ゲリキャン白書2016冬

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 ゲリキャンは続く。
 若さとは、バカさである、を標榜するゲリキャンメンバーといえども、歳を重ね、日々に疲れを感じるようになるにつれ、徐々に角が取れ、そのバカさを失いつつあった。
 ここ何年かのゲリキャンはその様子が顕著であり、準備もほとんどなされないまま、惰性的に開催されていた。
 とりわけ冬ゲリキャンは、先行して始まった夏ゲリキャンの面々に家族ができ、家族参加が必要になったために後から追加された行事である。
 従って、川に入り、焚き火をし、飲んだくれて蚊に刺されながら河原で夜を明かす、というバカなスタイルではない。宿をとり、ゲリキャンメンバーとその家族同士が年に1回集まり、奥様同士、子供同士もまた楽しむというスタイルを旨としていた。

 しかし、である。

 ゲリキャン実行委員会の悪友Zが再びメキシコに赴任してからというもの、うるふもまた、その力を失っていた。昨年もほぼ準備しないまま、冬にもかかわらず、夏ゲリも何度も行ったことのある地元の河原で実施した。

 そして、今年も、サッカーの行事で一緒になったゲリキャン実行委員会メンバーの悪友Nと、今年も日帰りのバーベキューでいいよね。ということで済ませていた。それが一番、準備がなくて済む。

 ゲリラ的に行うキャンプ -ゲリキャンー という精神からすれば、これはこれで良いと言えば良い、そう取れなくもない。
 しかし、冬ゲリキャンは家族参加である。女子を含む場合はこの河原は結構きついはずだ。

 だが。
 うるふにはそのパワーがなかった。ただ、日々を送ることに憔悴しきっていた。

 ゲリキャン当日が押し迫ったころ、様々な動きが見られた。

 テレビ屋T氏が宿泊でできないか、模索しているようである。いつからかは知らぬが、テレビ屋Tは、ダム屋KK娘。とLINEでつながっているらしく(良いのか?)、ダム屋KK娘。は、どうやら宿泊を希望していたらしい。

 別ルートでも、思わぬ事象があった。

 他の誰でもない、うるふの息子、Kである。

 面白い運命である。僕がゲリキャン白書の執筆をさぼりまくっている間に、時は流れ、Kは中学生になっていた。そして、そこで、テレビ屋Tの長男とKは同じクラス、そして同じサッカー部で活動を共にしていたのである。両の父親同士と同じ道である。

 二人は、冬ゲリキャンが「泊り」だと思っていたらしい。

 Kはうるふの幼少期からの英才教育のおかげで、完全にドラクエマニアになっていた。小学校低学年の時点で、すでに父のレベルを超えている。特に、DSのドラクエモンスターズは相当な腕前らしい。

 この、ドラクエモンスターズでサッカー部の別な仲間に勝ちたい、そのための指南をしてほしい、ついては今度執り行われる冬ゲリキャンをドラクエ合宿にしよう、という話になっていたとのこと。

 なんと、子供たちの間の複数の間で、冬ゲリ=宿泊という図式が、「受け継がれ」ていたのだ。

 しかし、時すでに遅し。この段階から、取れる宿はなかった。いかに日々に疲れていようとも、次世代への継承は適正になされなければならない。うるふは、自らの行動を後悔するとともに、来年は宿泊にしようと誓うのであった。


 そこまで堕ちてしまったゲリキャンであったが、その火を消すということはない。今年もまた、河原での日帰りではあるが、実施される。

 参加家族は悪友N、テレビ屋T、ダム屋KK、うるふの4家族、計13名。これに悪友ZがメキシコからSkypeで参戦した。結構な盛り上がりである。

 いつもの場所に集合したメンバーは、手際よくスーパーで買い物を済ませる。これまで注意の対象でしかなかった子供たちが、今は、食材やペットボトルを持ってくる、戦力へと変わっていた。この変化は大きい。

 いつもの河原へ到着。風が若干あったが、車を風よけにテントを張り、物流用のラップを柱に巻くと、風よけ兼温室のような状態になり、だいぶ暖かい。

 今年の作戦は、ある意味割り切っている。

 鍋はカセットコンロを使用することとした。昨年、火おこしに苦戦したためである。鍋を沸かすには火力が必要だ。今回も鍋2回分の材料を用意したが、2度行う、という火力の調節を行えるほど自信がない。外でやる冬ゲリや時間との勝負だ。4時になれば急激に気温が低下し、あたりが暗くなる。結構忙しいのだ。

 子供の空腹具合に即座に適応するために、カセットころで割り切った。

 到着後、即座にカセットコンロで湯を沸かし、インスタントコーヒーを淹れる。この中で酒を飲めるメンバーはテレビ屋Tとダム屋KKしかいない。後は車で来ているからだ。
 つかの間のまったり時間。

 続いて、バーベキューの火を起こす。

 火おこしは珍しくうるふが担当。これは、このバーベキューセットを購入してから、せっせと家族でバーベキューをこなしていたノウハウが役立ち、思った以上に早く炭に火が付いた。風があったことも好材料だったかもしれない。

 昨年は全く火をつけることができなかった暖炉用の薪を1年越しで持ってきたが、これも簡単に火が付いた。昨年の苦労はどこへやら。

 今回は、たき火台を導入し、件の薪はそちらへ移行。

 鍋ができると同時にバーベキューも開始。いいペースだ。今回は食材の量もだいぶ抑えた。さっさと鍋とバーベキューを終わらせて、まったりタイムに入りたい。

 しかし、今回は子供たちは空腹よりも遊びに重きが置かれていた。

 Kとテレビ屋Tの長男はドラクエモンスターズに興じていたし、悪友Nの長男次男もサッカーゲームに夢中になっていた。

 鍋とバーベキューをつついたと思ったら、今度はサッカーテニスが始まった。鍋はあと1回分残っていた。

 我々もまた、最近電撃結婚した、某MAX氏についてのどうでもいい話題でメキシコとSkypeのビデオ電話に相当の時間を費やしていた。


 その時、であった。

 なんと、夏ゲリキャンでも最近はやらないものが出ている、川への突入をしている大バカ者、否、消えつつある若さとはバカさである、の精神を体現する素晴らしい漢の姿が見えた。

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 テレビ屋T氏、その人であった。

 聞けば、子供たちがサッカーテニスでボールを川に入れてしまったのだという。夏ゲリの時もこの川には入ったが、結構な水量と深さがある。ボールはだいぶ川の中心にまで達しており、全員がその回収をあきらめたとき、テレビ屋T氏が脱兎のごとく、川に飛び込んだのだ。

今、ゲリキャンの流れはテレビ屋T氏にある。ボールを小脇に抱えて、冷水を滴らせながら上がってくるテレビ屋T氏は、子供たちからはヒーロー視されていた。当たり前の話だ。

 うるふは、自らのハートの熱さが想像以上に冷めていることに一抹の寂しさを覚えていた。
 うるふにできることは、たき火の火を最大限にまで強め、テレビ屋T氏が暖をとれるようにするだけであった。

 テレビ屋Tは下半身を完全に水没させた状態で戻って来た。しかし、その表情は充実感に満ち溢れていた。誰にも到達できない、ゲリキャンの精神の頂にたどり着いたという自覚。それがみなぎっていた。

 強まった炎を囲み、これまでのゲリキャンを振り返る。

 これだ。
 この時間だ。

 これこそがゲリキャン。

 真剣に、バカができるか。
 真剣に、どれだけバカをやって来たか。

 抗え。
 自分たちをつまらないオトナへと変え行く時の流れに。

 抗い続ける限り、僕らは永遠の若さを手に入れる。

 若さとは、バカさなのだ。
 だから、ゲリキャンもまた、続く。

 夕暮れとともに、2016年冬ゲリキャンの炎も消えた。皆、再び、日常へと戻る。
 だが、再び僕たちはここに集まるだろう。

 次は、2017夏ゲリキャン。また、バカになるぜ!

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