぎ去るのを待つ。できれば停止させたくない。次の車も近づいている可能性がある。なるべく早く巡航速度に戻したい。

 車の列が、切れた。待避所の終端が迫る。すかさず右ウインカーを出し、本線に戻る180SX。やっぱりだ。バックミラーには7コーナーを抜けてきた新たな後続車が写し出されている。

 「早くしてくれ~」

 そうである。いかに榛名山が急だとは言っても後続車がバックミラーに写っている状況では下り坂だけに頼った加速では物足りない。しかし、6コーナー途中でようやく時速30km程に回復。後続車にはまだ追いつかれていない。

 「アブねェ~......」

 ため息混じりに漏らすドクターうるふ。しかし、冷静に考えればこれは1コーナーを抜けるための準備に過ぎない。まだ1つの関門も突破できていないのだ。もうすぐ1コーナー。先ほどの後続車にはかなり近づかれたが、速度は60kmといいペースをキープしている。前方に車はない。

「行くぜェ!」

時速70kmでコーナー手前に進入。ブレーキを踏んで軽いフロント荷重を作り出す。コーナー脱出時の速度は時速50km強位だろう。徐々に速度を落としながらも、第一関門の1番コーナーの坂を登りきった。

「よっしゃァ!」

 徳富蘆花記念館前で時速約30km。このくらいの速度で走っている車はいくらでもいるので問題ないだろう。

 しかし。先ほどからスピードメーターに気を取られていたドクターうるふが、前方を見たとき、絶望的な光景が眼前に現れたのだ。

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「マジか...」
観光客の集団である。

 問題の1コーナー立ち上がり後に横断歩道が存在する。右側には伊香保の石段街があり、町営駐車場は左側。それを結ぶのはこの横断歩道のみ。それゆえに、ここをパスするのは運任せだ。

 無情な減速。そして停止。180SXが再び動き出すことはなかった。

 先ほどの関門の直後、これほどの強烈な問題が待ち受けていようとは、さすがのドクターうるふも予想だにしなかった。

 また、失敗である。

 「しょうがない、ここをパスしたとして、この先も走ってみよう。」

 歩行者が切れた後、時速20km程まで1速で加速し、再び惰性走行に入る。この先伊香保温泉街は緩やかな坂が続いており、不用意な減速や停止はミスに直結する。

 次の障害である、伊香保町役場前の信号。ここは下りではあるものの、傾斜は緩く、惰性での再発進はできるが、後続車がいる状態では現実的ではない。
 今回は運良く信号が青でそのまま通過。速度も時速40km前後をキープし、問題ない。

 続いて、「伊香保」交差点。ここは平坦なため、かかればアウトだ。

 「ヤバイ、このままだと停まる」
 「減速するしかないんじゃん」

 信号の相当手前なら下り傾斜がある。そこに残って青になるのを待とうと言う作戦だ。青になったら、残った惰性とわずかの下りで、そのまま信号をパスしようと言う作戦だ。

 「不自然かな?オレの走り。」
 「かなり不自然だね。」

 それはそうである。先の信号が赤とは言え、そこまでは100mくらいあって前には誰もいない。後続車からすれば減速する理由がないのに極低速する謎の車と認識される走りだ。

 「"伊香保"交差点は三つ又だから信号が予測出来ねェんだよな。」

 そう言いつつもドクターうるふは決断した。信号は赤だがブレーキを離す。180SXは下り坂の惰性に任せて速度を上げていった。このくらいの速度がなければこの先の平地を突破できない。

 速度は良い。だが、赤信号で止まっていた前走車との距離はどんどん詰まる。後続車を引連れているときは長すぎると感じた前走車との距離も、こうなると短すぎると感じられる。信号まで後30m。ようやく青に変わる。停止していた車は2台。先頭の車が発進。続いて2台目が動き出す。180SXが前の車に追いついたのはそんなときだった。

 このままではぶつかってしまうので軽くブレーキを踏む。減速しつつも、再び下り坂エリアに突入。何とか切り抜けた。

 「あぶねぇ~......」

 180SXは再びペースを回復。竹久夢二記念館前を通り過ぎる。

 しかし。次なる問題が180SXにふりかかる。


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2019年12月6日、リメイク動画を公開!



1999年11月

 ゲリラ実験室が発足して間もない頃であった。ゲリラ実験室本部の電話が鳴る。受けたのはドクターうるふ。

 「もしもし...」

 「うるふか......?調子はどうだ?」

 電話の向うからは潜めた男の声。穏やかに話は切り出されたが、ただならぬ雰囲気が漂っている。男は少し間を置いてから、こう切り出した。

 「新たな指令だ。今度のは手ごわいぞ。」
 「いつものことじゃないか。」
 「フッフッフ。僕のお遊びに付き合ってくれるのは君だけだからね......。大切にしないと。末永く......」

 「お遊びじゃないんだろう?」
 意地悪く突っつくドクターうるふ。両足をどっかりと机の上に投げ出している。

 「お遊びもビジネスも大差はない。」

 男は、続けた。
 「次のミッションは......」

 ゆみごん社長が実験室に入ってきた。ドクターうるふのただならぬ表情を見たのだろう。入口で動きを止めたまま、じっと様子をうかがっている。

 「バカ野郎。そんなのムリだ。」
 「フッフッフ。時間的な制約は特に定めない。健闘を祈っている。」

 「誰?」
 と、ゆみごん社長。表情は硬い。
 ドクターうるふは「フーッ......。」と、大きく息をついた後、
 「新しいミッションだ。今度のは手強いぞ。」



ゲリラ実験室
MISSION7 榛名山でミッションが壊れた!惰性で麓の工場まで走行せよ!


 「無理だよォ、そんなのォ......。惰性走行で工場までなんて。だいたい、日産のディーラーってどこにあるの?」
 投げ捨てるように、レポートを机の上に放り出すゆみごん社長。話を聞いただけで諦め半分の様子だ。
 「ここ。渋川市内の国道17号沿い。ここが一番近いとこ。」
 ドクターうるふは冷静に指を指して見せる。
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「ゼッッッッッッッッッッタイに、ムリ。」

 最も近い日産ディーラーまでは榛名山の山頂から18kmもの距離にあった。時間にして40分(当時のSONY製パソコン用ナビNavin'you4.5で算出。上記画像も同製品のもの)。これを全て榛名山からの惰性走行で走破しようというのだ。

 「だろうな。でも、とりあえず行ける所まで行ってみる......ってことしかないだろう。まぁ、見てなって。驚異的な記録をたたき出してやるさ。」
 単なる開き直りなのか、それとも勝算があるのか......?ドクターうるふの表情には久しぶりに自信がみなぎっていた。


2000年12月

 あれから1年が経過した。

 当研究所ではこのミッションの成功に向け、常に高いものを追求してきた。既に何度目の榛名山遠征になろうか。しかし、いかに数を重ねようとも実験前の綿密なブリーフィングに気の緩みは微塵もない。実験室にはドクターうるふの他に、ゆみごん社長、ピパ子氏が座っている。

 ゆみごん社長とは既に何度か実走実験をしているドクターうるふ。今回はその中間発表だ。

 「この実験は"ミッションが壊れた"という設定で、動力の伝達が全く出来ない状況下にあることを想定している。つまり、駆動力を伝達出来ないから、通常走行だけでなく、エンジンブレーキもかけられない。"下り坂はエンジンブレーキ併用"と言う、教習所で教わる大前提にも反して斜面を駆け下りてゆくのさ。」

 ドクターうるふはみんなの方を向き直った。

 「現在集まっているデータを全て洗い直しているところだ。現段階で分かっている問題点について再度確認しておきたい。まず、最初の関門。それがここだ。」
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 スクリーンに問題の場所が映し出される。榛名山第一コーナー。榛名山を下ってくると写真の左から来て、奥へ向かって登ることになる。道の延長上に見えるのが徳富蘆花記念館、バスが停まっているのは町営駐車場だ。

 榛名山頂から番号付きのコーナー30個の内、唯一ここだけが登り坂となる。コーナー立ち上がりが登りとなるため、いかに速度を落とさずにカーブを曲がれるかが最大の焦点となるだろう。

 「この他、いくつかの関門は伊香保温泉街に集中している。」

 「伊香保町役場前の信号に......、「伊香保」交差点の三叉路......他はどこも信号がらみだったね。」

 「そう、信号に掛かったら停止しなければいけない。信号が変わるタイミングを熟知し、予測した運転が必要だ。」

 「この先にもいくつか信号があるが、他の信号は停止する場所が下り坂になっているから、例え停止してもまた発進できる。」

 「ホントォ?」

 「そこを運良く突破できたとしても、厳しいのは斜面に対して、直角に走行する所だよね。渋川市内にはそう言うところが多すぎる。」

 と、数回のチャレンジに同乗したゆみごん社長が言い放つ。

 「そう。そして絶望的なのが、日産ディーラーまでの道が上り坂であること。」

 「じゃあ、絶対に無理じゃん」

 「そう。絶対に無理だった。それでも近くまで行ければそこからディーラーの人を徒歩で呼びに行って、押してディーラー内に入ることもアリだろう。」

 「で、結果はどうだったの?」(ピパ子氏)

 「これからその実験の様子をご覧に入れる。」

g_title.jpgゲリラ実験室index



エンジンの動力を使わず、 
坂を下る勢いだけでディーラーまで辿り着けるか?

 「渋川市内の国道17号沿い。ここが一番近いとこ。」 
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「ゼッッッッッッッッッッタイに、ムリ。」 
 
ゲリラボ史上最も困難なチャレンジ!走行17km、所要時間は30分。 
こんなことが可能なのか?! 



 幾多の信号と上り坂。そして渋滞! 
困難は容赦なく180SXを襲う!!

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 「うわ、信号赤ンなっちゃった!」
 「突破、突破。行ける、行ける。」 


平地、信号、登りに歩行者、駐車車両。
 運と、技術と、根性と。


 構想1年、遠征10回。 



 
そして、180SXにトラブル発生! 
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 ガガガッ!!
 「クソッ、乗り上げた!」
 「止まる、止まるーっ!!」


 レッカーはもう、要らない?!
 JAFも逃げ出す、驚異の実験。 



 ディーラーは遥か......。果たして辿り着けたるか?


(2000年12月18日、旧サイトに公開したリライト版)



あれから20年...。
2019年、リメイク動画を公開。

2019年11月30日、予告編のリメイク動画を公開!


2019年12月6日、本編のリメイク動画を公開!

 餅はうまく焼けることが判明した。しかし、これだけでは満足しない。先ほど失敗した焼き芋を成功させてやろう、そう決めて、芋を装着していたその時。

爆音と共にレトロなスポーツカーが180SXの脇を通りすぎ、停車した。

「車壊れちゃったの?見てあげるよ!」

 これには肝をつぶした。「実は遮熱板で焼きイモ作ってんです」なんて言えるわけがない。

 車種は不明だが、真っ赤な6、70年代あたりと思われる2人乗りスポーツカー。幌の屋根である。オープンになるのだろう。年の頃は40~50歳くらいで、完全に趣味に生きているイイ感じの渋さがあるオヤジだ。隣には奥様と思われる女性が。

 あの車を走らせているのだから、ガレージでも持ってて、エンジンのオーバーホールくらい自分でやっちゃうんだろう。ボンネットを開けて若い男女がエンジンルームを覗きこんでいる姿を見て、「スポーツカーでカッコよくデートしてたらまさかのエンジントラブル、どうやって直したらイイのかさっぱり解らない哀れなオトコ1名。ヨシ、俺が助け舟を出してやろう。」そう思ったに違いない。

 そんな彼に、この計画を説明したら、どんなリアクションが返って来るか、予想もつかない。「そんなのは車に対する冒涜だよ!」と怒鳴られるかもしれない。

 「べ、別に壊れてるわけじゃありません。どうもお騒がせして済みませんでした」と言い、降りて来ないようにと祈った。幸い彼は、「あ、そうなの」といって、再び爆音を響かせて過ぎて行ったので安心した。今、冷静に考えてみると事実を言ってみても面白かったかもしれない。困っている人を助けてあげようとした人なんだから、絶対にイイ人だと思う。あのスポーツカーの方と、一緒に走っていたジムニーの方、あのときは言えなかったけど、僕たちは世界初の実験をしていたのです。

 再び碓氷峠。C130後ストレートの退避場にサルがいる。無視して通過してしまったが、今から思えば焼き芋の匂いをプンプンさせながら、停車してみても良かったかもしれない。エンジンルーム内の焼き芋に対し、サルたちがどんな行動を取っただろうか。

 その後もこれならホイル焼きでもグラタンでも作れそうだ、パンも焼けるかもしれないと、話が弾む。あたりはうす暗くなっていた。

 途中、エンジンルームにサツマイモが入っていることなどすっかり忘れて本庄でガソリンスタンドに入る。軽井沢に行った帰りは必ずここだ。

「窓拭いてもよろしいですか?」

 窓を拭いている店員さんは、さぞ、おかしいと思ったに違いない。なんで焼きイモの匂いがするんだろう。この車からするような気もするけど、そんな訳ないし......と。
 店員さんは平静を装っていたが、絶対に異変を感じているはずである。何しろ、本当の焼きイモ屋さんのように、あたり一面焼きイモの匂いがしているのだから。

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ラボに到着後、イモを取り出してみたが、今回も失敗であった。
芋を薄くするなどの対策を練る必要がある。

 前回同様、周囲5mmほどはうまく焼けているが、中心部には火が通っていない。やり方に問題があるのか、それとも温度か。課題は多い。

 ただ、今回の実験で、オーブンの倍ほど時間はかかるが、餅は確実に焼けると言うことが判明した。特別な技術は必要としない。途中で裏返したりもしていない。遮熱板に密着するように固定できれば、後は走るだけである。下に、おおよその焼き時間を示しておく。

通常走行(2000~3000回転) 40~50分
高速走行(3000~4000回転) 35~45分
全開走行(4000回転以上) 25~35分?

 比較的火は弱いようなので、時間にそれほど神経質にならずとも大丈夫だと思う。停車場所が近くになく、すぐに取り出せそうにない場合は、回転数を下げて火加減を調節しよう。なお、実験に使用した180SXはエンジンの排気側、すなわち、餅がセットしてあるすぐ上に放熱のための穴が開けられているので、これを考慮すると通常の180SXではこれより5分程度、早く焼けるかもしれない。

 餅の枚数に関しては余り関係ないように思える。注意して欲しいのは厚さと置き方である。厚さが2cmを超えるような餅は薄く切ったほうが良い。火が通りきらない可能性がある。なお、厚さ3cm超えるようなものはスペースの関係で設置できない。置き方は、必ず遮熱板に密着するように固定し、走行中脱落しないように注意しよう。針金を固定するのは、エンジン本体や、パイピングなどの走行中に動きのない部分にすること。アクチュエーターなどには絶対に固定したり、針金を干渉させたりしないように注意しよう。今回の実験ではエンジン本体のパイピング類と、ストラットタワーバーを固定に利用した。

 今回の実験を終えて、ドクターうるふは語る。

 「なんで、こう言う器具って言うか、装置が発売されないのかなって思うね。個人レベルの針金とアルミホイルだけで餅が焼けちゃう。メーカーが作れば湯沸かしだってパン焼き器だってなんだってできちゃうよ。湯沸しなら実用性も高いし、メーカーだったら絶対に実現させられると思う。RV車にはオプションで用意したら絶対に売れると思うよ。

 今、お湯さえあればなんでも作れちゃうんだよね。目的地に着いてさ、すぐにコーヒーでもスープでも飲める。暖かいものが常にあるって言うのはアウトドアでは本当に幸せなことなんだよ。今の時代に、絶対必要なものだと思う。

 誰か、そう言う関係の方がいたら作ってよ。「うるふの怪しいホームページ」宣伝してくれれば、このアイデア、タダで持って行って良いからさ。もしかしたら、億単位の儲けになるかもよ。

 ま、今回は餅だったけど、非常に簡単にできて、かえってレポートがつまんなくなっちゃった。それくらい簡単にできた。着いたらすぐに食べられるでしょ。手軽なんだよね。容器を改良して、装着と取り出しがもっと簡単になれば利用価値はかなり高くなると思う。焼きイモも絶対成功させて見せる。このままでは終わらないよ。」

と意欲を見せる。この排気熱利用に大きな期待を寄せているようだ。

実験は無事終了し、その結果だけを残して、研究員たちはいずこかへ去って行った。
新たな検証が、彼らを待っている。

走行中に調理して、
着いたらあったか、すぐ食べる。
2000年は新しい鏡開きでスタートしませんか。



 芋を室内に持ちこむと焼き芋屋さんのあの香りが180SX内をいっぱいにする。時刻も12時とちょうど良い。食欲をそそる。外見も悪くない。透明感のある黄色。最高の状態だ。

 だが、ドクターうるふの口からは、思いもよらない言葉が飛び出した。

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「あー、ダメだ、こりゃぁ」

切り口の様子から想像頂けるだろうか。中心部はほとんど火が通っていない。

 「芯があるよ。芯っていうか、全然焼けてない。表面の2、3mmしか焼けていなくて後は全然火が通っていない。あったかくはなっているけど、完全に生の状態。これじゃあ、食べられないよ」

匂い的にはかなり良いのだが、残念だ。

 「仕方ない、とりあえず当初の目的に戻って餅をしっかり焼こう」

 ここで餅をセットし、妙義山を下りて、碓氷峠を登りきったところで試食しようと言う計画を立てた。時間的にはおそらく30分~35分程になるだろう。時間は若干芯があった先ほどと同じ位になるが、後半碓氷峠があるため、火加減的にはちょうど良いと思われる。

 今回はアルミホイルへの付着を防ぐため、最初から餅を海苔でくるみ、その上からアルミホイルで包装する。餅2度目のアタックは厚さ約1.5cm~2cmのサトウの鏡餅2つと、自家製かき餅2枚の計4枚。100%もち米使用の自家製かき餅を選んだのは勝利を確信してのこと。失敗は許されない。

 セットはもう慣れて来て、時間はかからなかった。12時23分、妙義山駐車場を後にする。今度は比較的おとなしい走行で妙義山を下りる。回転数は2500~4000程度。妙義山が終わって、碓氷峠までは通常走行が10分ほど。碓氷峠はまあまあスポーティーな走行で3000回転~5000回転くらい。

「最後、ちょっと焦げ目をつけるか」

と言って、C170くらいから全開走行にする。餅の状態を見ないで火加減を調節しなくてはならないのだから、職人芸だ。無論、餅焼き2度目なのだからうまく行っているかは解らない。適当なことを言っているだけだ。

 碓氷峠を通過し、長野県に入ったのが1時ちょうど。そのまますぐに右折し、別荘へ続く道の路肩に停車した。ボンネットを開けると、前回とは違い、海苔の焼ける香ばしい匂いが漂う。触ってみると柔らかい。残念ながら、焦げ目はないが、うまく焼けているようだ。

海苔作戦は大成功。アルミホイルには全然ついておらず、容易に取り出せた。 見よ!この美しい伸びを!180SXでこれだけ立派に餅が焼けるのだ!

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「今度はうまく行った。これは完璧」

と、2人とも興奮を隠さない。
そのまま醤油をぶっかけて食す。普通に焼いたのと全く変わりはない。今度も排気ガス臭いなどの問題もない。衛生面でもさほど問題はないだろう。おそらく、世界初ではないかと思われる、180SXで焼いた餅。今度は芯など存在しない。完全に食べごろの状態だ。

 今回の成功で、位置的な問題よりも、餅の厚さが、焼き時間に影響していることが判明した。


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 はっきり言ってうま過ぎる。豪快に醤油をぶっかけて食べよう。
 同じ焼肉も、河原でバーベキューした方が、家庭よりうまく感じるように、こっちの餅の方がおいしく思える。満足度は非常に高い。ブナの林に見え隠れする浅間山を眺め、思いを馳せるドクターうるふ。餅の伸び具合を楽しむように、くわえては引っ張って餅をちぎっている。何とも言えない、至福の瞬間だ。

 しかし、その満足はリベンジへの闘志と変わるまでにそう時間はかからなかった。

「焼きイモを成功させよう!」

 先ほど失敗した焼きイモを再び装着して、帰宅までの2時間半、通常走行のとろ火で、じっくり焼き上げようというのである。さすがに2時間半あれば火も通るだろう。

 そして、ボンネットを開け、イモを装着しているときに問題は起こった!今すぐ、次のページへ!


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 餅を遮熱板に装着してから35分、待望のボンネットオープンである。とりあえず、目視で確認する限りでは、脱落などのトラブルは見られない。

 軍手をしてアルミホイルに触れると、軍手を通しても餅の熱さが伝わってくる。やはり熱は十分伝わっているようだ。予定より長時間だったが、焦げたような臭いはしない。慎重に針金をほどいて行く。それほど針金は熱くない。ドクターうるふが声を上げた。

「焼けてるよ、これは。」

「焼けてる?」聞き直すゆみごん社長。
「焼けてる。絶対。」ドクターうるふがアルミホイルを取り出しながら繰り返す。「柔らかいもん。」

 なるほど、アルミホイルの上から押しても指の形にへこむ。イイ感じに焼けているようだ。車内でアルミホイルを開けてみる。

しっかりと伸びてくれた。これぞ、うまく焼けている証拠だ。

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「全然オッケーじゃん。」

 臭いをかいでみる。排気ガスなどの有害な臭いはない。アルミホイルにべっとりとくっついてしまっているが、試食には問題ないと思われる。そこで、実際に食べてみる。先に口にしたのはゆみごん社長だった。

「うん。普通のモチだ。うまく焼けてるよ」

ドクターうるふも食べてみる。
「こっちは餅が厚かったようだ。ちょっと芯があるな。それとも位置的な問題か......」

確かに、ドクターうるふの方はまだ焼けてない硬い部分が残っていた。

 妙義山では1発成功させたかったため、行く途中からテスト実施したわけだが、この時点でうまく焼けてしまったので拍子抜けする。すると、ゆみごん社長があくなき探求心をムキ出しにした。

「サツマイモ買おう。焼きイモに挑戦してみよう。
ナスとかシイタケも焼けそうじゃない?」




 道の駅「おかべ」は国道17号バイパス沿いにあり、普通車はもちろん、大型車も入ることができる規模のもの。酒、漬物など周辺の特産品も取り揃えており、食堂は朝7時半から営業。しかし、何といっても特筆するのは周辺で採れた農産物を直売しており、これが信じられないような激安なのだ。ゆみごん社長はそれを知っていた。

 とりあえず、巨大なサツマイモ、餅に巻く用の海苔、そのほか家庭で必要な野菜類もついでに買い込む。醤油は1リットル物しかなかったので、あとでコンビニで購入することにした。

 「妙義山までサツマイモを装着した状態で行こう。1時間半ほどかかるだろうから、十分焼けるでしょ。」と、ゆみごん社長。焼きイモにかなりの期待を寄せているようだ。

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厚さ3cmほどに切る。直径は10cmくらいのかなり大型のサツマイモだった。 新聞を束ねるときのような感じで芋を針金で縛る。1箇所をすぐに外れるようにしておいた。 運転席側から見てエンジンの左、ちょうど助手席の前あたりに遮熱板がある。あまり大きな物はつけられない。

 購入したサツマイモはあまりにも大きすぎて、限られたスペースには入らない。厚さを3cmにカットして、先ほどの餅と同様にアルミホイルでくるむ。針金は十字に巻き、1箇所がすぐに外れるように工夫し、簡単にサツマイモを取り出せるようにした。今回はサツマイモ自体に重みがあるのでしっかり固定する。ただ、スペース的に相当ギリギリなので、まず脱落はあり得ないだろう。

 道の駅「おかべ」を出る。時刻は10時10分。国道17号は比較的すいており、順調に進む。

 途中、松井田町付近のセブンイレブンで醤油を購入する。すでに1時間以上が経過していた。

 車の外に出るとボンネットからは焼きイモの匂いがただよって来る。完全に焼き芋屋さん状態だ。

「焼けてるよー、焼きイモ。」焼きイモができていると確信しているドクターうるふ。醤油を買って、ここでトイレを済ませる。ヤンマガの頭文字Dを立ち読みして車に戻る。真子ちゃんの番外編の後編だった。車に戻るとまだ焼きイモの匂いは周囲にただよっている。

 国道18号をそれて妙義山へ入る。妙義山はほとんど走ったことはないが、全開走行を試みる。碓氷峠に比べてタイトなコーナーはなく、路面も安定しており、グリップも良い。100km/h以上で走れるポイントが数多くあり、4000回転~6000回転の領域ばかりになる。排気温は相当上がっているはずだ。

「焼けすぎちゃってるかなー?、焼きイモ?」

 10分近い前回走行の後、山頂の駐車場に到着。室内まで焼きイモの匂いがたちこめる。かなり期待できそうだ。約1分のアフターアイドリングの後、ボンネットを開ける。

 エンジンルーム内は先ほどの餅の時と違い、物凄い熱気だ。マフラーや遮熱板などからはキンキンと言う金属音が聞こえてくる。明らかに通常走行時とは温度の領域が違う。一部、アルミホイルが白く変色している部分もあり、温度の高さを物語る。軍手をしても長時間は持てないほど、芋を包むアルミホイルは高温になっている。

 少し冷ましてから車内に持ち込む。ホイルをはがすと室内は焼き芋の良い匂いに包まれる。焦げなどは見当たらない。

しかし、そのとき、予想もしない言葉がドクターうるふの口から発せられた!!



 最近、環境に対する意識が国民レベルで高くなってきたように思う。我がゲリラ実験室でもゴミの分別収集を始め、紙の利用の削減などに取り組んでいる。
 そこで考えた。車のエネルギーを走行以外にも利用できはしないか。我々は、排気ガスの熱を利用してお湯を沸かすことは出来ないかと考えていた。温度的には可能だが、実現するのは難しい。水を入れるものは密閉容器にしないと水がこぼれるし、前走車の排気ガスが混ざるかもしれない。しかし、密閉すれば破裂する恐れがある......。固定方法や、取りまわしなどの面も考慮すると個人レベルでの実現は不可能のように思えた。
 計画はそのまま放置されていた。
 しかし、ある日。エンジンルームを見ていて、気がついたことがある。エキマニの遮熱板に水平部分が存在するのである。
ここで考えついた。もうすぐ正月、
180SXで餅が焼けるのではないか
と言うことだ。水と違って、餅のような固形物ならアルミホイルでくるめばそれで十分だ。密閉して沸騰して破裂、ような危険もなく、高熱なので衛生面でもほとんど問題はあるまい。
 しかも、先述の通り、180SXの遮熱版は、
「ここに餅を載せてください」
と言わんばかりの形状。更に改めて見てみると、固定に利用できそうなものはいくらでもある。温めるものを水でなく、餅にすることによって、この計画は、大きく成功へと近づいた。
「この勝負、もらった......」
 いま、日産の技術者さえもが思いつかなかった世紀の大実験が、我が「ゲリラボ」の手によって実施される!


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 「あけましておめでとうございます、と言うことでね、2000年も、ゲリラ実験室は180SXを始め、車を愛する皆様を代表して、お役に立つ、様々な実験を行なって行きたいと思います。ま、本当にね、読んで下さる方々には感謝の一言に尽きます。月並みな言葉しかないけれど、ありがとうございます、と、お伝えしたいですね。」
 と、当実験室最高責任者、ドクターうるふ氏。らしくない、結構マジメな挨拶である。
 ま、正月と言うことで、それらしく180SXに鏡餅を置いてみた。

 使用するのは、この「食べたらわかる、サトウの鏡餅」である。2000年1月11日の鏡開きはちょっと違ったスタイルで、ライバルに差をつけることもできる。この実験が成功したら、180SXオーナーの方はぜひ試して欲しい。

 今回の実験に関して、ドクターうるふは語る。
「今までね、エンジンの熱を何かに利用できないかなと思っていたんだよ。エンジン内は800℃もの高熱になっている。でもその熱エネルギーが運動エネルギーとしてタイヤに伝わる分は30%以下だって聞いたことがある。つまり、半分以上は熱エネルギーとして空気中に無駄に放出されているって言うわけだ。だから、それを利用して餅を焼くって言うのは、無駄に放出される熱を積極的に利用しようって言う前向きな行動なんだよね。
 排気ガスがエンジン外に出て、エキマニを通るときでも600℃くらいはあるでしょ。遮熱板を通しても200℃にはなっていると思うな。オーブンで餅を焼くときは200度で約15分。だからこっちも15分くらいで様子を見てみたいね。
 え?その前に焼けるのかって?焼けるよ、絶対。今回は成功しか考えていない。問題は火加減だけ。出来る出来ないじゃないんだよね、オレの中では。

出来た餅がうまいかうまくないか
って言うことなんだよ。」

 とにかくその自信は並ではない。今までには感じられなかったほどの自信に満ちあふれている。
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 鏡餅のままでは到底遮熱板の上に置くことはできないので、小さくカットする。火加減がわからないので様々な大きさの餅になるように切った。180SXのボンネットは即座にキッチンに変わる。通勤途中のドライバーが「なんでコイツら、こんなところでモチ切ってんだ?」と、怪しげに見て来るが、無視する。
 切った餅は右の写真のように遮熱板の上に密着するように置き、針金で固定した。今回は量が少なく軽いため、それほど神経質にならなくても良いが、脱落しないように注意しよう。アクチュエーターにでも餅が詰まってトラブルになったら、日産のディーラーに、何故こんなところに餅が詰まっているのか、説明するのが面倒だ。
 ただ、走行時の振動は予想を超えるほど大きい場合もある。餅が遮熱板から離れると焼き具合に大きな影響があるので、しっかり密着するように固定できているか、確認して欲しい。また、装着は必ずエンジンを停止してから行ない、遮熱板が熱いときは軍手をするなどして、事故を防ごう。
 8時55分、鏡餅片3きれを遮熱板に装着した180SXは妙義山へ向けて出発した。15分後にとりあえず様子を見る予定である。
 走行はとりあえず、2000回転~3000回転の通常走行を心がけた。信号での停止もほとんどなく、順調な走行が進む。15分が経過した頃、180SXは国道140号を走行していた。様子を見たいが、ここで停車するわけにも行かない。もうちょっと進むことにする。
 20分。国道140号を離れる頃、ドクターうるふに異変が生じた。
「ヤベェ。オレ、トイレ行きたくなっちゃったよ」
 突発的に訪れた緊急事態。餅を見ているヒマはない。とりあえず、道の駅「おかべ」に向かった。深谷市内を抜け、時間は25分経過。道の駅「おかべ」を目指したのは、トイレだけが目的ではない。餅につける海苔と醤油を購入するためだ。
 更にゆみごん社長は餅の次に第2段として焼きイモを焼こうという計画まで浮上させる。この女、人が苦しんでいるときに良くもそんな悠長なことが思いつくものだ。やはりタダ者ではない。
 「ここだっけなぁ......。」国道140号から道の駅「おかべ」などというレアなルート設定をしたことがないドクターうるふ。しかも、トイレに行きたいという思いが先行して思考がついて来てくれない。既に30分を経過。だが、別段車内には異臭などの問題は起きていない。無論、これは餅の方からの異臭である。ドクターうるふからの異臭ではない。
 餅の装着から35分が経過し、道の駅おかべに到着した。ドクターうるふも事無きを得たようだ。
 さて、いよいよ、待望のボンネットオープンである。果たして、結果は如何に?


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「焼けるよ、絶対。
今回は成功しか考えていない。
出来た餅がうまいかうまくないか
って言うことなんだよ。」

日産の技術者さえも思いついたことのない、
意表をついたとんでもない計画!


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サツマイモ買おう。
焼きイモに挑戦してみよう。
ナスとかシイタケも焼けそうじゃない?」
「あー、ダメだ、こりゃぁ」

そんなことが、可能なのか?!


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「最後、ちょっと焦げ目をつけるか」

「車壊れちゃったの?見てあげるよ!」

かつてない実験は、かつてない結果を呼ぶ!
衝撃の事実が、今、明らかに!!

ゲリラ実験室、MISSION3

180SXで餅は焼けるか?
2000年鏡開きは、180SXで行う!!

 エリーゼが街中を走っていると、一般の人は、まずはその屋根の低さで、普通の車ではないと感じるようだ。実際乗ってみても、アイポイントが低いことは間違いない。夜は、普通車のロービームでさえ、まぶしく感じるのである。ただ、最低地上高は...?ヨシ、実験だ!

■このブログの内容

  ・最低地上高計測器を作る!ツーバイフォー材の幅が約9㎝ 
 ・エリーゼの最低地上高は?
 ・我が家のオフロード車、180SXと比較する 
 

同じ内容の動画もあります。
この記事にはない、身体を張った大実験もありますのでご覧ください!


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 上の写真は、我が家のクルマ3兄弟である。背の順となっているが、当然、最も背が低いのはエリーゼである。180SXは車高調が入っているが、エリーゼで行けない所にも行くため、下げ幅は控えめにしてある。その為、アイポイントは高く、エリーゼに乗り換えると、違いはすぐに分かる。

 そのようなエリーゼだから、僕は、最低地上高も、エリーゼが一番低いと、認識するものである。アイポイントは低いし、着座位置も低い。ならば車体の床も低い。...はずだ。
 ただ、言われてみれば実際に計測したことはないが...。

 エリーゼで日常生活を送ろうとするなら、天井の低さが関係するのは乗り心地程度の物である。

 しかしながら、最低地上高はそうは行かない。保安基準である9cmは必須としても、コンビニや、踏切など、シャコタン車を悩ませるポイントはたくさんある。

 人によって何が日常か?これは異なる。釣りやキャンプがしたければ、ある程度の車高は欲しいし、変な段差がない所だけで十分生活できる、と言う方もあろう。

 とは言え、エリーゼの最低地上高を知っておく必要はあるし、これからエリーゼを買って通勤や買い物にも使おうと考えている方には、この実験は有益なはずだ。


■最低地上高計測器を作る ツーバイフォー材の幅が約9cm

 最低地上高を測るのは結構難しい。エリーゼのように車体底面がまっ平な車ならいいが、そんな車はほとんどない。

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 なので、このようなものを作った。ツーバイフォーの端材をこれまた持ち手となる端材の板につなぎ合わせたもの。これを低そうな場所に差し込んで計測する。ツーバイフォー材の幅は9㎝弱であり、保安基準クリアの目安には丁度良い。

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 今回は、持ち手となる端材の板との接合に鉄製のプレートを使用し、この高さを含めてキレイに9㎝となった。なお、買った端材がたまたまそうだっただけだが90度回転させて使うと12㎝。最低地上高ギリギリ、と言うのはあまりないと思うので、これは丁度良い偶然。サイズ合わせの断裁などは一切なしで、価格は10円。



■エリーゼの最低地上高は?
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 まずはアプローチアングル。最初にぶつかりそうなポイントは、フロントスポイラーのこの低い部分。タイヤ接地部分から約60㎝の所にある。


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 じゃぁ、測ってみましょう。

 ...え...?

 エリーゼさん、意外と最低地上高は確保されていらっしゃる...?んですね...。自作計測器の向きを縦に使用しているので、何と12㎝が余裕ということ。14㎝くらいクリアランスはありそう。


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 もっと低そうな場所はないかな...?ということで、フロントカウル後端がちょっと垂れ下がったようになっている。見た目からしてここで大体13㎝くらいだと思われる。

 ただし、ここはもし当たったとしても、そのまま前進するのであれば、当たった障害物にカウルが押し上げられる感じで突破できるだろう。こすりはするが、大きなダメージには至らなそうだ。やりたくないけど。
 ただ、バックで引っかかったら向きが逆なのでアウトである。カウルがめくれあがって割れる。それは絶対にやってはならない。



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 では、車体中央はどうか。ここも十分余裕あり。エリーゼの車体底面は完全にフラット。飛び出した部分はボルトの頭になるが、13㎝以上は確実にある。本稿とは関係ないが、本当に効率の良い底面をしていると、惚れ惚れする。

 ...と言うことで、僕のエリーゼの最低地上高は13㎝程度、ということになる。買ってから車高はいじっていないが、この高さなら多分ノーマルだと思って間違いなかろう。

 車高調などを入れている場合は、同じような装置を手作りするなどして調査して頂ければ幸いである。


■我が家のオフロード車、180SXの最低地上高と比較してみる

 我が家の180SXは時にオフロード車として扱われる。これで、釣りに行ったり河原のキャンプに行ったり、昔はゲリラ実験室という企画でオフロードも随分走った。そういう使い方もするもんだから、車高調は入っているが、設定は高めにしている。ノーマルよりは下がっているかと思うが、その下げ幅は最小限だ。

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 まずは、アプローチアングルの比較。エリーゼ同様にタイヤ接地面から当たりそうな場所は先端ではなさそうだ。その部分で測ってみると、約65cmとなった。

 あれ...?エリーゼは60cmなので、180SXの方が悪路走破性は低いことになります...が。

 ま、いいか。で、最低地上高は...?エリーゼとまったく同じ自作の最低地上高計測器で測ってみた。

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 あれ...?おかしいな。12㎝ないぞ。


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 え? え?
 車体中央のフレーム部分だが、ここもやはり11㎝くらい...。

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 純正に換えてから、まったく地面に当たらなくなったタイコ部分もこれで測ると11㎝くらい。

 ...と、言うことは?

最低地上高はエリーゼの方が2cm程度高い、ということになります...ね。

 なりますね、ってオイ!180SXよりもアイポイントはエリーゼの方が圧倒的に低いのに、最低地上高は180SXよりも確保されているって言うのかい?
 つまり、室内の高さが180SXよりエリーゼの方が圧倒的に高さがない、ということだ。

 感覚としては信じがたいが、結果はそうなっている...。エリーゼの方が車高は高いし、オーバーハングも短いのでアプローチアングルも有利。

 あくまで日常使いで、オフロードを走るわけではないので、ディパーチャーアングルについては見てない。入れれば出れるだろう、の理屈だが、リアはもう、形状から言って、絶対にエリーゼの方が有利だろう。造りからしても、エリーゼはディフューザーの垂直部分が当たるだけだが、180SXはマフラーのタイコが当たることになり、そのダメージは180SXの方が大きい。

 と、なると...

180SXの方が悪路走破性が高いと思い込んでいた事実は、
本日を以て終了いたします。

 てことかい、オイ?

 180SXの方がアイポイントが高いし、車高の下げ具合もかなり控えめにしているので、絶対に180SXの方が悪路走破性が高いと思っていた。エリーゼで行けない所は、180SXで行く、そう思っていた。

 しかし。

 数値だけ見ると、「180SXで行けない所には、エリーゼで行く」が正しい、となる。
 それを妨げる理由は、万一ぶつけた場合の修理費用がエリーゼの方が圧倒的に高い、ということだけだ。

 データから見れば、180SXで行けるところは、エリーゼでも全て行ける、となる。

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↑ここも行けるわけだ。

いやいやいやいや。
やらないって!

 

■まとめ

 以上の事から、僕のエリーゼは、かなりラフな使い方をしている180SX以上のユーティリティ性があることが判明した。地上から天井までの高さや、アイポイントの高さで買ってに決めつけていたが、180SXで日常生活は全く困ったことがない。ゆえにそれ以上の値を示すエリーゼは、その180SXを以上に日常生活を妨げないと言える。

 ちなみに180SXで入れないコンビニやガソリンスタンド、立体駐車場は記憶にない。行かない所と言えばキャンプや焚火をしている河原とか、そんな特別なところだけである。

 結論としては、一般的な生活はエリーゼでできると言って問題ないだろう。少なくとも僕のエリーゼの仕様ではそういう結果だ。ノーマルのまま乗るのであれば、エリーゼで日常生活はまず問題ないといえよう。
 バッテリーを抜かれ、不動車となったまま3週間放置された180SX。スネていないだろうか...?せめてもの罪滅ぼしに新品バッテリーを購入し、再び走れるようにする。通電さえしていなかったことになるわけだが、大丈夫?

 180SXである。
 前述のように、バッテリーを抜き、全く通電していない状態で3週間放置した。なぜ、このようなことになったのかと言えば、ロータスエリーゼに180SXのバッテリーを移植していたからである。

 エリーゼはロータスと言うイギリスのメーカーの車である。バッテリーは外国車用の物が付いていた。これが高いし、ホームセンターなどでは手に入らない。他のオーナー様のブログやTwitterなどを見ると、エリーゼは非常にバッテリーが上がりやすいクルマである。幸い、僕のエリーゼはそこまでではないが、とは言え、その様な報告が多数上がっている車なので、バッテリーは安くてどこでも手に入るものが良い。

 ということで、国産バッテリーに変換できるか、と言うチャレンジをしていた。(詳細はこちら↓。まだご覧になってない方は参照頂けると幸いである)



 180SXのバッテリーはその実験台として使用していたのだ。もちろん、新しいのを買って試してもいいのだが、失敗したら使えないバッテリーが出たりして面倒なので、ちょっと拝借したというわけである。

 結果、固定含めて移植も問題なく、容量は3分の2になるも、週イチの運手でも何ら問題なくエンジン始動できることが判明した。ひとまずの成功と見ていいだろう。

 ということで、3週間、バッテリーなし状態で放置されていた180SXに新品バッテリー装着したというわけである。

 
 
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 購入したのは、40B19Rというメチャクチャオーソドックスなタイプのもの。ホームセンターなどでもPBが出ている、超定番の形式だ。180SXのバッテリーをエリーゼに移植したことにより、両車のバッテリーは共通化された。これは今後何が起きるか分からないが、共通部品となれば、色々便利であろう。

 で、写真はホームセンターPBで何と3,980円。安い...。のは良いが、コストダウンのあおりか、これは一体どうやって取り出すというのだ?液入りバッテリーなので逆さまにして出す訳にも行かぬ。
 
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 考えるのも面倒なので、箱をカットした。僕は、財布も兼ねているスマホケースにビクトリノックスのスイスカードライトを入れているので、こいつに付属のナイフで切った。スイスカードライトはとにかく便利。小型のビクトリノックスと言えば、ミニチャンプを思い浮かべる方もいらっしゃると思う。僕も昔はミニチャンプライトを使用していたが、スイスカードライトの方が財布に入れておけると言う点に於いて、思わぬ時にも持っている、というシチュエーションを生み出せる確率は圧倒的に上がった。お勧め。

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 完全にバッテリーが抜かれた180SX。通電もさせずに3週間放置。心なしか、生命感もない気がする。通電していないと錆びやすいとも聞くし、果たして大丈夫だろうか。

 など色々不安はあったが、結局何事もなかったかのようにエンジン始動。ここまではマメに写真を撮っていたのに、付け始めたら勢いがついてしまい、撮影も忘れて試運転へ。

 問題はないものの、少々長めにアイドリングして、最初は回転を抑えて走り、車体に熱がしっかり入るくらいの距離を走行し、給油もして終了。幾多のトラブルを乗り越えてきた180SXだけに、この程度の事では何ともないってことですかね。

 変な振動なども一切なく、元気に走ってくれた。

 やっぱり、僕がエリーゼに安心して乗れるのは、180SXというバックアップがあるからだと思う。こっちは何かあっても国産ということでどこでも直せるし、こっちさえあれば、大抵の生活はできてしまう。エリーゼも思ったよりトラブルがなくて拍子抜けしている所だが、そうは言っても絶対安定の180SXがあるというのは気持ち的に非常にラク。

 こっちも速いしカッコいいし楽しいしね。

今日あたりの180SX走行距離:301,995km
 

 エリーゼを普段使いするなら、もちろん雨の日であっても乗らなければならない。エリーゼ特有の雨の日のドライブで気をつけなければならないことの一つとして、ブレーキの効きが挙げられる。

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 エリーゼの大きな特徴として、余計なものが一切ついていない潔さ、と言うのがある。そのスピリッツは、走る、曲がる、止まると言うクルマの中心となる機能にも深く及んでいる。この武骨なペダルを見てほしい。潔さの塊ではなかろうか。

 「止まる」機能一つ取っても、倍力装置が付いていない。倍力装置と言っても多くの方は何の事か分からないだろう。今、ブレーキに倍力装置が付いていないクルマを探す方が困難だからだ。当たり前過ぎて誰も付いていることを意識していない。

 倍力装置とはエンジンの力で圧縮空気を作ってブレーキを踏む力を増幅し、軽い力でも必要なストッピングパワーを得られるようにした装置だ。どんなにコストダウンを優先させた車であっても、一般人向けであれば省かれていることはない。

 長くなるのでこれ以上の説明は別の機会にするが、その当たり前の装置が僕のエリーゼにはない。

 エリーゼの車体は軽いから人力のみのブレーキでも止められる、という訳だが、そうは言っても最初は驚く程強力にブレーキペダルを踏まないと止まってくれない。

 で、である。
 雨である。

 雨天時は、タイヤが跳ね上げた雨水がブレーキパッドやディスクに付着している。この状態でブレーキを踏んでも、滑るばかりでブレーキは効かない。

 それでも踏み続け、パッドやディスクの水がこそぎ落とされて、効きが得られる温度に上がって初めて、ブレーキが効いてくる。体感で0.5~1秒くらい晴天時よりも効き初めが遅れる。逆に言うとその位空走距離が伸びる。クルマで走行していてこの位の操作の遅れを感じるのは結構な恐怖だ。

 一度、ブレーキが効くようになっても、また走行してブレーキシステムが濡れてしまえばまた同じ状態になってしまう。

 もちろん、この現象はどのクルマでも起きているのだが、倍力装置付きのクルマ(今の世の中ほぼ全車そうだが)は、力が数倍に増幅されているので雨水は瞬時にこそぎ落とされ、温度もすぐに適正な所まで上がってくれるので、晴天時との違いに気づきにくいのである。(大雨のときなど、わかる場合もある)

 倍力装置のお陰で、雨が降っているからと言っていつもよりブレーキを強く踏んだり、タイミングを早めたりしなくて良いのだ。

 そう言うことをエリーゼは、雨の日には強制的に教えてくれる。

 こう書くと、エリーゼに倍力装置がないのが悪いことのように感じるかもしれないが、そうではない。

 これが、事実なのだ。雨の日はブレーキが利きにくい。それが本当なのだ。余計なアシストがないなら、動こうとする車を止めるのは僕自身でしかない。誰の手も借りない。全ては自分の実力と責任。情報もダイレクトに伝わってくる。ブレーキが利かない、と言うのも正しい情報がダイレクトに伝わってくる一つなのだ。だから、それも含めて自分がコントロールする。路面の状態によって、ブレーキの踏力を変えている。

 こういうのがカッコイイ。それが楽しい。それがエリーゼ。

 買いましょう。
 エリーゼを普段使いするなら、もちろん雨の日であっても乗らなければならない。雨の日と言えば、フロントガラスの撥水加工であろう。面倒なのでつい後回しにしがちだが、そんな時に限って雨。やっておけばよかった...なんてこともしばしば。ズボラな僕はこんな方法で継続している。

 雨天時でも良好な視界は必須。走りにこだわるなら尚更である。

 エリーゼを日常使いしたいなら、雨の日の対策も怠らずしておきたい。

 その一つがフロントガラスの撥水加工。しかし、これが結構面倒なのである。日常使いとなると尚更だ。どうしても日々に追われがちになり、クルマに行くのは出る直前、降りればすぐ次のやる事が待っている。それが日常だ。

 撥水コーティングの施工もかなり面倒だ。撥水剤をかけて塗り伸ばし、固く絞ったウエスで拭き上げる。拭き上げが甘いとキレイに撥水してくれない。折角塗った撥水剤を全部拭き取ってしまうんじゃないか、と思うくらいの感じで磨かないと実はキレイに水を弾いてはくれない。これが結構重労働だし、絞ったウエスとなれば水道のある場所でなければならない。

 その前に、日々のメンテを怠って、完全に劣化するまで放置してしまえば油膜取りからやらねばならない。こうなるとかなり面倒なので更に気合を入れなければならない。

 まだある。

 撥水コーティング剤はボディの塗装に対する攻撃性が非常に強い。ガラスにかけるときは良く気をつけないと知らぬ間に車体に飛んでいる事があるし、塗り伸ばしの時も急いで勢いがついていると、これまた知らぬ間に車体に飛び散っていたりする。本当に気づきにくいが実際に起きるので塗り伸ばしはゆっくりやろう。

 で、僕は色々試したが、今は「お手入れガラコ」と言うのを使っている。商品としては、ウェットティッシュと同じように、不織布のシートに撥水剤が程良く染み込ませてあると言うものだ。

today180_20200311_oteire-glaco.jpg

 名前からして通常の方法で施工しであることが前提で、施工面の寿命を簡便に伸ばせる、と言うコンセプトの商品かと思う。しかし僕はゼロからの施工に使用している。

 要は、油膜取りをした後にいきなりこれでガラス面を拭く。ちょうどエリーゼのフロントガラス一面分くらいの面積を拭き上げると、シートが乾いて来るのでこの状態になったらそのままこのシートを使って磨きのフェーズに入ってしまう。何たるズボラ。しかし、それでOK。ちやんと撥水してくれる。

 ガラス面が若干汚れていてもこのシート1枚で汚れの拭き取りと撥水加工と磨きを一度にできる。これだけで完結するので水道のない場所でも問題なし。待ち時間などで十分できる。簡単だからマメにできるし、撥水効果がある内にこの作業をしていれば、油膜落としまで戻ることはない。だから毎回ラク。だし、継続しているから、結局キレイだ。

 嬉しいのは、撥水剤が車体に飛び散るリスクもないこと。

 これ一つクルマに入れておけばガラス面は常にキレイな状態を維持できるはず。僕にもできてるのだから、誰にでもできる!

 と言うことで僕は毎週エリーゼのカバーを剥がした時にお手入れガラコでガラスを拭いてから乗ることにしている。簡単だから毎週続けられる。

 エリーゼを普段使いするなら、もちろん雨の日であっても乗らなければならない。雨の日でも乗れるのか。雨漏りは?早速検証してみた。

 雨の日ですぐに思いつくのが「雨漏り」であろう。幌、ハードトップの状態で雨が降った場合、雨漏りはするのか?

 「するか、しないか」で言えば、やはり「する」と言うのが答えになる。ただ、待って欲しい。実際にそれがドライブに支障があるか、と言うと「ない」と言いたい。

 要は、「雨漏りするけど、別にこれなら気にならない」これが答えとなる。

 当たり前だが、雨漏りの程度がどの個体も一様になるよう品質管理がされているはずはないので、僕のエリーゼの場合の話になる事を予めお断りしておくが、さりとて大差もないのでは、と言う気もする。

 で、僕のエリーゼの場合だが、雨漏りはサイドウィンドウの上、フロントウィンドウの角とのつなぎ目あたりから起こる(下写真)。漏って来た雨水は、サイドシルの上にポツポツと落ちてくる。

today180_20200310_elise_rainydrive.jpg
 エリーゼには幌とハードトップがあるが、雨漏りはどちらにおいても発生する。ただ、幌の方がやや雨漏りの量は多い気がする。

 幸いこの部分は単なるプラスチックの板であり、幌を装着していて雨漏りのペースがやや早かろうと、濡れたところで支障はない場所である。しかも、雨漏りがこうして車内に及んでくるのは、僕の場合、本当にザンザン降りの雨の場合であって、そうしょっちゅうあることでもない。

 万一、サイドシルが水浸しになって、更にそこから流れてくるようなことがあっても、バスタブ構造の足元に来るだけの話だ。幸いエリーゼの室内には布っぽいものが殆どなく、濡れて困る場所と言うのが少ない。あるとすればシートくらいのものだが、そこに雨漏りが来ることはない。

 もしかしたら、車内の電装系が濡れるんじゃないかとか、つまり雨漏りでドライバーが気持ち悪いとか、そう言うことではなく、雨漏りによって車が壊れることを心配しているのかもしれないが、こちらも僕の場合はないと思う。

 だから、繰り返しになるが、雨漏りはするが、困ることはない!雨の日であっても、望むなら、エリーゼで雨天時の低ミュー路面ドライブを雨漏りなど気にせず楽しむことが可能だ。

このブログは動画にもなっています。併せてご覧ください。

カーナビ、スマホ、車載カメラの固定方法。これらはダッシュボードの「特等席」を取りたがる。運転中でも視認し易く、かつ、視界も妨げない。それだけじゃない。運転中の様々な動きやエアコンの風等、位置決めを拘るほど、微調整を繰り返す。リセールも考えたらキズや跡は付けたくないし、だからと言ってヤワなつけ方では使い物にならない...。


車内にこうした機器を固定するのに、良くある要望は以下のようなものがあるかと思う。


 1.絶対的な安定感が欲しい

 2.使って初めてわかる位置の微調整に対応したい 

 3.不要になった時に原状回復させたい


 今回は、以上を解決し、一つの着地点と自覚できた僕の方法を紹介する。


●吸盤によるスマホ、カーナビ、車載カメラの固定方法を考える

 まず、原状回復可能な方法としてポピュラーなのが、吸盤による固定がある。

 本稿の趣旨と異なるが、アームの関節部の精度やアームそのものの強度でも機器の揺れは発生する。GoProなどでもかなりしっかりした吸盤のアームが付属している。
 ナビやスマホ、車載カメラを付けるなら、吸盤とアームはGoProの標準のものくらいしっかりした物でないと安定はしないだろう。吸盤が重さに耐えられず、走行中に落下したり、クルマの振動で揺れて非常に見にくかったりする。この症状はすぐに発生せずとも、時間の経過で起きてくることもあるから厄介だ。

 で、そうしたものが用意できたとして、付け方である。
 車内のツルツルした平らな場所なら普通に付くし原状回復も容易。しかし、大体が革模様のシボがついていたりして吸盤はまず、つかない。そもそも車内でツルツルした安定的な場所とは、もはや窓ガラスくらいしか残されていない。

 メーカーもそれは分かっていて、吸盤を貼るための丸いベースが付属している。両面テープで貼り付けられるようになっているが、これがまずダメ。僕はかつてこれを使って上手く固定できた試しはない。

 何故か。

 両面テープはクッション性のある基材についている。貼り付け面には若干の曲面や凹凸があるので素材の選択は間違いではない。しかし、使用時にはこれが仇になる。長いアームの先に付いた機器がてこの原理でベースに大きな力となって加わるため、このクッション性のある基材が伸縮し、不安定さを露呈する。機材の収縮幅はわずかでも、長いアームを経て機器は結構揺れてしまう。

 しかも、ベースの大きさは吸盤とほぼ同じで取り付け後に調整しようにも自由度はほぼゼロである。

 取り付け後に気づく、位置の微調整に繋がる要因とは何か。例を挙げる。


 ・使い始めてみたら機器に直射日光が当って熱を持つ

 ・運転中手が当たる

 ・乗り降りするとき足が当たる

 ・カップホルダーから缶を取り出すときに当たる等

 ・エアコンの風を遮ってしまう

 ・停止している時は良いと思ったけど、走り出してみたらやっぱりちょっと見づらい 



などが挙げられる。

 停止状態のクルマに取り付けて、その一発で位置決めOKと言うことは、まずない。

 動かしたいと思ったら、もうベースの両面テープを剥がすところからやり直し。しかし、糊残りが出たり、一度剥がしたら、もう安定感に付くということは望めない。

 と言うことで、僕が採用しているのは、付けたい位置にカッティングシートを貼ってしまう方法。

 僕は透明にしたが、同色の物や、カーボン調など、室内のテイストに合わせたものを選ぶといいだろう。ただ表面がツルツルであることを忘れないように。マット調は暫くして落ちてくる可能性がある。

 例えば時々やっている「エリーゼオーナー目線」は、ハードトップの裏側にGoProを吸盤で固定してドライバーの目の前にカメラが来るようにしている。しかし、ハードトップ裏側の面はザラザラしたシボが付いており一瞬着くが、少しずつ空気が入ってしまうのか、10分くらいすると落ちて来る。


 

 ところがこれを、カッティングシートにしたら絶対に落ちなくなった。

 広い面積に貼れば、複数の機器を付けたり、微調整も可能。数㎝の微調整は必ず発生する。オーナー目線動画でも、撮った動画を見てまた位置を微調整して...と言うニーズは発生したがちゃんと対応。数回の調整の後、位置もバッチリ決まった。

 残された問題は、カッティングシートを剥がした後の糊残りだろう。すぐ剥がした時は問題なかったが、年単位でどうかという検証はこれからになる。先の両面テープはもうダメなので、消去法で今はこれに期待、という所だ。車体にも貼るものなので、あれよりはまだ良いはず、という期待している。


●スマホ、カーナビ、車載カメラをより安定的に取り付けるなら

 さて、エリーゼのダッシュボードの中央には広大な平面があり、本稿の目的以外にも非常に利用価値が高い。ただここにはスエード調の合成皮革が貼られており、ここにカッティングシートを貼ることはできない。

 また、吸盤と言うのは、どうも一時的な取り付け方法という感覚を伴う。スマホやカーナビ、追加メーターなど、一度決めたらずっとそこ、と言う物を吸盤で付けるというのもないだろう。

 もっと一時的感のない方法で、ガッチリ付けるためには、どうしたらいいだろうか。

 一番いいのはダッシュボードにネジ穴をあけて固定してしまう方法だが、その後の微調整にも耐えられないし、ダッシュ交換しなければリセールでの価値は激減するだろう。

 さりとて、カー用品店で売っている安いスマホマウント等は全くそのレベルの期待には応えられない。あるのかもしれないが、少なくとも僕は良い物に出会えていないし、この先も出会えることはないと、もう、個人的には結論を出した形になっている。

 そこで利用したいのが、バイク用・自転車用のマウントだ。そもそも振動する場所に取り付けるように作られているし、落下すれば確実にその機器は壊れる、つまり落下は絶対に許されない使用環境を前提にしている。それだけに固定方法といい、アームの強度といい、安定感は申し分ない。

 で、あるならば。後は、自転車のハンドルの代わりなる、安定した棒状のものを、車内に設置すればいい。

 そこで僕が利用したのが、アルミパイプ。アルミむき出しだと主張が強すぎるのと、滑り止めのために熱収縮ゴムを巻いている。僕は自宅のガスコンロで熱して施工した。

 これを原状回復可能な方法でいかにガッチリ取り付けるか。僕はアルミのステーとU字型のボルトを利用してアルミパイプをこれまたアルミのステーに取り付け、これを脚としてライトのユニットがあるパネルのネジを利用し、共留めした。

today180_20200307_mount.jpg

 左右2点でしか付いていないので特に前後の動きに弱そうだが、実はーターフードの上に上から押し付けるような力が加わるようにテンションをかけて取り付けている。これによって抜群の安定感を出しているのだ。

 もともとあるネジを使って共留めしているだけなので原状回復は可能。さらに拘るなら、車体と接する場所に薄いゴムシートを挟んでおけば完璧だろう。

 今、自転車用のスマホマウントを付けているが、この安定度は今までにない絶大の信頼感だ。左右に自由度があり、位置の微調整も、複数の機器を同時につけることも可能。とにかく、しっかりした棒状なので、取り付けの選択肢は豊富だ。

 カメラマウントなどもバイク・自転車用はたくさん出ている。気に入っているのが、GoProのクリップ状のマウント。付け方は不安定感があるが、挟む力は強力で、アルミにゴムを巻いた事もあってアームをなくせば不安定感はない。普通は前方を向けて挟んで撮影しているが、撮りたいものが左右にある場合は、サッと手で外してすぐに手カメラに移行する。撮影が終わったら再びクリップで棒を挟めば固定カメラに戻れる。この便利さと安定感は特筆すべきものだ。

 いかに拘ろうとも、クルマ自体が振動していることを考えると、手振れ補正やジンバル付きカメラを導入した方が良いだろう。ジンバル付きカメラでとにかくお勧めなのがDJIの「OSMO POCKET」である。車内の振動は一切感じず、カーブした時の挙動なども実に面白い。とにかく軽くて小さくて、持ち歩きは苦にならず、手持ちカメラでも撮っていることさえ周囲に意識させない。非常に気に入っているカメラである。



 以上である。

 今僕はこの方法でエリーゼにカメラやスマホを固定するには非常に満足している。もしかしたらこの先さらに洗練された方法を思いつくかもしれないが、これが現時点での最適解だ。

 皆さんは、どのようにやっていらっしゃるだろうか。
 やっぱりナビやスマホなどは付けたいだろうし、せっかくエリーゼを買ったら、YouTubeなどはやっていなくても、時々は車載動画を撮りたいと思うこともあるだろう。こちらの方法が参考になれば幸いだ。

 今回の記事の内容は、YouTubeにも動画で上げているので、併せてご覧頂ければ幸いである。




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