スーパーセヴンとNSX、対極にある車を乗り比べる

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 先日、スーパーセヴンとNSXという対極にある車を乗り比べる、という機会に恵まれたので報告しておきたい。


 今回は、その企画第2弾と言ったところで、同じ「Fun2Drive」で今度はGT-RではなくNSXを借りた、ということなのだ。メンバーも昨年と同じ、会社のクルマ好きである。

 このメンバーはロードスターオーナーなど、兎に角クルマは自らの手でドライブするべき、と言う向きの集団なので、殊更GT-Rの評価は「ツマラナイ」というものに終始していた。(ちなみに僕は「あれはあれで凄い」と結構感動しており、それについては上記リンクを参照されたい)

 ということで、今回は、スーパーセヴンと対極にあるには違いないが、クルマは自らの手でドライブするという路線(もしくはスーパーカーとは2座ミッドシップエンジンであるという信念?)は外れていないNSXを借り出したということである。

 また、エリーゼとNSXで、ミッドシップ乗り比べ、と言う趣向もまた実現させている。実に楽しみだ。

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 ということで、NSXは91年式、初期型の3.0VTEC、280馬力で、コンピュータとマフラーが変更されていた。

 箱根とかは完全アウェイなので僕は良く知らないが、大観山という有名スポットまで自らのエリーゼをドライブし、上掲の写真を撮影後、まずはスーパーセヴンに乗った。このクルマは昨年もドライブしているが、とにかく、寒いのと怖いのとの記憶しかなかった。

 なぜ、怖いか。それは、車とドライバーとのコミュニケーションが成立しない、ということなのであった。

 昨年も書いたが、個体差だと信じたいが、ここで借りるスーパーセヴンは僕のエリーゼと異なり、インフォメーションにダイレクト感がない。スーパーセヴンとは、ダイレクト感の塊であり、それはロータスエリーゼ以上であり、それを楽しむ車ではなかったか。

 しかしこの個体は、ギア(が一番だと思う)を始め、クラッチ、レーキなどの操作系がとにかくわからない。目で見て、加速しているから、クラッチがつながっているんだとか、減速しているからブレーキが利いているんだとか、ほとんどが目からの情報だ。体で感じるインフォメーションが兎に角感知できない。

 ギアはどこに入っているか分からないし、クラッチはとんでもない量の遊びがある。手前10%はクタクタで、そこから先は少し重くなって、クラッチミートが始まるのは踏んで奥の97%くらいから始まる感じだ。

 メーターどれも同じような造りでどれがタコメーターでどれがスピードなのかもよくわからず、ウィンカーも単なるトグルスイッチでしかなく、自動で消えてくれる機能などない。ウィンカーを自ら消すということをしたことがないので、ほとんどのメンバーが出したウィンカーを消し忘れたまま走行しまくる、と言う状況が繰り返された。

 インフォメーションが悪いわりにやることが多く、さらに風は凄いし、石は飛んでくるし...、このクルマには本当に怖いし、寒いし、慣れない。

 ということで、話をNSXに移す。

 NSXは大学時代、1kmくらい運転したことがあるのみで、それ以来のドライブである。その時は、ホンダの狭山工場を見学に行ったのだが、S13シルビアで行ったところ、やっぱりホンダ車じゃないと色々面倒、ということになって、案内してくれる人がレジェンドとNSXを貸してくれた。マニュアル運転が慣れているのが僕、ということで借りてホンダ狭山工場までドライブした約1kmがその貴重な経験。
 その時は、もう借りた車だし、市街地ドライブだし、絶対に事故れないということで、本来の性能の2%くらいでしか走っていないと思う。その時の印象は「単なる高級車」というもので終わっていた。

 20年の時を経て、180SX、ロータスエリーゼという経験もした上でのNSXとの邂逅。

 で、20年ぶりのファーストインプレッションはやっぱり「単なる高級車」であることに何ら変わりはなかった。ちょっと硬めの本革シート、何の問題もなく効く快適なエアコン。クラッチミートの瞬間からトルクフルなエンジンの割には、全く静かな室内。足回りは必要な路面の様子を角の取れた振動に変換してドライバーに伝えたら、すぐさま収束した。

 この20年、ほとんどの時間を180SXと過ごし、マニュアル車の運転はこの180SXの作法が体の芯まで染みついている。最近ちょっとエリーゼとの時間が増えているが、あくまでも土台は180SXで得た作法だ。

 その唯一の作法でこのNA1というクルマに臨み、彼はその作法を受容した。もちろん僕は180SXの作法を用い、恐る恐る、彼に指示を与える。それに対する彼の反応は、僕の望み通りの物だった。

 すみません、僕、180SXって言うクルマしか運転したことがなくて...。NSXさんなんてクルマ、僕には合わないですよね、言ってください、変な運転してたら...。

 なんて、自信のない操作で入る僕に対し、彼-すなわちNSX-は、
 「180SXですか!だったら何にも変わらないですよ、180SXに乗ったつもりで操作して下さい!」
 NSXは、間違いなく、僕にそう伝えてきたのだ。180SXで得たドライブのスキルをそのままぶつけてきてくれ、と。

 あとはもう、彼との会話はトントン拍子だった。

 例えばカーブが迫って来た時、このくらいブレーキを踏んで、このくらいアクセルをあおって、このタイミングでギアを落としてクラッチをつなげばこのくらいのエンジンブレーキをかけながらカーブに侵入できるな、という感覚があって、そう操作すれば結果として期待した結果が得られた。180SXの時の感覚を何ら修正する必要はない。

 厳密には修正しているんだろうが、その自覚はない。感じたインフォメーションに合わせ、直感的に操作する。また期待通りの反応があるから、次の操作ができる。予想外のレスポンスはない。だからまた、次の操作に躊躇なく入れる...。この繰り返しであった。

 これを僕はコミュニケーションと呼びたいわけである。

 途中、椿ラインという狭い道もドライブしたが、リトラクタを上げて走れば、3ナンバーと言う慣れないサイズであるにもかかわらず、車幅感覚はこれまた180SXをドライブするときの感覚で問題ない。

 異なる事があるとすれば、例えば、エンジン音。これは180SX、そしてロータスエリーゼにもない類の高い音で、知らず知らずのうちにこの心地良い音と共に訪れる加速感を得たいという欲求に駆られ、それを繰り返してしまう。

 あとは、低回転からでも十分なトルク感。やっぱり180SXだと回転が上がるまでちょっと気持ちいい加速感が訪れるのを待たなければならないシーンでもNSXは必要な加速とパワー感を与えてくれる。

 と、言うことで、NSXは、「180SXで積み上げてきたものは間違いではなかった!」と感じさせてくれる。このクルマはどちらかと言うとドライバーを褒めて伸ばすタイプの車である。
 
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 途中、カー雑誌やビデオなどで有名な「金魚」と呼ばれるポイントで、エリーゼを撮影してもらった。

 再び芦ノ湖の方まで戻ってから再度スーパーセヴンへ。

 やっぱりわからない...。

 下手なのは分かっている。だから「それで良い」と言ってくれないのは良い。しかし、「それじゃダメだ」とは言ってくれないのか?

 外国人...否、宇宙人だ。NSXを褒めて伸ばすと言ったが、スーパーセヴンは宇宙人。次元が違いすぎる。

 一切のドライビングエイドはないから僕自身がドライブしていることには間違いないのだが、それさえ確認しないと不安になるような感覚である。しかし、車は間違いなく前に進んでいる。なぜだ?

 良く分からないのでまず3速だけで走る。ギアは変えたくない。4ならまだ良いが、2は嫌だ。停止は絶対に嫌だ。免許取りたてのころと同じ願いである。

 ヒールアンドトウはもちろんできない。だから、カーブが来るとブレーキだけになる。減速してからブレーキを離し、アクセルに足を置き直した後、回転を上げてギアを入れようとする。しかし2速が良く分からない。何度か2速のゲートを探しながらトライする。車は無情に惰性走行を継続。シフトチェンジのタイミングは完全に過ぎ去っている。もう、どのくらいの回転に上げて繋げば良いのか分からない。

 しばらくの空走の後、やっと2速に入った。クラッチを繋ぐが2速でもだいぶ低い回転になっている。そこから加速。そんな走りしかできない。

 しかし、このあたりの道を往復するうち、徐々に2速に入れることが苦でなくなってきた。この宇宙人との会話の糸口が少しずつ見えてきた。

 ヒールアンドトウをやってみよう。エリーゼも最初はできなかった。しかし、今は問題なくできる。セヴンでもできるはずだ。

 ペダル周りが異様に狭いこのような車の場合、ヒールというか、ブレーキは右足の親指の付け根当りで踏みながら、アクセルはと言うと、小指の付け根辺りの側面で、足を回転させるような感じで踏む。

 見つけた。

 ブレーキを踏みながらアクセルを踏んで回転を上げられれば...。2速に入れることについてはだいぶ出来るようになっている。

 できた!

 分かって来たぞ!

 ヒールアンドトウができるようになって、コーナー手前で2速に入れられるようになったら、もう早い。コーナー出口が見えたらアクセルを踏むだけだ。爆音と共にようやく加速感を味わえるようになった。

 気持ちいい!

 宇宙人だと思っていた相手が、ようやく少しこっちを向いてくれた気がした。

 前回はスーパーセヴンは全く分からないまま終わったが、今回は少し操れるようになれた。ただまぁ、僕の中ではこのクルマは一緒に暮らすクルマではないと言う気持ちに変わりはない。

 NSXは良いけど、税金とか多分色々高いんだろうな、と思うとエリーゼは実に程よい車だと思うし、180SXをドライブしてきてよかった、と本当に思う。結局1年前と同じ感想になってるけど。

 わずかの時間でも、こうして色々な車を乗り比べるのはとても貴重な経験だと思う。僕の場合は180SXだが、おそらく自分が運転してきた車はやっぱり良いんだ、と言う気持ちを再確認できるはずだ。

 今日あたりの180SX走行距離:307,608km

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