【徹底解説】絶滅危惧種”リトラクタブルライト”

エリーゼより180SXの方が大注目?

動画でも時々言っているのだが、この感覚が訂正されることがない。

公道では、エリーゼよりも180SXに乗っていた方が、圧倒的に「見られる」のである。

何となれば、これはもう、「リトラクタブルライト」しかないだろう。

え?まさか、ボロすぎるから見られるだけ…?

20年以上途絶えているリトラクタブルライト搭載車

わが国で最後に発売されたリトラクタブルライトのクルマは2002年のRX-7が最後とのこと。

そうすると執筆時点で22年、リトラクタブルライト搭載車は発売されていないことになる。

もう減る一方のこの仕組み、閉じていればライトがないように見えるし、開いていれば、シルエットが大きく変わるのでどっちでも異様な雰囲気。

なぜ、出てこない?

どうやら法的に「ダメ」ではないらしい。ただ、衝突時の歩行者の安全確保などを考えると、相当に困難であろうことは素人にも想像できる。

もともとリトラクタブルライトは、空力やデザインの関係で、ノーズを低くしたい、という考えと、前照灯の搭載位置の高さの決まりを両立するために、使用しない時は収納して空力やデザインを優先させ、使用するときは基準に合致した高さを確保する、ということを目的にひねり出されたアイデアとのこと。

これは、当時は前照灯のユニットサイズが大きかったことにも要因はある。

LEDの前照灯が開発された今、ライトのサイズや形状、配置の自由度は格段にアップし、空力やデザインとの両立も当時ほど困難ではなくなった。

リトラクタブルライトは、ライトをポップアップさせるためにモーターをつけなければならない。

モーターは結構な重量物で、それを車体の先端に2つも搭載しなければならないのは、スポーツ走行を目的とするクルマとしては不利でもある。

格納時は良くても、ライト使用時は空力面でも不利になるなど、今となっては、デメリットの方が大きくなってしまったのが、廃止された理由のようだ。

理屈はそうなんだろうけど、このライトをポップアップさせるときって、やっぱ気分が良いんだよね~。

ん~、最高!

点灯しなくても展開可能?

それではリトラクタブルライトの動きを徹底解説していこう。

当然のことながら、リトラクタブルライトの展開・格納はライトの点灯・消灯と連動している。

普通のクルマと同様、ハンドルの奥にあるライトのスイッチを回せば、車幅灯→前照灯と言うふうに点灯する。

これに伴い、リトラクタブルライトも動作するが、180SXの場合、車幅灯の時は展開しない。前照灯がついたときに展開する。

消灯はその逆だが、前照灯を消して車幅灯になっても格納されない。前照灯は消えているが、リトラクタブルライトはポップアップしたままの状態。

ちなみに、ここでリトラクタブルライトを格納するように変更することも可能。「180SX リトラクタブルタイマー」などで検索すると出てくる。

ライトをすべて消灯すると、リトラクタブルライトも格納される。

さらに、これとは別に、ライトの点灯・消灯とは全く独立して、リトラクタブルライトだけを展開・収納することができるスイッチも存在する。

これを操作するとリトラクタブルライトは展開・格納されるがライトは点灯しない。ライトのバルブ交換など、整備時に使用するためのもののようだ。

モーターが壊れてしまったら?

ライトをつけるために、モーターでユニットを上下させると言う複雑な機構のリトラクタブルライト。

バルブが切れればライトがつかないのは他のクルマとも共通だが、ライトユニットを上下させるモーターが何らかの理由で壊れてしまっても前方を照らすことができなくなってしまう。

そのような場合はどうなるのだろうか?

何と、手動でライトユニットを上下させることができるダイヤルがついているのである。

180SXの場合、ボンネットを開けると、それぞれのライトに対し、車体中央寄りにモーターがあり、キャップを開けるとそのダイヤルが現れる。

本当に少しずつしか動かないが、根気よくやれば、展開・格納を手で行える。

大変だが、できないのとは全然違う。

リトラクタブルライトが再び世に出ることはあるか?

2023年のジャパンモビリティショーで、マツダが出店したICONIC SP(「アイコニックSP」と読むようだ)には、小さいながらもリトラクタブルライトが採用されていた。

180SXのようなデカくて硬そうなものが飛び出していると危険そうだが、ICONIC SPのそれは、小さく薄くて危険な感じはしない。

やっぱり「動く」と言う所が、メカ好き心を強烈に刺激する。その様子がドライバーから見えるのも、リトラクタブルライトのいいところだ。

リトラクタブルライト最後のクルマを出したのがマツダなら、復活させるのもまた、マツダなのだろうか?期待せずにはいられない。

ぜひとも、再びリトラクタブルライトを搭載した車が世に出てくることを望む。

↓動画でもご覧ください。

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動画作成のための下見(埼玉編)