ゲリラ実験室の最近のブログ記事

g_title.jpg


予想外の障害

「路駐がいるよ!」

 助手席側の窓に顔を押し付けるようにしてゆみごん社長が報告する。

0012_054.jpg
 「ここで路駐かよ?」

 こちら側車線なので、対向車線が優先である。次々と来る対向車が180SXの右側をかすめて伊香保温泉街の方へ向かって登って行く。

 180SXの前にいた何台かは対向車の微妙な切れ目をついてやり過ごしてゆく。そして、いよいよ180SXが先頭になった。後ろには長い車列ができていた。

 「待てよ、待てよ~......」

 ドクターうるふも慎重である。対向車の切れ目を予測してブレーキを離さなければこの駐車車両をパスできない。しかし道が微妙に右に曲がっており、あまり先も見通せない。

 「アクセルっていいよなぁ。考えたやつ天才だよ。」

 エンジンで加速できるなら行けるタイミングはあったが、惰性走行ではムリ。躊躇してなかなか進めない。後続車は初心者だと思っているだろう。

「これ以上はムリだ。ここで行くぞ。」

 ブレーキを離す。180SXはゆっくり加速し、対向車線に車体半分ほど飛び出す形となった。対向車が迫る。

「早くしてくれ~、速く行ってくれ~。」

 体の自由が利かないバケットシートの中で、必死にもがくドクターうるふ。シートがギシギシきしむ。どうやら漕いでいるつもりらしい。

 対向車も速度を落とさない。このまま突破して来る気だ。

 「車の下見てくれ。人、居ないか?!」

 駐車車両の下に人の足が見えれば飛び出してくる可能性がある。

 「居ない。大丈夫。」

 運転席にも人影は見えないのでこの車から降りてくる心配もない。180SXを駐車車両ギリギリまで寄せる。

 駐車車両を追い越している最中、対向車とすれ違った。

0012_55.jpg
 上の写真は180SXの右側をかすめる対向車を撮ろうとしたようだが、フレームアウトしてしまった。しかし写されたインパネからそのときの状況がうかがえる。速度は時速15km程。回転数は当然アイドリングの回転数だ。

 駐車車両はうまく追い抜いたが、そのあと速度が上がるまでの時間は数十秒なるも、絶えがたいものであった。

 「予想外の場所でてこずったね。」

 ゆみごん社長がため息混じりにもらす。


新ルート

 「こっから......だな。」

 左ウィンカーを出し、路地に入ってゆく。ここからが新しいルートだ。正面には渋川工業高校のグラウンド。緑色のネットが高くそびえている。
0012_061.jpg
「なんだ? 車庫入れか?!」

 狭い路地を完全に塞いで車庫入れをしている。生活道路でしかも狭いから無理もないが、2回ほどやり直している。ほとんど停止した状態まで速度が低下したが、後続車もなく、車庫入れ完了を待って再スタート。

g07_haruna_roji.jpg
「せめぇ~!当たる~!!」
(ゆみごん社長)

 渋川高校を過ぎて、更に狭い路地に入ってゆく。石の壁が左右に迫る。バックミラーと壁がわずかの隙間しかない。車体から出ていないエアロミラーだから通れる道だ。

 真正面は工事中の道。タイミングさえ良ければ停止せずに大通りに出られる。

 通りに出たら左折したい。ドクターうるふから見て右方向へ行く車が溜まっている状態であれば問題なく左折できる。

 「どうだ?行けるか?」

 誰に問うともなく叫ぶドクターうるふ。なんと、運良くドクターうるふから見て左方向へ行く車が切れた瞬間。この後につけば難なく行ける。

 「警備員、誘導してくれねェかな?」

 調査段階でこれに似た状況になったとき、路地から出ようとする180SXを先に行かせてくれたケースがあった。ここでそれをやってくれればこの後のわずかな登り区間をパスできるかもしれない。

 「行かせてくれー、行かせてくれー。まずオレを、行かせてくれぇ!」

 警備員にもの欲しそうな目線を投げかける。路地から出るまで後5m。警備員と目があった。

「いい?行っていい?」

 聞こえるわけないのに車内で叫ぶドクターうるふ。目線でそれを補おうと先程より熱い視線をおくる。

0012_66.jpg
が、その想いは棄却された。

 警備員は無情にも目をそらし、ドクターうるふから見て右方向へ行く車の通行を、彼は許可したのだ。

「ここで止まるわけには行かん!」

 左から右方向への通行が始まった。今なら右から左へ行く車はない。左折できる。

 と!

0012_15.jpg
ガガガッ!!
「クソッ、乗り上げた!」
「止まる、止まるーっ!!」

別な角度からの映像。 左に寄せすぎ、ボディの左側、前輪と後輪の間が歩道に乗り上げたようだ。一気に減速する180SX。後輪がせり上がり、激しい衝撃とともに着地。ボコン!という、マフラーをこする音がそれに続く。

 目の前にある「金井南町」交差点は青。今なら行ける。しかし、速度はほとんどない。それもそのはず、ここはわずかに上り坂。速度は上がるどころか、みるみる減速する。後ろ向きの重力には逆らえず、180SXは交差点の右折レーンで停止した。

 「仕方ない、クラッチつなぐぞ!この20mは同乗していた仲間に手伝ってもらって押したと言う設定にしよう。」

 ここまで来て、終わらせたくない。そんな気持ちで一杯だった。ここを過ぎれば再び下り。この先はまた、惰性で行ける。

 クラッチを静かにつなぐ。すると180SXは前進を始め、坂を登ってゆく。加速を封じられてきたうるふにとって、自力で進むということが魔法のように感じる。

 しかし、それも時間にしてわずか10秒程度。信号右折後、再び惰性走行に入る。ここからはまた下りだ。180SXの走行は再び地球の引力に委ねられた。

0012_070.jpg
 再び心地よい下り区間が約1km。この先の信号は全て青で通過する。下り具合もなかなかいい。もし信号に掛かっても再スタートは可能だろう。

 前走車につきすぎないよう注意しながら国道17号へ向かう。

「見えたぞ、日産ブルーステージ。」
「おおー、本当だァ!」

 並木の向うに青い看板が見え隠れしている。まぎれもない、日産ブルーステージである。しかし、日産に入るためには国道17号を20m程走行しなければならない。ここもまた完全なる平坦な道だ。

 国道17号への信号で痛恨の2度目の停止。トヨタのディーラーが左手に見える。

 「トヨタディーラーだったら本当に惰性で入れちゃうね。」

 「ここまで来りゃぁ、後は日産の人に何とかしてもらえるだろう。」

 ディーラーは目と鼻の先である。

 信号が青になる。エンジンの力で走行し、日産ディーラーへ。

0012_078.jpg
「やっと、着いたな......」

 11時17分、戦いは、終了した。

b_course.jpg
 2度の停止があったために、到着してもそれほど大きな達成感はなかった。惰性のみでの走行で15.8km、25分間というのは賞賛に値するが、目的を完全に達成することは出来なかった。やはりそれは心残りである。



 「残念だったけど仕方ない。最初に停止したあの登りは、惰性で降りることを決めた時点で、仲間を集めて後追いさせて、あそこは押してもらうんだな。

 しかし、エンジンさえ生きていれば、結構おりれちゃうんだよね。それが分かればこの方法でかなり工場まで近づける。いかに速度を殺さずにコーナーを曲がるかって言うのは峠を走るのにも必要とされる技。うまいドライバーほど先へ進めるだろうね。

 後半の路地の連発は本当、180SXだからこそ行けたって思ってる。リトラクタをオープンにすることで、ものすごく良く車両感覚を掴めるんだ。軽自動車しか行けないような道ばかりだったけど、臆せず突っ込んで行けたのはこの恩恵があったからと言ってもいいんじゃないかな。」

と、続ける。

under180.jpg
 ボディ左下にできた傷が痛々しい。 180SXにキズがついてしまったが。との言葉には、
「また、180SXには痛い想いさせたと思ってる。でも、コイツとまた、大きな記録を生み出せた。勲章だよ、これも1つの。」

 せっかく伊香保に来たんだから、と町営駐車場に180SXを置いて、ドクターうるふは石段街に消えていった。

 この結果がどのように使われるのか、彼は知らない。早く通り過ぎたいと思っていた伊香保が、今度は彼の疲れを癒してくれることだろう。

実験は無事終了し、その結果だけを残して研究員たちはいずこかへ去って行った。
新たな検証が、彼らを待っている。


g_title.jpg



 もう、何度目かわからなくなっている榛名山山頂である。ここから新しい日産ディーラーに向けて出発する。

 やることはこれまでと何一つ変わらない。Navin'youの受信を開始し、衛星の補足を確認したところでスタートする。外付けアンテナは20秒程度で4つの衛星を補足。準備は整った。

 「悪いけど、今日は行かせてもらうぜ。」

 ドクターうるふは自分に言い聞かせるように、言った。

 出発時刻は10時47分。前後には前回同様、車は見えない。榛名山エリアは、前にも後ろにも車がいないことが理想的な条件となる。
 たいていの場合、前に車がいると追いついてしまう。動力を使って降りていく車より、惰性で下る180SXの方が速い。遥か遠くの雪を頂いた穂高連邦や赤城山を見ながら下る観光客とは運転の仕方も目的も完全に異なっているのだ。

 前がつっかえると、次は後ろにつかれる事になる。その際180SXはコーナーの立ち上がりで加速できないため迷惑になる。

 しかし、11時になろうと言う榛名山である。そう簡単には行かなかった。スケートリンク入口のストレートで前を走る車を発見、速度を落としつつ峠を下りるが、17番コーナーで追いついてしまった。

 これまでの中でもこの車はとりわけ遅かった。いくら減速してもすぐに追いついてしまう。このままでは後続車に追いつかれる。

 「どうするか...?」

 ドクターうるふの頭には、「やり直し」と言う選択肢が浮かび上がった。今なら傷は浅い。

 ところが、前を走っていた異様に遅い車は17番コーナー後のストレートにある路肩に車を寄せた。惰性走行の我々をパスさせようと言うのである。
0012_041.jpg

 しかし、問題はまだ解決していなかった。5連ヘアピンで再び前走車に追いついたのである。今度は5~6台の車の列だ。先頭車両を見ることは出来なかったが、助手席に乗っていたゆみごん社長の言に拠れば観光バスだったという。

 いずれにしても、これだけの台数を全部どかすことは不可能だ。しかもこちらは惰性走行。とりわけ5連ヘアピンのような急カーブの連続では速度も出ない。しかもここはそれほど勾配もきつくないエリアだ。

 「かと言って前との距離が離れて行くわけでもない。徐々にだがそれでも近づいてしまっている...。このままで行けば1コーナー立ち上がりの登りでリタイアすることは必至だ。」
 と、ドクターうるふは足ブレーキを踏んだ。ほとんど停止しそうなまでに減速をする。

 「ちょ、ちょっと遅すぎない?後続車が来ちゃうよ。」
 「さっきの車か?まだ来やしないさ。もし来ても、あれだけゆっくり走ってるんだ。ミラーに姿が映ってから対処しても遅くはあるまい。」

 10,9,8,7、その後のストレートと、ドクターうるふはまるで停止しそうなほどの超低速で走行し、前走車との車間を極端に空けてゆく。これだけのことが出来るのも、1年間に渡る走行経験の積み重ねから来る自信によるものなのだろう。

 前を走る車の集団とはかなり距離が離れたはずだ。6コーナーに進入しようというとき、さっきの遅い車が7コーナーから出てくるところをバックミラーで捉えた。

 「これだけ離しゃぁ、行けるだろ。」

 うるふはブレーキをリリース。ゆっくりとした、静かな加速感が180SXに蘇る。2コーナーまでの距離を利用し、速度を回復させる。
 1番コーナーの進入速度は55km。先程より遅かったものの、立ち上がりは先ほどと変わりない速度。最初は悩まされた1番コーナー立ち上がりだが、今はミスすることはなくなった。続く横断歩道もうまく歩行者の切れ目をついた。橋を渡り、伊香保町役場前(編注:現在は「伊香保総合支所前」)の信号は突破できた。

 しかし、それを抜けると次の「伊香保」交差点が見えた。信号は......
「今、赤になったところだぞ」
 これは赤の待ち時間をフルに喰らうことを意味する。交差点から遠い部分は勾配が急なのでここで溜めを作る。

 「待つ」と言うのは非常にじれったいものである。10秒、20秒が1時間、2時間分ものストレスを生み出す。三叉路の変則信号は青になるタイミングを読ませず、ブレーキリリースの瞬間を鈍らせる。すると。

「ア、抜かされた」

 溜めを作ることに夢中で気づかなかったが、いつのまにか現れた後続車が180SXの怪しい走行に痺れを切らし、追い越していったのだった。まずいと思ったドクターうるふはブレーキをリリース。180SXは勾配を下り始めた。信号に近づくにつれ、傾斜は緩む。速度が落ちてゆく。

0012_046.jpg
「青ンなれ~、青ンなってくれぇ~」

 祈りが通じたか、近づきつつある「伊香保」交差点の信号は青に。

「なんていい色なんだァ......」

 ため息混じりに漏らすドクターうるふ。世の中広しと言えども、青信号の色にしみじみ感じ入っている人間もそう多くはあるまい。
 先ほど180SXを抜かして行った車に続いて180SXも発進、何とか、突破した。

 竹久夢二記念館を左手に見つつ、観光協会前(編注:現在は「ビジターセンター前」)の信号も通過。グリーン牧場前を疾走し、次の「明保野」交差点もパス。正面に赤城山がくっきり見え、渋川の中心地を眼下に見下ろす。
0012_050.jpg

 と。信号も何もないのに、前の車が次々とブレーキをかけている。

「オイ、何だよ、このブレーキは?!」
「路駐がいるよ!」

 180SXは、前走車に続いてその場で完全に停止した。

g_title.jpg


 「うわ、赤ンなっちゃった!」無情にも信号が赤になった。場所は観光協会前(編注:現在は「ビジターセンター前」)である。
0012_05.jpg
「突破、突破。行ける、行ける。」

 と、強気のゆみごん社長。この人物、自分でハンドルを握らないと妙に強気である。

 「ダメダメ。ムリだよ、これはァ。」あえなく停止する180SX。先頭で引っかかった。

 「またダメじゃん。」

 口を尖らせるゆみごん社長。しかし、ドクターうるふは怪しく口元を緩ませる。

 「そうとは限らないぜ......。」

 反対の信号が黄色になったとき、見切り発進気味にブレーキをリリースする。180SXは重力によって、渋川方面へと滑り出した。信号は青。既に横断歩道中腹まできており、速度はどんどん上がっている。

 「行けそうじゃねェか?」

 低速の期間が少々長かった気もするが、それでも思ったよりはやく180SXは法定速度に達することができた。グリーン牧場前では公には表記できない速度に達する勢いである。

 「いいねェ!」

 疾走......であった。まさにそんな言葉がぴったり来る走り。180SXは音もなく、まるで電気自動車のように榛名の裾野を渋川へ向けて駆け下りた。

 その後、何度か信号にも掛かったが、坂が急なため、全て重力による発進で切り抜けた。

 渋川駅へ向かう三叉路(信号名「入沢」)。道なりに右へ行けばJR渋川駅だ。信号は赤だったが、目的の方向の直線的に進む道(法的には左折)は左折信号がついており、このまま行けた。

 「ヨシ、ここの突破率は高そうだな。」

 渋川工業高校を左手に見つつ、またもいいペースで坂を下りる180SX。しかし、その先のT字路で信号に掛かった。信号名は「建設省前」。

 先頭あたりでかかると平面だが、ドクターうるふ駆る180SXは7,8番目で坂は比較的急な方だ(写真左)。これなら今までと同じ方法で重力発進できる。

 青。いいタイミングでブレーキを離し、ドクターうるふが交差点に指しかかろうとした瞬間。信号は黄色から赤へ。
9911_04.jpg
「短けェ~!!マジかよォ!?」

 もはや、ダメである。先頭で停止した180SXは完全なる平坦な場所にいた。

 この後、2,3回の挑戦で、わずかな青信号の瞬間に運よく突破できたこともあったが、その先の道はずっと平地が続いており、このルートでの成功は相当困難と判断した。



目的のディーラーを変更する

 「...という結果になった。ハッキリ言って、ゴールが見えない。」

 再び、2000年12月のゲリラボ本部である。

 「コース変えるしかないんじゃない?あの道じゃ、絶対にムリだよね。」

 この実験の日以外にも道の混雑していない時間帯や曜日などを模索し、運よくこの信号を突破した事も有ったが、次の平地で停止するだけであった。

 数回に渡る遠征実験で得られた結果は、この道では絶対にディーラーまで辿り着けない、という絶望的なもの。一方で、熟達するに従って、この「建設省前」交差点まではかなりの高確率で到達できるようになっていたのである。

 「ここまで来れたって言うことをミッションを成果として報告するのではダメ?もう、この地点で既に16kmに達していて、全行程の約88%を既に惰性走行だけで果たしてるんだよ。あと2kmちょっとだったらJAF呼んでもそれほどの距離ではないし、レッカー代はかなり楽になるはず。この結果で十分驚異的な成果だと思うけど。」
map_shibukawa.jpg
 しかし、ドクターうるふは首を縦には振らなかった。

 「もう、ダメなのか?これ以上努力できるスキはどこにもないのか?たった数回の実験で出た結果じゃないか。渋川に住んでいる人ならもしかしたらもっといい道を知っているかもしれない。彼らには「あの道通れば出来るかもしれないのにな」って、思われるんだぞ。

 それだけじゃぁない。渋川のこれだけの通りの中でJAFが来るまで路駐して待てるのか?だったらこんなアホなことしてまでここまで来なくても、山の待避所で待ってた方がどれだけいいか知らん。かといって、2kmの行程を押して行くのも非現実的だ。」

 「......やっぱりね。負けたよ、うるふには。分かった、トコトンまでつきあうよ。」

これ以上言っても引き下がらないことを、ゆみごん社長はよく心得ていた。

 「ねぇ......」と、これまで黙ってドクターうるふとゆみごん社長のやり取りを聞いていたピパ子氏が口を開いた。
 「日産のディーラーって、こっちにもあるよね?」ピパ子氏は、地図の上の方を指差す。確かにもう1つ、日産ディーラーが存在する。

 「確かに......な。オレ達の調査でも既に2つの日産があることは分かっていた。しかし、道がない。」

 「走ってみたわけ?」ピパ子氏の質問に、ドクターうるふの動きが止まる。
 「いや......。走ってみたわけではない......。Navin'youの地図で確認しただけだ。なるほど、途中から左にそれて渋川工業高校の北側を抜け......ここから抜ける道さえ発見すれば、北側のディーラーに行けるかも......な。」


新しい目的地

 その後、すぐに榛名山まで赴き、新しい日産ディーラーへの道を探した。

 初回から数えて、現地調査は10回以上に達していた。ドクターうるふの惰性走行技術も向上し、渋川市内まではほぼ確実に到達できるまでに確率を上げた。この調査にはピパ子氏が同行し、彼女のサポートと奇抜な着眼点により、ルートは決まった。
map_shibukawa2.jpg
 その結果、図の青色で示された、かなり早い時期から当初のルートを外れ、渋川工業高校の北側を通り、当初とは別の日産ディーラーを目指す道が最も可能性が高いと分かった。最大の難所は一時停止の後の上り坂で約20m。その先は再び下り坂が続き、運がよければその勢いでディーラーに突入することも可能だ。万一、この難所で停止した場合、ディーラーまでの距離は約1kmとなる。

 そして2000年も暮れに近づいたある日、朝5時。ドクターうるふとゆみごん社長を乗せた180SXはゲリラボ本部を出発した。背後から徐々に空が白み始め、右手に赤城山、左手に榛名山がその姿をあらわす。赤城の頂上はうっすらと雪を頂いていた。

 午前7時、渋川市内に到着。ピパ子氏の助言で発見した新ルートをゆみごん社長と確認する。

 「何としても、今日、結果を出したい。これでムリなら、このミッションは失敗として報告する。」
 「結局厳しいね。はっきり言ってムリ。...でも、やるんでしょ?」

 ドクターうるふはそう言い放つと、180SXに乗り込んだ。

 「行くぞ。ホテルに泊まってる客が動き出す前に伊香保を過ぎるんだ。」

 いよいよ、勝負のときは来た!!

g_title.jpg


1999年11月

 指令を受けたドクターうるふとゆみごん社長は、群馬県は榛名山へ向かった。

 榛名山頂でミッションが壊れ、動力伝達が0%の状態を想定する。 通常走行だけでなく、エンジンブレーキも使用不能。 この状態で榛名山を重力だけを頼りに駆け下り、ディーラーまで到達するというもの。最も近い日産ディーラーは渋川市内の国道17号線沿い。 山頂からは約18kmの距離 である。

 今までの中で最も困難な実験になることは明らかであった。

・このミッションの課題は大きく分けて2つ

 1.榛名山~伊香保温泉街:伊香保温泉街の渋滞と信号をタイミング良く抜ける 
 2.渋川市内での、日産ディーラーまでの下り坂をつないだ道探し


 まずは、榛名山を無事に下り、伊香保温泉街を抜けられるかを検証する。



榛名山山頂~伊香保温泉街(1回目)

 本来の山頂はロープウェイで登り、更に徒歩で行かねばならない場所だが、今回のミッションでは群馬県榛名町と伊香保町の境、標高1170m地点、いわゆる峠ダウンヒルのスタート地点を山頂と定義する。
g07_haruna_start.jpg
 この道を榛名湖を背にし、伊香保温泉街を目指し、ギアをニュートラルのまま渋川市内を目指す。ギアを入れてクラッチをつないだ瞬間に実験は失敗とする。

 最初のコーナー番号は30。ここから1番のコーナーまで下る。予想に反し、コーナー次々とクリアする180SX。スピードに乗り、難なく5連ヘアピンを駆け抜けた。

 「結構な急坂なんだなぁ、榛名は。ミスって減速しすぎても、すぐに速度が回復してくれる。 結構行けるかも知れないぞ。」

 しかし、 そう思うのは早すぎた と言うことをすぐに知らされる。そう、まだ全行程の5分の1も走行していないのだ。

 「あー、追いついちゃったよ。」

 「かなり遅いね。」

 と、助手席のゆみごん社長。今回は写真撮影を担当している。
9911_01.jpg
 180SXの前に黒のバンが現れた。さらにその前を走行する1BOXはどこかのホテルの送迎らしい。榛名山まで宿泊客を連れて行ったのか、それともホテルまで連れ帰る途中なのか。最後の1番コーナーの登りを惰性で登るには、あまりにも遅すぎる。

 「マズイな......。今はまだいいが、徳富蘆花記念館前の1番コーナーの進入で時速60km以上は欲しい。何とかならないものか......。」

 そう言いながら無策のまま1コーナーまで来てしまったドクターうるふ。速度はわずか時速30km。50mほど車間距離を開けていたが、既に後ろから来た車には追いつかれている。50mの車間距離も不自然な印象だ。

 送迎1BOXと黒のバンが1コーナーに近づく。ブレーキランプ点灯とともに、減速。50mの車間距離は数秒で削られ、180SXはコーナー途中で追いついてしまった。立ち上がり後の上り坂だがブレーキを踏むしかない。速度は時速20kmに低下。1BOXと黒のバンは速度を上げて登りをパス。180SXとの間は開く。

 しかし、180SXはエンジンの力を利用できないため、今度はその差がぐんぐん開いていく。後ろを走る車からすれば、180SXの挙動は謎でしかないだろう。

 「ダメだ、コレじゃぁ」

 ドクターうるふはギアを2速に入れ、アクセルを踏んだ。実験は失敗である。ドクターうるふはUターンし、再び山頂へ。


榛名山山頂~伊香保温泉街(2回目)

 「全然ダメだな。昼間じゃムリなのか...?」

 「平日だってのにこの人じゃあね。」

 おりしも榛名山は紅葉のシーズン。 もう、終わりに近い頃だが、それでもこれだけの観光客が足を運んできているとは。

 「とにかく、もう一度走ってみよう。もし、失敗したとしても、次はその場からすぐに実験を再開し、とにかく下まで行ってみよう。」

 部分的に切り取って実験し、各パートごとに成功できるか検証しようという作戦だ。

 山頂から5連ヘアピン、7コーナーまでは先ほど同様問題なく来れたが、やはりここで前走車に追いつき、背後にも車がついてしまった。加速も減速もできない状況再び、である。

 「まただよォ」

 悪態を漏らすドクターうるふ。

 「さっきのことも考えると車間距離は100m以上は欲しいね。」

 「この渋滞で、100mの車間は取れないな......。」

 また、ダメなのか。と、そのとき、ドクターうるふは思いもよらない行動に出たのである!

g07_haruna_taihijo.jpg
「待避所に入って、後続車をやり過ごそう」

 7コーナーから6コーナーへのストレート。左側(谷側)に2箇所の待避所がある。そこに入って、後続の車を全てやり過ごし、後続がいなくなったところで再び本線に戻ろうという作戦。しかし、そんなことが可能なのか。

 2箇所のうちの長いほうの待避所を選んで入ったドクターうるふ。とは言えそれほど長いものではない。スケートリンク入口から後ろについていた車列はここに来るまでの間に10台以上にまで膨れ上がっていた。

 数台の車が180SXを次々と抜き去る。バックミラーで切れ目を確認しつつ、停止しないように注意する。

 人が歩くくらいの速度を保ちつつ、全ての車が過ぎ去るのを待つ。できれば停止させたくない。次の車も近づいている可能性がある。なるべく早く巡航速度に戻したい。

 車の列が、切れた。待避所の終端が迫る。すかさず右ウインカーを出し、本線に戻る180SX。やっぱりだ。バックミラーには7コーナーを抜けてきた新たな後続車が写し出されている。

 「早くしてくれ~」

 そうである。いかに榛名山が急だとは言っても後続車がバックミラーに写っている状況では下り坂だけに頼った加速では物足りない。しかし、6コーナー途中でようやく時速30km程に回復。後続車にはまだ追いつかれていない。

 「アブねェ~......」

 ため息混じりに漏らすドクターうるふ。しかし、冷静に考えればこれは1コーナーを抜けるための準備に過ぎない。まだ1つの関門も突破できていないのだ。もうすぐ1コーナー。先ほどの後続車にはかなり近づかれたが、速度は60kmといいペースをキープしている。前方に車はない。

「行くぜェ!」

時速70kmでコーナー手前に進入。ブレーキを踏んで軽いフロント荷重を作り出す。コーナー脱出時の速度は時速50km強位だろう。徐々に速度を落としながらも、第一関門の1番コーナーの坂を登りきった。

「よっしゃァ!」

 徳富蘆花記念館前で時速約30km。このくらいの速度で走っている車はいくらでもいるので問題ないだろう。

 しかし。先ほどからスピードメーターに気を取られていたドクターうるふが、前方を見たとき、絶望的な光景が眼前に現れたのだ。

g07_haruna_ishidan.jpg
「マジか...」
観光客の集団である。

 問題の1コーナー立ち上がり後に横断歩道が存在する。右側には伊香保の石段街があり、町営駐車場は左側。それを結ぶのはこの横断歩道のみ。それゆえに、ここをパスするのは運任せだ。

 無情な減速。そして停止。180SXが再び動き出すことはなかった。

 先ほどの関門の直後、これほどの強烈な問題が待ち受けていようとは、さすがのドクターうるふも予想だにしなかった。

 また、失敗である。

 「しょうがない、ここをパスしたとして、この先も走ってみよう。」

 歩行者が切れた後、時速20km程まで1速で加速し、再び惰性走行に入る。この先伊香保温泉街は緩やかな坂が続いており、不用意な減速や停止はミスに直結する。

 次の障害である、伊香保町役場前の信号。ここは下りではあるものの、傾斜は緩く、惰性での再発進はできるが、後続車がいる状態では現実的ではない。
 今回は運良く信号が青でそのまま通過。速度も時速40km前後をキープし、問題ない。

 続いて、「伊香保」交差点。ここは平坦なため、かかればアウトだ。

 「ヤバイ、このままだと停まる」
 「減速するしかないんじゃん」

 信号の相当手前なら下り傾斜がある。そこに残って青になるのを待とうと言う作戦だ。青になったら、残った惰性とわずかの下りで、そのまま信号をパスしようと言う作戦だ。

 「不自然かな?オレの走り。」
 「かなり不自然だね。」

 それはそうである。先の信号が赤とは言え、そこまでは100mくらいあって前には誰もいない。後続車からすれば減速する理由がないのに極低速する謎の車と認識される走りだ。

 「"伊香保"交差点は三つ又だから信号が予測出来ねェんだよな。」

 そう言いつつもドクターうるふは決断した。信号は赤だがブレーキを離す。180SXは下り坂の惰性に任せて速度を上げていった。このくらいの速度がなければこの先の平地を突破できない。

 速度は良い。だが、赤信号で止まっていた前走車との距離はどんどん詰まる。後続車を引連れているときは長すぎると感じた前走車との距離も、こうなると短すぎると感じられる。信号まで後30m。ようやく青に変わる。停止していた車は2台。先頭の車が発進。続いて2台目が動き出す。180SXが前の車に追いついたのはそんなときだった。

 このままではぶつかってしまうので軽くブレーキを踏む。減速しつつも、再び下り坂エリアに突入。何とか切り抜けた。

 「あぶねぇ~......」

 180SXは再びペースを回復。竹久夢二記念館前を通り過ぎる。

 しかし。次なる問題が180SXにふりかかる。


g_title.jpg

2019年12月6日、リメイク動画を公開!



1999年11月

 ゲリラ実験室が発足して間もない頃であった。ゲリラ実験室本部の電話が鳴る。受けたのはドクターうるふ。

 「もしもし...」

 「うるふか......?調子はどうだ?」

 電話の向うからは潜めた男の声。穏やかに話は切り出されたが、ただならぬ雰囲気が漂っている。男は少し間を置いてから、こう切り出した。

 「新たな指令だ。今度のは手ごわいぞ。」
 「いつものことじゃないか。」
 「フッフッフ。僕のお遊びに付き合ってくれるのは君だけだからね......。大切にしないと。末永く......」

 「お遊びじゃないんだろう?」
 意地悪く突っつくドクターうるふ。両足をどっかりと机の上に投げ出している。

 「お遊びもビジネスも大差はない。」

 男は、続けた。
 「次のミッションは......」

 ゆみごん社長が実験室に入ってきた。ドクターうるふのただならぬ表情を見たのだろう。入口で動きを止めたまま、じっと様子をうかがっている。

 「バカ野郎。そんなのムリだ。」
 「フッフッフ。時間的な制約は特に定めない。健闘を祈っている。」

 「誰?」
 と、ゆみごん社長。表情は硬い。
 ドクターうるふは「フーッ......。」と、大きく息をついた後、
 「新しいミッションだ。今度のは手強いぞ。」



ゲリラ実験室
MISSION7 榛名山でミッションが壊れた!惰性で麓の工場まで走行せよ!


 「無理だよォ、そんなのォ......。惰性走行で工場までなんて。だいたい、日産のディーラーってどこにあるの?」
 投げ捨てるように、レポートを机の上に放り出すゆみごん社長。話を聞いただけで諦め半分の様子だ。
 「ここ。渋川市内の国道17号沿い。ここが一番近いとこ。」
 ドクターうるふは冷静に指を指して見せる。
course.jpg
「ゼッッッッッッッッッッタイに、ムリ。」

 最も近い日産ディーラーまでは榛名山の山頂から18kmもの距離にあった。時間にして40分(当時のSONY製パソコン用ナビNavin'you4.5で算出。上記画像も同製品のもの)。これを全て榛名山からの惰性走行で走破しようというのだ。

 「だろうな。でも、とりあえず行ける所まで行ってみる......ってことしかないだろう。まぁ、見てなって。驚異的な記録をたたき出してやるさ。」
 単なる開き直りなのか、それとも勝算があるのか......?ドクターうるふの表情には久しぶりに自信がみなぎっていた。


2000年12月

 あれから1年が経過した。

 当研究所ではこのミッションの成功に向け、常に高いものを追求してきた。既に何度目の榛名山遠征になろうか。しかし、いかに数を重ねようとも実験前の綿密なブリーフィングに気の緩みは微塵もない。実験室にはドクターうるふの他に、ゆみごん社長、ピパ子氏が座っている。

 ゆみごん社長とは既に何度か実走実験をしているドクターうるふ。今回はその中間発表だ。

 「この実験は"ミッションが壊れた"という設定で、動力の伝達が全く出来ない状況下にあることを想定している。つまり、駆動力を伝達出来ないから、通常走行だけでなく、エンジンブレーキもかけられない。"下り坂はエンジンブレーキ併用"と言う、教習所で教わる大前提にも反して斜面を駆け下りてゆくのさ。」

 ドクターうるふはみんなの方を向き直った。

 「現在集まっているデータを全て洗い直しているところだ。現段階で分かっている問題点について再度確認しておきたい。まず、最初の関門。それがここだ。」
c1.jpg
 スクリーンに問題の場所が映し出される。榛名山第一コーナー。榛名山を下ってくると写真の左から来て、奥へ向かって登ることになる。道の延長上に見えるのが徳富蘆花記念館、バスが停まっているのは町営駐車場だ。

 榛名山頂から番号付きのコーナー30個の内、唯一ここだけが登り坂となる。コーナー立ち上がりが登りとなるため、いかに速度を落とさずにカーブを曲がれるかが最大の焦点となるだろう。

 「この他、いくつかの関門は伊香保温泉街に集中している。」

 「伊香保町役場前の信号に......、「伊香保」交差点の三叉路......他はどこも信号がらみだったね。」

 「そう、信号に掛かったら停止しなければいけない。信号が変わるタイミングを熟知し、予測した運転が必要だ。」

 「この先にもいくつか信号があるが、他の信号は停止する場所が下り坂になっているから、例え停止してもまた発進できる。」

 「ホントォ?」

 「そこを運良く突破できたとしても、厳しいのは斜面に対して、直角に走行する所だよね。渋川市内にはそう言うところが多すぎる。」

 と、数回のチャレンジに同乗したゆみごん社長が言い放つ。

 「そう。そして絶望的なのが、日産ディーラーまでの道が上り坂であること。」

 「じゃあ、絶対に無理じゃん」

 「そう。絶対に無理だった。それでも近くまで行ければそこからディーラーの人を徒歩で呼びに行って、押してディーラー内に入ることもアリだろう。」

 「で、結果はどうだったの?」(ピパ子氏)

 「これからその実験の様子をご覧に入れる。」

g_title.jpgゲリラ実験室index



エンジンの動力を使わず、 
坂を下る勢いだけでディーラーまで辿り着けるか?

 「渋川市内の国道17号沿い。ここが一番近いとこ。」 
course.jpg
「ゼッッッッッッッッッッタイに、ムリ。」 
 
ゲリラボ史上最も困難なチャレンジ!走行17km、所要時間は30分。 
こんなことが可能なのか?! 



 幾多の信号と上り坂。そして渋滞! 
困難は容赦なく180SXを襲う!!

0012_05.jpg
 「うわ、信号赤ンなっちゃった!」
 「突破、突破。行ける、行ける。」 


平地、信号、登りに歩行者、駐車車両。
 運と、技術と、根性と。


 構想1年、遠征10回。 



 
そして、180SXにトラブル発生! 
0012_15.jpg
 ガガガッ!!
 「クソッ、乗り上げた!」
 「止まる、止まるーっ!!」


 レッカーはもう、要らない?!
 JAFも逃げ出す、驚異の実験。 



 ディーラーは遥か......。果たして辿り着けたるか?


(2000年12月18日、旧サイトに公開したリライト版)



あれから20年...。
2019年、リメイク動画を公開。

2019年11月30日、予告編のリメイク動画を公開!


2019年12月6日、本編のリメイク動画を公開!

 餅はうまく焼けることが判明した。しかし、これだけでは満足しない。先ほど失敗した焼き芋を成功させてやろう、そう決めて、芋を装着していたその時。

爆音と共にレトロなスポーツカーが180SXの脇を通りすぎ、停車した。

「車壊れちゃったの?見てあげるよ!」

 これには肝をつぶした。「実は遮熱板で焼きイモ作ってんです」なんて言えるわけがない。

 車種は不明だが、真っ赤な6、70年代あたりと思われる2人乗りスポーツカー。幌の屋根である。オープンになるのだろう。年の頃は40~50歳くらいで、完全に趣味に生きているイイ感じの渋さがあるオヤジだ。隣には奥様と思われる女性が。

 あの車を走らせているのだから、ガレージでも持ってて、エンジンのオーバーホールくらい自分でやっちゃうんだろう。ボンネットを開けて若い男女がエンジンルームを覗きこんでいる姿を見て、「スポーツカーでカッコよくデートしてたらまさかのエンジントラブル、どうやって直したらイイのかさっぱり解らない哀れなオトコ1名。ヨシ、俺が助け舟を出してやろう。」そう思ったに違いない。

 そんな彼に、この計画を説明したら、どんなリアクションが返って来るか、予想もつかない。「そんなのは車に対する冒涜だよ!」と怒鳴られるかもしれない。

 「べ、別に壊れてるわけじゃありません。どうもお騒がせして済みませんでした」と言い、降りて来ないようにと祈った。幸い彼は、「あ、そうなの」といって、再び爆音を響かせて過ぎて行ったので安心した。今、冷静に考えてみると事実を言ってみても面白かったかもしれない。困っている人を助けてあげようとした人なんだから、絶対にイイ人だと思う。あのスポーツカーの方と、一緒に走っていたジムニーの方、あのときは言えなかったけど、僕たちは世界初の実験をしていたのです。

 再び碓氷峠。C130後ストレートの退避場にサルがいる。無視して通過してしまったが、今から思えば焼き芋の匂いをプンプンさせながら、停車してみても良かったかもしれない。エンジンルーム内の焼き芋に対し、サルたちがどんな行動を取っただろうか。

 その後もこれならホイル焼きでもグラタンでも作れそうだ、パンも焼けるかもしれないと、話が弾む。あたりはうす暗くなっていた。

 途中、エンジンルームにサツマイモが入っていることなどすっかり忘れて本庄でガソリンスタンドに入る。軽井沢に行った帰りは必ずここだ。

「窓拭いてもよろしいですか?」

 窓を拭いている店員さんは、さぞ、おかしいと思ったに違いない。なんで焼きイモの匂いがするんだろう。この車からするような気もするけど、そんな訳ないし......と。
 店員さんは平静を装っていたが、絶対に異変を感じているはずである。何しろ、本当の焼きイモ屋さんのように、あたり一面焼きイモの匂いがしているのだから。

imo_miss.jpg
ラボに到着後、イモを取り出してみたが、今回も失敗であった。
芋を薄くするなどの対策を練る必要がある。

 前回同様、周囲5mmほどはうまく焼けているが、中心部には火が通っていない。やり方に問題があるのか、それとも温度か。課題は多い。

 ただ、今回の実験で、オーブンの倍ほど時間はかかるが、餅は確実に焼けると言うことが判明した。特別な技術は必要としない。途中で裏返したりもしていない。遮熱板に密着するように固定できれば、後は走るだけである。下に、おおよその焼き時間を示しておく。

通常走行(2000~3000回転) 40~50分
高速走行(3000~4000回転) 35~45分
全開走行(4000回転以上) 25~35分?

 比較的火は弱いようなので、時間にそれほど神経質にならずとも大丈夫だと思う。停車場所が近くになく、すぐに取り出せそうにない場合は、回転数を下げて火加減を調節しよう。なお、実験に使用した180SXはエンジンの排気側、すなわち、餅がセットしてあるすぐ上に放熱のための穴が開けられているので、これを考慮すると通常の180SXではこれより5分程度、早く焼けるかもしれない。

 餅の枚数に関しては余り関係ないように思える。注意して欲しいのは厚さと置き方である。厚さが2cmを超えるような餅は薄く切ったほうが良い。火が通りきらない可能性がある。なお、厚さ3cm超えるようなものはスペースの関係で設置できない。置き方は、必ず遮熱板に密着するように固定し、走行中脱落しないように注意しよう。針金を固定するのは、エンジン本体や、パイピングなどの走行中に動きのない部分にすること。アクチュエーターなどには絶対に固定したり、針金を干渉させたりしないように注意しよう。今回の実験ではエンジン本体のパイピング類と、ストラットタワーバーを固定に利用した。

 今回の実験を終えて、ドクターうるふは語る。

 「なんで、こう言う器具って言うか、装置が発売されないのかなって思うね。個人レベルの針金とアルミホイルだけで餅が焼けちゃう。メーカーが作れば湯沸かしだってパン焼き器だってなんだってできちゃうよ。湯沸しなら実用性も高いし、メーカーだったら絶対に実現させられると思う。RV車にはオプションで用意したら絶対に売れると思うよ。

 今、お湯さえあればなんでも作れちゃうんだよね。目的地に着いてさ、すぐにコーヒーでもスープでも飲める。暖かいものが常にあるって言うのはアウトドアでは本当に幸せなことなんだよ。今の時代に、絶対必要なものだと思う。

 誰か、そう言う関係の方がいたら作ってよ。「うるふの怪しいホームページ」宣伝してくれれば、このアイデア、タダで持って行って良いからさ。もしかしたら、億単位の儲けになるかもよ。

 ま、今回は餅だったけど、非常に簡単にできて、かえってレポートがつまんなくなっちゃった。それくらい簡単にできた。着いたらすぐに食べられるでしょ。手軽なんだよね。容器を改良して、装着と取り出しがもっと簡単になれば利用価値はかなり高くなると思う。焼きイモも絶対成功させて見せる。このままでは終わらないよ。」

と意欲を見せる。この排気熱利用に大きな期待を寄せているようだ。

実験は無事終了し、その結果だけを残して、研究員たちはいずこかへ去って行った。
新たな検証が、彼らを待っている。

走行中に調理して、
着いたらあったか、すぐ食べる。
2000年は新しい鏡開きでスタートしませんか。



 芋を室内に持ちこむと焼き芋屋さんのあの香りが180SX内をいっぱいにする。時刻も12時とちょうど良い。食欲をそそる。外見も悪くない。透明感のある黄色。最高の状態だ。

 だが、ドクターうるふの口からは、思いもよらない言葉が飛び出した。

imo_yaki0.jpg
「あー、ダメだ、こりゃぁ」

切り口の様子から想像頂けるだろうか。中心部はほとんど火が通っていない。

 「芯があるよ。芯っていうか、全然焼けてない。表面の2、3mmしか焼けていなくて後は全然火が通っていない。あったかくはなっているけど、完全に生の状態。これじゃあ、食べられないよ」

匂い的にはかなり良いのだが、残念だ。

 「仕方ない、とりあえず当初の目的に戻って餅をしっかり焼こう」

 ここで餅をセットし、妙義山を下りて、碓氷峠を登りきったところで試食しようと言う計画を立てた。時間的にはおそらく30分~35分程になるだろう。時間は若干芯があった先ほどと同じ位になるが、後半碓氷峠があるため、火加減的にはちょうど良いと思われる。

 今回はアルミホイルへの付着を防ぐため、最初から餅を海苔でくるみ、その上からアルミホイルで包装する。餅2度目のアタックは厚さ約1.5cm~2cmのサトウの鏡餅2つと、自家製かき餅2枚の計4枚。100%もち米使用の自家製かき餅を選んだのは勝利を確信してのこと。失敗は許されない。

 セットはもう慣れて来て、時間はかからなかった。12時23分、妙義山駐車場を後にする。今度は比較的おとなしい走行で妙義山を下りる。回転数は2500~4000程度。妙義山が終わって、碓氷峠までは通常走行が10分ほど。碓氷峠はまあまあスポーティーな走行で3000回転~5000回転くらい。

「最後、ちょっと焦げ目をつけるか」

と言って、C170くらいから全開走行にする。餅の状態を見ないで火加減を調節しなくてはならないのだから、職人芸だ。無論、餅焼き2度目なのだからうまく行っているかは解らない。適当なことを言っているだけだ。

 碓氷峠を通過し、長野県に入ったのが1時ちょうど。そのまますぐに右折し、別荘へ続く道の路肩に停車した。ボンネットを開けると、前回とは違い、海苔の焼ける香ばしい匂いが漂う。触ってみると柔らかい。残念ながら、焦げ目はないが、うまく焼けているようだ。

海苔作戦は大成功。アルミホイルには全然ついておらず、容易に取り出せた。 見よ!この美しい伸びを!180SXでこれだけ立派に餅が焼けるのだ!

mochi_yaki1.jpg mochi_yaki2.jpg
「今度はうまく行った。これは完璧」

と、2人とも興奮を隠さない。
そのまま醤油をぶっかけて食す。普通に焼いたのと全く変わりはない。今度も排気ガス臭いなどの問題もない。衛生面でもさほど問題はないだろう。おそらく、世界初ではないかと思われる、180SXで焼いた餅。今度は芯など存在しない。完全に食べごろの状態だ。

 今回の成功で、位置的な問題よりも、餅の厚さが、焼き時間に影響していることが判明した。


mochi_eat.jpg
 はっきり言ってうま過ぎる。豪快に醤油をぶっかけて食べよう。
 同じ焼肉も、河原でバーベキューした方が、家庭よりうまく感じるように、こっちの餅の方がおいしく思える。満足度は非常に高い。ブナの林に見え隠れする浅間山を眺め、思いを馳せるドクターうるふ。餅の伸び具合を楽しむように、くわえては引っ張って餅をちぎっている。何とも言えない、至福の瞬間だ。

 しかし、その満足はリベンジへの闘志と変わるまでにそう時間はかからなかった。

「焼きイモを成功させよう!」

 先ほど失敗した焼きイモを再び装着して、帰宅までの2時間半、通常走行のとろ火で、じっくり焼き上げようというのである。さすがに2時間半あれば火も通るだろう。

 そして、ボンネットを開け、イモを装着しているときに問題は起こった!今すぐ、次のページへ!


kagami_kotei.jpg
 餅を遮熱板に装着してから35分、待望のボンネットオープンである。とりあえず、目視で確認する限りでは、脱落などのトラブルは見られない。

 軍手をしてアルミホイルに触れると、軍手を通しても餅の熱さが伝わってくる。やはり熱は十分伝わっているようだ。予定より長時間だったが、焦げたような臭いはしない。慎重に針金をほどいて行く。それほど針金は熱くない。ドクターうるふが声を上げた。

「焼けてるよ、これは。」

「焼けてる?」聞き直すゆみごん社長。
「焼けてる。絶対。」ドクターうるふがアルミホイルを取り出しながら繰り返す。「柔らかいもん。」

 なるほど、アルミホイルの上から押しても指の形にへこむ。イイ感じに焼けているようだ。車内でアルミホイルを開けてみる。

しっかりと伸びてくれた。これぞ、うまく焼けている証拠だ。

kagami_yaki.jpg
「全然オッケーじゃん。」

 臭いをかいでみる。排気ガスなどの有害な臭いはない。アルミホイルにべっとりとくっついてしまっているが、試食には問題ないと思われる。そこで、実際に食べてみる。先に口にしたのはゆみごん社長だった。

「うん。普通のモチだ。うまく焼けてるよ」

ドクターうるふも食べてみる。
「こっちは餅が厚かったようだ。ちょっと芯があるな。それとも位置的な問題か......」

確かに、ドクターうるふの方はまだ焼けてない硬い部分が残っていた。

 妙義山では1発成功させたかったため、行く途中からテスト実施したわけだが、この時点でうまく焼けてしまったので拍子抜けする。すると、ゆみごん社長があくなき探求心をムキ出しにした。

「サツマイモ買おう。焼きイモに挑戦してみよう。
ナスとかシイタケも焼けそうじゃない?」




 道の駅「おかべ」は国道17号バイパス沿いにあり、普通車はもちろん、大型車も入ることができる規模のもの。酒、漬物など周辺の特産品も取り揃えており、食堂は朝7時半から営業。しかし、何といっても特筆するのは周辺で採れた農産物を直売しており、これが信じられないような激安なのだ。ゆみごん社長はそれを知っていた。

 とりあえず、巨大なサツマイモ、餅に巻く用の海苔、そのほか家庭で必要な野菜類もついでに買い込む。醤油は1リットル物しかなかったので、あとでコンビニで購入することにした。

 「妙義山までサツマイモを装着した状態で行こう。1時間半ほどかかるだろうから、十分焼けるでしょ。」と、ゆみごん社長。焼きイモにかなりの期待を寄せているようだ。

imo.jpg imo_wrap.jpg imo_kotei.jpg

厚さ3cmほどに切る。直径は10cmくらいのかなり大型のサツマイモだった。 新聞を束ねるときのような感じで芋を針金で縛る。1箇所をすぐに外れるようにしておいた。 運転席側から見てエンジンの左、ちょうど助手席の前あたりに遮熱板がある。あまり大きな物はつけられない。

 購入したサツマイモはあまりにも大きすぎて、限られたスペースには入らない。厚さを3cmにカットして、先ほどの餅と同様にアルミホイルでくるむ。針金は十字に巻き、1箇所がすぐに外れるように工夫し、簡単にサツマイモを取り出せるようにした。今回はサツマイモ自体に重みがあるのでしっかり固定する。ただ、スペース的に相当ギリギリなので、まず脱落はあり得ないだろう。

 道の駅「おかべ」を出る。時刻は10時10分。国道17号は比較的すいており、順調に進む。

 途中、松井田町付近のセブンイレブンで醤油を購入する。すでに1時間以上が経過していた。

 車の外に出るとボンネットからは焼きイモの匂いがただよって来る。完全に焼き芋屋さん状態だ。

「焼けてるよー、焼きイモ。」焼きイモができていると確信しているドクターうるふ。醤油を買って、ここでトイレを済ませる。ヤンマガの頭文字Dを立ち読みして車に戻る。真子ちゃんの番外編の後編だった。車に戻るとまだ焼きイモの匂いは周囲にただよっている。

 国道18号をそれて妙義山へ入る。妙義山はほとんど走ったことはないが、全開走行を試みる。碓氷峠に比べてタイトなコーナーはなく、路面も安定しており、グリップも良い。100km/h以上で走れるポイントが数多くあり、4000回転~6000回転の領域ばかりになる。排気温は相当上がっているはずだ。

「焼けすぎちゃってるかなー?、焼きイモ?」

 10分近い前回走行の後、山頂の駐車場に到着。室内まで焼きイモの匂いがたちこめる。かなり期待できそうだ。約1分のアフターアイドリングの後、ボンネットを開ける。

 エンジンルーム内は先ほどの餅の時と違い、物凄い熱気だ。マフラーや遮熱板などからはキンキンと言う金属音が聞こえてくる。明らかに通常走行時とは温度の領域が違う。一部、アルミホイルが白く変色している部分もあり、温度の高さを物語る。軍手をしても長時間は持てないほど、芋を包むアルミホイルは高温になっている。

 少し冷ましてから車内に持ち込む。ホイルをはがすと室内は焼き芋の良い匂いに包まれる。焦げなどは見当たらない。

しかし、そのとき、予想もしない言葉がドクターうるふの口から発せられた!!



 最近、環境に対する意識が国民レベルで高くなってきたように思う。我がゲリラ実験室でもゴミの分別収集を始め、紙の利用の削減などに取り組んでいる。
 そこで考えた。車のエネルギーを走行以外にも利用できはしないか。我々は、排気ガスの熱を利用してお湯を沸かすことは出来ないかと考えていた。温度的には可能だが、実現するのは難しい。水を入れるものは密閉容器にしないと水がこぼれるし、前走車の排気ガスが混ざるかもしれない。しかし、密閉すれば破裂する恐れがある......。固定方法や、取りまわしなどの面も考慮すると個人レベルでの実現は不可能のように思えた。
 計画はそのまま放置されていた。
 しかし、ある日。エンジンルームを見ていて、気がついたことがある。エキマニの遮熱板に水平部分が存在するのである。
ここで考えついた。もうすぐ正月、
180SXで餅が焼けるのではないか
と言うことだ。水と違って、餅のような固形物ならアルミホイルでくるめばそれで十分だ。密閉して沸騰して破裂、ような危険もなく、高熱なので衛生面でもほとんど問題はあるまい。
 しかも、先述の通り、180SXの遮熱版は、
「ここに餅を載せてください」
と言わんばかりの形状。更に改めて見てみると、固定に利用できそうなものはいくらでもある。温めるものを水でなく、餅にすることによって、この計画は、大きく成功へと近づいた。
「この勝負、もらった......」
 いま、日産の技術者さえもが思いつかなかった世紀の大実験が、我が「ゲリラボ」の手によって実施される!


kagami.jpg
 「あけましておめでとうございます、と言うことでね、2000年も、ゲリラ実験室は180SXを始め、車を愛する皆様を代表して、お役に立つ、様々な実験を行なって行きたいと思います。ま、本当にね、読んで下さる方々には感謝の一言に尽きます。月並みな言葉しかないけれど、ありがとうございます、と、お伝えしたいですね。」
 と、当実験室最高責任者、ドクターうるふ氏。らしくない、結構マジメな挨拶である。
 ま、正月と言うことで、それらしく180SXに鏡餅を置いてみた。

 使用するのは、この「食べたらわかる、サトウの鏡餅」である。2000年1月11日の鏡開きはちょっと違ったスタイルで、ライバルに差をつけることもできる。この実験が成功したら、180SXオーナーの方はぜひ試して欲しい。

 今回の実験に関して、ドクターうるふは語る。
「今までね、エンジンの熱を何かに利用できないかなと思っていたんだよ。エンジン内は800℃もの高熱になっている。でもその熱エネルギーが運動エネルギーとしてタイヤに伝わる分は30%以下だって聞いたことがある。つまり、半分以上は熱エネルギーとして空気中に無駄に放出されているって言うわけだ。だから、それを利用して餅を焼くって言うのは、無駄に放出される熱を積極的に利用しようって言う前向きな行動なんだよね。
 排気ガスがエンジン外に出て、エキマニを通るときでも600℃くらいはあるでしょ。遮熱板を通しても200℃にはなっていると思うな。オーブンで餅を焼くときは200度で約15分。だからこっちも15分くらいで様子を見てみたいね。
 え?その前に焼けるのかって?焼けるよ、絶対。今回は成功しか考えていない。問題は火加減だけ。出来る出来ないじゃないんだよね、オレの中では。

出来た餅がうまいかうまくないか
って言うことなんだよ。」

 とにかくその自信は並ではない。今までには感じられなかったほどの自信に満ちあふれている。
kagami_cut.jpg kagami_cutted.jpg

 鏡餅のままでは到底遮熱板の上に置くことはできないので、小さくカットする。火加減がわからないので様々な大きさの餅になるように切った。180SXのボンネットは即座にキッチンに変わる。通勤途中のドライバーが「なんでコイツら、こんなところでモチ切ってんだ?」と、怪しげに見て来るが、無視する。
 切った餅は右の写真のように遮熱板の上に密着するように置き、針金で固定した。今回は量が少なく軽いため、それほど神経質にならなくても良いが、脱落しないように注意しよう。アクチュエーターにでも餅が詰まってトラブルになったら、日産のディーラーに、何故こんなところに餅が詰まっているのか、説明するのが面倒だ。
 ただ、走行時の振動は予想を超えるほど大きい場合もある。餅が遮熱板から離れると焼き具合に大きな影響があるので、しっかり密着するように固定できているか、確認して欲しい。また、装着は必ずエンジンを停止してから行ない、遮熱板が熱いときは軍手をするなどして、事故を防ごう。
 8時55分、鏡餅片3きれを遮熱板に装着した180SXは妙義山へ向けて出発した。15分後にとりあえず様子を見る予定である。
 走行はとりあえず、2000回転~3000回転の通常走行を心がけた。信号での停止もほとんどなく、順調な走行が進む。15分が経過した頃、180SXは国道140号を走行していた。様子を見たいが、ここで停車するわけにも行かない。もうちょっと進むことにする。
 20分。国道140号を離れる頃、ドクターうるふに異変が生じた。
「ヤベェ。オレ、トイレ行きたくなっちゃったよ」
 突発的に訪れた緊急事態。餅を見ているヒマはない。とりあえず、道の駅「おかべ」に向かった。深谷市内を抜け、時間は25分経過。道の駅「おかべ」を目指したのは、トイレだけが目的ではない。餅につける海苔と醤油を購入するためだ。
 更にゆみごん社長は餅の次に第2段として焼きイモを焼こうという計画まで浮上させる。この女、人が苦しんでいるときに良くもそんな悠長なことが思いつくものだ。やはりタダ者ではない。
 「ここだっけなぁ......。」国道140号から道の駅「おかべ」などというレアなルート設定をしたことがないドクターうるふ。しかも、トイレに行きたいという思いが先行して思考がついて来てくれない。既に30分を経過。だが、別段車内には異臭などの問題は起きていない。無論、これは餅の方からの異臭である。ドクターうるふからの異臭ではない。
 餅の装着から35分が経過し、道の駅おかべに到着した。ドクターうるふも事無きを得たようだ。
 さて、いよいよ、待望のボンネットオープンである。果たして、結果は如何に?


kagami.jpg
「焼けるよ、絶対。
今回は成功しか考えていない。
出来た餅がうまいかうまくないか
って言うことなんだよ。」

日産の技術者さえも思いついたことのない、
意表をついたとんでもない計画!


imo.jpg
サツマイモ買おう。
焼きイモに挑戦してみよう。
ナスとかシイタケも焼けそうじゃない?」
「あー、ダメだ、こりゃぁ」

そんなことが、可能なのか?!


imo_kotei.jpg
「最後、ちょっと焦げ目をつけるか」

「車壊れちゃったの?見てあげるよ!」

かつてない実験は、かつてない結果を呼ぶ!
衝撃の事実が、今、明らかに!!

ゲリラ実験室、MISSION3

180SXで餅は焼けるか?
2000年鏡開きは、180SXで行う!!

ウェブページ

2020年5月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

アーカイブ

アイテム

  • todya180_0507_plassenu.JPG
  • todya180_0506_seatcover02.JPG
  • todya180_0506_seatcover01.JPG
  • today180_0506_jumpstarter02.JPG
  • today180_0506_jumpstarter01.JPG
  • today180_20200505_letherman-wave.JPG
  • today180_20200505_letherman-squirtP4.JPG
  • today180_20200505_swisscard-lite.JPG
  • today180_20200503_megane-wrench.JPG
  • today180_20200502_top-exact-bent.JPG