ゲリラ実験室 MISSION7-5 榛名山でミッションが壊れた!惰性だけで麓の工場まで走行せよ!

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予想外の障害

「路駐がいるよ!」

 助手席側の窓に顔を押し付けるようにしてゆみごん社長が報告する。

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 「ここで路駐かよ?」

 こちら側車線なので、対向車線が優先である。次々と来る対向車が180SXの右側をかすめて伊香保温泉街の方へ向かって登って行く。

 180SXの前にいた何台かは対向車の微妙な切れ目をついてやり過ごしてゆく。そして、いよいよ180SXが先頭になった。後ろには長い車列ができていた。

 「待てよ、待てよ~......」

 ドクターうるふも慎重である。対向車の切れ目を予測してブレーキを離さなければこの駐車車両をパスできない。しかし道が微妙に右に曲がっており、あまり先も見通せない。

 「アクセルっていいよなぁ。考えたやつ天才だよ。」

 エンジンで加速できるなら行けるタイミングはあったが、惰性走行ではムリ。躊躇してなかなか進めない。後続車は初心者だと思っているだろう。

「これ以上はムリだ。ここで行くぞ。」

 ブレーキを離す。180SXはゆっくり加速し、対向車線に車体半分ほど飛び出す形となった。対向車が迫る。

「早くしてくれ~、速く行ってくれ~。」

 体の自由が利かないバケットシートの中で、必死にもがくドクターうるふ。シートがギシギシきしむ。どうやら漕いでいるつもりらしい。

 対向車も速度を落とさない。このまま突破して来る気だ。

 「車の下見てくれ。人、居ないか?!」

 駐車車両の下に人の足が見えれば飛び出してくる可能性がある。

 「居ない。大丈夫。」

 運転席にも人影は見えないのでこの車から降りてくる心配もない。180SXを駐車車両ギリギリまで寄せる。

 駐車車両を追い越している最中、対向車とすれ違った。

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 上の写真は180SXの右側をかすめる対向車を撮ろうとしたようだが、フレームアウトしてしまった。しかし写されたインパネからそのときの状況がうかがえる。速度は時速15km程。回転数は当然アイドリングの回転数だ。

 駐車車両はうまく追い抜いたが、そのあと速度が上がるまでの時間は数十秒なるも、絶えがたいものであった。

 「予想外の場所でてこずったね。」

 ゆみごん社長がため息混じりにもらす。


新ルート

 「こっから......だな。」

 左ウィンカーを出し、路地に入ってゆく。ここからが新しいルートだ。正面には渋川工業高校のグラウンド。緑色のネットが高くそびえている。
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「なんだ? 車庫入れか?!」

 狭い路地を完全に塞いで車庫入れをしている。生活道路でしかも狭いから無理もないが、2回ほどやり直している。ほとんど停止した状態まで速度が低下したが、後続車もなく、車庫入れ完了を待って再スタート。

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「せめぇ~!当たる~!!」
(ゆみごん社長)

 渋川高校を過ぎて、更に狭い路地に入ってゆく。石の壁が左右に迫る。バックミラーと壁がわずかの隙間しかない。車体から出ていないエアロミラーだから通れる道だ。

 真正面は工事中の道。タイミングさえ良ければ停止せずに大通りに出られる。

 通りに出たら左折したい。ドクターうるふから見て右方向へ行く車が溜まっている状態であれば問題なく左折できる。

 「どうだ?行けるか?」

 誰に問うともなく叫ぶドクターうるふ。なんと、運良くドクターうるふから見て左方向へ行く車が切れた瞬間。この後につけば難なく行ける。

 「警備員、誘導してくれねェかな?」

 調査段階でこれに似た状況になったとき、路地から出ようとする180SXを先に行かせてくれたケースがあった。ここでそれをやってくれればこの後のわずかな登り区間をパスできるかもしれない。

 「行かせてくれー、行かせてくれー。まずオレを、行かせてくれぇ!」

 警備員にもの欲しそうな目線を投げかける。路地から出るまで後5m。警備員と目があった。

「いい?行っていい?」

 聞こえるわけないのに車内で叫ぶドクターうるふ。目線でそれを補おうと先程より熱い視線をおくる。

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が、その想いは棄却された。

 警備員は無情にも目をそらし、ドクターうるふから見て右方向へ行く車の通行を、彼は許可したのだ。

「ここで止まるわけには行かん!」

 左から右方向への通行が始まった。今なら右から左へ行く車はない。左折できる。

 と!

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ガガガッ!!
「クソッ、乗り上げた!」
「止まる、止まるーっ!!」

別な角度からの映像。 左に寄せすぎ、ボディの左側、前輪と後輪の間が歩道に乗り上げたようだ。一気に減速する180SX。後輪がせり上がり、激しい衝撃とともに着地。ボコン!という、マフラーをこする音がそれに続く。

 目の前にある「金井南町」交差点は青。今なら行ける。しかし、速度はほとんどない。それもそのはず、ここはわずかに上り坂。速度は上がるどころか、みるみる減速する。後ろ向きの重力には逆らえず、180SXは交差点の右折レーンで停止した。

 「仕方ない、クラッチつなぐぞ!この20mは同乗していた仲間に手伝ってもらって押したと言う設定にしよう。」

 ここまで来て、終わらせたくない。そんな気持ちで一杯だった。ここを過ぎれば再び下り。この先はまた、惰性で行ける。

 クラッチを静かにつなぐ。すると180SXは前進を始め、坂を登ってゆく。加速を封じられてきたうるふにとって、自力で進むということが魔法のように感じる。

 しかし、それも時間にしてわずか10秒程度。信号右折後、再び惰性走行に入る。ここからはまた下りだ。180SXの走行は再び地球の引力に委ねられた。

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 再び心地よい下り区間が約1km。この先の信号は全て青で通過する。下り具合もなかなかいい。もし信号に掛かっても再スタートは可能だろう。

 前走車につきすぎないよう注意しながら国道17号へ向かう。

「見えたぞ、日産ブルーステージ。」
「おおー、本当だァ!」

 並木の向うに青い看板が見え隠れしている。まぎれもない、日産ブルーステージである。しかし、日産に入るためには国道17号を20m程走行しなければならない。ここもまた完全なる平坦な道だ。

 国道17号への信号で痛恨の2度目の停止。トヨタのディーラーが左手に見える。

 「トヨタディーラーだったら本当に惰性で入れちゃうね。」

 「ここまで来りゃぁ、後は日産の人に何とかしてもらえるだろう。」

 ディーラーは目と鼻の先である。

 信号が青になる。エンジンの力で走行し、日産ディーラーへ。

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「やっと、着いたな......」

 11時17分、戦いは、終了した。

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 2度の停止があったために、到着してもそれほど大きな達成感はなかった。惰性のみでの走行で15.8km、25分間というのは賞賛に値するが、目的を完全に達成することは出来なかった。やはりそれは心残りである。



 「残念だったけど仕方ない。最初に停止したあの登りは、惰性で降りることを決めた時点で、仲間を集めて後追いさせて、あそこは押してもらうんだな。

 しかし、エンジンさえ生きていれば、結構おりれちゃうんだよね。それが分かればこの方法でかなり工場まで近づける。いかに速度を殺さずにコーナーを曲がるかって言うのは峠を走るのにも必要とされる技。うまいドライバーほど先へ進めるだろうね。

 後半の路地の連発は本当、180SXだからこそ行けたって思ってる。リトラクタをオープンにすることで、ものすごく良く車両感覚を掴めるんだ。軽自動車しか行けないような道ばかりだったけど、臆せず突っ込んで行けたのはこの恩恵があったからと言ってもいいんじゃないかな。」

と、続ける。

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 ボディ左下にできた傷が痛々しい。 180SXにキズがついてしまったが。との言葉には、
「また、180SXには痛い想いさせたと思ってる。でも、コイツとまた、大きな記録を生み出せた。勲章だよ、これも1つの。」

 せっかく伊香保に来たんだから、と町営駐車場に180SXを置いて、ドクターうるふは石段街に消えていった。

 この結果がどのように使われるのか、彼は知らない。早く通り過ぎたいと思っていた伊香保が、今度は彼の疲れを癒してくれることだろう。

実験は無事終了し、その結果だけを残して研究員たちはいずこかへ去って行った。
新たな検証が、彼らを待っている。


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