2013年1月アーカイブ

若さとは、バカさである。
バカさを失わなければ、人は皆、永遠に若者である。
この物語を、すべてのバカ者...否、若者に捧ぐ。



 「ぬをッ」
 久々に見る、修羅場であった。
 「はいはい、飲んで、飲んで」
 飲まされる悪友N。その前にはすでにうず高くビールの空き缶が積み上げられていた。

 この光景、どこかで見た...。

 10年近く前のゲリキャンで、ダム屋KK娘。がすでにこの場で行っていた。それと同じ行為である。それが、再び展開されていた。酒を注ぐ、という行為そのものが楽しくてしょうがないらしい。それは幼き頃の一過性のものと勝手に推測していたが、そうではないらしい。一次会で大人の女性に混ざってトークをしていた、大人になって帰って来たダム屋KK娘。彼女はの所作を、無邪気さと共に置いて来てはいなかった。

 コップに口をつけてわずかに減らしたとしても、即座に表面張力の出番となる。

 これぞゲリキャン...。

 失われていたゲリキャンの精神。 -若さとは、バカさである- このことに、酒は必ずセットであることはだれしも認める事実だが、注げば注がれる大人同士の攻防の中では、自然とその量が減っるのもまた、事実。普段の自分の生活と比べれば圧倒的な量の酒を飲むこの会であっても、ゲリキャンとしての酒の消費量は年々減る一方であった。

 しかし、ここで注ぐのが専門のダム屋KK娘。が登場したことによって、監視と行動は桁違いに速くなった。1cmでも酒が減ろうものなら即座にそれを発見され、なみなみとビールが注がれることになる。わんこそばならぬ「わんこビール」というわけだ。

 ここしばらく見たことのない超ハイペースでビールを消費するゲリキャンメンバー。これまでの消費量の推移 -すなわち減少傾向にある- を見込んで酒を買っていたため、ビールは即座になくなった。

 「もうビールないから。これで終わり」
 と、悪友N。

 「じゃぁ、しょうがない。ワインね。」
 悪友Nがワインを飲むところなど、ここしばらく見たことがない。ダム屋KKも同じ。酒はそれぞれの嗜好を理解した熟練の某MAXとテレビ屋Tが綿密な計算の下数量を算出しているが、それはあっさりと瓦解した。とりあえずある酒を順に注ぐだけである。誰が何を好むなどということは一切の考慮から除外されている。

 悪友Z持参の渾身のチリワインも、第3のビール同等に扱われている。激重のカベルネ・ソーヴィニオンでも容赦なく表面張力のお出ましだ。
 「こ、これっすか?」
 目を白黒させる悪友N。
 この一撃で、ボトルの3分の1はすでに悪友Nのコップに移動した。この分だと、このワインにありつけるのはあと2名ということになる。その栄えある貴重な3名のうち、1名に悪友Nが選ばれた。ただ唯一哀しいのは、悪友Nはワインを好まないということである。いいワインであっても、嫌いな人からすればうまいものではない。悪友Zも分かる人に飲んでもらいたいという意図で用意したはずだが、そんなこだわりは無情に握りつぶされた。

 わんこビールから「わんこワイン」に遷移してからの話題は一次会で勃発した悪友N夫妻の口論の続きである。
 -婦の仕事が大変ということはあり得ない。自分がやればより完璧に短時間にこなし、大変でないことを証明できる-
 これが悪友Nの主張である。
 悪友Nは確かに何をするにも極めて能力の高い人間である。彼の座右の銘は「有言実行」。そしてこの座右の銘を行動で示してきた。ヤツが口にしたことは必ず現実になる- いつしか周囲にそう認識されるようになっていた。

 この話は結局31日午前2時半まで続いた。ダム屋KK一家、某MAX、テレビ屋Tと徐々に席を外していった。最後まで付き合ったのはうるふであった。この男、基本的にゲリキャンの飲み会は一番最後まで付き合っている。今回もそうなった。



まだ誰も来ていない.JPG
 翌朝。
 うるふは2時間半の眠りから覚めた。夜明け前の5時50分。ゆっくりと「朝練」の準備を開始した。
 開始予定時刻の6時半。外に出るが、もちろん誰もいない。
 「来るわけが、ない」
 うるふは、ある程度の時間になったら、息子のKだけを起こし、坂本小学校で親子二人だけで朝練をやろうと考えていた。その決断を何時にしようと思いつつコテージに戻る。

 その時。

 2回から物音がした。ウィンドブレーカーの擦れる音。まさか。

悪友Z起床.JPG
 「お~。どうもどうも...。いや~。起きてるねぇ」
 悪友Zである。
 「昨日、何時までやってたの?」
 「2時半。」
 「バカだね~」
 我々の間で、バカは最高の、褒め言葉である。
 
 「...だな。」
 悪友N...。冷静になって振り返ってみれば、他愛もない議論であった。それに対してあそこまで熱くなれるというのは、若さの証拠なのではないだろうか。オトナは衝突を恐れ、自分を曲げ、その場を治める。場は治まるが、代わりにまたひとつ、自分を失う。
 もしかして、悪友Nは、失われつつある「バカさ」を取り戻すという一つの行動を、体で示そうとしたのかもしれない。であればそれに最後まで付き合えた自分は幸せだと、うるふは考えていた。
 
 7時。Kを起こす。悪友Z、うるふ、Kの3名で朝練に向かう。その際、ダメもとで、某MAXに電話を入れた。某MAXは起きていて、みんなに声をかけて向かうという。やはりみんなバカだ。

 結果。

 悪友N以外の全てのメンバーが時間差はあれど朝練に参加した。

ZとK.JPG
ダム屋KK.JPG
 うるふは、朝練の終了時間を8時と厳しく心に決めていた。そして、チェックアウト時間を守る。これが今回の最大のミッションだと思ってやまなかった。
 「悪友Nが8時に来たとしても我々は時間通り撤収する。延長はあり得ない」
 何度もそう繰り返していた。
 7時半から30分ミニゲームを行い、撤収。記念撮影をしている時、悪友N一家(みっちゃん除く)が現れた。

 集合写真にだけ悪友N一家も入った。あたかも間に合ったかのように記録された。撤収すると言っていたうるふも、悪友Nの息子2人の驚異的な1000回リフティングだけは拝見させてもらい、あとは予定通り撤収した。

リフティング.JPG
 すべての事情は知らないが、この日の未明まで「すべてを完ぺきにこなす」と言っていた悪友Nだけが、結果として翌朝のタイムマネジメントに失敗したというのは意外であった。



全員集合.JPG
 「2012年冬ゲリキャン、これにて終了します!」
 10時。予定通り記念撮影を終わらせ、冬ゲリキャンは時間通り無事終了した。
 次回は、夏。我々は、あの「バカさ」を取り戻すと宣言し、この場を去った。半年後、再びどこかで、何らかの形で我々は終結するだろう。永遠のバカさ、否、若さを求めて。

ゲリキャン白書2012冬 -完-

若さとは、バカさである。

バカさを失わなければ、人は永遠に若者である。

この物語を全てのバカ者...否、若者に捧ぐ。

 

「その1」はこちら

 

 「悪いけど、家事が大変なんておかしいから。いつでも代わってやるよ。完ぺきにやってなおかつ、余剰時間をいやと言うほど残せるね」

 そのくらい、効率的にできる、そう言いたいわけである。悪友Nである。

 「まぁ、まぁ、分かるけど...」

 なだめる周囲。なぜ、こんな話になったのだろうか。今となっては記録も記憶もない。

 「何が完ぺきだよ!あんた、風呂の排水溝の髪の毛取ったことあんのかよ?」これは悪友Nの奥様みっちゃんの言葉である。

白熱の夫婦喧嘩第一ラウンド.JPG

 「なんで俺がそこまでやるんだよ。俺は昼間仕事してるんだよ。俺が主夫になったんだったら話は別だけど。そうなったらそのくらいやるよ。」

 終わらない。お互い引かない。猫も喰わない夫婦喧嘩がゲリキャンでぼっ発してしまった。

 調理室を借りているリミットの21時が迫っていた。ひとまず片付けを全員で行う。食事の準備を一切手伝わなかった悪友Zとうるふが片づけをやると宣言していたが、結局全員でやっている。自然に体が動く人間と、そうでない人間。前者は誰が動くというわけではない。仕事があれば勝手に体が動いてしまう問う性分の人間である。テレビ屋Tや某MAXがその類の人間である。

 夫婦喧嘩が収まらぬまま各コテージにいったん戻る。子供を寝かしつけたら後は2次会だ。

 

 

 くつろぎの郷コテージを予約するのはうるふの仕事であった。今年もそうした。その際、引っかかることがあった。昨年のチェックアウトである。

 10時のはずが、11時近くなってしまった。掃除ができないと、苦情を言われた。

 我々はもう10年以上毎年利用している客である程度知られている可能性はある。その印象が悪いものになってしまったという負い目だった。ブラックリスト化されているかも、とも思った。

 「今年は絶対10時に上がる」

 決意は、固かった。実は、昨年調理室の収量も21時を大きく過ぎてしまった。それに続いてチェックアウトもまた遅かったので印象が悪かった。

 調理室のチェックアウトは数分のオーバーで済んだ。まぁ及第点と言ったところだろう。後はチェックアウトなのである。

 一次会が終わった時点で、なぜこの話なのか。

 それはつまり、二次会を遅くまでやりすぎなのである。

 そうすると、朝が遅くなる。朝は、恒例のサッカーの朝練だ。近所の坂本小学校に勝手に乱入してやっているのだが、このスタートが遅くなれば、終わりも遅くなる。去年は目標8時半で、結局9時近くになった。

 それから朝食をとって、片づけをして車に積み込み...いつの間にか10時を過ぎている。昨年は朝食中にチェックアウトの催促の電話がかかってきた状態だった。

 うるふは何が言いたいのか。

 「今年は、明日の朝練が照準だ。朝連に間に合う自信がないヤツは、正々堂々と二次会をキャンセルして良い」

 このことであった。

 しかし、この通達が実際に発せられることはなかった。この夜は雨天。明日の朝連の実施そのものが危ぶまれていたためである。

 

 

 二次会は悪友N、某MAX、テレビ屋Tの8人用コテージが選ばれた。友Nは「ロスタイム5分」と言っていた。あと5分で来いという意味であろう。早くも始まる雰囲気であった。

 悪友Zとうるふは分たちのコテージに戻った。子どもたちを寝かしつけなければならない。それをしないと、奥様達が自分たちの時間を作れない。

 悪友Zとうるふの家は、今年3部屋あったこともあり、初めて各家庭の子供たちを1階の3人部屋1つで一緒に寝かせるということを試みていた。大人は2回の2部屋を各家庭でそれぞれ使う。

 子供もそれぞれ大きくなったので、「寝ろ」と言えば寝るようになった。子供達も部屋でひときり遊べば満足するだろう。その時を見計らって言えばいい。

 悪友Zとうるふは、その時をそれぞれの奥様と待つつもりでいた。二次会が開始されているだろうが、遅れたからと言って壊れるような仲ではない。

この2人、こういう場所での処世術を、この10年で徹底的に学んだ。今日はそれを職人の如く淡々とこなしている。自分を納得させるに足る理屈とか、そういうのにこだわった時もあった。でも今はいい。結果を出さなければいけないのだ。そのために、自分の中の些細なこだわりは、捨てなければならない。

 「行かなくていいの?」

 うるふの妻、ピパ子氏からこういう言葉が出てきた。奥様もまた、そのことを心得ていた。

 「子供が寝るまではいいだろう。みんなにもそう言ってある。」

 若さとは、バカさである。しかし、守るものができた中で、バカさ -すなわち若さ- を保つためには、いくばくかの大人を受容しなければならぬ。これを学ぶのに、十余年という歳月を使ってしまった。

 「こっちは大丈夫だよ」

 「ちょっと電話入れてみるか。」

 悪友Zは二次会会場ですでに始めているであろう、悪友Nに電話を入れる。うるふの電話はウィルコムなので圏外だ。

 「え?何?ダム屋KK娘。が?わんこビール?」

 子供は寝かしつけているはず。それなのになぜ、ダム屋KK娘。が?そして、「わんこビール」は何なのか。催しなのか、飲み物なのか、食べ物なのか?

 「なんか相当出来上がってるらしい。わんこビールとか意味不明なことぬかしてた」

 「ちょ、ちょっと行ってみたら?こっちは大丈夫だから」

 「よくわからないが、修羅場が展開されていることは間違いなさそうだ。」

 悪友Zとうるふは、二次会会場へと向かった。


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