ゲリラ実験室MISSION9-4下から行けば間に合った?神様が与えたワンモッチャーンス!

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 とはいえ、今の自分の判断に自信を持てずにいることもまた、事実である。どんよりとした雲になだらかに上る薄くらい道。本当にこの180SXは国道18号へ向かっているのか。少しずつ、貴重な時間が経過して行く。

 と。ドクターうるふの前に、ひとつの橋が見えた。


「よっしゃ、18号だ。」
「出た?」

 頭上を越える大きな橋は、紛れもなく妙義山を見晴るかす国道18号であった。橋をくぐるとすぐに右折し、180SXは国道18号線に合流した。おぎのやまでは、そう遠くない。が。15時26分。

 「真子ちゃ~ん!」

 坂を駆け下りる180SX。上信越自動車道が見えてきた。信越本線の上を越え、上信越自動車道の下の「五料」交差点を通過する。

 「あー、オレの天使を地上から連れ去らないでくれ!」

 

 ............







 ............


 「つまり‥‥、そういうこと? あたしに‥女として魅力がないってこと?」

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 ............

 

 車が増えてきた。時速は60km。決して遅くはない。しかし、今のドクターうるふ、否、池谷先輩にとっては遅すぎる速度。

「 ゴメン‥‥   
  真子ちゃん 」

ぜつぼうだああ

 おぎのやの前の信号にかかり、真子ちゃんとの待ち合わせの駐車場に到着したのは出発から1時間3分後であった。

 真子ちゃんは、碓氷峠方面に去っている。ドクターうるふ駆る180SXと、すれ違うことすら、ない。

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「1時間は切れない......のか?」

 やはり、高速道路の方が速かった。わずか6分ではあるが、高速道路の方が速かったのである。ドクターうるふの予測は、またしても崩れ去った。


 「ダメぇ?ダメなの、これ?勝ってないの?」
 「ダメだ。やはり高速道路の方が速かった。残念だが......、それが今回の実験の全てだ。」

 ドクターうるふはきっぱりと言い切った。

 「高速の方が、あんなに遠回りなのに......。遅い車の後ろに着いたじゃん。池谷先輩は夜だからそんなに車、居ないでしょ。」
 「それ読者が判断する事だ。これは神様がくれたワンモアチャンスなんだ。もう一回はない。」

 と、ドクターうるふはゆみごん社長を制した。

 とはいえ、池谷先輩は渋滞に遭い、そこでタイムロスをしている。今回の実験の結果を踏まえて考えれば、渋滞に遭った池谷先輩よりは、確実に一般道の方が速かったことは明白である。

 結果から言えば、あの日あの時、池谷先輩は下から行けば真子ちゃんに会えた可能性は、きわめて高い。池谷先輩が到着する1分前まで、真子ちゃんはおぎのやで池谷先輩を待っていたのだ。この日池谷先輩がどれだけの時間をかけてここに到着したかは不明であるが、1時間3分で到着したのなら、池谷先輩は間違いなく真子ちゃんに会えていたはずである。無論、この道での渋滞など、ありえない。

 しかし、ゆみごん社長とドクターうるふがこれほどまでに通常の高速での所要時間を切る事にこだわったのは、池谷先輩の判断の正否を問いたかったのだ。

 店長に追い出されるようにして店を出た池谷先輩が、渋滞している事を知るすべはない。と、するならば、池谷先輩は通常の高速道路の所要時間と、一般道の所要時間でどちらの道を行くか、選ぶはずである。

 今回の実験で、わずか6分ではあるが高速道路の方が速くおぎのやに到達できる事が判明した。すなわち、店を出発した時点での池谷先輩の判断は、結論から照らし合わせるなら「正しかった」と言える。渋滞が発生したのは、運命の悪戯に過ぎない。

 「ただ -」

 180SXのキーを放り投げては取る、と言う動作を繰り返しながら、ドクターうるふはこう付け加える。

 「出発時の池谷先輩の判断が正しかったと言うのは実は正確ではない。なぜなら池谷先輩は「どんなにとばしても」1時間以上かかると言っている。しかし実はちょっと飛ばせば1時間を切れるんだ。池谷先輩がその事実を知った上で高速を選んだのであれば、それは判断としては正しいが、彼の中の判断材料は高速でも1時間以上かかる距離だったんだ、横川は。」

 ドクターうるふは立ちあがり、180SXの方へと歩き出した。

 「おそらく池谷先輩の中では「判断」と呼べるものはなかっただろう。行き方として知っていたのは高速だけだったんだ。それが彼の運命ってことさ。そして我々は、多くの読者が抱いたであろう、疑問にひとつの答えを出した。それだけのことだ。」
 「そんなぁ......。」

 「なに、きっと池谷先輩は別な形でチャンスが来るよ。オレ達がチャンスを与えようなんて、おこがましいってことさ。」

 ドクターうるふは再び180SXに乗り込んだ。また渋川に戻って、撮影し損ねた渋川の景色を撮るという。おぎのやの駐車場に、心地よいサウンドを残して、180SXは去って行った。

運命をかけた選択に、他人の考えを容れてはいけない。
池谷先輩は高速を行き、ドクターうるふは一般道を選んだ。
結果はどうあれ、信じる道を歩んだ結果なら、納得できる。







【ゲリラ実験室MISSION9】

CAST
   池谷先輩 : ドクターうるふ
真子ちゃん : ピパ子氏

写真に追記したセリフ、擬音はWindowsに付属の「ペイント」で根性で手書きしたものです。
原作からのコピーなどは一切行っておりません。


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