2014年3月アーカイブ

 今日は、僕の妻であるピパ子氏の誕生日。

 何かプレゼントを買おうと思っていたが、物欲のあまりない彼女。仕事もプライベートも忙しい中だが、何度か早く帰るようにしてプレゼントを探し求めたが、結局選びきれなかった。

 気持ちだから何でもいいと割り切ってしまえば、本当に何でも良くなってしまい、多すぎて選べなくなる。
 しかし、少しでも喜ばせたいと思えば、こんどは決定打に恵まれない。
 そんなまま当日を迎えてしまった。
 今日もいろいろ見たけど、結果は同じ。

 そこで、帰りの上野駅のエキナカの青山フラワーマーケットで花を買うことにした。
 狭い店内だが、男性客は皆無。少々勇気が要ったが、それを払いのけて入る。たくさんの花のいい香りが、その勇気をたたえてくれる。
 あまり大きいのは持って帰るのが大変だし、恥ずかしいから、小さいのにしよう。
 そんな、シャイな男性用なのか、ベストな大きさでかわいくてきれいな花束が目の前にちゃんとあった。
 そういうのがレジから遠い位置にあるのもまた、心憎い。
 肩身の狭い男共はレジから遠いところから入るに決まってる。お見通しなのだ。
 ピパ子氏の好きなピンク色の花を中心に小さな黄色の花がそれを引き立てるように添えてあるものを選んだ。花の値段なんて想像もつかない。いささか冷静さを失いつつも800円くらいの値札が付いていると認識した。
 少々安いが、これ以上デカイと持って帰るのに難儀しそうなので、さっさとこれに決める。

 レジに持っていく。平静を装うが、緊張感は最も高まっている。

 即座に「贈り物ですか」と聞かれる。
 図星だ。

 「オトコが花を買う=贈り物」、という店員の認識なのだろう。ま、確かに、自ら家で生けるために花を買う男は極めて稀だという考えに、僕も同意する。パターン通りの行動ってわけか。見透かされた感があって、少々悔しいが、「そうです」と答える。
 105円でリボンがつくという。所望する。
 最終的な金額を聞いたら、400円ちょっとだった。ではあの800円はどの花の値札だったんだろう。やはり焦っていたのか。

 どんな袋に入れてくれるんだろうか。目下の関心事はそれだ。花が露出した状態はできれば避けたかった。歓送迎会の帰りです、みたいなのは避けたい。

 入れてくれたのは深めの袋で、花全体は完全に袋の中に埋もれた。完璧だ。たぶん、世の中の男の100人中100人が、僕と同じ不安を抱えるはずである。ゆえにそれもお見通しの、マーケティングの一部かも知れぬ。

 無事帰宅。ミッションは成功した。

 いつもより相当早く家に着いた僕。ピパ子氏もまだ起きている。
 彼女は、子供たちと一緒にテレビを観ていた。

 「誕生日おめでとう」
 花束を渡す。

 ピパ子氏の表情が変わった。

 やった。

 これでいい。

 「プレゼントを探したけど、良いのが見つからなかったよ。今度の日曜に一緒に買いに行こう」
 そう、付け加える。

 なんだ。

 簡単じゃないか。

 妻の誕生日に、花なんて。大したことじゃないのに結構勇気が要ったけど。それだけの達成感っていうか、それはある。

 しかし、やっぱり花は嬉しいらしい。彼女のあの表情の変化は、なかなか勝ち取れないんだ。

 いつも言葉には出せないでいるが、妻には感謝している。それが、少しは伝わったかもしれない。

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