【クルマ趣味入門】🔰初心者向け:自分でオイル交換、ここが不安!

 先日、「クルマ趣味入門」というシリーズで「日産NOTEのオイル交換」の動画をアップした。

 在宅勤務などで自分の時間が増え、趣味に目を向けられるようになった中、この機会にクルマ趣味を始めるきっかけになって欲しいという趣旨のシリーズである。

 僕のWebや動画をご覧になっている方はエリーゼオーナーも多いと思う。先日行ったオイル交換のアンケートなどでも半分くらいがお店やディーラーでオイル交換をしてもらっているとのことだった。

 その多くは自分で作業するのは不安、という理由だったが、何もいきなりエリーゼではなく、今回のようにセカンドカーからトライしてみるのもいいだろう。エリーゼはアンダーパネルを外したりと作業が面倒だが、国産の普通車はそれほど大変ではない方が多いと思う。

 今回は、オイル交換を自分でしようと思うけど、「でもここが不安…!」という所をいくつか挙げ、僕なりの回答をお示しする。

 自分でオイル交換すれば、愛車との距離はぐっと縮まるし、クルマの状態もわかるし、予約したり順番待ちすることなく、安くできる。

ドレンパッキンなど適合する部品をどう買うかが分からない

 オイル交換のみならず、非常に不安なのがこの問題。チューニングパーツなどであれば、売る側も消費者に向けて適合情報などもわかりやすく示す努力をするが、地味な純正の消耗品などはそのような情報も見つからなかったりする。

 そんな時、僕が使っているのが、純正部品の販売店だ。インターネットで「部品共販 日産」などと検索すればすぐに出てくるので自宅や職場の近くの行きやすい所を検索してみよう。

 例えば日産の場合は、「日産部品埼玉販売 熊谷支店」などの名前で検索結果がズラズラ出てくる。トヨタやホンダの場合も同様である。

 部品共販は主にディーラーや民間工場などを相手に純正部品を販売する問屋的な位置づけになると思う。

 そうした業者向けの商売なので地味な店構えが多いが、一般ユーザー向けにもちゃんと販売してくれる。

 買い方は簡単で、車検証をもって「NOTEのエンジンオイルのドレンパッキンとオイルフィルターください」とか言えばいいだけだ。パーツの名前が分からなければ自分の車で乗り付けて指さして「コレと、コレと、コレください!」でもOK。

 車検証から適合する商品をメーカー純正の検索システムを使って出してくれる。適合違いなどありえない。絶対の安心感だ。

 もちろん、ディーラーでも部品だけを買うことは可能だ。だが結局その場合はディーラーが部品共販から買って、それを僕たちに販売しているだけである。

 それでは、ディーラーを挟まない分、安く買えるのかというとそうではない(多分)。購入した後の領収書には「一般ユーザー」みたいな表示がされており、業者向けとは差別化された価格(おそらく定価)になっていると考えられる。

 ディーラーに売る価格と一般消費者向けの価格は分けられており、ディーラー経由で買っても同じ値段になるように定価販売することで、最優良顧客であるディーラーや民間工場の商売を守るようにしていると思われる。

 では、部品共販で買うメリットはないのか、というとそんなことはない。僕が使っている日産部品販売の例になるが、他社系でもほぼ同じだろう。

 まず、土曜日もやっていて、在庫があればその場ですぐ手に入る。部品共販に在庫がなくてもメーカーに在庫があれば朝イチで発注すればその日の夕方着の便で納品されるとのこと。朝イチでなくてももし平日でも取りに来れるなら、翌営業日には部品共販で受け取り可能だ。ディーラーは過去に1度しか行ったことがないが、翌週まで待たされた。

 ディーラーで部品だけ買うというのはあまり好まれないように思う(想像)。ディーラーとしてはユーザー自身で部品の交換・取り付けをすることそのものを嫌うし、部品を渡すだけだと利幅が少ない。

 しかし、部品共販が一般ユーザーに売る場合は定価で売れるため、同じ作業でもディーラーや民間工場に売るよりもたくさんの粗利が取れる。彼らにとって一般ユーザーは黙って買って持って帰ってくれるなら、圧倒的においしいお客なのだ。

 また、取り付けの方法などを質問すると、マニュアルを印刷してくれたりと、地味に親切だ。

 ということで、僕は国産の純正部品を買うなら絶対に部品共販と決めている。

ドレンボルトをどのくらい締めたらいいかわからない

 一番いいのはトルクレンチを使い、既定の締め付けトルクで締めること。これに尽きる。

 そして、WebやYoutubeでやり方を公開する立場からすれば、責任回避としてこのように言っておくのが一番間違いない。

 そうすると次に来るのは「締め付けトルクは車種ごとに異なるので、マニュアルなどで確認して、トルクレンチを使って適正トルクで締め付けてください」それで終わる。絶対に正しい。

 しかしながら、たぶんこれから初めてやる人はこれで「あ、やめとこ」ってなる、と思う。そして、DIYをやろうという人はどんどん減っていく。

 だって、実際問題オイル交換の仕方も調べてやる段階なのに、トルクレンチ買って、その使い方含めて調べてって、やりますか?

 僕はトルクレンチを初めて買ったのは最近である。逆に言うとそれまで20年以上、トルクレンチなしで感覚だけでやってきた。そのトルクレンチでさえ、「買ってみた」っていう動画がやりたかったから買った感がある。今でもトルクレンチは全くメインではない。

 それに、オイルパンのドレンボルトをねじ切るまで回してしまう、そこまで常識的な感覚がずれている人はいないと思う。ドレンパッキンも買えば袋に3つ4つ入っているのだから、一つは捨てるつもりで、最初はいったん締めて、外して、このくらいの感覚だとここまで潰れているのかを確認するのもいい。

 ボルトを壊すトラブルの要因はトルクだけではない。曲がって入れたり、間に砂利などをかんでいたり、下回りなどは自分が逆にいたりすることで回す方向を間違えたりするなど、他にもたくさんある。

 ねじを締めこんでいった時のそうした様々な可能性とそれに伴う感覚を感じながら締めていくことが必要だ。

 これ以上締めたらヤバイ、という感覚。場合によっては奥まで締まっていないのに、一時的に締めるのに力が必要になったりする場合もある。その時に「これはまだイケるヤツだ」と見抜けるか。そんな感覚を養う必要があるように思う。

 最初なんだから、不安の中でやる。それでいいんです。

 分からないとは言え、ドレンボルトを外すわけだから、その時どれだけ力が必要だったか、これが大いに力加減の参考になる。もちろん「固着」があるので、同じではない。しかし絶対に「参考」にはなる。

  また完全に外さず、ゆるんだら、また工具を掛けた時と同じところまでまた締めてみたりして、その感覚を覚えておく。そうしながら外す。

 不安があるからこそ、作業後しばらくは都度下を覗いて確認したり、増し締めを試みようとしながら、その時の締め付けが大丈夫だったか、時間がたっても変化がないか、確認する気になる。それが重要だと思う。

 トルクレンチを持っていたら、適正トルクでに設定して「カチッて言ったらハイ、OK!」みたいな思考停止になってしまうのが、逆に怖い。

 また我々レベルで色んな部品の取り付けの適正トルクの情報を入手できるのだろうか。僕は難しいと思う。

 メンテでも予想外のことは起きる。事前に調べていない部分の適正トルクが分からなければ怖くて作業できない人にはなって欲しくない。そんなことが起きても、自らの感覚で、「これなら安全だろう」と思えるトルク感を身に着けておくことが大事だと思う。

 その答え合わせをするのにトルクレンチを使うのは効果的だ。自分の感覚を研ぎ澄まし、誤差を補正するのに使う。

 と言うことで、僕は感覚でいいと思う。当然自己責任だ。不安だからこそ、まめにチェックする気になる。増し締めしたり、少し緩めてからまた締めたり、そうやるから覚える。

 わからないなりにもこれまでの経験を信じ、自分の常識的な感覚が通用するか試すくらいの気持ちで良いと思う。

オイルをどれくらい入れたらいいか分からない

 レベルゲージのHとLの間、そうであれば大丈夫である。メーカーがそう言っているのだから、それがLに寄っていようとHに寄っていようと関係ない。HとLの間なら大丈夫だ。

 そこに対して、Lに寄っていたらダメとか、Hと同じところまで入れろとか、いろいろ言う人もいる。

 だが間違えて欲しくないのは、それはいったん「大丈夫」というラインは達成した上で、「でも更に言うとね…」って言う所に言及しようとしているだけであって、一般ユーザーが普通に使う車のオイル交換をするだけなのにLに寄ってたらダメとか、それはない。

 ただ、オイルは基本減るものなので、Lにあまりにも近ければ、何らかの原因でオイルが減ったとき、すぐにLを下回ってしまう可能性がある。下回ればそれは当然「ダメ」なのであって、Lに近い人はまめに油量をチェックすればいいだけのことである。

 「そんなマメにチェックできないでしょ、だからLに寄ってたらダメなんだよ」と言うのと「HとLの間でもLに寄っているだけでダメ」とは全く別物。前者は真実だが、後者は事実ではない。

 それでもHとLの間にあってもこうだとダメ、という人がいるのなら、「アンタ誰ですか?」ってなる。

 「どこからが良くてどこからがダメなのか、レベルゲージに新しい線引いてくれよ」ってなる。

  車は命を乗せて走る凶器である。しかも決して安いものでもない。メーカーにはそれを可能な限り安全なものとして販売する責任がある。

 だから膨大な時間と人とカネをかけて研究して実験して検証して「この範囲でお願いします」っていうラインを決めている。それは嫌と言うほど安全なレベルのはずである。

 メーカーの指示通りにしていて何かあったらメーカーの問題である。そんな環境の中で、メーカーは勇気をもって「これなら大丈夫です」と言う。それを一個人が否定する?それならその人はそれほどの覚悟をもって発したメーカーの判断を否定するデータを持っている「個人」である。僕はそんな「アンタが誰なんだ」って興味津々だ。

 「いや、カーブの時にオイルが偏ってストレーナーが吸い取らなくなるから」

 一般ドライバーが一般道の走行で、もしくは自称運転のうまい人が公道で交差点を速度超過で一つや二つ、いや10個でも良いけど、その程度の横Gで数秒ストレーナーがオイルを吸えない瞬間があったとして、それで油膜が切れてエンジンが焼き付く、なんてことはない。1週間ぶりにエンジン掛けた時の方がよほど油膜切れしている。その方が圧倒的に発生回数が多いし、それでもエンジンは壊れないのだ。

 ということで、HとLの間ならどこでもOK。Lに近かろうと安心して乗ればいい。ただしその場合は安全マージンが少ない。繰り返すがオイルは減るものなのでチェックを怠ってLを下回っていたらそれは「ダメ」なのでお間違いなく。

ドレンボルトがどれだかわからない

 これはまぁ、調べるしかない。さすがにエンジンオイルのドレンボルトがどこかという情報は今の時代インターネットで調べれば出てくると思う。

 だがまぁ、大体の探し方として、レベルゲージの行く先にオイルパンがあって、そのオイルパンにドレンボルトがついているのが一般的かと思う。レベルゲージの伸びている先あたりを下から覗いて、その先にオイルが溜まっていそうな形状のパーツがあってそこにボルトがついていればそれがドレンボルトと考えられる。

 よほどの変わった機構のクルマでない限り(オイルパンが存在しないドライサンプ方式のクルマとか)大体はこれで見つかると思う。

 心配だったら、抜いてみて、そのあと上から少しオイルを入れて下からダラダラ出て来れば確実だ。もし出てこなければ、別のオイルを抜いてしまったことになる。別のオイルを抜いてしまったので回復方法を必死で探さねばならないが、そのままエンジンをかけて壊すということだけは避けられる。

廃オイルの捨て方が分からない

 ホームセンターで200~300円くらいでカーコーナーのエンジンオイル売り場に売っている「廃油ボックス」を買ってきて、そこにオイルを入れると、中に入っている綿にオイルがしみ込んだ状態になる。

 それをタイラップで口を閉じて箱も閉じれば、大体は燃えるごみで捨てられる。地域によっては不燃ごみの所もあるか、不燃ごみにしておけば間違いない、と言う所もあるかと思う。

ジャッキアップポイントが分からない

 ジャッキアップポイントを間違えると、どうなるか。車体の重さを支えることができない部位で1t以上の力を支えてしまうのだから、当然、その部分がへこんだり、車体全体がゆがんだりする。

 ジャッキアップポイントはマニュアルにあるが、クルマの下に入るとなるとウマが必要で、ジャッキアップポイントにウマを掛けたい以上、ジャッキはマニュアルに書いてない別のポイントで持ち上げる必要がある。多分そこがこの悩みだろう。

 普段から車体を支えている足回りなら車体を支える強度を確保している部分もたくさんあるが、もちろん掛けてはいけないところも存在する。

 ということで、オイル交換はジャッキアップせず、スロープを使うと良い。また車重程度では絶対崩壊せず、かつ絶対の安定性のある段差に片輪乗り上げたりしてやるのがいいと思う。車種によって違うが、向きを考えて車に傾きを与えたほうが、オイルの出も良かったりする。

自分で勝手にオイル交換したらディーラーに怒られる

 これが本当にそうなら、本当に自分でオイル交換をするユーザーに冷たく当たると言うなら、これはもうどうしようもない。自分でオイル交換をするのをやめるか、そのディーラーをやめるか、どちらかであろう。

 しかし、いつの時代から、ユーザーがオイル交換をすることが「ダメ」になったのだろう?今や、オイル交換をディーラーでしないと、オイル交換の警告灯を消せない(ツールがあれば消せるけど)クルマもたくさんある。

 一日一回の点検は道路運送車両法によってユーザーの行うべき義務となっている。それでオイルの減りや劣化が見られた場合、そこでもちろん、ディーラーに助けを求めることは構わないが、「自動車の使用者又はこれらの自動車を運行する者」であるユーザー自身がその責任に於いてオイル交換をし「ても」それは自然な行動な気がするのだが。

 ユーザーが手を入れると、何かがあったときに「どちらの責めかわからなくなる」という気持ちはわかる。

 ならば聞くが、全てをディーラーに任せていて従順なオーナー様に何かあったとき、最初からディーラー側の責任として対応してくれるのか?

 すべての作業をディーラーにお任せしたその先には、一分もオーナーの不備を疑うこともなく最初からディーラーの責めとして対応し、余計なシロウト仕事をしてくれたオーナーとは圧倒的な差をつけた扱いを提供してくれるのなら、納得も行くというものだが、ないとは言わないが、超レアな気がする。

 逆にそこまで忠誠を尽くしたにもかかわらず、何かあったら手のひらを返したように、今度は乗り方や保管方法などでドライバー側の責めにしようとして来る気がしてならない。そのようなディーラーなら、付き合いをやめる道をとるべきなのかな、と思う。

 願わくば、クルマ好きとして自ら整備することを応援してくれる、そっち側のディーラーがあったなら。自分がしくじってもちゃんと救ってくれて次に失敗しないようユーザーのレベルを上げてくれるようなディーラーがあったなら。それは絶対に手放してはいけないお店だと思う。

  またそうしたディーラーの気持ちを引き出すのは我々ユーザーの人柄、この人ならクレームは言って来ない、という信頼の上に生まれる関係だと思う。

 結局最後は誰も助けてはくれない。所詮公道では自分一人。そして公道は何が起きるか分からない戦場である。そこに繰り出し、生還する確率を上げたいなら、運転者であるたった一人、自分自身のスキルをアップさせて行くしかない。ディーラーもそれを応援するべきだと思うし、もちろん自ら車を整備することに伴うリスクもユーザーは理解するべきだと思う。

 それが望めないのであれば、ディーラーと付き合うのは難しいと思う。信頼できる民間工場を見つけ、そことお付き合いするのが良いだろう。

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