2013年2月アーカイブ

一仕事終えて...

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 金曜日、ビッグな仕事を終えてきた。
 何を以って「ビッグ」なのか。それは人によって違うだろう。
 今回は、出張して1時間のセミナーを行ってきただけなので、人によっては「どこが?」と思われるようなことだったかも知れない。ウチの社内の人からも、それほど「ビック」な仕事だとは思われていないかもしれない。
 当初の定員以上の人が入ったし、ちゃんとうまくしゃべれたし、こられた方々も熱心に聞いてくださった。
 「うるふはしゃべるのが仕事なんだから、それはよくやってくれたけど、ま、普通だろう」
 これが、周囲からのおおむねの評価かもしれない。
 だが、僕の入れ込みは違った。
 このセミナーの主催者はとても大きな取引先だ。ここでできるセミナーはこちらから希望して実現できる枠は6コマだ。
 ここ数年はライバルの会社にこの枠を取られていた。
 この取引先の当社の担当営業は、今年はここを取り返そうと、昨年から気合を入れていた(のがよく伝わってきた)。出先なので会うことはない。時々電話やメールで連絡が来るだけだ。しかし、その中には計り知れない「気合い」があった。
 販売店への働きかけは周到かつ気の長いものだった。そうする過程が次々と知らされてきていた。
 そして、ついに昨年12月に獲得の連絡。販売店側の担当もこの営業の熱意にほだされ、かなり当社を強烈にプッシュしてくれたようだ。
 バトンは僕に渡された。
 この熱意に負けない、「このレベルの話をするのなら、営業も燃えるわ」と言われる内容にしなければならぬ。僕は自分でハードルを上げまくった。
 それからは内容の検討とリハーサルに明け暮れた。
 ほかの仕事もかなり忙しい時と重なった。しかし、セミナーの作りこみの時間は確保した。
 やったことのない試みも入れた。
 通常、僕のセミナーはノウハウを売るもので、当社の製品を売るセールスではない。
 しかし今回は、販売店主催のセミナーである。担当営業は勿論モノ売りの営業だ。モノを売るるために動いているプロフェッショナルだ。僕のセミナーを聞いて、モノが売れなきゃしょうがない。
 しかし僕の肩書はセールスマンではない。受講者は、セールスを期待してはいない。ノウハウが得られることを期待して来る。ノウハウを与えつつ、購買意欲につなげなければならない。
 内容の精査は非常に微妙な部分のこだわりへと突入した。
 販売店から集客状況の進捗が連絡を当社担当営業を通じてやってきた。
 「満席」
 これである。
 販売店も威信をかけている。当社が相当根回ししたのは間違いないが、それは他社もやっていること。何倍もの倍率で選んだ6コマを空席ありのまま当日を迎えさせるようなことは絶対にしない。
 「やることが残っているのはオレだけだ」
 自分を追い込んだ。
 この段階でもう一つの戦いがあった。インフルエンザが会社で蔓延したのだ。
 セミナーは、僕の顔写真付きですでに告知が始まっている。代わりなどあり得ない。絶対に自分が行かなければならない。単なる風邪なら行ける自信があるが、インフルエンザとなれば、自分の体力だけの問題ではない。講師が感染源になったなど、自社のセミナーならまだしも、販売店主催のセミナーでやるわけには行かない。
 体調管理には徹底的に気をつかった。インフルエンザにかかっているのに出勤して来たバカもいたが近づかないようにした。何と言われようとも会議室などに逃亡して仕事をしたりもした。
 印刷があるので、配布資料の提出は2週間前だった。資料を提出したら、セミナー内容はほぼ確定される。特に僕は、講演時に表示するモノと同じものを配布するので、ここから変えられるのはしゃべりと演出だけとなった。
 しかし、問題はまだあった。一番大きなものは1時間の枠に内容が収まらないこと。それも20分くらいオーバーした。どこを切るか。言葉を減らしてどうやって同じことを伝えるか。言葉の選別に明け暮れた。
 そうやってリハーサルを繰り返し、時間の方は何とかまとまりそうな感じになってきた。
 だがまだ気になることが。セミナー前半の商品説明と、後半のノウハウ部分のつながり性が悪い。これでは単にモノ売りとノウハウ提供をくっつけただけだ。ストーリー性がない。ストーリーをバックに感じさせなければ話の価値も出ない。頭のいい聴衆は、セールスだけじゃまずいからノウハウ提供も入れてきたな、とすぐ見抜かれる。
 最終調整は新幹線の中まで続いた。そこで、商品説明とノウハウ提供の関係の背後に大きなストーリー性を持たせる言い方を発見した。前半の商品説明部分にそのタネを仕込むこととで、後半のノウハウ提供が生きてくる。後はスライドにはないまとめの部分で全てを繋げればいい。
 「行ける」
 確信を得たのは新幹線を下りる10分前だった。
 セミナー自体は、販売店主催のフェアの最後である。しかし僕は、日帰り可能な最も早い時間に会場入りした。今回のセミナーは展示会と併催で、別棟には当社がブースを出し、10名以上の営業がユーザーに商品説明をしている。ユーザーを連れてくるのが主催した販売店の営業だ。僕は、この現場営業と一緒に展示会のブースに立つために早めに着いたのである。
 自分はセミナーをしに来たんだから話しかしない、という姿勢では営業にナメられる。営業現場を体で感じなければならない。「あのうるふってヤツ、ちゃんと営業もできるんだな」くらいは思わせたい。
 こと専門職的な位置づけの人間は、営業をしない、現場を理解しようとしないと営業は思っている。僕もそう思う。だから、自分だけはそれを打破する。基本そうだが、うるふだけは別だよ、と見られなければ先はない。
 しかし、この作戦は当たった。別の部分で。
 当社ブース内にも商品説明の小さなお立ち台があって、当社セールスが10分程度のローテーションで説明することになっていたのだ。それを見て度肝を抜かれた。話がうまいのである。
 僕は結局普通の人間だが、社内的なセクションでは話のプロということになっている。その僕のお株を奪うどころかそれ以上のセールストークをかましている。一人ではない。次々出てくるセールスがみんなうまい。え?何、何?みんなこんなにしゃべれちゃうの?
 新幹線の中で上げまくった自分のハードルを、彼らにピョンピョン超えられた気がした。
 ヤベェ。
 こいつらヤベェ。
 東京のセールスでこんなのいたか?いや、いても数人だろ。
 極めつけは僕のセミナーを勝ち取った担当セールス。熱意とギャグと、セールストークと。すべてが高次元でバランスされていた。足を止めたユーザーからは拍手喝采。
 満面の笑みで壇上から降りてきた彼はビシッと顔を引き締め、「さ、うるふさん行きましょう。そろそろ準備の時間です」
 緊張がほとばしった。100人の前でも緊張しなかったのに、今回は緊張した。
 理由は簡単。この販売店から「何だよ」と思われたら、ここにいるセールス全員に恥をかかせることになるからだ。失敗は許されない。販売店さんどうですか、ほかの会社にこれだけの話ができる人間、いますか。そう言わせなければならない。
 セミナー会場はフェアの会場とは別棟にあった。ザワザワした展示会場の一角ではなく、聞きたい人が気持ちを切り替えて聞ける場所になっていた。
 定員50名は確実に部屋に入った。当日飛び入りで参加したいという人も受け入れ、定員オーバーで予備椅子動員。すべては揃った。
 「皆さんこんにちは...」
 出だし好調。正確に伝えようとするとつい、言葉が多くなってしまう部分もスマートに切り抜ける。
 新しい試みも、入念なリハーサルのおかげで極めてスムーズ。いい感じだ。
 後半のノウハウ部分。受講者は、隠された壮大なストーリーに気付き始める。
 来た。
 時間も少々余裕があるくらいだ。こんなことは今までのリハーサルではなかった。
 セミナーは時間内に終了。拍手喝采。販売店の担当の方も満面の笑み。
 やった。
 自己評価は最高。手ごたえあり。
 あとは、アンケートの結果と、販売店内の真の評価。それが、今後の当社営業の活動のしやすさにつながる。贔屓にしてもらえれば売上アップにつながる。
 

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