
2020年6月、さらに軽量のロータスエリーゼで再実験した様子を動画で公開!
ゲリラ実験室MISSION11
ゲリラ実験室MISSION11
「ムリだぜ、今回のは。」
いつになく自信のないドクターうるふである。
「プリウス相手に燃費対決なんて。それはさすがに...敵うワケがねぇ。」
ゲリラボ実験内容の検討会議での発言。どんな不利な勝負でも常に自信のある姿を見せ続けたうるふであったが、さすがに今回は乗り気ではない。
「いいじゃん。それなりの結果が出れば。こっちはスポーツカー、向こうは燃費だけの車じゃん。その辺は加味して結果を受け止めてもらえるよ」
と、冷静なゆみごん社長。この人物、他人事にはいやにクールな分析を見せる。
「オレはその"それなりの結果"って言うのが嫌なんだよ!」ドクターうるふは席を立ってしまった。
長期実験中の項目に差し替えも考えたが、まだ、完全な結果を得られておらず、発表の段階ではない。今回はとにかく燃費対決で行くしかないのである。
「ちょっとぉ。結果がどうでも実験はするって
「ゲリラボとは」
にも書いたでしょ!」
今回は、ドクターうるふの説得から開始せねばならないようだ。
ドクターうるふは考えていた。
スポーツカーは根本的に燃費が悪いものだ。パワーを出すために、シリンダー内にどれだけ多くの燃料と空気を入れられるかが勝負の車である。それでも180SXの燃費は通常走行で9。パワーと燃費を両立した、すばらしいラインであると思う。ただ、最近出てきた20km/lを超えるような車と張り合うというのは畑違いもいいところだ。技術の差がもろに出てしまう部分で、最新の車との勝負など、成立するのか......。
今までの燃費の最高が12.021km/l。金沢から深夜のノンストップ走行で叩き出した、たった1度の値だ。たとえば奇跡的にもう一度これが出たとして、
180SXで燃費12km/l。
なんて結果でいいのか。こんな結果を公開して燃費20km/lを超えるプリウスと戦ったことになるのか。なるわけがない。だいたい35km/lも走るインサイトなんてのも出てきやがった。今時、リッター12kmなんて誰も驚きはしまい。「今更何言ってんだ、コイツ」となるのがオチである。
それがドクターうるふには耐えられなかった。
翌日。一人になって考え、気分も落ち着いたのか、ドクターうるふも話し合いの席に再びついた。
「見てよ。あの後ちょっと調べてみたんだけど......。」
ゆみごん社長が提示したのはプリウスが北米大陸を横断したときのものである。この車は1999年の東京モーターショーにも展示されていた。トータルの燃費は16.8km/l。20km/l台ではない。
「更にさ......。」
まだ、あるようである。
「プリウスオーナーのページを見つけたんだけど......。」
ゆみごん社長の愛機、VAIO737の画面にはオフラインでWebページが表示された。既に旧型のVAIOだが、買い換えるつもりはないと言い張っている。
「12km/lくらいの報告もあるんだよね。14,15レベルはザラ。そのページによると初期不良も出てるらしいし、やっぱり、20km/l以上って言うのはプリウスと言えどもある程度気を使わないと出ない数字みたいだよ。」
ドクターうるふの沈黙は続く。じっと見守るゆみごん社長。少しして、ドクターうるふは立ち上がった。
「180SXのオイルを替えるぞ。要らないものは徹底的に下ろして最軽量状態にするんだ。」
「やるのね?」
「絶対に勝てない相手に挑むってのも、悪いもんじゃない。できれば、少しはプリウスをヒヤリとさせてやりてぇもんだな...!」
コメントする